---ツバサ---
ユナの件の後、知り合いの家を何軒か回り、魂を昇華して回ったが、召喚された者がいない。ユナとの違いを考える。ゲーム内アバター姿で召喚されたユナ。もしかして、魂の受け皿が必要なのか?リアルの身体は既に朽ちている。ゲーム内アバターはサーバーに残っている。サーバーってどこにあったっけ。勤務先のゲーム製作会社には無かった。
『各務 桂菜を探せ』
突然、義父の声が聞こえた。ケーナかぁ。『銀環の魔女』という二つ名を持つ問題児なエルフキャラである。現実でのストレスを発散しているのか、ゲーム内では、結構イケイケで、付いた二つ名だっけ。
ケーナとユナの共通点を考える。俺の教え子であること、未成年でああること、後はゲーム内でカンストしていたことかぁ!カンストが召喚条件なのか?そうだ。現在の転生者の仲間達もゲーム換算でカンストレベルである。スーパーチーターのマイル、ラスボスチートのプライド、勇者隼人…
ケーナはどこにいるんだっけ。う~ん、確か事故で半身不随に、そして、生命維持装置付きで病室で寝たきりに。彼女の伯父に意思の疎通がしたいと相談され、VR空間にケーナを送り込み、会話を出来るようにしたっけ。俺がいた時代、VR-MMO世界は医学に応用されていた。心のケア方向で。それらのサポートをしていた俺の部署…ゲーム作成以外にそんな業務があり、連日深夜様な帰りだったっけ。
俺は、いつものメンバーにユナを加え、ケーナのいた病院を探した。ナノちゃんがケーナのナビゲーションAIを探し出し、座標を訊き出すことが出来、砂の除去作業に入った。最近は効率的な砂除去方法を編み出していた。転移能力を持ち大容量の亜空間収納が出来る俺、マイル、ユナで、砂を砂専用の亜空間収納にしまい、あの国に捨てに行く感じだ。投棄場所は国境沿いに変えたけど。城の真上では俺達の姿を発見されるリスクがあるから。
「屋上が見えて来た。あそこから入ろう。俺とユナとセイは病室へ。残りの者達は周囲の警戒を頼む」
警戒しないと砂が怖い。生き埋めはカンベンだよ。たまに砂が雪崩を起こし、流れてくるのだ。
---ケーナ---
腹部に衝撃を受け、目が醒めた。
「ケーナ、起きろよ~」
私の腹の上にクマがいた。頭のフードを取ると女の子のようだ。声は、知り合いの声だ。誰だっけ?う~ん、確か…先生の教え子のユナだっけ?カンストした私の元にたまに来てくれていた。目を見開きガン見すると、目の前にクマの着ぐるみを着たユナがいた。
「ユナ、それ、どこで手に入れたの?私も欲しいよ~」
起きたばかりとは思えない素早さで、ユナからクマの着ぐるみを脱がしに掛かっていた私。それを阻むように頭部に打撃が入った。
「おい、ケーナ。周囲を確認しろよ」
「えっ…先生…」
最近は来てくれなかった先生が、目の前にいた。それよりも、四肢が自由に動く。ここはVR空間か?
「お久しぶりです」
「本当に久しぶりだな、おい」
先生に頭を抱かれ、徐々に落ち着きを取り戻した私は、部屋を見回す余裕が出来、見た事の無い室内。ここはどこだ?VR空間にこんな場所は無かったはずだ。
「ここはどこですか?」
「端的に言うと異世界だ」
先生の口から思いも寄らない言葉が湧き出していく。
「じゃ、伯父さん達は?」
「今も病院内を捜索しているが、ケーナ以外の者を召喚できていない」
私達は突然の異世界召喚に遭い、元々いた世界で命を散らしたらしい。
「これからのことだが、協力してくれるか?」
元日本人の寄り合いにいた方が安心だと思う。ゲーム内では無敵であったが、現実世界では臆病者であった。
「先生達といたいです」
先生と一緒なら安心なはずだ。