マグマだらけの場所に立つって、前世では体験できないことだよね。
足場は夏の日のアスファルトの何倍も熱いし、気温は砂漠並かそれ以上あるからまったく嬉しくないけどね。
というか、なんで中層がマグマだまりなの?
マグマって地下にあるイメージがあるし、普通下層だと思うんだけどね。
この迷宮の製作者は意外性を追求したのかな。
いいよ、そんなことしなくても。
むしろ迷惑。
意外性というのは時に余計な要素になるって、美術の先生が言ってた。
そういう先生は理解できないような奇抜な絵を描いてたけど。
にしてもここは熱い…。
下層って化け物地獄なことを除けば快適だったんだね。
化け物がいない下層なんて、生息してるのタニシだけになりそう。
そういえば初めて中層に入ったときはHPが減り続けてたけど、今はむしろ回復していっているなー。
火耐性にHP自動回復があるからか。
それに、なんとここでも共存が輝く。
共有されたHPは私と蜘蛛さん、ふたりのHP自動回復が働く。
つまり、すごい回復していくのだ。
さらに私ののんびり屋でHP、SPを回復。
我らに消耗など、多分無い!
突然、横のマグマが盛り上がる。
そこから現れたのはタツノオトシゴみたいな魔物。
タツノオトシゴは完全に私たちをロックオンしている。
どうやら敵のお出ましみたい。
ちょちょいと鑑定。
『エルローゲネラッシュ LV5
ステータス
HP:182/182(緑)
MP:131/131(青)
SP:178/178(黄)
:178/178(赤)
平均攻撃能力:105
平均防御能力:105
平均魔法能力:98
平均抵抗能力:97
平均速度能力:81
スキル
「火竜LV1」「命中LV3」「遊泳LV2」「炎熱無効」』
ふむ、なるほど。
マグマを泳げるのは遊泳と炎熱無効のおかげか。
遊泳と炎熱無効を持ってれば私も泳げるのかな?
まぁ、泳ぐ気はないけどね。
そんなことを考えてる内にエルローゲネラッシュが口に何かをため始める。
そして、火の玉を口から出してきた。
そのスピードはあんまり。
私でも避けられるほどだ。
蜘蛛さんは鼻歌を歌いながら避けられるだろう。
鼻歌できないけどね。
『ふっノロイな……。』
そう言い、蜘蛛さんはスレスレで火球を避ける。
ギリギリ避けられたというより、余裕があるから最小限の動きで避けたみたい。
蜘蛛さんが調子に乗ってるような?
その内痛い目に遭いそうだ。
エルローゲネラッシュは火球は吐き続ける。
どうやらあの火球はMPを消費するようで、もう底が尽きそうだ。
『これで最後!さぁどうする?』
やつのMPはもう無い。
次は何をするのか、私の予想では逃げるんじゃないかな。
スキルを見る限り残された攻撃手段は近接攻撃のみ。
攻撃が避けられまくって傷一つ与えられていないのだから、力の差を感じとるはず。
しかしエルローゲネラッシュは私の予想とは裏腹にのそのそと陸に上がってきた。
蜘蛛さんはびっくりしてエルローゲネラッシュから離れるが、速度は圧倒的にこちらが上。
あっという間に引き離してしまった。
『うわ、おっそっ!』
『平均速度能力81だからね。蜘蛛さんは900超えてるし差は十倍以上だよ。』
『あー…なら納得だわ。』
蜘蛛さんはそう言いながら毒合成を発動。
蜘蛛猛毒をエルローゲネラッシュにかける。
すると悲鳴を上げ、体をジタバタさせ始める。
そのスキに私たちは猛毒攻撃、エルローゲネラッシュのHPは急速に減っていき、すぐに息絶えた。
攻撃したところが熱かったせいでちょっとダメージをくらったけど、すぐに回復し終わった。
回復は正義。
これほど便利なものはあまりないと思う。
『そんじゃあ、いただきます。』
蜘蛛さんが食事を始める。
私ののんびり屋でSPが回復し続けるから、正直食べる必要はないのだけれど、殺したら食べるが蜘蛛さんの信条。
食べないわけにはいかない。
『うーん…タイヤのゴムみたい。』
食べ物ですらないじゃん。
……ちょっと私も食べてみよう。
モグモグ
うん、まずい。
でも必要ないのに食べる蜘蛛さんに見習って、もう少し食べてみよう。
モグモグ
そういえば、転生してからご飯全然食べてないや。
前に食べたのは、3体組の魔物を倒した時だっけ?
なんだか懐かしい。
ご飯を口に入れる感覚が懐かしい。
まずいけど、どこか満たされた気分になる。
ひょっとしたら、食欲が満たされたのかな?
スキルで食べる必要がなくなっても、食欲が無くなったわけじゃなかったのかも。
だとしたら食べきる手伝いにもなるだろうし、これからは蜘蛛さんと一緒に食べよう。
一緒に食べれば、ご飯が美味しくなるっていうしね。
これでメシマズからメシウマになるのを祈ろう。
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あのエルローゲネラッシュ、種族は竜なんだよね。
龍の下位種、ここだと火龍の下位種かな。
竜なんだからさ、こういうのもいるよね。
『エルローゲネセブン LV7
ステータス
HP:461/461(緑)
MP:223/223(青)
SP:218/218(黄)
:451/466(赤)
平均攻撃能力:368
平均防御能力:311
平均魔法能力:161
平均抵抗能力:158
平均速度能力:155
スキル
「火竜LV2」「龍鱗LV2」「命中LV7」「遊泳LV6」「過食LV3」「炎熱無効」』
それはマグマを泳ぐ、でかいナマズ。
鑑定の説明によるとそのデカイ口で何でも飲み込んでしまうらしい。
ステータスやスキルを見た感じ、タツノオトシゴの進化後の姿かな。
タツノオトシゴからナマズ……。
魔物は不思議だね。
このナマズに勝てるかどうかと聞かれれば、勝てる。
でも戦うか戦わないかは、蜘蛛さんが決めてもらおう。
というわけで蜘蛛さん、どうする?
『う〜ん……勝てるなら戦おう!』
『了解蜘蛛さん。』
私たちがマグマを泳ぐナマズに攻撃をしようとした瞬間、後ろから気配を感じた。
振り返ってみると、そこにはもう1体のナマズがいた。
まさかの2体目。
これは予想外。
『うへー…勝てるかな?』
『いけると思う。駄目だったら全力で逃げればいいしね。』
『たしかに!よし、攻撃しよう!』
蜘蛛さんが私たちに気づいて陸に上がってきているナマズに毒糸を巻きつける。
この中層は熱すぎてすぐに糸は燃えちゃうけど、毒糸は拘束用じゃないから大丈夫。
糸についている毒がナマズのHPを削ってくれれば、それでいい。
ナマズのHPを見てみると少し減ってる。
どうやら効果ありみたい。
これ以外の毒系スキルよりはダメージが少ないけど、離れた距離から毒を与えられる手段はこれぐらいしかない。
毒合成もあるけど、あれは落とすことしかできないからね。
毒糸なら色々な方向に飛ばせるし、射程もそこそこ、なかなか使えるスキルだと思う。
私たちが毒糸の効果を見ていると、ナマズが唸り声を上げた後、口を開き吸い込みを始めた。
まるで掃除機。
まるでピンクの悪魔。
すごい吸引力だ。
しがみついてないと吸い込まれそう。
私たちはステータスを上げたけど、それでもなんとか吸い込まれていないぐらい。
このナマズが掃除機代わりだったら、家具ごと胃の中だろう。
格安でも絶対に買いたくない。
『うぐぐ……吸引力がすごくて身動きができない……もしこの状態でもう1体のナマズから攻撃されたら避けられない!』
『あ…蜘蛛さん、そういうことを言ったら……。』
私は不安になったのでもう1体のナマズを見てみる。
頬が膨らんでて、口から若干火が漏れ出しているナマズがそこにいた。
うん、どう見ても攻撃しようとしているね。
『蜘蛛さんの馬鹿!!そんなことをいうからナマズが攻撃しようとしちゃったじゃん!』
『え!?私のせい!?』
やばい!早くなんとかしないと!
でもどうしよう?
今私たちが危機に陥っている原因を探すんだ。
火球を吐こうとしているナマズと吸い込んでいるナマズ。
この2体。
今すぐに倒せそうなのはどっちだ?
火球のナマズは距離が離れてるから無理。
吸い込んでいるナマズは……毒合成でいけるかな?
なんでも吸い込むのなら毒合成も吸い込むはず!
『毒合成!』
その言葉と同時に私の目の前に毒玉が出来上がる。
本来なら重力に従って落ちるが、今はナマズの吸引力に従っている。
ナマズは吸い込みをやめることはなく、そのまま口の中に毒が入り込んだ。
その瞬間、ナマズはむせ、毒や体液を吐き出し始める。
私は蜘蛛猛毒を持ってないし、毒合成のレベルが低いから弱毒しか出せない。
それでも吸い込みをやめさせるぐらいならできる。
ナマズの吸い込みをやめさせた瞬間、火球をためていたナマズが火球を吐き出した。
その火球は大きく、速く、熱そうだった。
『あっぶね!』
それでも蜘蛛さんのスピードには敵わない。
蜘蛛さんは素早く火球を避け、未だにむせているナマズに近寄る。
ナマズの頭上には猛毒玉が2つあり、蜘蛛さんは手を…いや、前足を振り上げている。
『くらえ!猛毒攻撃アンド毒合成!!』
猛毒玉と猛毒攻撃のコンボ、ナマズのHPは著しく減っていき、ナマズが弱っていく。
私も蜘蛛さんに便乗して猛毒攻撃をする。
腐蝕大攻撃をしないのは食べるところがなくなるからだ。
私の猛毒攻撃が止めになり、ナマズのHPがゼロになった。
《経験値が一定に達しました。個体、インレントがLv6からLv7になりました》
《各種基礎能力値が上昇しました》
《スキル熟練度レベルアップボーナスを獲得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「HP自動回復LV5」が「HP自動回復Lv6」になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「狂LV1」が「狂LV2」になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「並列思考LV6」が「並列思考Lv7」になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「生命LV4」が「生命LV5」になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「思考加速LV3」が「思考加速LV4」になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「回避LV1」が「回避LV2」になりました》
お、レベルアップした。
こんなにたくさんスキルが上がってるのは蜘蛛さんのもあるからか。
おっとこんなこと考えてる暇はない。
もう1体のナマズに備えないと。
ん?怯えてる?
目の前で仲間が毒づけにされて死んだら怯えるか。
猿たちのせいで感覚が麻痺してるのかな。
猿たちは特別だって覚えておこう。
ナマズは私たちにビビりながら、マグマの中に入っていった。
それを見て蜘蛛さんは気分を良くする。
『ふふーん、私たちって強くなーい?調子に乗ってもよくなーい?』
『いいのかな?』
あれほどのステータスを持つナマズが恐れをなして逃げるんだ。
私たちって案外強いのかも?
ここは調子に乗るべきかな?
いや、調子に乗るのは蜘蛛さんだけでいいや。
私はいつもどおりの感じでいよう。
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これまじ?衝動的&ノリで書いた二次小説なのに評価が高すぎるだろ。