梟の羽休め   作:ポン酢おじや

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目的と理由

梟はゆっくりと目を開ける。

体がだるく、軽い頭痛がある。

彼は体を起こすが、他のウサギ達は気にせず奥でまだ宴会は続いていた。

 

ウサギ達はほぼ全員酔っており、辺りには酒臭い空気で澱んでいる。

 

梟は匂いでまた酔ってしまうと思い、ウサギ達とは別の所へと移動する。

 

するとそこには縁側に座る輝夜と永琳が静かに料理とお酒を嗜んでいた。

 

「あら梟さん。よく眠れた?」

 

輝夜の言葉に梟はすぐに屈んで答える。

 

「醜態を晒してしまい申し訳ありませぬ」

「いいのよ。てゐのように酔うと周りを巻き込んで暴れるよりよっぽど可愛いわ。まぁあの子のそんなところも気に入ってるんだけどね」

すると輝夜は隣にある座布団をポンポンと軽く叩く。

喋ってはいないが隣に座れと言っているのだ。

 

永琳は止めようとしたが、輝夜は人差し指を口に当ててシーっとされてしまう。

 

「しかし...儂のような者が」

「いいから」

 

輝夜の押しに負けた梟は、その巨体が邪魔にならないように座る。

 

「失礼致します」

「よくできました」

 

すると輝夜は永琳との間に置いてある料理を梟に差し出す。

 

「はい」

「...これは」

 

輝夜が差し出した皿に乗っていたは、あんこで包まれた丸い食べ物であった。

「おはぎ...ですな」

「そう。ウサギ達の用意した材料で永琳が作ってくれたの」

「.....」

 

梟はおはぎを受け取り、じっと見つめる。

 

「どうしたの?もしかしておはぎは苦手?」

「いえ...そうではありませぬ」

 

梟はおはぎを手にして、息子である狼の事を思い出していた。

かつて葦名の国盗り合戦において拾った、心を無くした幼き少年。

 

忍びとして育て、技術を教えた。

ある日修行を終えた時、狼の腹が鳴り響く。

彼は腹を押さえ隠したが、梟は無言で懐にしまってあったおはぎを渡した。

 

おはぎを食べた時の狼の顔は変わってはいなかったが、瞳はキラキラと輝かしていた。

梟はその時の事をよく覚えている。

 

「.....」

 

梟はおはぎを食べると、輝夜は笑顔になる。

 

「...うまい」

「ふふ、そうでしょう」

 

輝夜もおはぎを食べて、美味しいのか頬を手で押さえる。

 

「ん~♪美味しい。流石永琳ね」

「あまり食べ過ぎてはダメですよ姫」

「わかってるわよ」

 

おはぎを食べ終わった梟は立ち上がる。

すると輝夜が梟の服を掴み引き留めた。

 

「何処へいくの?」

「今宵は十分楽しみました。部外者は部屋へ戻るとします」

「もう行ってしまうの?」

「あまり騒がしい場所は苦手なゆえ」

梟は部屋に戻るため行こうとするが、輝夜が服を離さない。

 

「姫様」

 

梟は服を掴む輝夜の手を見る。

 

「だぁめ。主役が先に部屋に戻るなんて許さないわ」

「しかし」

「しかしもなしよ」

 

梟は反論しようとするも、諦めない輝夜の顔を見て抵抗は無駄と悟り座り直した。

 

「...ではもう少しだけいさせてもらいます」

「よろしい。永琳、何か梟さんでも飲める弱いお酒あるかしら」

「度数の弱いお酒ねぇ...倉庫にあったかしら」

「ウサギ達は皆酔ってるから探してきてもらえる?」

「はぁ...わかりましたよ。梟さん?妙なことは」

「致しませぬ」

永琳は梟を部屋からでるまで見ていたが、倉庫へ行ってしまった。

 

梟と輝夜が並んで同じ景色を見ていると、彼女が話しかけてくる。

 

「てゐから聞いたけど、貴方忍びなの?」

「.....」

梟は向こうで飲んでいるてゐを睨むが、彼女はかなり酔っていて彼の視線に気づかない。

 

「.....」

「あ、忍びだもんね。自分からは言えないとかかしら」

 

梟はピクっと動き、輝夜は自分の考えが当たったと気づき少し喜んでいる。

 

「ふふ...それにしても梟さん。差し支えなければ何で身を隠したいのか教えてくれるかしら」

 

梟は何も喋らない。

 

「.....」

「悪い事をするため?」

「...見方にもよります」

「もしかしてすごい大変な事をしようとしてる?」

「.....」

 

梟は答えないが、輝夜は彼の険しい顔を見ると悩んでしまう。

 

「ん~...何が目的なのかなぁ」

 

すると今度は梟から輝夜に質問し始める。

 

「儂からも尋ねたい事があります」

「あら、何かしら」

「姫は何から追われているのですかな」

「!」

 

輝夜は思わぬ質問に少し驚くも、ゆっくりと手をあげてある方向を指す。

その方向はてゐ達が騒いでいる方の庭の空であった。

 

「...?ウサギ達から...?」

 

梟はそう言うが、輝夜は首を横に振る。

 

「残念...私が指したのはあーれ」

 

梟は輝夜の指し示す方向をよく見ると、その先には堂々と佇む満月があった。

 

「.....月?」

「ご名答」

 

すると梟は首を横に振り、少しだけ笑う。

 

「まさか...月に追われているとでも?」

「ええ...正確にはそこに住む者達にね」

「月に...住人がいると言いたいのですかな」

「私達からは見えないけど...あの者達は地上を監視しているわ」

「.....」

「永琳の知識とてゐの力によってここは監視の目から免れてるからバレないけどね」

「.....」

 

梟は信じられなかったが、輝夜の真面目な表情と真っ直ぐな目つきで彼女の話は嘘ではないと彼の経験が語っていた。

 

「.....」

「信じる?」

「...迷っています」

「まぁそうよね」

輝夜は月を背に、隣にある料理を少し口に運ぶ。

すると梟は空を見て、一言だけ話す。

「...野望の為です」

「え?」

 

輝夜は梟の方を向き、耳を彼の顔に近づける。

 

「何て言ったの?」

「身を隠すわけは...我が野望の為でございます」

「野望?」

「...今はそれしか言えませぬ」

「へぇ...野望の為。意外と野心家なのね」

「...」

「何で急に話してくれたの?」

「.....姫様は自らの事情を話しました。ならば儂も話さねば筋が通らぬと思ったまで」

 

輝夜は座り直し、梟から聞けたことが嬉しいのか笑顔になっている。

すると酒瓶を持った永琳が戻ってきて、輝夜の隣に座る。

 

「これくらいしかなかったわ。度数低めのお酒」

「ありがとう永琳。さ、梟さん。どうぞ」

 

輝夜は永琳から酒瓶を受けとると、梟にお猪口を渡して酒を注ごうとする。

 

「いえ、姫様に注いで貰うわけには」

「話してくれたお礼よ」

「しかし...」

 

梟は断ろうとしたが、輝夜の押しに再び負けてしまい持っているお猪口を差し出す。

輝夜はゆっくりと酒を注いだ。

 

「...頂きまする」

「はいどうぞ」

 

梟は酒を飲み干すが、今度は赤くならない。

 

「.....」

「これなら大丈夫そうね」

「まったく...姫も甘いんだから」

「ほら、永琳も」

「え!いや、私は」

「だぁめ。拒否権はないわよ」

 

永琳は断ろうとしていたが、その顔を嬉しそうだ。

輝夜は半ば強引に永琳のお猪口に酒を注ぐ。

 

「はい、どうぞ」

「ありがとう。じゃあ...」

 

永琳は一気に飲み干し、ゆっくりと息を吐いた。

 

「度数低めだけど美味しいわね...梟さんもそう...思う...?」

 

永琳は梟の方を向くが、彼は既にダウンしていた。

 

 

 

 




UA1000突破!
ありがとうございます!
更新遅めですがこれからもよろしくお願いします!

全然関係ないですが、今書こうか書くまいかと考えてる小説がありまして
①隻狼×DARK SOULS
②ディズニーシーのアトラクションのバックストーリー物語
DARK SOULS3も書きたいですけど中々ムズいです。
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