ナイスゥ!
あれから蜘蛛さんといろいろ話した。
主に蜘蛛さんの愚痴だったけど、近くのタニシと空想会話をしていた時より数倍楽しい。
持つべきものは友だね。
ちなみに愚痴の内容は今までの苦労と私が所持しているスキルポイントの量だった。
蜘蛛さんは初期所持量は100。
私は80000。
その差は800倍、文句の1つや2つや3つ言いたくなる。
言わないほうが変わっているだろうね。
のんびり屋についても羨ましがっていた。
HPとSPの回復、蜘蛛さんが死にものぐるいでやらなければ出来ないものをのんびりしてるだけで出来てしまう。
そんな私を蜘蛛さんは嫌うことなく接してくれている。
顔だけでなく中身まで美人さんだったか。
私が蜘蛛さんの立場だったら縁切ってたね。
『そういえばさ、なんでそんなにレベルが低いの?』
おっと蜘蛛さんからの質問だ。
答えなければ天罰が下る気がする、これも美人オーラによるパワーなのか。
『生まれてからのそのそ動いてただけで、レベルが上がる要素がまったく無かったからかな。』
のそのそ動いて仲間と脳内会話。
思い返すと寂しい生き方だ。
蜘蛛さんに会えてよかったよ。
『レベルを上げたいと思わないの?』
『やりたいけどこのステータスじゃ無理だよ。』
多分どんな生物にも勝てない。
のそのそしてる間に攻撃されて終わりだよ。
『じやあさ、私が魔物を倒して、タニシちゃんが止めをさすっていうのはどう?』
『…それってパワーレベリングじゃない?駄目だって聞いたことがあるけど、大丈夫なの?』
『いや大丈夫でしょ、ここはゲームの世界じゃない、現実だ。だからどんな手を使っても、勝てばよかろうなのだ!』
さすが蜘蛛さん!魔物の鑑!
自然の摂理ってやつだね。
『それじゃあ早速出発進行!』
蜘蛛さんが私に糸を巻きつけられ、身動き1つ出来なくなる。
え?どうして?
ま、まさか、私を食べる気だな!?
おのれー!あれか、楽しかったぜお前との友情ごっこってやつか!?
騙される方が悪いってやつか!
ならば道連れだー!勝てないのなら引き分けを狙ってやる!
おおおおお…………お?
いつの間にか私は蜘蛛さんの背に乗っていた。
糸もほどけていて動き放題だ。
え?食べないの?
いつもより高い視点に驚きながらも蜘蛛さんが何を狙ってるのか考えてみるが、なにもわからなかった。
とりあえず食べるわけではないことは分かった。
どうやら友情ごっこではなかったらしい。良かった。
蜘蛛さんが私を乗せて動いてるからタクシーに乗っている気分になる。
蜘蛛さんの平均速度能力は私の369倍、圧倒的なスピードだ。
途中下車なんてしようものならゴロゴロガッシャーン。
それでお終い。
つまり私の命は今、蜘蛛さんが握っている。
いまここで前転をするだけで私をシミにすることもできる。
…そう考えるとものすごい怖くなってきた。
い、いや全然怖くない。全く怖くない。
蜘蛛さんは大切な友達だからね!
そんなことをするはずがない…多分。
『お、あいつらか。』
ん?どうした蜘蛛さん。
おや、目の前に三匹の魔物がいるぞ。
どれどれ?
エルローランダネル…?
ステータスを見る限りでは蜘蛛さんすら負けるほどだけど、蜘蛛さん的にはそんなに脅威ではないっぽい?
一体蜘蛛さんはあいつらをどう倒すのか、その実力、しかと目に焼き付けてやる。
私だったら食われる瞬間に腐蝕攻撃かな。
『喰らえ、投網!』
蜘蛛さんが糸で作った網をエルローランダネル達に投げつける。
それだけで彼らは動けなくなり、蜘蛛さんが圧倒的有利になった。
なんということでしょう、ステータスが上の敵をあっという間に無力化したではありませんか。
蜘蛛さんはこの戦法で数多の強敵を倒してきたのかな。
ということはステータスだけで勝負が決まるという訳では無い、そのことが証明された。
『さ、タニシちゃん、止め。』
『ん?分かった。』
私は蜘蛛さんから降りて糸グルグルなエルローランダネルに歯を向ける。
腐蝕攻撃!
そして思いっきりエルローランダネルに噛み付く。
その瞬間、噛み付いた場所が崩壊し、塵になって消えた。
えぇ…。
『えぇ…。』
名前から考えて腐ると思ってたけど、まさかこうなるとは…。
死の崩壊を司るってこういうことだったのね。
死んだらみんな自然に帰る、それを生きたままさせるのが腐蝕属性なんだろうね。
怖。
そのままもう一匹攻撃し、残りは蜘蛛さんが倒した。
私の攻撃は食べるところを減らすからやりすぎはダメ。
残った部分は蜘蛛さんが美味しくいただいた。
私も一口食べたけど…まずかった。
蜘蛛さんもまずいと思ってるらしいけど生きる為にはしょうがないから我慢してるって。
《経験値が一定に達しました。個体、エルローゲーレイシューがLV1からLV3になりました。》
《各種基礎能力値が上昇しました》
《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「腐蝕攻撃LV5」が「腐蝕攻撃lv6」になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「腐蝕耐性LV5」が「腐蝕耐性LV6」になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「のんびり屋LV1」が「のんびり屋LV2」になりました》
《スキルポイントを入手しました》
お、これが噂に聞くレベルアップ。
ものすごい上がるね。
どうなったか確かめて見ようっと。
鑑定!
《エルローゲーレイシュー(篠前 ゆりか) LV3
ステータス
HP:232/232(緑)
MP:5/5(青)
SP:229/229(黄)
:229/229(赤)
平均攻撃能力:8
平均防御能力:228
平均魔法能力:5
平均抵抗能力:225
平均速度能力:2
スキル
「腐蝕攻撃LV6」「腐蝕耐性LV6」「鑑定LV9」「のんびり屋LV2」「n%I=W」「念話LV1」
スキルポイント:79320
称号
「のんびり屋」》
…なんというかすごい極端。
一部の数値だけ見たら強いけど、それ以外が残念過ぎる。
蜘蛛さんも私のステータスを見たようで微妙な顔をしている。
『のんびり屋すごいね。』
『…そうだね。』
やっぱスキルポイント使ってなにか強化系スキルを取ったほうがいいのかな。
でも必要ポイントが高いんだよね。
例えば〈剛力〉。
これはスキルレベル×10分を平均攻撃能力にプラス補正が掛り、レベルアップ時にスキルレベル分の成長補正が掛かるというもの。
なんと必要スキルポイントは1500。
まだ取れるスキルを知り尽くしていないこの状況で、1500ポイントは高いかな。
まぁこれより多く必要なのが蜘蛛さんのスキル〈韋駄天〉。
このスキルの効果はスキルレベル×100分を平均速度能力にプラス補正とレベルアップ時にスキルレベル×10分の成長補正が掛かるという私が今最も求めているスキルだ。
なんと必要スキルポイントは10000。
今持ってるスキルポイント全部注いでもカンストしないという、タニシはずっとのそのそしてろと言わんばかりの高さ。
確かに速いタニシなんて見たことないから、タニシである限り鈍足からは逃げられないのかも知れない。
『ねぇ蜘蛛さん、どうしたらいいと思う?』
『うーん…取るだけ取ってさ、後は地道にレベルを上げればいいんじゃない?』
!!…そうか、別に最初からカンストさせなくても良いんだ。
変にスキルポイントが沢山あったから地道に上げるという発想が出てこなかった。
これはあれか、庶民と貴族みたいな…そんな感じのやつだ!
『ありがとう、蜘蛛さん。』
『お、おう。』
そうと決まればスキル取得をしよう。
10000はきついけど…弱点が克服されると考えればむしろプラスだ。
《現在所持スキルポイントは79320です。
スキル〈韋駄天〉をスキルポイント10000使用して取得可能です。
取得しますか?》
うん。
《「韋駄天LV1」を取得しました。残りスキルポイントは69320です》
よし。
えーっと次は何にしようかな?
『あれ?ひょっとしてタニシちゃん、韋駄天取った!?』
『わわっ!びっくりした。そうだよ蜘蛛さん。』
『えー…私のアイデンティティが…。』
『ごめんね。でも弱点を克服したかったの。』
『いや、いいよ。私には毒と糸があるからね!』
やさしい。
さて、スキル調べの続きだ。
…ん?〈怠惰〉?なにこれ?
必要スキルポイントは100。
一体どんな効果なのか、見せてもらおう!
『怠惰(100):神へと至らんとするn%の力。自身を除く周辺のシステム内数値の減少量を大幅に増加させる。また、Wのシステムを凌駕し、MA領域への干渉権を得る』
……?
………?
…………?
よく分からないけど、強そうだ。
必要スキルポイントは100だし、試しに取ってみよう。
《現在所持スキルポイントは69320です。
スキル〈怠惰〉をスキルポイント100使用して取得可能です。
取得しますか?》
いいよ。
《「怠惰」を取得しました。残りスキルポイントは69220です》
《条件を満たしました。称号「怠惰の支配者」を獲得しました》
《称号「怠惰の支配者」の効果により、スキル「睡眠無効」「退廃」を獲得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「禁忌LV2」を獲得しました》
なんかいっぱい手に入った。
これらのスキルが使えますように。
スキル怠惰についていろいろ調べたけど情報が少なすぎる。
怠惰の支配者はなんの効果があるんだってばよ。