カノジョ探しの異世界行   作:もっち~!

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残虐なシーンあり


VS教皇サイド

 

---ルミナリア・アークス・フランシスク---

 

スランタニア王国の冒険者ギルドへの依頼の仕方が問題であった。指名手配扱いで捜索依頼を出していた。これは犯罪者に対する捜索依頼であるが、我々は彼らを犯罪者として探していない。

 

「どういうことですか?」

 

スランタニア王国の王に訊いてみた。指名手配では見つかる者も見つからない。

 

「どうとは?」

 

「あなた方が召喚した者達を指名手配した件ですよ」

 

「なんのことだね?私は訊いていないんだが…」

 

王に話が通っていない上、王には召喚したことも伏せられていた。

 

「責任者はどなたですか?」

 

「第一王子のカイルである。おい、カイルを呼び出せ!」

 

「聖女様の教育で忙しいそうです」

 

「召喚した聖女は我が国にいるのか?」

 

「はい」

 

それは聖シュルール協和国に報告されたことと違う。

 

「我々が問い合わせた時と、違うのはどういうことですか?」

 

「どのような報告を受けたのですか?」

 

「前回の召喚時に、聖女一人とそれに付き添う男が一名が、忽然と姿を消したと」

 

「それは事実です。前回聖女候補が2名と、男性が1名召喚されたのです。カイル殿下の判断で男は牢屋へ、男性と一緒にいた聖女候補は後宮へ入れたのですが、その後行方知れず、脱走したものと判断し、生死不明で良いから、脱走罪として指名手配で依頼をせよとカイル殿下から指示がありました」

 

異世界から拉致して牢屋と後宮に監禁したのか。それは脱出するだろう。

 

「バッカもん!勝手に異世界から連れさり、意味が分からないままに牢屋と後宮に監禁したのか?おい!カイルを至急呼び出せ!」

 

「はっ!」

 

なんとも頭の痛い事態になっていた。脱出と脱走では意味合いがまるで違うのに。

 

 

「ようやく指名手配犯が見つかったのですか?さて、どのような罰を与えようかな」

 

笑いながらカイル殿下が現れた。

 

「貴様!何を勝手にやっているんだ?どうして牢屋と後宮に監禁したのだ?」

 

「どうして?そんなの決まっているでしょ?聖女召喚で男が召喚されたのです。偽証罪で処刑にすべきで、聖女なのに男と抱き合っていたんです。侮辱罪で後宮で陵辱刑にすべき案件ですよ」

 

コイツ、頭が腐っているのか?そもそも異世界召喚は禁忌の犯罪行為であり、諸事情でやもなく国家で行う場合は、事前に我々聖シュルール神殿本部に召喚目的などを連絡をするルールである。

 

「異世界からの召喚はコチラ都合で呼び出しているのですよ。分かっていますか?」

 

「何を言っているんだ?異世界の者は基本、平民だ。王族である私の決済でどうにでもなるんです」

 

あぁ、分かっていない。人知れず何名の召喚された者が消されているやら。

 

「なる訳ないだろうが、おい、カイルを牢へ入れろ、コイツから王族の権利を剥奪する」

 

「陛下がご乱心だ。独房へお連れしろ。後、そのどこぞの使者もだ。早くしろ!私は聖女の教育で忙しいのだよ」

 

この国では王よりもエライ王族がいるのか?

 

「おい!何をするんだ?ご乱心したのは陛下だ。私では無い」

 

抵抗しながら、近衛騎士達に捕縛される第一王子。

 

「アイツは、なんてことをしでかしたんだ…」

 

「指名手配を解除をしてください。指名手配されていると知ったら、名乗り出る者も名乗り出られないでしょう」

 

「あぁ、そのように手配をする」

 

今更、解除をしても手遅れ感が濃い…

 

 

 

---ツバサ----

 

隼人に呼び出された。護衛にシロ、マイル、プライドが付いてきた。

 

「どうした、隼人」

 

「指名依頼で…聖者と聖女を連れて来いって…」

 

「断れないのか?」

 

「無理…聖シュルール協和国の教皇からの指名依頼だから…」

 

あの婆さんからの依頼か…Sランク冒険者である隼人は、指名依頼を断れない。特に聖シュルール協和国の教皇からの物は無理だろう。俺達の世界で言うバチカンのような国だから…他国の国益に左右されず、厳格な教えとルールを護って運営されている組織である。

 

「俺達を売るのか?」

 

「そんな事を言わないでください。避けられない事態なんです。ごめんなさい」

 

この指示を無視するには、隼人達を消すしか無い。隼人達も死ぬ気で俺達とヤリ合うのだろう。隼人の目は真っ赤でに腫れていた。悩んだ末の行動のようだ。

 

「わかった。俺が教皇とヤリ合えば良いんだな?」

 

「それも困る。無力化しないとダメだから…本当にごめんなさい」

 

隼人の手で俺の首に隷属の首輪が嵌められた。

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

 

俺に隷属の首輪を嵌めた罪悪感に押しつぶされそうな隼人。マイル達には影から見守ってもらうとして、俺は隼人のお縄に付いた。セイはスルーだ。俺だけ出頭すれば良いだろう。隼人もセイに関しては何も触れないし。俺達は教皇の元へ向かった。

 

 

教皇の目の前へ後ろでに縛られ、隷属の首輪を嵌められた状態で連れて行かれた。

 

「聖者と思しき人物を捕らえました」

 

聖騎士に連れられて、教皇のお目通りを受ける。

 

「あなたが聖者ですか?」

 

「わかりません。異世界から召喚されて、いきなり身ぐるみ剥がされて牢屋に叩き込まれ、現状隷属の首輪で奴隷に落ちさせれていますから」

 

「奴隷落ち?なんで?」

 

「聖騎士が首輪を嵌めたのは、教皇様の指示なんでしょ?」

 

実際に嵌めたのは隼人だが、ここは聖騎士のせいにしておく。

 

「私はそのような指示を出しておりません。直ぐに外してあげなさい」

 

「当教会には隷属術を使える闇魔法師はおりませんので、外せません。どうせ犯罪者なのですか、奴隷のままで良いでしょ?」

 

笑みを浮かべている聖騎士。コイツから負のオーラがダダ漏れしている。悪意塗れだな。

 

「彼は犯罪者ではありません。重要参考人です」

 

「指名手配犯だと訊いております。証言を得たら、打ち首にすると法務部から訊いております」

 

どうやらこれもイレギュラーイベントのようだ。この世界の神は俺を退場させたがっているようだ。

 

「そのような指示は出していませんよ」

 

「では忖度されたのでしょう。今ここで打ち首に…」

 

聖騎士が剣を抜き、迷いなき剣筋で俺の首に剣を振り下ろした。カキン!その剣を隼人の剣が止めた。

 

「聖騎士とは教皇様の指示が絶対では無いんですか?」

 

「冒険者風情がっ!教皇様に忖度をせよ。ジャマ立てをするなぁ」

 

あぁ、これって俺を絶対に殺すって意志表示だな。この世界のババァは権力が無いのか?これ以上は隼人に迷惑がかかるので、聖騎士の魂を弄び、この場から消えて貰い、隷属の首輪を破壊した。剣を握った聖騎士はその場に崩れるようにして、床に倒れ込んだ。

 

「お前…何者だ?」

 

教皇の顔は青ざめ、お付きの騎士達、メイド達が身構えた。

 

「この世界は、勝手に召喚と言う異世界拉致をした上、身ぐるみ剥いで全裸で牢に監禁する最低な世界だな。教皇…お前が黒幕でいいのか?」

 

隼人達を除いて『畏怖』を発動し、教皇サイドの者達の精神を恐怖へと叩き込む。

 

「違う…私は何も指示していない…」

 

ガタガタと震え、足下が濡れていく。信者には見せられない姿だな。威圧の耐久力の無いメイド、騎士達が白目を剥いて、泡を吹き、その場に倒れていく。

 

「俺の相棒は、異世界拉致されて、後宮に監禁されていた。そんな行為をお前は許しているのか?」

 

『畏怖』のギアを一段上げた。教皇以外の者達が様々な体液を垂れ流し、次々に倒れていく。

 

「お前は…何者だ?」

 

教皇はノドが詰まったような声で訊いてきた。

 

「聖女召喚された男だ。そして、貴様に犯罪者の烙印を押され、指名手配された男だよ。どう責任を取ってくれる?」

 

あっ!教皇が白目を剥き泡を吹いて倒れた。さてと、帰るか。

 

「ツバサさん、やりすぎだよ」

 

振り返ると、隼人が苦笑いしていた。

 

 


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