タニシですが、なにか?   作:マリモ二等兵

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二貫のウナギ

 ウナギが強かったから、もう1体くるとは思いもしなかった。

 そうだよね、ウナギ、この中層の頂点とかじゃないもんね。

 地龍だって2体いるんだから、それ以下のウナギが1体しかいないはずがないもんね。

 

 新たに現れたウナギ…ウナギ2号と呼ぼう。

 ウナギ2号が私たちに火球を放つ。

 

 『っ!』

 

 蜘蛛さんがその火球を避けるが、ウナギ1号がその先に火球を放つ。

 それを避けるとウナギ2号がその先に火球を放ってくる。

 糸を使って軌道変更して躱す。

 1号と2号、それぞれ交互に火球を放ってくるせいで回避の難易度が高くなってる。

 2体いるせいで発射数も発射レートも大きくなっている。

 うわ、かすった!

 まずい!

 だんだん避けるのが難しくなってきてる!

 なんでそんなに連携とってるの!

 そんなスキルないでしょ!

 空中で糸を使って避けてるせいでSPの消費が馬鹿にならないし、HPの回復が間に合わない。

 このままではまずい…。

 

 『空中じゃ不利だ、降りないと!』

 

 蜘蛛さんが糸を使って下に降りるが、その先に2号が火炎ブレスを放ってくる。

 すぐに伸ばしていた糸を切って、別の場所に糸をつける。

 そして某親愛なる隣人のように糸を使い、素早く移動。

 100℃以上のサウナの中にいるような暑さを感じながらも、地面に着地した。

 その瞬間、1号が火球を放ってくる。

 ギリギリ回避。

 次に2号が火球を放ってくる。

 これもギリギリで回避する。

 まったく息をつく間もない。

 

 『HP:1887/2254』

 

 HPはまだある。

 けど、それも時間の問題だ。

 じわじわ減っていく。

 でも焦ったら駄目だ。

 特に私が焦るとのんびり屋による回復が半減してしまう。

 ただでさえ回復が間に合ってないのにその手を緩めたら死までが早くなる!

 ふー……落ちつけ。

 大丈夫、まだ慌てる時間じゃない。

 SPがすごいスピードで減っていってるけど、大丈夫。

 大丈夫……のはず。

 ナマズがマシンガンのごとく火球を吐き出してるから、すぐにMPが底を尽きるはず。

 だから大丈夫。

 

 『あっ……!』

 

 蜘蛛さんが火球の回避に間に合わず、一発被弾してしまう。

 全身が焼ける感覚がある。

 蜘蛛さんの体から肉をフライパンで焼いたような、ジュージューとした音がなる。

 

 『HP:1187/2254』

 

 まずい……。

 これはまずい。

 一気に不利になった。

 蜘蛛さんはいくつかの足を負傷して回避が難しくなってしまった。

 ギリギリだったのがもっとギリギリになり、余波ダメージが高くなる。

 どうしよう?

 私の行動の選択肢は3つある。

 

 1、このまま蜘蛛さんに頑張ってもらい、私は回復に専念する。

 2、回復を捨て、私がなんとかしてウナギ達を攻撃する。

 3、何もできずに死ぬ、現実は非情である。

 

 1は今の状況を打開できそうにない。

 なんなら今やってるからね。

 やめておいたほうがいいだろう。

 

 2はどう攻撃をするか決めてないけど、このまま回復だけやるよりは有利になる可能性がある。

 あくまで可能性で、回復が半減したことで不利になる可能性もある。

 

 3は論外。

 

 さてどうする。

 うーん……可能性があるほうにかけるべきかな?

 生き残るには2が一番可能性が高いのかもしれない。

 それにHP自動回復があるから回復がゼロになるわけではない。

 ん?待てよ。

 火球をくらって大ダメージを受けるのは蜘蛛さんに当たっているからだよね。

 防御力も抵抗力もかなり高いから、私に当たればダメージは少ないはず。

 ならば、私に当たるようにすればこの戦いに勝てるのでは?

 〈狂〉のスキルレベルが2になって、スキルポイントが900までになっちゃったけど、何か私の適性が高くて敵の攻撃を引きつけるスキルはないかな?

 えーと、えーと。

 

 《挑発(500):周りを挑発する》

 

 これだ!

 見た感じ敵味方問わず挑発するみたいだけど、蜘蛛さんは私を攻撃しないって信じてる。

 よし、取得!

 

 《現在所持スキルポイントは65470です。

  スキル〈挑発LV1〉をスキルポイント500を使用して取得可能です。

  取得しますか?》

 《「挑発LV1」を取得しました。残りスキルポイント64970です》

 

 LV1じゃ期待できない!

 もっと!

 

 《現在所持スキルポイントは64970です。

  スキル「挑発LV1」をスキルポイント500を使用して「挑発LV2」にレベルアップ可能です。

  使用しますか?》

 《「挑発」がLV2になりました。残りスキルポイント64470です》

 

 もっと!

 

 《現在所持スキルポイントは64470です。

  スキル「挑発LV2」をスキルポイント500を使用して「挑発LV3」にレベルアップ可能です。

  使用しますか?》

 《「挑発」がLV3になりました。残りスキルポイント63970です》

 

 まだまだ!

 

 《現在所持スキルポイントは63970です。

  スキル「挑発LV3」をスキルポイント500を使用して「挑発LV4」にレベルアップ可能です。

  使用しますか?》

 《「挑発」がLV4になりました。残りスキルポイント63470です》

 

 じれったいな!

 

 《現在所持スキルポイントは63470です。

  スキル「挑発LV4」をスキルポイント500を使用して「挑発LV5」にレベルアップ可能です。

  使用しますか?》

 《「挑発」がLV5になりました。残りスキルポイント62970です》

 

 よしこれだけあれば十分…のはず!

 とりあえず蜘蛛さんに事情を説明してから、頭から降りよう。

 

 『蜘蛛さん、スキルポイントで「挑発」ていうスキル取ったから降りるね。』

 

 『え!?待ってどゆこと!?』

 

 『囮になるっていうこと!』

 

 私は蜘蛛さんの頭から飛び降り、熱い地面に着地する。

 よし、「挑発」発動!

 その瞬間、2体のウナギがびっくりするほどの速さで私に首を向ける。

 ウナギからは許せない相手と言わんばかりのオーラが漂っており、殺意マシマシの眼をしていた。

 ……挑発の効果高すぎない?

 まさかここまでとは思いもしなかった。

 

 ウナギ達が火炎ブレスの準備をする。

 2体とも息がピッタリで、仲良く私を焼き殺すつもりらしい。  

 前の私なら避けることもできずに焼かれてたと思うけど、今の私は違う。

 平均速度能力577の力を見せてやる!

 ……あれ、あんまり高くないね。

 おっとウナギ達が火炎ブレスを吐くのが見えた。

 早く避けないと。

 私が移動すると、さっきまでいた場所に炎の壁ができる。

 近くにあるだけでHPを減らすほどのものが近づいてくるのは怖いの一言。

 私に涙腺があれば泣いてたね。

 

 なんとか避けきるが、すぐに火球が飛んでくる。

 私は右へ左へ動き回って避けようとするが、残念ながら避けられていない。

 なんならほとんどの火球が当たってる。

 でも大丈夫。

 

 『HP:1007/2254』

 

 ほら、あまり減ってないでしょう?

 これが私のカチコチボディだよ。

 これならある程度は耐えられるはず。

 私が耐えている間に蜘蛛さんがなんとかして攻撃してくれると嬉しい。

 私は蜘蛛さんを見つけるために周りを見る。

 天井に張り付いている蜘蛛さんを発見。

 「遠話」で話しかけよう。

 

 『蜘蛛さん、今のうちに攻撃して!』

 

 『………。』

 

 『蜘蛛さん!』

 

 『え?ああごめん!挑発すごいね!』

 

 そういいながら蜘蛛さんはウナギ達の真上に移動する。

 そして毒合成で大きな猛毒玉をそれぞれ1つずつ生成する。

 あの大きさならウナギ達は大ダメージを受けるだろう。

 そんなものが頭上にあるというのに、ウナギは気づくことはなく私に火球を放っている。

 

 『くらえ!蜘蛛猛毒!』

 

 ウナギ達が猛毒玉に気づき、びっくりしたのか口を開ける。

 いや、その口の奥から発光していることからブレスの準備をしているね。

 しかし、ウナギがブレスを放つ前にその口の中に猛毒玉が入り込む。

 蜘蛛猛毒で最もダメージが高い、摂取ダメージをくらってしまった。

 ウナギ達のHPが急速に減っていく。

 そしてHPがゼロになった。

 

 『おっとお残し厳禁。』

 

 蜘蛛さんがウナギ達に糸を巻きつけ陸に引き上げる。

 なんだろう。

 なにか違和感がある。

 なにかが足りない気がする。

 私は違和感の正体に気づくことなくウナギ達に張り付き、そのまま食そうとすると、ウナギ達が突如として動き出した。

 

 『生命変遷』

 

 火竜スキルレベル3効果だ。

 SPを消費してその分のHPを回復させるというなかなか羨ましいスキルだ。

 このまま第2ラウンドを始めるつもりだろうが、ウナギ1号には退場してもらう。

 「吸収」発動。

 私がインレントに進化した際に手に入れたスキルだ。

 ぶっちゃけ忘れかけてたけどその効果は絶大。

 あっという間にウナギ1号のHPとMPが吸収され、全て私のステータスに変換される。

 

 《経験値が一定に達しました。個体、インレントがLv7がLV8になりました》

 《経験値が一定に達しました。個体、インレントがLV8がLV9になりました》

 《経験値が一定に達しました。個体、インレントがLV9からLV10になりました》

 《条件を満たしました。個体、インレントが進化可能です》

 

 あら、もう進化できるのね。

 このウナギすごい経験値じゃん。

 もう戦いたくないけどね。

 蜘蛛さんも皮を脱いでウナギに備えている。

 ……吸収を有効活用できるいい方法を思いついた。

 それには蜘蛛さんの協力が必要だから、その方法を伝えよう。

 方法を伝えると蜘蛛さんは驚きつつも承諾してくれた。

 

 それじゃお願い、蜘蛛さん。

 蜘蛛さんが私に糸を巻きつける。

 そして糸を使ってハンマー投げのように私をウナギに投げつけた。

 蜘蛛さんの速度能力値が反映されているのか、命中や投擲のスキルのおかげなのか、私は予想以上のスピードで飛んでいきウナギに張り付いた。

 すぐに吸収を発動。

 あっという間にウナギは息絶えた。

 なんだか呆気ないけど勝った!

 第三部、完!

 

 

 

 

 




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 あ、ふーん。
 
 こっから面白くなるから!!
 多分。

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