タニシですが、なにか?   作:マリモ二等兵

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 蜘蛛子のHP自動回復がLV5ではなくLv7だったので修正しました。


 


マグマの幸

 私たちはピクリとも動かないナマズに近づく。

 殺したのなら食す。

 では、いただきます。

 

 ガブリ

 

 ……うまい。

 タツノオトシゴや、3体組の魔物よりもずっとうまい。

 蜘蛛さんなんて涙を流してる。

 今までまずいものばっかり食べてきた蜘蛛さんにとって、うまいものを食べられるのは幸せだろう。

 中身美人さんとは思えないぐらい食らいついている。

 味覚強化をフルに使ってまでして。

 私は蜘蛛さんほど感動してないから、少し食べて残りは蜘蛛さんにあげよう。

 なんだかご褒美をあげてる気分になるけど、蜘蛛さんは今までまずいものしか食べてきてないからね。

 ん?蜘蛛さんが食べていいすかって顔してる。

 

 『どうぞ。』

 

 その言葉を待ってましたと言わんばかりに、蜘蛛さんはナマズを貪り食う。

 そして体感で数分もしないうちに、あのでかいナマズは骨になった。

 食べるのはや!

 あの体のどこにナマズが入ってるのだろう?

 口に入れた瞬間なにかファンタジーなエネルギーに変換してたりするのかな。

 

 『タニシちゃん、あのナマズを探そう。』

 

 ナマズを……?

 あ、そういうことね。

 美味しい食べ物はたくさん食べたいもんね。

 

 『いいよ。』

 

 『よっしゃあ!ナマズ狩りじゃあ!!』

 

 素早く私を頭に乗せ、熱々の地面を駆ける蜘蛛さん。

 相変わらず速い。

 気分は二人乗りの自転車かな。

 足音はカサカサだけどね。

 おっとこんなこと考えてないでナマズを探さなきゃ。

 でもマグマの中にいるナマズを見つけるなんて無理じゃないかな。

 あれかな?

 心の眼で見ろってことかな?

 残念だけど心に眼は無いよ。

 少なくとも私にはね。

 

 『む?あれは?』

 

 蜘蛛さんがなにか見つけたみたい。

 あれは…タツノオトシゴか。

 正式名称はエルローゲネラッシュだったけど、タツノオトシゴのほうがわかりやすいかな。

 そのタツノオトシゴが3匹いた。

 3体に勝てるわけないだろ!

 と思っていたのか?

 調子に乗ってるわけじゃないけど余裕で倒せる。

 私一人…いや一匹でも倒せると思う。

 それぐらい、タツノオトシゴと私たちには差がある。

 ほんとに調子乗ってないからね。

 

 タツノオトシゴ達が火球を吐き出してくる。

 蜘蛛さんはそれを軽々と回避。

 それを続け、タツノオトシゴ達のMPがゼロになる。

 すると陸に上がっていき、毒合成や猛毒攻撃の餌食になる。

 さらっと3体のタツノオトシゴの討伐が完了した。

 殺生の後はご飯。

 モグモグ。

 まずい。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 『ナーマーズ!!ナーマーズ!!』

 

 蜘蛛さんが念話でナマズを呼びかける。

 しかしこの念話は私にしか繋がっていないので、意味の無いものだ。

 蜘蛛さんがここまで魔物を倒すことに積極的になるなんて……美味い食べ物は人の思考を変える成分でも入ってるのかな。

 あまり否定できない。

 いや成分じゃなくて生物の思考がそうしてるのかな?

 良いものを求めるのは生物として正しい思考だし、変わるのも仕方ないか。

 ……なんでこんなことを本気で考えてるんだろう。

 気が緩んでるのかな?

 緩めちゃだめだ。

 いつとんでもない化け物が出てくるか分からないのだから。

 地龍ならぬ火龍が出てくる可能性がある。

 そうなった時に対処出来るように気を配らなきゃね。

 前ヨシッ!右ヨシッ!左ヨシッ!

 後ろヨ……ナマズいるじゃん。

 

 『蜘蛛さん、後方にナマズ発見。』

 

 『なぬ!?食べなきゃ!』

 

 蜘蛛さんがマグマから顔を出したナマズに近づいていく。

 ナマズは蜘蛛さんの存在に気づき、火球の準備をする。

 そして火球が吐き出され、それを蜘蛛さんは躱す。

 ナマズも、タツノオトシゴも倒す手順は変わらない。

 相手のMPを消費させて、陸に上がってきたのを倒す。

 ナマズのMPがあと少しで尽きるとこまできた時、ナマズが火を纏った。

 あれはスキル〈火竜〉の効果の一つである『熱纏』。

 自分を熱することでステータスを上昇させる技だ。

 熱々なナマズが私たちに向かって大きな口を開け突進してくる。

 私たちはそこに毒合成で作ったありったけの毒玉を出し、ナマズから離れる。

 ナマズは毒玉を飲み込み、少し間をおいてのたうち回る。

 そして凄まじいスピードでHPが減っていき、ゼロになった。

 

 『はっはっはー!ナマズ程度どうってことはないわー!』

 

 蜘蛛さんは完全に天狗だ。

 どうってことはないのは事実だけど、調子に乗るのは良くない。

 なぜなら調子に乗っているときほど嫌な目に遭うからだ。

 それはもう、誰かが監視してて天罰を下してると思うぐらいには。

 

 『それではいただきます。』

 

 『いただきます。』

 

 うん、おいしい。

 前世でナマズを食べたことは無かったけど、こんぐらい美味しかったのかな?

 でも魚屋さんにナマズなんて見かけなかったし、ナマズを食べるのはマイナーなのかな。

 それとも私が知らないだけでみんな食べてるのかな。

 まぁ、今食べてるんだしそんなこと考えなくてもいいか。

 ナマズはおいしい。

 それだけで十分だ。

 そんなことを考えている間にナマズを食べ終わった。

 まずいタツノオトシゴより、食べ終わるスピードは速い。

 美味しいから口にまだ残っていても次をいれちゃうからね。

 蜘蛛さんなんて頬パンパンに入れてる。

 口がいつもどおりの形になる時は食べ終わったときしか無いぐらいに。

 

 『さーてナマズー!狩り尽くしてやるぞー!!』

 

 『まだ食べるの?』

 

 『当たり前だよ!美味いものは全て私のものだー!』

 

 この蜘蛛さんを見てると今までの食べ物がどれほどまずかったのか分かる気がする。

 ん?なんだか嫌な予感がする。

 目の前のマグマが膨らんでる。

 これはなにか出てくるね。

 

 『お!ナマズかな?』

 

 そこから出てきたのはナマズではなく、ウナギだった。

 目に見えたら即鑑定!

 

 『エルローゲネレイブ LV2

  ステータス

 HP:1001/1001(緑)

 MP:511/511(青)

 SP:899/899(黄)

   :971/971(赤)

 平均攻撃能力:893

 平均防御能力:821

 平均魔法能力:454

 平均抵抗能力:433

 平均速度能力:582

 スキル

 「火竜LV4」「龍鱗LV5」

 「火強化LV1」

 「命中LV10」「回避LV1」「確率補正LV1」「高速遊泳LV2」「過食LV5」

 「炎熱無効」

 「生命LV3」「瞬発LV1」「持久LV3」「強力LV1」「堅固LV1」』

 

 強い。

 タツノオトシゴやナマズのように楽々倒せるような強さじゃない。

 ステータスもスキルも高いし、きっとナマズの進化系だろう。

 相手は完全に私たちをロックオンしている。

 やる気満々のようだ。

 相手がその気なら、こっちもその気で応えなければ無作法というもの。

 

 『蜘蛛さん、戦うよ!』

 

 『えー…嫌だなー。』

 

 『ウナギってうまそうじゃん?』

 

 『よし!やるぞ!』

 

 それでこそ蜘蛛さんだ。

 ちょうどウナギが攻撃をするために火球の準備をしてる。

 すると今まで見たことないほどのスピードで火球を出してきた。

 蜘蛛さんはそれを素早く躱す。

 すぐ横で火球が落ちる。

 おかしい。

 凄まじいスピードとはいえ、避けられないほどではないから結構余裕を持って避けたのに、命中しかけた。

 おそらくウナギのスキル〈確率補正〉の仕業だろう。

 あのスキルで火球の命中率が上がっているのか。

 なんて厄介なスキルなんだ。

 私が言えたことじゃないや。

 

 ウナギが連続で火球を出す。

 その一つ一つがナマズの火球を超えており、直撃したら大ダメージを受けるだろう。

 それらを蜘蛛さんは思考加速や予見などのスキルを使って避ける。

 今回もMP切れを待つ戦法だ。

 ウナギがマグマから出ない限り私たちは攻撃ができないし、できたとしても死地に飛び込むようなものだ。

 わざわざ死のリスクを背負ってまでウナギと戦うつもりはない。

 しかし、今回はナマズやタツノオトシゴのようにはいかなかった。

 ウナギの攻撃手段は火球だけじゃない。

 スキル〈火竜LV4〉の効果『火炎ブレス』がある。

 それは広範囲に火炎の吐息を吐くというもの。

 まだウナギは火炎ブレスを温存しているが、いつ来るか分からない。

 ウナギにとって火球を避けられ続けるこの状況にいい思いはしないはずだ。

 いつ来るの?

 ……今らしい。

 予見でタメが長い動作が見える。

 そして次の瞬間、火炎ブレスが私たちに放たれる。

 

 『あっぶな!』

 

 蜘蛛さんはそれを飛び上がることで回避するが、火球と違って火炎ブレスは持続力がある。

 つまり、相手の動きに合わせて火炎を浴びせることができる。

 このままではまずい。

 あの火炎放射に飲まれることになる。

 蜘蛛さんは糸を出し、炎の中を突っ切る形で回避する。

 普段ならあっという間に燃え尽きてしまうが、糸に気力付与のスキルが使われている。

 糸に気力を付与することによって糸を燃えにくくしている。

 その代わりにSPをかなり消費するが、私の無駄にあるSPとのんびり屋による回復によってあまり気にすることはない。

 さっきまで私はなんにもしてなかったけど、これはのんびり屋でHPやSPを回復させる為だ。

 別にサボってるわけではない。

 蜘蛛さんと連携するにはどうすればいいか話し合った結果、私は基本回復に専念することになった。

 つまりこの何もしていない状況こそ、私が最も働いている状況なのだ。

 つまり私はサボっていない。

 

 『アッツ!』

 

 気力付与でいくら燃えづらくなったとしても、炎の中に突っ込めば全身が焼かれる。

 逆に熱いで済んでる蜘蛛さんがおかしい。

 蜘蛛さんは炎の中から脱出し、糸がくっついた場所に移動する。

 その結果、蜘蛛さんが天井にしがみつくことになってしまった。

 ここじゃウナギの攻撃を避けづらい。

 

 《熟練度が一定に達しました。スキル「思考加速LV4」が「思考加速LV5」になりました》

 《熟練度が一定に達しました。スキル「予見LV2」が「予見LV3」になりました》

 

 お、ウナギの速度がもっと遅くなって、もっと先を見れるようになった。

 これで少し回避が楽になったかな。

 そう思ってるとウナギが火球を吐き出す動作が見える。

 蜘蛛さんは先を読んで回避。

 ウナギの命中と確率補正でギリギリの所に火球が通る。

 近くを通るだけでHPが少し減る。

 様々なスキルで回復。

 この繰り返しが起きている。

 

 《熟練度が一定に達しました。スキル「回避LV1」が「回避LV2」になりました》

 

 蜘蛛さんの回避に少し余裕ができる。

 今のままの状況が続くと私たちが勝利する可能性が高い。

 しかし油断はできない。

 あのウナギが何か予想外のことをするかもしれない。

 あのウナギのHPがゼロになる瞬間まで、気を抜くわけにはいかない。

 

 そう思っていると、ウナギとは別の方向のマグマが盛り上がる。

 なんだと私は目を向ける。

 そこからは、あのウナギとほぼ同じステータスをしたウナギが出現した。

 ………まさかの増援。

 ただでさえ1体でもやばいのに、2体って。

 ウナギが2体……勝てるかな?

 

 

 

 




 大漁だな!
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