さて、ヒダリデじゃない。ハシリナサイヨですっかり載せられた私は、既にオウカの症状を診ていたスズカをはじめとするみんなの手助けもあってトレーニングをしっかり始められるようになった。
あの後は大変だったわ・・・。陰で聞いてたルドルフ、テイオー、スズカがみんな飛び出してきて、私に抱き着くわ泣き出すわ。んでその場でルドルフが秋川理事長に電話で報告。理事長からは
「成就! しっかりサポートするのだぞ!」
との言葉が出たらしい。いや何余計なことを言ってくれているんだ理事長。あの時ルドルフ以下3人がすっごい暗い笑み浮かべてたぞ。
実際、あの後今まで以上に三人が私にべったりすることになった。今や私の部屋(足が治ってもあの1階の部屋を使っている。あの部屋、ほかの部屋より広いらしい)に私物をどんどん増やしてたまに泊まりに来ている。そのたびに愛をささやかれているんだけど、それがちょっと重い。誰よ束縛力とか重バ場◎とかささやきとか覚えさせたのは。
まあそれはさておき。ケガをするまではずっと一人でトレーニングをしていたわけだけど、その環境も今は大きく変わった。
まず呼んでもいないのにテイオー、スズカが来る。ルドルフも来る。おかげで最近はずっと四人でトレーニングしている。私の指導で。それに沖野トレーナーもたまに見に来るようになった。彼曰く
「一人で練習したいのは知ってる。実際、俺が指示するよりもいいトレーニングをしていると思うし、シューズの手入れも俺では叶わんくらいだ。だがそれでも俺はキミのトレーナーだからな。見守るくらいはさせてくれ」
とのことだ。実際、特に私に指示を出すこともなく見守るだけ。終わった後に差し入れするくらい。
正直、私はトレーニング知識とか、他のウマ娘にトレーニングしていた経験を生かしてスピカメンバーのトレーニングを見るように言われるだろうくらいに思ってたから、見守るだけで指導せずの沖野トレーナーにはびっくりした。それについて聞いたこともあるが
「スピカのメンバーの指導まで任せたら俺の立場がなくなるし、それは俺の責任だ。まあ最近常に君といるテイオーとスズカのトレーニングくらいは君に任せるしかないが、それ以外は俺がしっかり見るさ」
と言っていた。うん、やっぱりスピカにしてよかったと思った。
さて、そうこうしているうちに、学内の模擬レースに出られるくらいには足が戻って来た。私としてはまだまだだと思うのだが、ルドルフ曰く
「現状でも模擬レースくらいなら余裕で勝てるさ。現役ウマ娘が出るわけではないし」
だそうだ。
レース当日。ゲート近くでストレッチをしていると、ルドルフ、テイオー、スズカのいつもの三人組が顔を出した。
「ぜーったい勝ってね。期待してるよ」
「非公式だが、キミの復帰戦だ。楽しみにしている」
「しっかりと見ていますから、頑張ってきてくださいね」
それに手をあげることで答え、私はゲートに入った。
そしてレーススタート。ケガする前と同じように先頭に出て後続をぐいぐいと引き離す。そのまま危なげなく最後の直線に。そしていつも通り、トップでゴール板を駆け抜けた。
そのうち、重い三人との日常でも書いてみたいですね
まずは完結させてからですけども