初めまして作者です。
あらすじにある通り、マジで作者の自己満足もとい、性癖を曝け出すような作品だから、割と書きたい時に書くし、書きたくない時は書かない。不定期更新になる。
なので、読む人は気軽に気長に楽しんでね
「なぁ、夏休みっていつからだっけ。」
「んー、明日からだな。」
ジリジリと肌を焼く日差しが降り注ぐ通学路を歩きながら気怠気に質問してくる幼馴染兼親友に対して、なんとなしに返す。
正直なところ、地球温暖化だなんだ騒がれている現代だが、気温の上昇なんて1度2度変わったところで誤差の範疇としか思えない。
共通しているのは、『昔も今も夏になれば暑い』、ただこれだけである。
すぐ隣のグラウンドからは野球部の大きな叫び声が響いてくる。それに負けじとそこら中から蝉の鳴き声も同時に聞こえてくる。
流石は一つの瞬間に全てを賭ける存在。両者負けず劣らずの熱量である。
相乗効果によりいくらか体感気温が上がったところで、質問したきり黙り込んでいた友人が口を開いた。
「よし、決めたぞ優希。俺は…
今日中に…彼女を作る…!」
唐突にそんな事を言い出した馬鹿…もとい、覚悟を決めた1人の漢は拳を握りしめて不敵な笑みを浮かべている。
因みに、彼の唐突な彼女を作る宣言は幾度となく繰り返されており。それが今なお続いているのは結果の裏返しで、お察しの通りである。
「おう頑張れよ。それより日向、今日ラーメンでも食って帰るか、奢ってやるよ。」
失恋した方が奢りのラーメンを食える。これは中学に上がった時に2人が決めたルールである。しかし、現状割合的には優希が日向に奢った回数の方が圧倒的に高くなっている。
「慰める気全開な提案だな実に腹立たしい。というかお前も作るんだよ、彼女」
「は?」
また、差がつくなーと軽く考えていた優希は日向の思わぬ発言に、思わず呆けた声出てしまう。
「高校生活の最初を彩る夏休みが、野郎共と汗くさい青春なんて我慢ならねぇ!
俺はな、可愛い彼女とイチャイチャして、夢のような毎日を送ると決めたんだ。」
「それが何故俺まで巻き込むことになるんだ?」
「それはだな」
基本的に優希が受け身で、日向が引っ張っていくことが多いのだが、時々日向は突拍子もない事を口にする。
今回もその類だろうとアタリをつけながら優希は聞き返すと、日向は勿体ぶるように片目を閉じながらその口を開いた。
「Wデートだよ、一組のデートで作られる甘い空気が、単純に倍だ。これ以上に青春なイベントを逃すわけにはいかないだろ。
行き先は…そうだな、最近できた遊園地なんてどうだ。そこでお化け屋敷なんかに入って、彼女とキャッキャウフフするんだよ。4人いるんだから会話も弾むんだろうぜ。それに…」
「…日向、この世には、取らぬ狸の皮算用という言葉があってだな。」
「やめろ、憐れみの視線を送るんじゃない!」
このままではいつまでも語り続けるそうな勢いの日向に、言葉の通り、憐れみながら現実をを突きつける。
、そもそも、
「まぁ、どちらにしろ俺はパス。万が一…いや、絶対無理だと思うけど、もし彼女ができたら、紹介ぐらいはしてくれよ。」
「久々にキレちまったぜ。その言葉後悔させてやるよ。」
「おうおう、やってみろよ」
売り言葉に買い言葉でとんとん拍子に、そんな馬鹿みたいな話を延々と続ける。
ただそれだけだが、妙に楽しく感じるのだから不思議なものだ。
「それで、誰に告白するんだよ、お前好きなやつでもいたのか?」
「いない、未定だ」
少し何を言っているのかわからない。
優希は再度呆然としてしまう。そんな彼の視線の先には(何故か)自信に満ち溢れた顔つきになっている親友の姿がある。
それがさらに優希の困惑を加速させる。
「え、どうするつもりなんだ?…まさかとは思うが直感で突っ込んでいくつもりじゃないんだろ?」
「……ふッ」
相変わらず決め顔を続ける日向に思わずため息が漏れる。
予想以上に無謀な挑戦を決行しようとしていることに戸惑いが隠せない優希だが、日向は一度こうと決めてしまうと簡単には途中で曲げない性格である、ということをよく知っている。
どうしたものかと考えるもいい案は思い浮かばない。
「ま、見てなって。」
「…ああ」
まったくもって信用ならない笑みを浮かべる友人に、曖昧な返事を返すことしかできなかった。
その後、教室に入ってから日向に特に動きはなかった。
普通に成績表を受け取り、長い校長の話を聞き、放課後になる。
珍しく怖気付いたのかと考えていたちょうどその時、日向は急に立ち上がり教室から出ていった。
なるほど、いつの間に呼び出したのか分からないが放課後に決めるつもりでいたらしい。
結果を聞くために、教室で適当に暇を潰しながら待つこと数十分。
ようやく帰ってきた日向は案の定絶望に満ちた顔をしていた。
「どうした、ひどい振られ方でもしたのか。」
「…いや、全員普通に断られた。」
「そうなのか?じゃあなんで……
全員?」
さらっと流しかけたが、やはり引っ掛かり聞き返す。
全員、日常生活内において、大抵の場合複数人を指し示す際に使われる言葉だ。つまり、日向は誰か一人に告白したわけでなく、複数人に告白したことになる。
しかし、この程度ではあまり動じなくなっている自分がいる。喜ぶべきか否か…
「下手な鉄砲なんとやら、て思って…」
「あたることなく墜落したのか。」
一人くらい受け入れてやれよ…と一瞬考えたが、複数人に告白している時点で受け入れられなくて当然だなと考え直す。
「ほら、早く準備しろよ。昼飯行くぞ」
「俺、18人に告白したんだけどよ…」
「言っとくけど、一杯分しか奢らねぇからな」
変なところでちゃっかりしている日向であった。
ところ変わってとあるラーメン店
カウンター席で二人は麺を啜っていた。
「やっぱ、スープはこってりだよな。この絡み具合がたまらん。」
「俺はあっさり派だなー。こってりも旨いんだけど、腹にずっしり来るからな。」
「運動しないからだろ。優希もうちの道場に来るか?たぶん親父も歓迎してくれると思うぞ。」
「んー、考えとく。」
それきり、会話も途切れしばしの間麵を啜る音だけが残る。
ふと、店内が少しざわつく。何事かと優希と日向は顔を見合わせて店内を見渡せば。皆が店内に備え付けてあるテレビを見ていることに気が付いた。
「臨時ニュース?」
日向が困惑したように呟く。
気になった二人もニュースの内容に耳を傾ける。
『本日正午、都内在住の20代男性が女性へと身体的に変化したとの情報が入りました。
情報によりますと、変化は先月六月の半ばに起こり、就寝してから起床するまでの間に終えていたとのことです。
DNA鑑定の結果も出ており、本人であることがほぼ確定しています。この情報を報道することも、かかりつけの病院の方が、本人の了承を得ています。
また、健康面についても健康体であることが分かっています。
原因などは未だ解明されておらず、医師によりますと状況から鑑みるに空気感染のような形で変化が広がる可能性は低く、むしろ遺伝的な側面が強いのではないかとのことです。
そのことから、何時、誰に変化が起こるのかはわかっていないため、もし変化が起きた方は急ぎ近くの病院に向かい、診断を受けたうえで本人確認を行ってください。』
そこで、臨時ニュースは終了した。
幾分か店内の喧騒も収まり、日常的な空気が戻る。
しかし、男から女に変化するとはどういう意味なんだろうか。
まず性別の変化から、有るものがなくなって、無いものがあることになるのは分かる。
所詮、性別は生殖器の違いによって定められる。勿論筋肉のつき方だったりと、後々そういった違いも出てくるが、生まれ持って違いがあるのはそこだ。
しかし、今回の場合体格の違いが出た上での変化だと、既に成長した体格などはそのまま、顔もそのままということになるのだろうか。
それとも…
「世の中不思議なことがあるもんだなー」
考え込んでいると、隣から日向の間延びした声が聞こえてくる。
そう深く考えることでもないかと、優希は1人納得する。
「そうだな。…て、麺が伸びる!」
「やっべ、そうだった!」
目の前の大事態に、先程のニュースは頭から吹き飛んで、2人は慌てて、麺を啜りだす。
勢いをつけすぎて若干むせながら、なんとか美味しく完食できた。
しっかりと2人分の会計を済ませて、店を出る。
「あー、舌が痛い。」
「流石こってり、熱さをほとんど残したままだったか。」
「しかもそれが絡み付いてくるんだよ。失策だったぜ。…と、優希、ご馳走様でした。悪いないつも。」
「おう、差分は貸しにしとくからいつか返せよ?」
「分かってるよ、任せとけ。」
力強く言い切る日向に相変わらずだなと、笑みが溢れる。
武道に身を置いているためか、日向は普段でこそあっけらかんとしているが、礼儀はしっかりとしている。
馬鹿みたいな行動は多いが、本質的にはしっかり者なのだ。
「日向は今から稽古だっけ?」
「おう、今日はそのまま帰る。と、この辺だな。じゃあまた明日な!」
「あぁ、また明日。」
そして、丁度曲がり角で別れる。
また明日などと言っているが、特にやる事などは決まっていない。
ただ家でゲームでもするか、もしくは気まぐれに外に出ることもある。
逆に、何もせずダラダラするだけの日もある。
(明日はどんな1日になるんだろうな。)
1人帰路に着きながら、明日に思いを寄せる。
昔、優希にとって、明日は楽しいものではなかった。
それを変えてくれた日向には本人には言わないが、感謝してもしきれない。
そして家に到着する。優希は、住みなれたアパートを前に鍵を取り出し、中へ入っていった。
さて、どっちを女にしてやろうか。
実は決まってなかったりする。正直どっちでも書ける。どっち方面も好き。
次回までには決める。
気に入ってくれた人は、シーユーネクストタイム