梟の羽休め   作:ポン酢おじや

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外伝:即入院

梟はゆっくりと目を開ける。

彼は布団の上に寝ており、ゆっくりと体を起こそうとする。

しかしその瞬間体に激痛が走り、起き上がることは出来なかった。

 

「...ふぅむ。ここは」

 

梟は出来る限り辺りを見渡すと、今いる部屋に薬や包帯等の医療道具がある事に気づく。

 

すると部屋の引き戸が開き、永琳が入ってくる。

 

「あら梟さん。お目覚め?」

「永琳殿」

「怪我の具合はどうかしら」

梟は布団から腕を出すと、包帯に巻かれている自分の手を確認する。

 

「これは...」

「全く...鬼相手に無茶し過ぎね。何本も骨が折れたりヒビが入ってたわよ」

梟は永琳の話を聞いて、起き上がれなかったことに納得がいった。

 

「如何程寝ておりましたかな」

「そうねぇ...一週間位かしら」

「それほど寝ていましたか」

「一週間寝るくらい体を酷使するなんてどんな戦い方したの?」

「.....」

「もう若くないんだし、あまり動きすぎないようにね」

「ふふ...動きすぎないように...か。儂も衰えたものじゃのぅ」

 

すると梟は起き上がろうとして、永琳に押さえられる。

 

「ちょっと、まだ起き上がれないわ」

「いいや...このままでは体が鈍るので」

「鈍るどころか今動いたら悪化するわよ」

「ぬぅ」

「ほら、安静に」

 

永琳は無理矢理梟を布団の中に戻す。

 

「あの鬼は帰りましたかな」

「星熊勇儀の事?ええ、何日か竹林で迷ったらしいけどね」

「...強かった」

「え?」

「いえ、何でもありませぬ」

 

すると引き戸が勢いよく開き、てゐが元気よく入ってきた。

 

「お目覚めかい梟の旦那!」

「因幡殿か」

「ちょっとてゐ、病室で騒がないで頂戴」

「こりゃ失礼。んで調子はどうだい?」

てゐは梟の顔を見ると、安心そうに笑顔を見せた。

 

「大丈夫そうだね」

「いいえ重傷。私の技術でも全治一年よ?」

「一年とな」

 

梟は一年と言う単語を聞いて、かなり驚く。

驚いた彼を見て永琳はクスクスと笑う。

 

「四天王の鬼に殴られた人間がたった一年で全治なんて奇跡よ」

「そうそう、梟の旦那は運がいい方さ」

「ううむ...」

 

梟は納得いかない顔をするが、永琳の言葉ならば信じるしかないかと溜め息をつく。

 

「まずは安静にしておくこと。それでしばらくしたら一緒にゆっくりとリハビリしていく事ね」

「りは...びり?」

「ああ、軽めの運動のことよ。いくらなんでも寝たきりじゃ人間筋肉が萎んじゃうし、骨の癒合を促すから大切なことなの」

「ふぅむ...しかし骨が折れたならば木の板等で固定しなければならないのでは?今の儂の体は特にしていないが」

「ああ。手術して金具で固定してあるから...」

「...金具?」

 

すると永琳は手で口を押さえ、笑顔を梟に向ける。

 

「あ.....何でもないわ。とにかく骨は治っていくから安心して」

「まて、金具とはどういうことだ」

「はーい、患者は動かない。気にしない気にしない」

 

明らかに話題をそらした永琳に梟は疑いの目を向けるも、てゐが仲介に入り二人の会話は強制的に終わった。

永琳は部屋を出ていくが、梟は痛みながらも腕を伸ばす。

 

「永琳殿、まだ話は...」

「梟の旦那。ほら、りんご食いなよ」

 

てゐはいつのまに用意したのか皮を剥いたりんごを梟の口に被せる。

 

「むぐ」

「さぁて、鬼の件もチャラになって竹林に平和が戻ってきたけど...何して遊ぼうかね」

「.....」

「あ、そうそう梟の旦那。これなんだけどさ」

 

てゐは部屋の奥にある刀置きに飾ってある刀を手に取り、梟に刀を抜いて見せる。

 

刀はある部分から綺麗に折れており、折れた先の刃も鞘から落ちてきた。

「どうしようか」

「ふむ...長い付き合いだったが...」

「鬼相手に奮闘したんだからすごい刀だよ。名刀ってやつかい?」

「うむ...修行時代から使っていたものだ」

「それ何十年前の話なんだい...むしろよく今日までもったって感じか」

てゐは刀を見ていると、壊れたのか柄の目釘が外れて鍔と刀身が床に落ちる。

 

「ありゃ、すまんね」

 

てゐは注意しながら刀身を柄に戻そうとすると、文字が刻まれている事に気づく。

 

「あれ、なんか文字が」

 

すると梟がてゐから柄を貰い刀身を戻し、目釘を戻して修理した。

「折れたといえども切れ味は健在。気をつけよ」

「あ、うん」

梟は折れた刀を鞘に戻し、布団の近くに置く。

 

「さて...どうするかのう」

「.....」

 

てゐは梟が何か隠している事に気づいていた。

先程柄にある刀身に刻まれていた文字を見ようとしたら、急に彼が代わりに修理してしまった。

まだ全身の痛みは収まっていないのにだ。

 

そしててゐは刻まれていた文字を一文字だけみていた。

 

その文字は『薄』。

今は何かわからないが、この事は梟には言わないでおこうと決める。

 

「うーん...知り合いに鍛治やってる人なんていたかなぁ」

「他の兎の者はどうか」

「無理無理」

「永琳殿は」

「...鎌と刀が組合わさったみたいな武器になるだろうね」

「...永琳殿は何を作り出すのだ」

 

すると遠くから玄関にある門が開いた音を梟が聞き取る。

 

「来客かの」

「らしいね。ちょっと見てくるよ」

 

すると永琳が廊下を早歩きしていく姿が部屋から見えた。

てゐは梟の話は置いといて、永琳についていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、今日も来たのね」

「永琳殿にはいつもお世話になっています」

 

二人の会話していると、てゐはこっそりと客人の姿を見る。

その男は肩まで延びている銀髪で、所々白髪も混ざっている。

そして撫で付け髪であり、髭も少し生えていた。

白の和服の上に緑の羽織を着ており、袴は羽織と同じ緑色で、その腰には二本の大小の刀を差していた。

さらにその男の周りには人魂がゆっくりふわふわと浮かんでいる。

 

「それで、今日は何かしら」

「またもや西行寺殿が胃もたれしてな。全くあの方は食欲が服を着て浮かんでいるようなものだ」

「食べ過ぎってことね...ってその当人は?」

「食べ過ぎで動けないそうだ。そのため自分が薬を代わりにもらう羽目に」

「専属のお手伝いでもないのにお節介な人ね」

「ははは...あの方はどうも放っては置けないもので」

 

てゐはその客人の姿、話の内容を聞いて、永琳から聞いた話を思い出す。

この客人の名前は魂魄妖忌であり、有名な剣士と話していた。

よく知人の代わりに胃薬を買いに来るらしい。

 

「じゃあ用意するからちょっと待ってて」

「すみませぬなぁ」

 

永琳は診察室へ歩いていくと、てゐが妖忌に話しかける。

 

「おや、確か貴方は...」

「因幡てゐってもんだよ」

「てゐ殿、何か御用かな」

「突然だけどあんたって刀直せる?」

「刀?」

「腰に差してるからそういうのもわかるかなって思ってね」

「うーむ、見てみなければわからんが一応ある程度なら打ち直せるぞ」

「そりゃ心強い!実は見て貰いたい刀があってね!ちょっと持ってくるから待ってておくれよ!」

「うむ」

 

てゐはすぐに梟の部屋へと走る。

 

 

 

 

 




外伝です。
内容的には鬼熊勇儀との戦闘直後の時です
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