梟の羽休め   作:ポン酢おじや

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妖怪退治

梟は竹林をてゐと共に歩いていた。

彼女の後ろには何匹ものウサギが付いてきている。

 

「いやー引き受けてくれてよかったよ」

「.....警戒を解かぬことだ」

「大丈夫大丈夫。この辺りには何もいないよ」

「何故分かる」

「私はこの竹林に散らばってるウサギ達の親玉だからさ。この子達が情報を持ってきてくれるからここの事は何でも分かる」

「兎が...のぅ」

 

梟は彼女の後ろにいるウサギを見るも、普通のウサギと何も変わらないように見える。

 

「こんなすぐ迷う竹林に好き好んで近づく奴なんて殆どいないんだけどねぇ...食料の人間もいないし」

「ならば何故ここに迷いこんだか...」

 

二人は永遠亭にて永琳から聞いた妖怪の話を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竹林に迷いこんだ妖怪は十中八九『鬼』の可能性が高いわ」

 

永琳の話を聞いて、てゐは腕を組んで悩み始める。

 

「まさかとは思ったけど...厄介な奴が来たなぁ」

「鬼...人の形をした怪物の事か」

「鬼の事は流石に知ってたんだ」

「...鬼のような何かに為った者を見たことがあるのでのぅ」

永琳は続けて話始める。

 

「近くの山を仕切ってる種族が何でこの場所に来たのかはわからないけど...既にてゐの仲間が捕まって食べられてるわ。人間が居ないから代わりとして食べてるんでしょうね」

「しかも普通のウサギじゃなくてある程度長生きしてる奴等ばかり狙ってる...困ったものだよ」

「私が行ってもいいけど、ここの守りを手薄にするわけにはいかないわ...だから貴方にお願いするわね」

「...御意」

「私もついていくよ。この竹林を歩くなら私がいないとね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は竹林にある足跡を見つめていた。

足跡はかなりでかく、人間の中でも大きい部類の梟よりも大きかった。

 

「中々でかいのぅ」

「まぁ鬼だからねぇ」

「鬼とはどういう種族か」

「そうだねぇ...角が生えてて、豆に弱くて...とにかくでかくて力が強い。人間なんか木の実みたいにグシャリさ」

「...おとぎ話のようだ」

「そのおとぎ話の元ネタの種族だからね」

 

二人は足跡を追っていくと、広い場所に辿り着く。

そこにはてゐのようなウサギの耳が生えている少女達が、全身血塗れで何人も倒れていた。

 

「これは...」

「...逃げられなかったんだね」

 

梟は死体に近づき、手で彼女らの目を閉じさせてあげた。

「.....」

「人の形になるまで生きたのに...ひどいもんだよ」

「腹を食い散らかされてるのぅ...まさに鬼の所業」

「早く鬼を何とかしないと...」

 

すると近くから物音がして、梟はすぐに刀を抜いた。

 

「構えよ...何か居るぞ」

「!」

 

二人は同じ方向を見る。

その方角にある竹が次々と倒れていき、奥から額に一本の角が生え、ボロボロの服を着た梟より一回り大きい巨人が現れた。

 

「お、ウサギだウサギ。これで今日も安心だな」

 

鬼は太い竹をまるで木の棒のように折っていき、無理矢理道を作っている。

 

するとてゐが鬼の前に出た。

 

「あんたか。ウサギ達を喰いまくってるのは」

「ああん?お前他のウサギと違うな。いつもなら泣きながら命乞いしてくるのに」

 

てゐは鬼の目の前にも関わらず、臆することなく睨んでいる。

かつて自分自身でこの妖怪は手に負えないと語っていたにもかかわらずだ。

 

「それに...化けウサギが人間といるなんてどういう組み合わせだ?」

 

するとてゐはその場で高く飛び上がり、鬼の顔面に渾身の蹴りを食らわせた。

 

「ぐおっ!!?」

 

鬼は後退し、顔を手で押さえる。

 

「ざまぁみろ」

「こ、この...!」

 

鬼の鼻からは血が溢れ出ていた。

てゐは梟の背中を叩き、鬼とは反対方向へ歩き出す。

 

「んじゃ、あとは頼んだよ梟の旦那。私はここいらのウサギ達を避難させるね」

「よかろう」

 

梟は刀を構え、蹴られて顔が赤くなっている鬼を見る。

そしててゐに向けて一言話した。

 

「恨みは晴れたか」

 

てゐは一瞬立ち止まり、梟の問いに答える。

 

「ちょっとだけね」

 

てゐは竹林の奥へと走り出した。

 

 

 

 

 

「てめぇ...鬼の俺には向かうのかぁ!?」

鬼は梟を睨むも、彼は全く動じない。

「丁度いい!人間を喰らえば腹も膨れるというものだ!」

 

鬼は梟目掛けて走り出した。

 

しかし梟はその場で高く飛び上がり、竹を踏み台にして飛び移っていく。

 

「な、なんだ!?」

 

鬼は竹から竹へと飛び移る梟を見て驚く。

今まで喰らってきた人間でこんな動きをした者は初めてであった。

 

そして飛び移る瞬間梟から手裏剣が投げられ、鬼は両腕で防御する。

手裏剣は鬼の皮膚に突き刺さり血は出るも、深くは刺さらず地面に落ちていく。

 

「飛び道具か...いかにも人間らしい」

 

すると鬼は辺りにある竹を次々と殴り、薙ぎ倒していく。

梟が他の竹に飛び移る事を防ごうとしているのだ。

 

梟は飛び移るのを止めて、地面に降りようとすると同時に刀を構え鬼目掛けて振り下ろす。

鬼は梟の攻撃をなんと腕で防ぎ、弾き飛ばした。

 

「成る程...刀を腕で防ぐとは...」

「人間の力じゃ俺達鬼の腕なんぞ斬れんぞ」

 

梟は鬼と距離をとる。

 

すると鬼は辺りに散らばる折れた竹を集め、思いきり梟に向けて投げ始める。

人間が竹を投げても大した事はないが、鬼が投げればただの竹が簡単に人を殺せる飛び道具になる。

 

しかし梟は素早く移動し、飛んでくる竹が当たらないようにしながら鬼に近づいていく。

 

そして十分な距離に近づくと、ジャンプして飛び上がり回転しながら鬼の頭目掛けて兜割りを仕掛ける。

 

今度は先程と違い回転を加えた攻撃で、梟の刀は防御した鬼の腕の骨まで届き、激痛以上の衝撃が走る。

 

「ぐぁぁ!ちくしょう!!」

 

梟は骨も切断しようと試みるも、固くて無理だと判断したのか鬼の腕を踏み台にして後ろに飛び上がり距離をとる。

「...人ならば終わったものの」

「やってくれたな人間!どうやら本気で踏み潰されたいらしい...!」

「ならば早く落としてみよ。この老いた梟の羽を」

 

鬼は傷など気にせず、両腕を前に交差させ全力で梟へ突っ込んでくる。

その捨て身の突撃の前には太い竹など、割り箸のように折れていく。

 

すると梟は懐から黒い粉を鬼の前にばらまくと、すぐに爆音が辺りに響き渡るも鬼は怯みもせず足を止めない。

 

だが爆音と濃い煙の先に梟は居らず、鬼の目は見開く。

そしてその後すぐに彼の背中に強い衝撃が走った。

 

「ぐおっ!」

 

鬼はその衝撃で転び、地面に全身をつけた瞬間梟が刀を彼の背中に突き刺した。

 

しかし鬼の固い皮膚に刀は完全に貫通出来ず、血が出るだけで内蔵は傷つけられない。

 

「ぬぅ...」

 

鬼はすぐに立ち上がり、梟とその刀を吹き飛ばす。

「バカが!」

 

鬼は梟の方を向くが、彼は既に竹の上の方に移動していた。

すると鬼は竹を思いきり殴り、梟を地面に落とそうとする。

梟は折れた竹が地面に落ちる前に次の竹へと飛び移り、竹林の奥へと移動する。

 

鬼は梟を追いかけるが、彼の移動速度に追いつけず距離が開いていく。

そして鬼は知らぬうちにこの迷いの竹林の奥深くに進んでいることに気づいていなかった

先程二人が戦った場所の折られた竹は腐り、他の竹が生えすぐ成長する。

足跡は消え、霧が濃くなっていく

 

 

竹林は確実に鬼を迷わせる準備を整えていた。

 

 

そして鬼は完全に梟を見失い、走るのを一旦止める。

 

「くそっ!何処行きやがった!」

 

鬼は辺りを見渡すも、全て似たような光景で梟が見つからない。

 

竹林が彼の存在を隠してしまったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梟は他の竹に飛び移ることをやめ、鬼を撒いたことを確認する。

「兎とやらの避難はできたのか」

 

梟は鬼のいた方向を見ながら話し出すと、後ろにいつの間にかいたてゐが答えた。

 

「完了したよ。そっちはどうかな」

梟は刀をしまい、てゐを見る。

 

「その刀じゃ殺せなくない?」

「見ていたか」

「鬼の皮膚は固いんだ。矢は勿論斧ですら斬れない」

「わかっておる」

「あいつを斬る方法あるの?」

「夜になればわかる」

梟は空を見ると、段々と太陽の光が消えていくのを確認した。

 

「お主に梟の狩りを見せてやろう」

 

 

 




DARK SOULSリマスター
今更トロコン完了
結晶洞窟は二度と行きたくない(失禁)
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