私たちは強くなった。
進化してからその思いが強くなっている。
なぜなら、今まで死を覚悟しなければ勝てなかった敵もかなり余裕を持って勝てるようになったからだ。
そのことに蜘蛛さんが慢心していたので私と2号でその考えを改めるように説得した。
今までの不幸が慢心したあとに起こっていると言ったら慢心するのをやめてくれた。
いや、まだちょっと慢心してるけどこれぐらいなら大丈夫でしょ。
傲慢の適性が高かったのもわかる気がするよ。
話は変わって忍耐で邪眼系スキルが解禁されたらしいので探してみると、色々なものがあった。
必要スキルポイントは400。
狂による制限のギリギリだ。
全部取ろうかな?
同心のおかげで私がスキルポイントでスキルを取っても共有されるようになった。
私に目は2つしかないけど、蜘蛛さんは8つもある。
つまり、最大で10の邪眼を浴びせることが出来る。
ロマンあるね。
全部取っちゃおうかなー?
よし、取っちゃおう。
『やっちゃえー!』
取っちゃった。
ごっそりスキルポイント減ったけどまだ残ってるし使う機会は今後減るだろうし安心。
スキルポイントでレベルを上げるのは、性能を見てからにしよう。
使えないものまで育ててやる義理なんてないのだよ。
『グフフ……タニシちゃんや、早速実験しやせんか?』
『しよう。ちょうどあそこに赤蛙がいるしね。』
『はっはっはー!!行くぞー!!』
『あ、待って蜘蛛さん速い…!』
蜘蛛さんのスピードは私のスピードの2倍もあるから追いつけない。
あ、でも初めて会った時はたしか369倍だったし私ってかなり速くなってるよね。
そんなことを考えている間に到着。
『さ〜てどの邪眼の餌食にしてやろうかな〜?』
『蜘蛛さん悪者みたい。』
『失礼な、私は純粋で清潔な女の子ですよ。』
『へー……そうかな?』
『そうだよ?』
❲私1号よ、騙されるな。蜘蛛さんの今までの姿を思い出せ!❳
『そうだったね。蜘蛛さんは清潔な女の子だったね。』
❲おーい!?❳
私2号ちょっと黙ってて。
『タニシちゃんや、どんな邪眼がいいと思うかね?』
『まずは重の邪眼とかどう?』
『よし、くらえ……重の邪眼!!』
蜘蛛さんが大げさな動きをしながら放った重の邪眼。
赤蛙はそれの影響を受けたのか何かに押さえつけられたように潰れた。
HPはちょっとずつ減ってる。
これは使えそう。
『さらに……麻痺の邪眼!!』
さらに麻痺の邪眼。
赤蛙には麻痺耐性があるがそれでも麻痺の影響を受けている。
ビクビク動いていたのがピクピクになっている。
ふむ、これも使えそうだ。
『そして……恐怖の邪眼!!』
そして恐怖の邪眼。
赤蛙は目に見えて怯えており、もともと無くなりかけていた戦意が消え失せた。
もし拘束していなかったら逃げてると思う。
これはあんまりかな。
『次に……魅了の邪眼!!』
次に魅了の邪眼。
鑑定結果で一瞬だが魅了がかかっていた。
あ、またついた。
あ、また消えた。
どうやら魅了は少しの衝撃で解けちゃうみたい。
ついたり消えたりしているのは、魅了されて重の邪眼で傷つけられて魅了が解けてを繰り返してるのだろう。
う〜ん……微妙。
『今度は……狂気の邪眼!!』
今度は狂気の邪眼。
その瞬間、赤蛙の目の焦点合わなくなる。
拘束してなかったら暴れまわっていたと思う。
敵陣のど真ん中の奴にすると良さそう。
そこそこ使えるね。
『なんと……幻痛の邪眼!』
なんと幻痛の邪眼。
もともと痛そうなせいで効果があるのか分からない。
隙を作るのに使えるかな?
『ならば……不快の邪眼!!』
ならばと不快の邪眼。
正直今の状態で不快なんて考えてられないと思う。
効果があるのかないのか……。
『……催眠の邪眼!!』
催眠の邪眼。
魅了同様、点滅している。
うん、分からん。
『私もう使える目がないよ。』
『重と麻痺以外は解除していいよ。』
『オッケー!』
蜘蛛さんが重と麻痺以外の邪眼を解除する。
む?恐怖や狂気、不快は効果が残ってるね。
じゃあ少し当てるだけでも十分なのかな。
それは良いことを知った。
『すー……石化の邪眼!!』
おお、あっという間に石になった。
これいいね。
あ、重の邪眼のせいで石が割れた。
重と石化、なかなか怖いコンボだね。
これは使える。
欠点としては食べられなくなることかな。
『あと使ってないのもあるけど、それは後で試そう。』
『そうだね。』
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進化してから数日ぐらい。
私たちは見かけた魔物は全て狩って食べる日々を送っていた。
レベルアップに必要な経験値が増えたのか、上がったのは3レベルほど。
蜘蛛さんはレベルアップによるステータス上昇量に驚いてたけど、私はあれだけ狩って3レベルしか上がっていないことに驚いていた。
このスピードだとLV10までは時間がかかりそう。
それにゾア・エレやインレント・クイーンは上位種の可能性があるから進化に必要なレベルはLV20ぐらいかもしれない。
だとしたら進化まではかなり時間がかかりそうだ。
それまでにとんでもない強敵に出会わないことを祈るばかりだよ。
そんなことを考えていると、蜘蛛さんの鑑定がカンストした。
『お!元ダメな子鑑定さん!やったカンストしたんだね!!』
『おー。』
蜘蛛さんがナマズを初めて食べた時以上に喜んでる。
私はスキルポイントでレベルを上げたからカンストしても特に感動は無かったけど、蜘蛛さんは一番最初に取って地道にあげてきたスキルだもんね。
そんなスキルがカンストしたらそりゃ喜ぶよね。
『あー……派生とか進化ないのか。いやーできればあってほしかったんだけどなー?』
『私の時はそういうの無かったよ。』
『分かってるよ、これは願望。願望を持つのはタダだからね。』
『そうだね。』
それでも蜘蛛さんは本当に残念そうだ。
うーん、天の声さん?
蜘蛛さんの願望くらい叶えてくれないかな?
『え?何何!?』
『どうしたの蜘蛛さん。』
突然、蜘蛛さんの体が跳ねる。
『え!?え!?』
『蜘蛛さーん?』
一体どうしたんだろう。
ものすごく気になる。
《「同心」の効果により、スキル「叡智」を獲得しました》
《「鑑定LV10」が「叡智」に統合されました》
《「探知LV10」が「叡智」に統合されました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「禁忌LV8」が「禁忌LV9」になりました》
《条件を満たしました。称号「叡智の支配者」を獲得しました》
《称号「叡智の支配者」の効果により、スキル「魔導の極み」「星魔」を獲得しました》
《「MP回復速度LV5」が「魔導の極み」に統合されました》
《「MP消費緩和LV3」が「魔導の極み」に統合されました》
《「護法LV1」が「星魔」に統合されました》
……。
………。
………へ?
なにこれ?
どういうこと?
蜘蛛さんも頭抱えてるし、なんなのこれ?
『蜘蛛さん?これは一体?』
『あ、ありのまま今起こったことを話すぜ。鑑定がカンストして進化や派生を期待していたら上位管理者Dが要請を受諾して〈叡智〉を作った。何を言ってるのか分からないかもしれねぇが、私もわけがわからなかった。頭がどうにかなりそうだった。上位管理者だとか要請を受諾しただなんて奇妙なんて言葉じゃあ断じてねぇ。もっと恐ろしい何かを味わったぜ。』
『結構余裕そうだね。』
『まーそんなやべー奴に私たちがどうにか出来るわけないじゃん?』
『まぁそうだね。』
スキルを好きに構築できるやつなんて会いたくない。
叡智も魔導の極みも星魔も全部とんでもないスキルだし、それをスッと作れちゃうなんて神様か何かじゃないかな。
勝てるわけないね。
自分の家があるなら帰ってたよ。
『だからねタニシちゃん。見られてることは抗いようがない。ならば私たちはどうするべきだと思う?』
『どうするべきなの?』
『その見てる奴に私たちの一生を忘れられないものにするために燃えるように生き、華々しく散ってやろうじゃないか!!』
『おー!』
前から思ってたけど、蜘蛛さんすごいメンタルしてるよね。
誰かに監視されている、そんなことを知っても明るく生きるその姿は眩しく見える。
蜘蛛さんは私の憧れでもあるし大切な仲間でもある。
あの時に蜘蛛さんに出会えてよかったよ。
その後呆然としていたせいなのか糸を切り忘れ、蜘蛛さんのお尻に火が着いてしまった。
先程の一生忘れられないものにするという言葉、今の蜘蛛さんの姿こそ一生忘れられないと思う。
私も、蜘蛛さんも、きっと上位管理者Dも。
次回、「いつから上位種は1体しか出てこないと錯覚していた?」
お楽しみに。
あ、そうだ。
邪眼系スキルはどんなのがあったのか調べても分かりませんでした。
誰か邪眼に詳しい人、教えてくださいお願いします。(他力本願)