---プライド・ロイヤル・アイビー---
久しぶりにフリージア王国に帰国した。目の前には、第一王子のステイルと第二王女のティアラがおり、その背後には近衛騎士団が彼らをガードするよう
に取り囲んでいた。
冒険者ギルドを通じて、再三帰国を打診されていた。そして今日、発掘作業が休みだったので、ご主人様と帰ってきた。
「元第一王女、プライド・ロイヤル・アイビー、再三の帰国要請により、帰国いたしました」
「お姉様、元とは言わないでください」
妹であるティアラの顔が苦しそうである。
「あなたは、未来が見えたはず。あのまま、ここにいたら、私は…」
「それでもです」
「今の暮らしに満足しています。何ひとつ不自由してません」
「お姉様…」
「姉君…」
妹と弟は、私の考えに同調出来ないようだ。
「私は隣におりますツバサ・アルメリアの側室です。もう、この国の女王にはなれません」
表向きの正妻はアイリス、事実上の正妻はセイさんである。
「お姉様が側室?ありえません」
納得しない妹。
「もう決定事項です。その代わり、この国に危機が迫れば、彼にお願いし手助けをします」
既に私を洗脳支配する予定の人物は排除してあるし、ここの周辺国くらいなら、私だけでも殲滅できる。
「それでは、皆様、お元気で…」
彼に頷くと、森の館へと転移した。
---ティアラ・ロイヤル・アイビー---
お姉様は言いたいことだけを伝えると、目の前から消えた。確かに、このまま、ここに残れば、来て欲しくない未来が来るかもしれない。私達の一族の女系は未来予知と言う能力がある。お母様も私も、たぶんお姉様も、遠い未来にお姉様が暴走して、この国に害を与える未来が見えたと思う。
だけど…
「私、お姉様の元へ向かいます」
「居場所は分かるのか?」
お兄様が心配そうに私を見据えている。お兄様には転移能力があるが、行ったことがある場所でないと転移出来ない。
「冒険者ギルドで確認してあります。冒険者ギルドを通じて、彼のいるアルメリア公国へ向かいます」
冒険者ギルドの本部のある国。冒険者ギルドの支部、本部は転送陣で繋がっているそうだ。国のトップであれば、その陣が使えるらしい。ただ、その使用許可審査は厳しいそうだ。悪用すれば、簡単に飛び地へ攻め入ることが可能であるから。
母である女王に相談しなければ。
---ツバサ---
冒険者ギルド本部から指名依頼が入った。Sランク案件らしいが、俺はFランクの筈である。
「俺、Fランクだけど…」
「みなしSランクだ」
ランクアップ要請はすべて拒否している。
「隼人卿に依頼したら、連日の穴掘りで無理といわれた」
この国に居るSランク冒険者は隼人パーティーである。俺達のパーティーはFランクであるのだが…俺、マイル、プライド、セイのパーティーは教皇認定のSランク冒険者パーティーになるらしい。主に裏仕事専門の…、あのばぁさん、碌な事をしないなぁ。
「で、仕事の内容は?」
「フリージア王国の王族の護衛任務だ」
「拒否します」
フリージア王国って、プライドの…なんで、俺達を指名した。
「拒否理由は?」
「目的がプライドの拉致だからだ」
「どうしてそうなる?」
グランドマスターがしつこい。俺、キレていい?
「プライドは、その国の第一王女で、俺の元に亡命したんだよ」
「そうなのか?この国へ来訪目的が違う。国交を結び、友好条約を締結する為とある」
「な訳無いだろう。あの国と一体どれだけ離れていると思うんだ?ここと友好条約を結んで、俺達にどんなメリットがあると思う?それ、下手すれば、戦争案件になるぞ」
目的が見え見えなので、グランドマスターを脅しておく。