---ツバサ---
聖光国 交易の街「ヤホー」に着いた。なんだ、このネーミングセンスは?
交易の街…貿易の拠点で、この大陸にある売れ筋商品が分かる。俺達はウィンドウショッピングをしていく。欲しい物は無いが、売れる物が無いかを探す。
「金属はうれそうですね。アレはだめかも…」
と、マイル。アレとは世界樹の葉っぱらしい。
屋台から旨そうな香りが流れてくる。さっき、奪った金で、串焼きを買い食してみた。肉が硬い…が旨いことは旨い。そして、この街随一の高級な宿に泊まってみることにした。高級な宿のレベルで、その国のレベルが分かるはずだ。ちなみに一泊金貨1枚だと言う。
「安いなぁ。高い国だと、金貨10枚以上だし」
「そうですね。下手レベルだと、白金貨1枚とか」
ツバサのつぶやきに応する魔女。
部屋に着くなり、皆でチェックをする。風呂に追い炊き機能が無いというか、これ、炊けないヤツだ。温水を溜めて温まるだけってタイプ。
「ベッドも今一ですね。どうします?」
夜のイベントに期待かな?相談の結果、この宿に泊まるのは、俺と伯斗と、ユナ、アクに決まった。因みに伯斗とアクは添い寝に決定だ。アクが伯斗に懐いていた。ケーナは街中での戦闘にむいていないし…お役御免になった。
「さすが、ロリテイマーだな」
「誰がロリテイマーだよ」
「大野晶くんだよ~」
「俺は断じて違うって」
「大野くんの好きなゲームタイトルを大声で言おうか?」
「おい!やめろ!シャレにならんだろ」
◇
夕食の時間帯になった頃、ドンドンと扉を叩く音がして、扉が破壊されて、お漏らしをした幼女が入って来た。
「見つけたわ、魔王!私のお金を返しなさいよ」
幼女はヨタヨタと伯斗に迫っていく。さすが、ロリテイマーである。既に手懐けたのか?
「ねぇ、返してよ~あれは無駄遣いしないで貯めたお金なのよ」
泣き縋るションベン臭い幼女。乾いたようだが、臭いが残って居るぞ。
「俺は盗んで居ない。して言うなら、盗んだのはアイツだ!」
伯斗が俺を指差した。
「しょうがねぇな。白金貨3枚でいいか?」
あの財布には合計白金貨2枚以上はあった。なので、色を付けて返済してやる。白金貨なら腐る程あるし。
「白金貨…3枚…お願い返して下さい」
「その代わり、この国のことを教えてくれ」
白金貨3枚を幼女に返した。ちなみに街中では白金貨は使えない。金塊で街の商店の支払いをするのと同じである。
「私は聖光国の三聖女の末の妹であるルナ・エレガントよ。頭が高いわ」
「そうか。俺は教皇認定の聖者のツバサだ」
認定証をルナに見せると、俺に跪いた。この世界では、違う世界が臨界すると、教皇の威厳や冒険者ギルドのネットワークなど、世界のルールが臨界した世界に伝搬するようだ。
「なんで、魔王と聖者が組んでいるの~」
それは良い疑問だ。俺ですら疑問だからな
「まぁ、そういうことだ。そうそう、森の中にあった『願いの祠』って、なんだ?」
「あれは正式には『封印の祠』よ。座天使様が悪魔王を封印した祠よ」
「悪魔王?祠の中には、悪意に染まった石像があっただけだぞ」
「そんなはずは…」
血の気の引いた顔のルナを前にして、俺達は夕食の準備をし始めた。亜空間収納から、コンビニおむすびとカップ味噌汁を取り出し、カップにお湯を注いでいく。
「ねぇ…私の分は?」
「金は返したぞ。自分の金で喰えよ」
「白金貨は食堂で使えないよ~」
あっ、気づいた。目に涙を溜め、興味深そうにカップ味噌汁を眺めている。
「しょうがないな」
ルナの前にもおむすびとカップ味噌汁を置いて上げた。
「これはどうやって食べるの?」
伯斗はアクの分のおむすびいを剥いていた。それを見よう見まねでおむすびを食べられる状態にするルナ。
「おいしい!」
一口食べ、一言発すると黙々と食べ始めた。食べ終わると、その場で眠りこけたルナ。後のことは伯斗にお任せだな。