【未完】幼馴染友人TS恋愛物語   作:ワンダーS

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気づけば割と時間が経っていて驚愕を隠さないでいる作者です。

あっという間に過ぎていましたね、もう少しゆっくりでいいと思う。


協力者

 

 優希の家を出た2人は、ラーメン屋への道のりを歩いていた。

 

 「それにしても、お前いろんなもの残しすぎじゃね」

 

 「なんだよ、いいだろ別に」

 

 家を出る際に、優希の靴もサイズが合わないモノしかないのではと、途中で靴でも買いに行くかと考えていたのだが、これもまた、昔使っていたものが残っていたのだ。

 

 おかげで靴擦れの心配もなくなり、こうして歩けているわけなのだが。 物持ちがいいというべきなのか、それとも貧乏性というべきなのか。

 

 そのうち、これまで歩んできた道のりみたいな感じで、展示店でも開けそうな勢いである。

 

 「置き場とかなくならないのか?」

 

 「んー、そろそろキツクなってきたかなー。まぁ、まだスペースはあるから大丈夫。」

 

 その答えに日向は、相変わらずだなとため息をつく。

 

 もともと物欲がなく必要最低限のものしか買わない優希は、その分私物も少ない。そして、買ったものも基本的にきれいに使うため、長持ちし。結果買い替えなどはほとんどない。

 

 もう少しくらい欲を出してもいいんじゃないかと思うのだが、優希は満足しているらしい。

 

 変わらず歩いていると、ふと優希が足を止めた。

 

 「なあ、こんなに遠かったっけ。」

 

 いつもならもうついていてもいい時間だが、まだ三分の二ほどしか進んでないことを不思議に思ったらしい。

 

 「そりゃ歩幅も小さくなってるからだろ。」

 

 「あ、そっか。…悪い。」

 

 「謝ることじゃないだろ」

 

 それからしばらくして到着した二人は店に入り、いつものカウンター席に座る。

 

 昼にしては早いため、客もおらず。ほぼ貸し切りのような形になっていた。

 

 謎の特別感を感じていると顔なじみの店長がやってきた。

 

 「よう、ひな坊。こんな早くからくるなんて珍しいじゃねー…ん?」

 

 いつものように声をかけてきた店長は俺の隣に座る優希に気が付くと、そこで言葉を区切り目を見開く。

 

 直後、日向の肩に腕を回し優希に聞こえないように小声で話しかけてくる。

 

 「なんでぇ、あのべっぴんさんはよ。ひな坊にもついに春が来たか。」

 

 「違うよ、彼女じゃない。こいつは優希だよ。」

 

 「あん?…ははぁん、さてはドッキリってやつだな?残念だが、俺は簡単には騙されてはやれねぇぞ。」

 

 にやっと笑い俺たちを見まわしながら言う店長。

 

 そうなるのは分かってはいたのだが、これをどう証明するべきか。

 

 どうしたものかと、日向が悩んでいると。

 

 「三年前…」

 

 ぽつりと優希が呟いた。

 

 日向には何のことかわからない。しかし、店長は思い当たる節があるらしく、何故か表情を硬くする。

 

 「ホテル…若い女性…」

 

 「わかった、信じる!だからゆう坊、それ以上は勘弁してくれぃ!」

 

 ぽつぽつと続けられる優希の言葉に、ますます顔を青くした店長が嘆くようにそう告げる。

 

 言われた通り、優希が言葉を止めればほっと胸をなでおろす。

 

 ちなみに、奥の方から店長の奥さんが野菜を切りながら鋭い目つきをしている事から、日向もある程度察しがついた。

 

 その後、改めて店長は顔を驚愕に染めて、優希を口を開けたままじっと見つめているとおもむろに口を開く。

 

 「はー、最近の着ぐるみは性能がいいなぁ。本物にしか見えねぇ」

 

 「店長、着ぐるみじゃなくちゃんと生身だよ。そこまで技術革命起きてないから安心して。」

 

 「昨日の件は知ってるだろ。」

 

 日向の言葉に店長は少し考えこむもすぐに察しが付く。

 

 「あぁ、確か男が女になったってヤツかい。」

 

 「そう、たぶんそれと同じことになってる。」

 

 「これはまた…妙なもんに巻き込まれちまったなぁ。」

 

 日向は、存外あっさり受け入れられた事に驚きつつ、どこか安堵したように感じる。

 

 いくら自由度の高くなる高校生とは言えど、まだまだ親に養われる学生である事に変わりはない。

 

 そんな学生2人が抱えるにはこの問題は少々荷が重い。

 

 「あと、この事はあまり広めない方向で頼む。」

 

 「わかってらい、これでも口は硬い方なんだ。」

 

 ニカっと笑みを浮かべながら言う店長。

 

 これで理解者が1人増えたのだと思うと心強いし、何より大人がいることで取れる行動の幅も広がった。

 

 巻き込んでしまう形になったのは心苦しいが、それでも必要な事だった。

 

 そこで日向は、事態の中心にいるはずの優希が黙ったままな事に気づく。

 

 不思議に思い隣を見ると同時に優希は口を開いた。

 

 「あの、ラーメン注文してもいい?そろそろ限界で…」

 

 今にも死にそうなか細い声に、日向は本来の目的を思い出す。

 

 少し話し込んでしまったし、店内にはラーメン屋特有の食欲をそそる匂いが充満している。それで空腹が限界に達したのだろう。

 

 たしかに、この状態でこれ以上話を続けることはできない。

 

 「て、ことで店長。いつもの頼むよ。」

 

 日向はそんな優希に苦笑しつつ店長に告げる。

 

 ちょっと待ってな、と店長は調理場の方に入っていった。

 

 「信じてくれて良かったな。」

 

 「…うん、良かった。」

 

 お冷を飲んで空腹を紛らわせている優希は、日向の言葉に少し顔を綻ばせて頷いた。

 

 その後、すぐに店長はラーメンを両手に持ってきてくれた。

 

 2人は箸を取りいつものように黙々と麺を啜り始める。

 

 朝食をとってきた日向だが、そこは学生の鉄の胃袋。なんの苦もなく胃に収めていく。

 優希も朝から空腹でいたため、どんどんと食べ進めていく。

 

 変化が起きたのは、日向が大半を食べ終えた頃だった。

 

 見るからに優希の箸の進み具合が遅くなっている。丼の中にはまだ半分ほどの麺が見える。

 

 そこで流石に日向も気付いた。

 

 体が小さくなったなら、胃袋も当然小さくなっている。以前と同じ量を食べることは出来ないのが普通だ。

 

 「優希、無理しなくて良いんだぞ。」

 

 「無理なんかしてない。」

 

 そう言って、優希は箸を止めることなく動かし続ける。

 

 日向はため息を吐くと、タイミングを見計らい優希の前にある丼を自分のものと取り替える。

 

 「ちょ…日向、いきなり何すんだよ!」

 

 「俺もあっさり食いたくなったんだよ。お前にはこってりやるから交換な。」

 

 抗議の声にそうとだけ返すと、日向は再び麺を啜り始める。

 

 優希はまだ何事か言いたげに日向を見ていたが、それに倣う。

 

 「日向」

 

 「ん?」

 

 優希は、視線を下ろしたまま声をかける。

 

 それに日向は、目だけ優希に向けながら応えた。

 

 「ありがと」

 

 「ん。」

 

 

  

 なんとか食べ切った2人は店を出て、日向の家に向かう。

 

 店長は別れ際に

 

 「何かあったら、いつでも頼りにきな!」

 

 と言ってくれた。

 

 自分のことを案じてくれているという事実が、優希にとって嬉しかった。

 

 側にある山では相変わらず煩いくらい蝉が鳴いている。

 いつもなら曲がる道を真っ直ぐ進んでいくと、横側に山へと続く坂道が見えて来る。

 

 そこを登っていき、しばらくして和風の門が見えて来る。

 

 日向の家は古くからある名家とまでは行かないが、それなりに歴史のある家である。

 家も道場を敷地内に持てるくらいに大きく、毎度ながら別世界に来たかのような心地になる。

 

 「おい、早く行こうぜ」

 

 「お、おう」

 

 ぼー、としていると日向から声がかかり慌てて追いかける。

 

 「ただいまー」

 

 「お邪魔します」

 

 日向は玄関の戸を開けると、中に入る。それに続いて優希も入り戸を閉めると何やら視線を感じた。

 

 顔を向けるとそこにはアイスを口に咥えた少女こちらをみて目を丸くしていた。

 

 「あれ、美鈴。親父に捕まってたんじゃないのか?」

 

 「…」

 

 「…美鈴?」

 

 無言でアイスを平らげた少女は、ゆっくりと日向に近づくと。

 

 「なにしてんだクソ兄貴がぁ!!」

 

 「うおっ!?」

 

 一喝と共に少女は日向の腕を取ると、次の瞬間には日向の体が宙を舞い、床に叩きつけられていた。

 

 突然の出来事に、優希が固まっていると。受け身をとっていたらしい日向が起き上がろうとする。

 

 しかし、それを遮る形で少女、美鈴が絞め技をかけた。

 

 「優希さんのこと放っておいて、女引っ掛けてくるなんて信じらんない!

 

  友情より性欲の方が大事だっていうの!?

  

  このまま落ちろ!」

 

 「ぐぉ、違うって、そこにいるのが優希なんだって!」

 

 「美鈴ちゃん、落ち着いて!」

 

 「…へ?」

 

 ギリギリと締め上げる美鈴にたまらず声を上げる日向。しかし、一向に緩まないそれに優希が声をかけると素っ頓狂な声をあげて再びこちらを見てくる。

 

 何事かと見ていると

 

 「あの、もう一度ウチの名前呼んでみて下さい。」

 

 「え、うん、美鈴ちゃん?」

 

 言われた通りに名前を呼ぶと、呆然とこちらを見つめる。しかし、すぐに美鈴はいつの間にか抜け出していた日向に鋭い視線を送ると。

 

 「兄貴、説明。」

 

 「…はい。」

 

 そして、今朝の出来事を美鈴に話すと。

 予想とは裏腹に落ち着いた様子で美鈴は納得していた。

 

 「驚かないのか?」

 

 不思議に思った日向がそう聞く。

 

 「そりゃ驚いてるよ。けど、その人が優希さんだってことは分かるし。ウチが動揺しても意味ないでしょ。」 

 

 とりあえず、変化について信じてくれたらしい。

 

 しかし、良いことではあるのだが、ここまですんなりと受け入れられると逆にこちらの方が動揺してしまう。

 

 「それより、優希さん?」

 

 「あ、はい!」

 

 「その服、何ですか?」

 

 「えと、小中当たりに来ていた服です、はい。」

 

 笑顔ではあるが、威圧感を放っている美鈴に若干ビビりながら優希が応える。 

 

 「そうなんですね。…兄貴、優希さんの借りるね。」

 

 「へ!?ちょ、ちょっと美鈴ちゃん!」

 

 そう言うと美鈴は、優希を引っ張って行ってしまう。

 

 どちらにせよ、一旦美鈴に任せようとは思っていたから良いのだが。様子から見るに、着せ替え人形にでもされるのだろう。

 

 日向は、2人の姿が見えなくなると、目的地へと足を向ける。

 

 そして、その扉の前まで到着すると。深呼吸をし、ノックをすると中に入り口を開く。

 

 

 「親父、話がある。」

 

 




 本当はこの回で全部書こうと思ったんだけど、字数がいい感じだったから区切った。

 それじゃあ気に入ってくれた方はシーユーネクストタイム
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