---ツバサ---
マイマイの口利きで、フェルスケイロ公国と友好条約を結んだ。さて、帰るか。
「どうする?ケーナはマイマイの元に居残るか?」
マイマイは結婚をしたそうで、子供、孫がいるという。
「はぁ?一緒に帰ります。ここに捨てて行かないでくださいよ」
スカルゴを警戒しているケーナ。お前の息子だろ?
「あっ!そうだ。ケーナの秘密拠点はいかないでいいのか?」
ケーナは通称「銀の塔」という秘密基地を持っていた。あくまでゲーム内で、ここにあるかは知らない。
「そうですね。ここまで来たんですか、ここにもあるのか確認したいです」
銀の塔の近くにある辺境の村まで、短距離転移で進み、村から遠くに見える塔へ一気に転移をした。
「ありますね」
「あったね」
「秘密基地って?」
マイルに訊かれた。
「ゲーム内の全スキルを覚え、スキルマスターになった記念で貰える秘密拠点だよ。本人以外が内部の仕掛けをクリアすると、スキルを1つ貰えるんだ」
マスターの間に転移をし、ケーナの代理管理者に魔力を補給して帰宅した。
◇
クリモニアの街の領主であるクリフ・フォシュローゼから指名依頼が入った。Fランクの俺に指名依頼はあり得ないんだが、みなしSランクってことで、グランドマスターが指名の許可をしたようだ。
依頼内容はクリモニアの街に卵を流通させて欲しいというお願いであった。どうするかな?アルメリア公国の鳥の飼育場を拡張するか?それとも、地産地消に励むべきか?う~ん…悩む。働き手を多めに確保しないと行けない。鳥の飼育って結構人手がいるのだ。ストレスを与えると卵を産まなくなる場合もあるし。
冒険者ギルド依頼ボードをなにげなくみていると、ボランティア募集の貼り紙があった。内容は老朽化した孤児院の修理とある。ランク制限は無い。孤児院かぁ…孤児を働き手にすれば…俺は依頼書を手に窓口へと向かった。
件の孤児院はボロボロであり、喰うにも困る有様だった。ユナを呼び出し、食事の用意を頼む。兎の肉がけっこう溜まっているので、ここで使うか。兎の毛皮欲しくて、大量に狩った兎たち。ユナのクマの着ぐるみに対抗して、ネコの着ぐるみを製作中である。
「建物だけでなく、食事まで…」
院長先生に泣かれてしまった。訊けば、領主から寄付金が出ないらしい。あのヤロー!卵を作っても売らないぞ!
孤児院を鶏舎付きの建物に改築した。そこに調教済みのコカトリスを放し飼いに。孤児院の庭にはエサになりそうな草の種を撒いておく。このコカトリスは優秀でガーディアンの役目もする。悪意に反応し、不審な侵入者を見つけると石化してくれるのだ。
コカトリス達が新しい環境になれるまで出荷は出来ない。出荷出来る様になれば、1日100個はいけるだろう。
---クリフ・フォシュローゼ---
何故か、我が家に卵を売ってくれない。おかしいだろ?私は領主だぞ。販売をしている商人を呼び出した。
「あ?お前の家には売らない。商業ギルドも納得済みだ」
一見冒険者に見える商人。
「どういうことだ?」
「お前、孤児院への寄付という援助金を打ち切っただろ?」
打ち切っていない。毎年援助する為に寄付しているが…
「喰う物にも困り、冒険者ギルドにボランティアを募集して、孤児院の建物の修理を依頼したんだぞ」
「そんなはずは…」
「己の目で確認すらしていないのか?そんなグータラ領主に売る卵は無い」
確かに、援助金が実際に使われているのか、確認はしていない。担当者からの報告だけを受けていたが
「いいか?こんな領地経営をするなら、潰すぞ!」
商人は言いたいことだけ言うと私の前から去って行った。