---ツバサ---
「えっ!クマ…」
目覚めた女の子がユナを見て、再度失神してしまった。あのクマ装備は危険だな
「ユナ、戦闘時以外は、頭のパーカー部分は外しておけ」
「あっ、はい」
再度目覚めた女の子。名前はフィナと言うそうだ。濡れたパンツは浄化清浄乾燥済みである。森にいた理由を訊くと、母親が病気で薬草を探していたよう
だ。
「問題無い、母親の居場所に案内してくれ。俺達はヒーラーだ」
「お金無いです」
しょぼんとする女の子。ここらでも回復師は大金を得ているのだろうか?教皇に抗議しておくか。
「無料でいい。俺達は冒険者だから」
冒険者ギルド証を見せて、安心させた。
◇
フィナにクリモニアの街へ連れて行かれた。この街に拠点を置くかな。この大陸で初めての街だし。そして、フィナの母親の元へ。と、その前に,門番に呼び止められた。まぁ、一見不審者集団である。クマの着ぐるみ少女、エルフの少女、見た目幼女に近いマイルに、俺である。門番にギルド証を見せて黙らせる。
「えっ?!冒険者ギルド本部所属の冒険者パーティー…どうぞ、お入りください」
冒険者パーティーランクが『みなしS』なFって、どういうことだ。グランドマスターに文句を言ったら、Sランクにしてもいいんだぜって、脅された。冗談じゃ無い。Sランクになったら、面倒事が山積みである。俺は永遠のFランクでいたいのだ。
途中冒険者ギルドの支部に立ち寄り、森で解体しまくった兎と狼の素材を売った。
「なんだ、この量は…」
100体をマニュアル解体しないと解体スキルは得られないなので、買取カウンターにはユナとケーナの練習素材であった200体以上が積み上げられていた。
「ギルドの金庫に現金無いんだろ?ギルド証に入金で頼む」
ギルド証はキャッシュレスカードとして使える。後日、ギルド証に振り込んで貰うよう申請をした。よくあることだ。レインリヒに世界樹の葉っぱ1枚を売るときなんか、この機能を使っている。ギルドに白金貨なんか常備していないから。
食べ歩きという色々な食い物の経験をユナとケーナにさせながら、フィナの母親の元に着いた。セイを呼び出し、診察を任し、セイの指示通りに治癒、浄化、回復をさせていく。あの薬は、ここで使えない。使えば一発で治るのだが、セイとマイルに止められた。街中ではテロ行為になるから。セイもマイルも面倒事は嫌いである。勿論、俺もだ。
無事、治療が終わり、次に商業ギルドに向かった。宿に泊まるのも良いが、空き家を買い取ることにしたのだ。転移陣を置いた部屋を設置すれば、転移スキルを持たざる者の行き来が楽になるし。
手に入れた物件は、3階建てのお屋敷だった。元貴族のお屋敷だったそうだ。
「1階を商店にして、住居は2階にするか」
マイルと俺で、屋敷内を住みやすいように、改造していく。トイレ、風呂、畳敷きの部屋など…そうだ!冷蔵庫と電子レンジもいるか?あ、ダメだ発電システムが無い。早く掘り出さないと…
「商店って、何を売るんですか?」
ユナに訊かれた。
「街でリサーチをして、売れ筋を見極めるんだよ。後、採算の取れる価格帯で売れるかどうかもだ」
目立った貴族街が無いようなので、庶民向きの物がいいだろうな。
1階の倉庫のような場所を作業場にして、マイルがユナとケーナに錬成術を教えながら、フィギュア人形を作り始めた。
◇
前回の周回で仲間だったコゼット・エーデルワイスと、ダリヤ・ロセッティをお持ち帰りした。
「「遅いよ~!」」
と、会った瞬間に言われた。彼女達は前回の周回の記憶がうっすらと残っていたようだ。
「コゼットは、前回と同じでダイエットを優先して、ダリヤはどうする?」
「げっ、ブートキャンプ…」
顔から血の気が失せていくコゼット。今回のブートキャンプは鬼軍曹のアイリス母の元で無く、砂除去作業であるのだが。
「魔導具を作りたいです。今回はどんな物をつくりましたか?」
ダリヤは婚約破棄後、俺の迎えを待ちつつ、引き籠もり生活をしていたようだ。
「世界樹の錬成を中心に、印刷機、洗浄温水便座乾燥機能付きかな」
エチゴヤのラインナップを見せた。今回は先の見えない砂との格闘があり、あまり事業を拡張していない。
◇
内政が落ち着き、アイリスが洋菓子業を始めた。ダリヤは魔導具製作業である。今回は個々に商業権を取らずに、エチゴヤに集約させるそうだ。ここアルメリア公国の名産はカカオであるので、チョコを名産にするのは定番である。但し、前回と違いいきなりの高級路線では無く、クリモニアの街で売れる庶民路線から攻めるようだ。
クリモニアの街の館で洋菓子業を開業する。売り子はユナとケーナである。クマとエルフの店、流行るといいなぁ。
ユナはクマスキルで料理を習得したようだ。って、クマスキルって、なんだ?
ケーナは相変わらず食べるの専門ぽい。スキルマスターであるケーナには料理スキルが生えないのだろうか?
ケーキ作りの為、ミルクと卵をアルメリア公国から持ち込むと、クリモニアの街の商業ギルドの目に止まったらしい。
「お願いです。定期的に卵を卸してくれませんか」
と…この街では卵が品薄らしい。
「これはケーキに使う予定だから…」
「営業停止にして、強制で搾取してもいいんですよ」
などと商業ギルドのマスターと小役人。俺に脅しは通用しない。脅しには脅しの倍返しだな。商業ギルド本部のグランドマスターに支部長に脅されたことを提訴した。エチゴヤの商人ランクはみなしSSである。世界樹の葉っぱで財を為している商会であり、それなりに商業ギルドにお金を落として居る。
グランドマスター裁定で、支部長は降格、そして、領主から賠償金を貰った。
「クマさん、チョコをください」
領主の娘が毎日、チョコを買いに来るようになった。担当はクマさんことユナである。
「チョコばかりだと鼻血が出るよ」
「大丈夫です」
この街で売るチョコはカカオの濃度が低いので、鼻血は出ないと思う。