梟の羽休め   作:ポン酢おじや

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話し合い?

梟が正就と別れてから1ヶ月。

 

雪は積もり、もうすぐ年を越そうとしている。

 

梟は部屋から雪が積もる庭を見ながら忍び装備の点検していた。

 

するとウサギ達がぴょんぴょん庭を横切り、ウサギ少女達も縁側を走っていた。

随分と焦っている様子だった。

 

するとてゐが現れ、梟は立ち上がり彼女に話しかける。

 

「因幡殿、騒がしいが何かお困りか」

「ああ梟の旦那。お困りどころじゃないよ。竹林全体が警戒体制さ」

「警戒とは穏やかではないのぅ」

「今朝こんな手紙が届いてね」

 

てゐは持っていた手紙を梟に渡すと、彼は紙を開いて読み始める。

 

「ふむ...話し合いを願う...か」

「そう、お山にいる鬼達からのね」

「鬼...」

 

梟は鬼と聞いて、ここに来たばかりの頃を思い出す。

あの時竹林のウサギ達を殺す妖怪退治を永琳に頼まれ、その正体が鬼とわかり斬った。

 

「儂が斬った鬼と関わりが?」

「関係大有り」

「.....」

「まぁ被害者はこちらなんだけどねぇ...雑魚とはいえ鬼を殺しちゃったんだ。永琳も私もそれなりの報復覚悟してたんだが...結局今になって手紙寄越して『今さら?』って感じだよ」

するとてゐはもう一枚の紙を梟に渡す。

 

「んで、これが騒ぎの原因」

「む」

 

梟は紙に書かれた内容を読んでいくと、その内容に少し驚く。

 

「使者がここに来ると言うことか」

「困っちゃうよねぇ...文だけでいいってのに」

「鬼に関係あるならばただの使者ではあるまいて。罠の可能性もある」

「永琳もそう言ってたよ」

「ではその使者を迎え撃つか」

「いやいや、そんな事すれば私達は完全に鬼と戦争になってここに住めなくなっちゃうよ。なるべく穏便に済ましたいもんだけどねぇ」

「儂に手伝えることはあるか?」

「うーん...一応鬼を斬った当事者だからね。私達と一緒に使者に会ってくれるかい?事情説明しないと」

「よかろう」

 

梟はてゐの後をついていき、永遠亭の入り口の門へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迷いの竹林

 

 

来訪者を確実に迷わせるこの竹林に、奇妙な二人の客が迷い混んでいた。

二人とも見た目は子供であるが、耳は尖っており背中からは黒い羽が生えている。

一人は黒髪おかっぱで、胸元には手帳と筆が紐にくくりつけられ首からぶら下げている。

もう一人は黒髪をツインテールに結び、数十枚の紙が入った紐のある鞄を肩からぶら下げ、おかっぱの女の子の後ろから離れない。

 

「あ、文ぁ...本当にいくの?」

「いじいじしないのはたて!使者の役なんて簡単よ」

「けどぉ...鬼の仕事を受けるなんてぇ...皆鬼に関わるとろくなことがないって言うよぉ?」

「仕方ないじゃない。他の天狗は誰も受けようとはしなかったんだから。けど私みたいな子供に頼むのもどうかと思うけど」

「しかもここは大人の天狗すら入らない不気味な竹林って...危険だよぉ」

「大丈夫よ!そこらの妖怪がきても私達ならちょちょいのちょい!」

「うぅ...家に帰りたい」

「情けないわねぇ。それでも鴉天狗なの?」

 

おかっぱの女の子はは楽しそうにしながら歩く一方、はたては涙目で彼女の手を離さずについていく。

 

「まぁ確かに...鬼に関わるのは私も嫌だけど...」

「そ、その人間も鬼を殺すなんてどうかしてるよ」

「全く...そいつは報復って言葉を知らないんですかねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠亭の門の前には永琳とてゐ、そして梟がジッと使者の到着を待っていた。

永琳の指示によりウサギ少女が各地に配置されており、異変があればすぐに対応できるようにしていた。

 

「そろそろ予定の時間ね」

「思ったんだけど使者さんはここにたどり着けるのかね?」

「今だけは永遠亭を隠している魔法を解いてあるわ。竹林自体の迷わせる効果は続いているけど」

「なら今だけは遠くからでもこの建物はわかるってことね...ってそれ大丈夫じゃないよね」

「梟さん、何か見える?」

梟は目を凝らすも、首を横に振る。

 

「気配もありませぬ」

「...はぁ、竹林の効果を一時的でも解きたくないのに...困ったわね」

 

すると梟は歩き始めると、永琳は彼に声をかける。

 

「何処へ行くの?」

「辺りを少し偵察に」

 

梟はその場で高く飛び上がり、竹を使って移動しながら竹林の奥へと消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梟は暫く辺りを偵察していると、二人の子供を発見した。

 

「む...」

 

しかしその子供は妙な格好をしており、さらに耳の形が人間とは異なっていた。

 

梟はその二人の子供前に降り立つ。

 

「「きゃあっ!!」」

 

二人の女の子はいきなり現れた梟に圧倒され、地面に尻をつける。

 

「何しに来た」

「だ、誰よあんた!」

 

おかっぱの女の子はすぐに立ち上がり、梟の顔を指差した。

 

「私は射命丸文!こっちは姫海棠はたて!鬼の使いでここに来たわ!」

「鬼の...ではお主らが使者か」

「ここに住んでる鬼を斬った奴を探してるわ!どこにいるの!?」

「目の前だ」

「へ?」

「お主らの目の前におる」

「あ、えっ、えーっと...ちょっと待ちなさい」

 

文は首からぶら下げていた手帳を開いて、何かを探している。

するとあるページを開いて、梟の前で叫ぶ。

 

「山に住む鬼の四天王から言伝よ。『鬼を倒した奴と話したい。その場で待つように』...だって!」

「...その場?」

 

その瞬間、竹林全体が揺れるような殺気に包まれる。

梟も驚き、殺気がする方角をみた。

 

その視線の先では竹が次々と倒れていき、ゆっくりと殺気が近づいてくる。

 

すると梟の前にいる二人も、後ろから来る殺気に怖じ気ついたのか震えている。

 

「ちょ、ちょっと!鬼が来てるなんて聞いてないよ!」

「ヤバイよ文!逃げようよぉ!」

 

 

すると二人の後ろから、額に一本の赤い角が生えている背の高い女性が現れる。

青と赤の着物を着ており、手首足首には枷がついて巨大な盃を持っている。

 

「やぁやぁ、天狗のガキ共。お勤めご苦労さん」

「星熊様!な、なんでここに!?」

「いやぁ、鬼を斬った奴に一目見たくてな。待てなくて来ちまった」

「使者の意味無いじゃないですか!」

「あははは。すまんすまん」

鬼の女性は文とはたての頭に軽く手を乗せて、梟を見る。

 

「さて...あんたは?」

「鬼を斬った者だ」

 

梟の言葉に女性は驚くと、彼の容姿をジッと見始める。

 

「あんたが?...へぇ...」

 

梟はジロジロと見てくる女性に、警戒しながらも話しかける。

 

「何の御用かな」

「ん?ああ、そうそう。下っぱの雑魚とはいえ私の同族を斬ったんだ。何か理由があるだろうと思ってね」

「...ならば依頼主に聞くがよい。儂はただ取引のために鬼を斬ったまで」

「依頼主?」

「この先の永遠亭に住む者だ」

「この竹林にそんなもんあったのか」

 

すると梟の後ろから足音がして、彼が振り向くとそこにはてゐがいた。

 

「因幡殿.....」

「これはこれは...どんな鬼が来るかと予想してたけど、とんでもない奴が来たね」

 

てゐの額には一粒の汗が流れ落ちていた。

鬼の女性はてゐを見ると、珍しそうに彼女の耳を見た。

 

「長寿で人の形になったウサギか」

「下っぱの鬼のために山の四天王の一角が直々にここに来るなんて大袈裟じゃない?星熊の大将」

「なんて事はない。其処らにいる一匹の鬼が来ただけさ」

「山を持ち上げる怪力を持つ奴がそこらの一匹なわけないでしょ」

「鬼を斬った奴を見たくなった。そして何で斬ったかを聞きに来ただけだよ」

「...なら一つ目の目的は果たせたね。二つ目の目的は私から説明するからさっさと帰っておくれよ」

「あっはっはっは!嫌われたもんだね...けど」

 

すると女性は盃にある酒を飲み干すと、不気味な笑顔を浮かべる。

 

「正直二つの目的はどうでもいいんだ」

「!」

 

女性がその言葉をしゃべった瞬間、後ろにいた二人の子供の顔が青くなり始める。

 

「あ、これって...」

「星熊様の悪い癖が...やばいよ文!」

「『強い奴と戦いたい』為なら無理矢理理由つけて相手に喧嘩吹っ掛ける...逃げるわよはたてぇ!」

 

二人は直ぐ様その場から離れ、竹林の奥へと逃げてしまった。

 

「あっはっはっは!中々察しがいい天狗のガキ共だ!」

 

女性が喋っていると、てゐが梟に小声で話しかける。

 

「梟の旦那...困ったことになったよ」

「.....」

「あの鬼...話し合いとか何とか適当こいて本当の目的は梟の旦那と戦う為に来たんだ」

「ほう...この儂とか」

「戦って勝てる相手じゃない」

「それほどか」

「山の四天王、星熊勇儀。前に斬った鬼達を束ねる大将の一匹さ。さっきも言ったけど山を持ち上げる怪力が自慢で強さは鬼でも随一だ」

「山をか...にわかには信じられんのぅ」

「前の奴とは比べ物にならない。さて、どうやって逃げようかね...」

 

すると梟は背負う刀を鞘から抜いた。

 

「ちょ!?梟の旦那!?」

「.....」

 

梟が戦闘体制に入る姿を見て、勇儀は嬉しそうに前に出る。

 

「いいねぇ。私に挑もうとする人間は何十年ぶりだろう」

梟は目の前の女性が自分より遥か上の実力である事に気づいていた。

しかしその事実よりも、今の自分が格上の怪物にどれ程噛みつけるかが気になったのだ。

 

目の前から発せられる星熊勇儀の殺気。

勝負が始まろうとしているのに笑うその姿。

 

梟は彼女をかつて国盗り戦にて見た葦名一心の姿と重ねていた。

 

「因幡殿、ここは儂が引き受ける。永琳殿にこの事を伝えるがよかろう」

「ほ、本当に大丈夫なのかい」

「...心配はご無用」

 

てゐは心配そうに彼を見るも、竹林の奥へと走っていった。

 

「さぁて、覚悟はいいかい」

「いざ...参る」

 

梟は刀を構える。




隻狼やってたら足軽の火縄銃で撃たれて落ちて死にました...これがフロムゲーなんだなって再認識しました
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