進化先をインレント・クイーンにしてしまったことを、私は悔やんでいた。
たしかに期待どおりに防御力はかなり上昇した。
でも私がインレント・クイーンにしたのは多数のインレントを産めることに惹かれたのであって、防御力はインレントの時点で十分高かったのであってもなくてもあったらいいなぐらいの気持ちだった。
インレントは火に弱い。
いや、インレントというより私のタニシ族?は全て火に弱い。
しかし私はレベリングで得た火耐性とHP自動回復でその弱点をカバーしていたので、その事実を忘れていた。
………まぁ、進化してしまったのは戻せない。
いつまでも悔やんでないで今の状態を受け止めよう。
それにこの経験は次の進化に活かせばいい。
次があるかどうかは分からないけどね。
うん、よし。
立ち直った。
さて、蜘蛛さんはどうやらスキルポイントが溜まったからそのスキルポイントを使って何か有用なスキルを探しているらしい。
私も制限されているとはいえ、何か使えそうなものを探してみよう。
えーっと……どれどれ?
自分に足りないものは遠距離攻撃だし、そういう系のスキルを中心に探そう。
遠距離攻撃といったら魔法かな。
でも私って魔法系のスキルの相性ものすごい悪いんだよねー。
私のステータスで魔法系はダメダメだし予想はついてたけど、ほとんどの魔法が必要スキルポイント10000以上って……。
どんだけ相性悪いんだろう?
水と油並?
お茶と牛乳並?
いやさすがにそこまでではないかな?
う〜ん。
うん。
ないね。
今の私に取れるスキル、近距離系しかないや。
防御系も多い。
う〜む……困った。
《熟練度が一定に達しました。スキル「共存LV9」が「共存LV10」になりました》
《条件を満たしました。スキル「共存LV10」から「同心」に派生しました》
お?あの共存がカンストした。
それと同時に「同心」なるものを取得したぞ?
まぁ、まず共存の確認をしよう。
う〜ん。
正直共存のレベルが上がっても何か変わった感じがしなかったからあまり期待してないけど、それでも気になる。
なにが変わったんだろう?
鑑定で調べてみても分からない。
共存のスキル説明は依然変わりはない。
う〜ん……。
ま、いっか。
分かったときは分かった時、今は分からないってことで。
そして「同心」。
名前だけじゃ効果がわからないから早速鑑定!
『同心:共存で指定した相手とその所有者がシステム内で1個体にカウントされる』
?
よく分からない。
えーっとつまり………駄目だ私の頭じゃ理解できない。
誰か説明書をください。
おーい蜘蛛さーん!
『……チートスキル発見。』
『へ?』
蜘蛛さんから謎の通信が。
チートスキル発見?
傲慢とか怠惰とかそういう系統の?
だとしたらどんなやつなんだろう。
『どんな名前?』
『忍耐っていうスキル。』
忍耐、忍耐、忍耐……。
お、発見。
どれどれ?
『忍耐(1000):神へと至らんとするn%の力。自身の持つ神性領域を拡張する。MPの続く限りどんなダメージを受けてもHP1で生き残る。また、Wのシステムを凌駕し、MA領域への干渉権を得る』
ふむふむ。
神性領域とかよく分からないけど、MPが続く限り生き残るというのはすごい。
蜘蛛さんの弱点は防御力の低さ。
攻撃はほとんど避けてるけどどうしても当たっちゃうことがある。
そうなると共存でHPを共有しているとはいえあっという間に尽きてしまう。
忍耐はそんな弱点をカバーできるスキルだね。
うん、私の視点じゃ1000も必要だけど蜘蛛さん視点では低めなんだろうね。
じゃなきゃこんなスキル出てこないはずだ。
『とっていいと思う?』
『良いと思う。生存率は上げても損は無いからね。』
『よし、取得!』
蜘蛛さんが天の声に返事をし、忍耐を取得する。
《「同体」の効果により「忍耐」を取得しました。》
え?
《熟練度が一定に達しました。スキル「禁忌LV6」が「禁忌LV8」になりました》
あ、共存って禁忌も共有しちゃうのね。
あともうちょっとでカンストじゃん。
大丈夫?これ。
カンストした瞬間存在が消えたりしない?
《条件を満たしました。称号「忍耐の支配者」を獲得しました》
《称号「忍耐の支配者」の効果により、スキル「外道無効」「断罪」を獲得しました》
《「外道耐性LV7」が「外道無効」に統合されました》
えぇなにこれ。
同体ってスキルポイントで取得したスキルも共有するの?
……すごいスキルだ。
勝ったね、風呂食べてくる。
ちなみにこのことを蜘蛛さんに言ったらチートだって騒いでた。
私もそう思う。
さて、新たに得たスキルに感謝しながらスキルや称号の確認でもしようかな。
『忍耐の支配者:取得スキル「外道無効」「断罪」:取得条件:「忍耐」の獲得:効果:防御、抵抗の各能力上昇。邪眼系スキル解禁。耐性系スキルの熟練度に+補正。支配者階級特権を獲得:説明:忍耐を支配せしものに贈られる称号』
忍耐らしい効果の称号だなぁ。
む?邪眼系スキル解禁……とな?
なんだかカッコいいかも。
くっ!両目が疼く!
みたいな?
いいね。
『断罪:魂にシステム内罪科を貯めたものに対し、罪科の累計値に比例した抵抗不可のダメージを与える』
おー断罪だね。
罪を犯したものを容赦なく裁く。
私はそのスキルの対象じゃないよね?
外道無効は予想通りの効果で、外道攻撃を無効化するというものだった。
『ねぇねぇタニシちゃん。』
『どうしたの蜘蛛さん。』
『外道無効を持ってるのならさ、探知って使えると思うんだけど、どうかな?』
『え?探知?』
あーそういえば探知って外道攻撃だったね。
……なんで感知系スキルが外道攻撃してるの?
『使えるの?』
『いやまだ分からないけどひょっとしたら使えるかもしれないじゃん。だからさ、その探知が使えるっていう喜びをね、タニシちゃんと一緒に味わいたいなー…なんて。』
これ絶対に道連れにしようとしてるよね。
言葉を選んでるのが伝わってくるよ。
でもまぁ、いいかな。
これで苦しんだら蜘蛛さんにお仕置きをすればいいのだから。
『いいよ。』
『なんか不穏な感じが……。』
『やらないの?』
『やるよ、いくよ、せーっの!』
探知、ON!
わぁ…すごい……。
痛みがまったく無い…。
本当はちょっと痛いけど我慢できる程度のものだ。
この程度の痛み、鑑定で慣れてる。
頭に膨大な情報が流れてくる。
その情報量は全能感を感じるほど多い。
一瞬一瞬のマグマの流れ、空気の流れ、あの岩石のあり方、熱さ、重さ、その他の情報全てを把握する、この感覚。
《熟練度が一定達しました。スキル「演算処理LV9」が「演算処理LV10」になりました》
《条件を満たしました。スキル「演算処理LV10」が「高速演算LV1」に進化しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「並列思考LV8」が「並列思考LV9」になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「探知LV5」が「探知LV6」になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「神性拡張領域LV1」を獲得しました》
いやーこれはすごい。
ほんとすごい。
なんだろう……世界って広いんだなぁ。
私が見ていたのはほんの家の角のホコリにすぎなかった。
そんな思いになるね、これ。
うっ感動してきた。
まさかこんなことになるなんて思いもしなかった。
地面ばかり向いていた私が広大な星空を見上げたような、そんな感じだ。
《熟練度が一定に達しました。スキル「並列思考LV9」が「並列思考LV10」になりました》
《条件を満たしました。スキル「並列思考LV10」が「並列意思LV1」に進化しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「神性拡張領域LV1」が「神性拡張領域LV2」になりました》
さっきから神性拡張領域って何?
それと並列意思って何?
気になるなー。
確かめねば。
もしタニシがレイジィを選んでいたら、攻撃とスピードのステータスに1000アップしていた。
つまり魔法系以外のステータスは全て1000いっていたことになる。
ほぼ隙なしタニシの誕生。