---エレローラ・フォシュローゼ---
手紙に注意書きがあった。『絶対に敵対するな』と。ちょっと粘着しすぎたか。いきなり久しく感じていない感覚を感じ、全身の力が抜け落ち、膝から崩れた。何をされたのかが分からない。誰も詠唱をしていなかった。あれは何だろうか?
ノアはクマの子が好きらしく、彼女のことを延々に話している。
手紙によると、彼らの冒険者パーティーランクはFだった。だけど、ギルド本部所属の腕効きとある。一番おかしな点は、今日の朝、出立して、着いたのが今日の夕方って、どんな移動手段をもっているのだろうか?
「ノア、どうやって来たの?馬車?」
分からないことは訊くのが一番だ。
「一瞬で、王都の門近くにいたの」
一瞬で?まさか、転移術か?使える者がいたのか…それは敵にしたら終わりである。王の寝所に転移されて、寝首を狙われても防げない。味方に引き込めないかしら?
---ツバサ---
冒険者ギルドで、依頼達成のサインの入った書面を提出し、報酬をギルド証に送金する手続きをして、商業ギルドに向かった。住みながらお店を開ける物
件探しである。
「居抜きでもいいし、更地でもいいですよ」
「ご予算は?」
「国家予算程度までなら、問題無いです。そうだ、貴族街に近い場所がいいですね」
売り物のサンプルをギルドマスターに渡した。高級路線のチョコとプリンである。これで落ち無い女性はいないだろう。
「紹介状とかありますか?」
商業ギルド本部のグランドマスターから貰った手紙を渡す。
「あの…SSランクのエチゴヤさんですか」
「いやFランクのはずだが…」
「では、この物件はどうですか?」
紹介された物件は元呑み屋の居抜き物件で、王城の真ん前って…
その場で一括で代金を支払い、現場に向かい、早速内部を改装していく。
「基本、夜間は森の館に帰るから、凝らないでいいぞ」
王都に潜伏する者の拠点になれば良いから、店舗スペースだけ、手抜きなく施工していく。
---エレローラ・フォシュローゼ---
翌日、出勤すると王城の真ん前にあった潰れた呑み屋が、エチゴヤという店になっていた。昨日までは無かったけど…商業ギルドに向かい、事情を訊いた。
商業ギルド本部の紹介状に彼らの正体が書かれていた。リーダーのツバサはトキオ共和国の国王で、アルメリア公国の公女の婚約者だという。男装の麗人はプライド・ロイヤル・アイビー、あのフリージア王国の第一王女で彼の婚約者って…二大大国のトップが婚約者なのか?あと彼の妻だというセイは教皇認定の聖女で、次期教皇候補者らしい。残りの3名のデータは無かった。新参者か?どこかの国の大物か?
これはマズい。我が国最大のピンチである。アルメリア公国って、世界で一番安全な国と言われ、その軍事力は計り知れないと言う。先日も5万の軍勢を撤退に追い込んだと吟遊詩人達が歌っていた。一方フリージア王国もは世界で一番王族への忠誠心が厚い国で、やはり軍事力が計り知れない。その上、転移術使いがいるなんて、最悪なヤツラだ。
王城に戻り、王様に報告をしなければ…
---ツバサ---
アルファから報告が上がって来た。この王都に向かって魔物1万匹がスタンピートしているという。
「じゃ、行くか?」
「「おぉぉぉぉぉ~!」」
ノリがいいのは、マイルとケーナだけだ。全員で最前線に転移をした。ケーナと俺の広域殲滅魔法で大半をケチらし、マイル、ユナ、プライドが剣技ではぐれヤツラを切り裂いて行く。多少怪我してもすぐに、セイから回復治癒魔法が飛んで来て、2分程度で終わっただろうか。
「最後に死体は燃やしておくか」
木っ端微塵になった魔物の遺体。魔石だけ強奪で回収し、後は燃やして帰宅した。
---エレローラ・フォシュローゼ---
彼らのことを王様に報告へ向かうと、冒険者ギルドのギルドマスターであるサーニャがいて、スタンピートの発生を報告していた。
「数はいかほどだ?」
「1万くらいでしょうか?あれ?」
「どうしたのだ?」
サーニャの顔色が悪い。
「スタンピートの鼻先に冒険者パーティーらしき者達が現れて、簡単に殲滅してしまいました。こんなこんな火力を持つ冒険者パーティーを、私は知らないです」
まさか、アイツらか?
「ねぇ、サーニャ。そのパーティーにクマがいない?」
「え?はい、居ます。あと、エルフが…このエルフは…まさか…なんってことよ、銀環の魔女だわ…」
あのエルフは二つ名持ちなの。
「エレローラは彼らの事をしっておるのか?」
「えぇ、その事を報告に…」
クリフ、なんて連中を王都にぶち込んだのよ~!