トキオ共和国建国
---ティアラ・ロイヤル・アイビー---
冒険者ギルドから、転移陣の使用許可は下りなかった。無理を通せば、戦争案件になるといい、国家間の揉めごとには冒険者ギルドは不介入だそうだ。
「どうしよう」
自室にて一人で最善手を模索する。騎士達に護衛して貰うには、距離が有り過ぎる。旅費が国家予算に響く額になるあろう。
「手は無い訳ではないよ」
突然、部屋にいない人物の声がした。
「どんな手を使うの?」
お姉様を浚った悪魔に、甘えた声で訊いてみた。
「フリージア王国はアルメリア公国の属国になるんだよ」
「そんなこと出来る訳ないわ」
声の主を睨みながら、声を荒上げた。
「じゃ、諦めろ」
「ねぇ、お姉様を返して!」
「断る。アイツは、俺のパーティーメンバーだから」
「冒険者を雇って、アルメリア公国に行くわよ」
「いいよ。プライドの住んでいる場所は、そこじゃ無いし。好きにしろ」
お姉様のいる場所はアルメリア公国じゃない?ではどこに…
「俺達の住処は魔王国内だ」
魔王が総べる国?やはり、コイツは悪魔なんだ!
「攻めて来いよ。魔王国の属国になりたいなら」
不敵な笑みをして、悪魔が消えた。
---ツバサ----
ティアラを煽った翌日、魔王国の王に呼び出された。要するに魔王様である。
「冒険者ギルド経由で、フリージア王国って国から返還要求が来たんだけど…」
プライドを返せとか?
「なんかした?」
「煽った。魔王国が後ろ盾って…」
「う~ん…お願いだから、独立してくれないかな。立場はそちらの方が上なんだし」
聖属は悪魔に対しても無敵であった。下級悪魔程度であれば、触れるだけで燃え上がり灰になっていく。
「ねぇねぇ、魔王国に税金払っているよ」
魔王国へはケツ持ち賃は払っている。住民税や所得税など三点
死の森は、魔王国内であるが、実質飛び地である。死の森を囲むあの山脈は龍王国の領土である。元々いたバカ神が、あの場所を護る為に、龍を山脈に住まわせたらしい。この世界の魔王はドラゴンより弱い。その為に死の森には転移でしか来られない。
「なら、龍王国の領地って、名乗ってくれない?そうしてくれると嬉しいです」
汗だくの魔王。
「どうするかな。入国審査は無しにしてくれる?」
「します。通行税はとりません」
「じゃ、独立するかな」
◇
森の館に戻り、会議を開いた。参加者は元日本人の方々。
「魔王国から独立するんですか?」
マイルに訊かれた。俺は経緯を説明した。
「ごねて、漁業権も貰った。龍王とも話したが、国として独立する以外は、今まで通りだよ」
魔王国内での漁業はし放題、龍達の住処の掃除や整理など無断侵入は問わないそうで、今まで通りで良いらしい。
「国名をどうするかだ。いい案はあるか?」
「それだったらトキオ共和国は?東京の真上だし、みんなで生活しているし」
セイが提案をした。他に浮かばないので、それに決定した。アルメリア公国にある各ギルド本部に独立国になったこと知らせた。
「おまえ、この国の王配でなく、別の国の王なのか?」
冒険者ギルド本部のグランドマスターに言われて、はっとした。そうなるなぁ、どうするかな。アイリスとアイリスの両親と相談だ。
◇
「かまいませんよ。二つの国で王をしてはいけないってルール無いですから」
と、アイリス。
「そうなると、名前はツバサ・トキオになるか。いいや、ツバサ・アルメリア・トキオが良いかのぅ」
と、アイリス祖父。
「あそこって難航不落よねぇ~。魔王国を超えて、龍王国を超えないと、攻め込めないし」
とは、戦闘狂のアイリス母。
「山脈手前の森を越える必要もありますね。隼人パーティーの鍛錬場所で、戦いがいはあると思います」
鍛錬するだけなら良いが、あそこを越えて、登山、龍王国、下山、死の森って、越えられる軍がいるとは思えない。そもそも魔王国縦断も難しいだろうな。
「ねぇ、うちの国とそこの国の関係は?」
と、アイリス母。
「兄弟国?」
「対等?上下関係は必要だと思うわ」
「トキオ共和国は、館以外、人の住める環境じゃないですが」
領土は死の森と呼ばれる世界樹の森全域で、山脈下山後2,3日は歩き通さないと、館にたどり着けない。
「じゃ、ここの後ろ盾の謎の国ね」
楽しそうに話すアイリス母。因みこの人、山脈前の森を踏破仕切れなかった。対人戦最強クラスでも、ノラの魔物相手で分が悪かったらしい。