梟の羽休め   作:ポン酢おじや

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夜は後ろにご用心

鬼は走り回って探し続けるも、迷いの竹林は梟を完全に隠してしまった。

 

しかも太陽が完全に落ちて、鬼と言えども火がなければ何も見えない状態であった。

 

「くそ...あの人間め...!」

 

鬼は片手に松明を持っており、諦めて捜索を諦めようとした瞬間。

 

 

 

 

目の前で足音が響いた

 

「あっ!」

 

しかし松明を音のした方に照らすも、そこには誰も居らず足跡すらない。

 

「な、なんだ?」

 

気のせいかと思い振り向いた瞬間、持っていた松明の火が地面に落ちる。

 

「うおっ!?」

 

地面に落ちた火の近くには、手裏剣が刺さっていた。

何処からか飛んできた手裏剣が、火が灯されている部分を斬り取ったのだ。

 

「ああ、くそ!火が!」

 

地面に落ちた火はすぐに消えてしまい、鬼の周りは暗闇に包まれる。

 

すると辺りに足跡や物音が無いにも関わらず、いきなり鬼の背中に衝撃が走る。

 

「ぐおっ!!」

 

鬼はすぐに後ろを向いたが、暗闇で状況が掴めない。

さらに梟の刀で怪我をした腕に手裏剣が3つ刺さり、治りかけた腕に再び血が溢れ出す。

「くそ!どこだ!」

 

鬼は周りを警戒するも、まだ暗闇に目が慣れず何も見えない。

 

すると両足を刀で斬られ、鬼は両膝を地面に落とす。

その瞬間首元を刀で斬られるも、薄皮が斬られ血が出るだけで斬首とまではいかなかった。

 

鬼はすぐに力を振り絞り立ち上がると、周りに赤く小さな光が大量に現れる。

 

鬼はその光が先程梟が使った爆音を発する粉だと分かると、すぐに腕で顔を防御する。

 

しかしその瞬間

 

「ぬん!!」

 

梟の刀が爆発と共に炎を纏い、その勢いは鬼の両腕を切断した。

 

「ぐわぁっ!!」

 

刀の炎が二人を照らし、火薬の火が周りの竹の葉に移り辺りを明るくした。

 

「う、腕がぁぁぁ!」

梟はゆっくりと鬼に近づいていく。

鬼は逃げようとするも、腕が無いためうまく立ち上がれない。

 

「お、俺の腕がぁぁぁ!」

梟は刀を構え、叫ぶ鬼の口に突き刺す。

 

「ぁがっ!!」

そして刀を突き刺したまま動かし、そのまま横に振るう。

 

鬼の下顎から上が宙に浮き、ポトッと軽い音をたてて地面に落ちた。

 

鬼の体は時折ピクリと動くも、やがて完全に動かなくなった。

 

梟は鬼の顔を掴む。

 

「これで仕事は終いじゃな」

 

すると後ろからてゐがやってきて、頭のない鬼の体を見る。

 

「いやぁ...まっさか鬼を倒しちゃうなんてね」

「さて、これで出口を教えてもらえるかな」

 

梟は鬼の頭をてゐに見せるが、てゐは目を手で塞いで見ないようにしている。

 

「わ、わかったから見せないでいいよ」

 

梟は鬼の頭を後ろに隠した。

てゐはゆっくりと目を開けて、鬼の頭がないことを確認するとため息をついた。

 

「全く...よく触れるねぇ」

「...」

「ねぇねぇ...梟の旦那は身を隠すためにここに来たって言ってたよね」

「...それが?」

「どうだい?この迷いの竹林に住むってのは」

「何?」

「ここは侵入者を確実に迷わせるように出来てるって言ったよね?その出口を知っているのは私だけだし、隠れるにはもってこいだよ」

「.....」

 

梟もそれを考えていたが、そう思っていたところにてゐに見つかったため躊躇っていた。

「それにここには滅多に人は来ないし」

「ふぅむ...」

「入ったとしても大抵出れずに倒れて土の餌さ」

「しかし食料はどうする。兎でも取れと?」

「永遠亭に住めばいいさ」

「...それは先程の屋敷か」

「そうそう」

「しかし住人が認めぬだろう」

 

梟はあの屋敷に入っただけで、住人が矢を放った事を思い出していた。

確実に外から来た者を嫌っている。

そんな場所に隠れ住むなんて、常に命を狙われるようなものだ。

 

「それなんだけどね...まず姫に会ってみない?」

「姫...」

「あの屋敷の主は一応姫さんだからね。永琳は姫の部下って位置付けだし」

「姫が許せばあの女性も納得すると」

「そうそう」

「だが許されなければ」

「その時は私が世話するよ」

 

梟は若干彼女の話に違和感を持っていた。

 

「何故そこまでする。儂は兎共を喰っておった妖怪を仕留めた。しかしそれは依頼をこなしたまで。ここまでする義理はない筈」

「.....他のウサギ達に恩返ししろって言われててさ」

「兎が?」

 

梟はてゐの後ろにいるウサギを見る。

するとウサギ達は梟の足元へ寄ってきて、ぴょんぴょん跳ねていた。

 

「.....」

「まぁそういうわけで、ウサギの恩返しと思って受けてくんなよ」

「ふぅむ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってことで、姫さんに会わせてやって!」

 

てゐのとびっきりの笑顔に、永琳は手で顔を押さえ誰が見ても相当悩んでいると分かる状態であった。

 

「その人はウサギ達を襲ってた妖怪を倒してくれた。そのことには感謝してる...けどね、てゐ」

「大丈夫だって!見た目はこんなんでも危険は無いって!」

「はぁ...どうせウサギ達に願いを叶えてやってとか言われたんでしょ」

「いやいや、これは私の優しさと慈悲100%だから」

「あのねぇ...例え危険は無くても姫様に会わせる事はできないわ」

「大丈夫だって!この人があいつらの刺客に見えるかい?ここに人間一人増えたからって空でお高く座ってる奴等なんかにバレやしないさ。それとも...今までそいつらからお二人さんを隠してる私がいること忘れたのかい?」

「.....」

「どう?永琳」

「けど...」

 

二人が話し合っている後ろで、梟はどうしたものかと考えていた。

 

恩返しを受けるとはいえ、ここまで話が拗れるとあまりいい気分はしない。

やはりあのまま出口を教えてもらいこの竹林から出ていった方がよかったかと思うその瞬間。

「永琳」

 

透き通るような声が、永琳とてゐの間を通った。

屋敷の奥から来たのは、黒く美しく長い髪をしている女性であった。

服装は上衣が桃色で、首の辺りに大き目の白い布で結んで、服の前を留めるのも複数の小さく白い布で結ばれている。袖は手を隠すほどの長さと幅があり、左袖には月と雲、右袖には月と山が描かれている。

腰から下に履いている生地には月、桜、竹、紅葉、梅よ模様が金色で描かれている。履き物の長さは非常に長く地面に付いてなお横に広がるほど。

 

そして何より、美しい顔立ちに気品があるその姿はまさに姫に相応しかった。

 

「あ、姫様!」

「お、姫さんだ。丁度いい」

 

てゐは姫と呼ばれた女性の前にたつ。

 

「あらてゐ。帰ってきてたのね」

「まぁね」

「...そちらの方は?」

「ああ、姫さんに紹介したいんだ!」

てゐは梟の手を掴み、姫の前に連れてきた。

すると彼は膝を地面につけて、頭を下げる。

 

「梟と申します」

「永遠亭にようこそ。私は蓬莱山輝夜...ここへは何の御用で?」

「この度そちらの女性から妖怪退治の依頼を受け、仕事を済ましてきた次第でございまする」

「あら、それはご苦労様...永琳、妖怪退治って?」

 

 

永琳は輝夜に妖怪退治の件がバレたと焦っていたが、仕方ないと話始めた。

 

「...ここ最近長生きしてるウサギ達が食べられる事件が多発してたのよ。それで調査の結果鬼がこの竹林に潜んでた事がわかってね...その鬼退治をここに迷い混んだ梟さんにお願いしたの。結果鬼は倒されウサギ達の平和は戻った...って感じよ」

「...成る程」

 

すると輝夜は軽く一礼する。

 

「ありがとう梟さん。ウサギ達も喜んでる筈よ」

 

するとてゐが輝夜の隣に立ち、話始める。

 

「そうなんだよ。実際みんな歓喜喝采でね。それで姫さん...梟の旦那にはまだ鬼退治の報酬がまだなんだ。そこでね」

「ちょ、ちょっとてゐ!」

「梟の旦那はちょいと野暮用で身を隠す場所を探してるんだ。竹林に来たのもそのためでさ。そこでここにしばらく住まわしちゃくれないかな?部屋ならいくらでもあるだろう?」

 

てゐの提案に、輝夜は軽い感じで悩み始める。

 

「うーん...私は構わないけど」

「姫様!?」

「永琳、この人はウサギ達の恩人よ?なら報酬として住まわせる事くらいいいじゃないかしら」

「け、けど」

「安心なさい。この人からは月の匂いはしない...なら問題ないでしょ?例え暗殺が目的だったとしても私は死から最も遠い存在なのだから」

 

輝夜はクスクスと笑い、永琳を見る。

 

「.....はあ...姫様がそういうなら、私も何も言いません」

「やった!よかったな梟の旦那」

 

梟はとりあえず身を隠す場所を確保できた事を安堵する。

しかも自然現象をはるかに凌駕した『迷いの竹林』がこの屋敷を守っている。

 

これ以上の隠れ蓑はこの日の本の国にはないだろう。

 

こうして永遠亭の住人に、忍の梟が追加された。

 

 

 




DARK SOULSリマスターで一番好きなボスはグウィンドリンです。あれで男の子とか...素晴らしい。
対決する時必ず廊下の奥まで追い詰めて双眼鏡でお顔を拝見してます(口元しか見えない)。

そしてエルドリッチ、お前は許さんぞ(血涙)

隻狼と関係ない話しといてなんですが、更新遅れてすみません。
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