タニシですが、なにか?   作:マリモ二等兵

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中層の終わり

 「******」

 

 管理者ギュリエディストディエスが謎の言語で喋りだす。

 うん、まったく分からない。

 聞いたことがない発音をする言語だね。

 聞いたことのない言葉を聞くと、なんだかここは異世界なんだなって思う。

 

 「*******」

 

 んー……。

 困った。

 まだ完全に解読しきれてないけど禁忌でこの世界についてなんとなく分かっている。

 管理者ギュリエディストディエスについてもある程度は知っている。

 でもこの世界の言葉についてはさっぱりなんだ。

 そういえばなんで管理者ギュリエディストディエスは私たちなんかに会いに来たんだろう?

 禁忌がカンストしたから?

 龍が滅んだから?

 考えても全然分からない。

 そういうのは聞くのが一番だけど、言葉が……。

 管理者ギュリエディストディエスも困った顔をしてるし、どうしよう。

 

 そんなとき、空からスマホが落ちてきた。

 

 ……なんでスマホ?

 

 〘もしもし、こちら管理者Dです。〙

 

 !!

 管理者Dって……。

 この世界のシステムを作った張本人じゃん。

 へーこんな声してたんだ。

 綺麗だけど平坦で不気味な声だ。

 日本語とこの世界の言葉、二重の言語で話してる。

 

 『管理者D……まじか。』

 

 蜘蛛さんがびっくりしてる。

 まぁここに管理者が2人…いや二柱もいるからね。

 そりゃびっくりするか。

 管理者ギュリエディスト……長いからギュリギュリでいいや。

 ギュリギュリさんが熱々の地面に落ちているスマホを手に取る。

 

 「*******」

 

 〘************〙

 

 「*****************」

 

 〘****〙

 

 「……******」

 

 ギュリギュリはその言葉を最後に空間転移で帰っていった。

 まるでわけが分からんぞ!

 例えるなら1週間休んだ後の数学並に分からない。

 置いてけぼりだ。

 

 〘彼には話して置きましたので今後貴方達に関わってくることはないでしょう。〙

 

 それはどうも。

 管理者が向かってくるとか勝ち目ないしね。

 

 〘さて、貴方達は禁忌がカンストしているので私の正体はご存知なのでは?〙

 

 『邪神でしょ?』

 

 〘ピンポーン、正解です。〙

 

 あれ、案外お茶目な邪神なのかな?

 声に感情がまったく感じられないけどね。

 

 〘お茶目ですか、言われたことがありませんね。〙

 

 ……ん?心読んだ?

 

 〘はい。〙

 

 『え、何?独り言?』

 

 〘そこのタニシさんが私のことをお茶目だと思っていたので、心を読ませていただきました。〙

 

 『あ、そういうこと。……お茶目か?』

 

 蜘蛛さんは心を読むなんてできないからね。

 Dさんが独り言を言ってるように聞こえるのも無理はない。

 次からは蜘蛛さんに分かりやすいように思ったことは口に出しておこう。

 

 『あ、そうだD、貴方にいくつか聞きたいことがあるんだった。』

 

 〘なんでしょう。〙

 

 『なんでシステムなんて作ったの?あんたなら星一つ救うぐらいできるでしょ。』

 

 〘救う理由がありません。〙

 

 『あ、そう。じゃあさ、なんで叡智なんてスキルを追加したの?』

 

 〘それはただのご褒美です。〙

 

 『え?』

 

 〘頑張ったご褒美ですよ。〙

 

 『いやその…えー…うん、助かったわ、ありがとう。』

 

 〘どういたしまして。〙

 

 ご褒美かー…。

 まぁ叡智は役に立ってるし、素直に感謝しておこう。

 

 『あとは……んー…あ、そうだ。なんで私たちは転生したの?』

 

 『あ、確かに。なんで?』

 

 転生したっていうことは死んだってことだよね。

 前世で最後の記憶は古文の授業中に突然激痛に襲われたっていう記憶。

 その激痛で死んだんだろうけど、その激痛の正体が知りたい。

 

 〘そうですね。貴方達がなぜ死んでしまったのか、教えましょう。〙

 

 Dさんが私たちがなぜ死んだのか、ようは死因について話し出す。

 それを簡単にまとめるとこんな感じかな。

 

 先代勇者と先代魔王は思った。

 そうだ、管理者を殺りに行こう。

 どうやら別の世界にいるらしい。

 どうする?

 そうだ!

 次元魔法で直接攻撃だ!

 これしかない!

 よし、やろう!

 あ、システムの補助が!

 もう駄目だ!

 教室どっかーん。

 

 はぁ……。

 酷い話を聞いたよ。

 ようはあれだ。

 私たちはとばっちりを喰らったということだ。

 迷惑な話だよ。

 

 『先代勇者と先代魔王……何してくれてんの……。』

 

 『だね。』

 

 〘他に何かありますか?深いもので無ければ教えますよ?〙

 

 他に何かあったっけ。

 うーん?

 えーっとあれだ。

 

 『ねぇDさん、監視してるのは何で?』

 

 〘監視というより観戦と言ってください。貴方達のことは見ていて飽きませんから。〙

 

 『ようは娯楽で見てるってこと?』

 

 〘はい。蜘蛛さんの念話だだ漏れ事故とか蜘蛛さんのお尻に火がついた事故とか色々見せてもらってます。〙

 

 『おいちょっと待てい!!私の黒歴史じゃん!忘れて!忘れろ!!』

 

 〘ご安心を。しっかりとDVDに焼き付けていますよ。〙

 

 『安心できねー!早く捨てろそのDVD!』

 

 〘捨てる意味がありません。〙

 

 『私が恥ずかしいんだよ!おいやめろ!脳内で流すな!』

 

 頭の中で高テンションで独り言を喋り続ける蜘蛛さんとお尻に火がついた蜘蛛さん、2つの映像が同時に流れてくる。

 うん。

 もしこれが私だったらと思うゾッとするね。

 

 〘ふぅ、一通り楽しんだので私はここで。今回は貴方達の心を読んでいましたが、普段見てるときは読んでいませんのでご安心を。〙

 

 『あ、じゃあDさんのことで愚痴っても普段ならDさんには聞こえないのね。』

 

〘そういうことです。そういえば貴方達は管理者を目指しているそうですね。〙

 

 『そうだけど……なにかまずい?』

 

 それ知ってるのか。

 実は普段も心の中を読んでたりするんじゃないの?

 

〘いえ、何も。それでは貴方達が管理者になるのを楽しみにしておりますので、頑張ってください。また会いましょう。〙

 

 そういってスマホは空間の揺らぎすら感じられず消える。

 

 そういえば揺らぎが感じられないって……地味に凄いことしてるよね。

 まだ空間転移したことがないからどれくらい難易度が高いのか知らないけど、ギュリギュリさんでも空間が揺らいでたからきっとものすごく高いのだろう。

 私がやったらどうなることやら。

 

 『はぁ……最悪な目にあった……。』

 

 蜘蛛さん、お疲れ様。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 ギュリギュリとD。

 二柱の管理者と出会って数日後。

 私たちは上層への道を探していた。

 

 管理者達に会ってすぐに、私たちは色々なことを話し合った。

 禁忌で存在は知ってたけど実際に会ってみてその力の強さを思い知った。

 そして私たちが目指しているのは管理者。

 つまりあのレベルまで強くならなければならない。

 Dさんまで無理でもギュリギュリさんぐらい?

 それも無理か。

 でも神といえるぐらいには強くならないといけない。

 というか管理者は神だしね。

 でも、神になるにはどうすれば良いの?

 死のノートで悪人を裁いていればなれるの?

 ぶっちゃけ神になる方法はまだはっきりとしていない。

 でも必ずなって見せる。

 Dさんの言葉を思い出そう。

 “管理者になるのを楽しみにしている。”

 そう言ってた。

 Dさんは私たちが神になれることを否定していなかった。

 つまり、この世界のどこかに神になれる何かがあるんじゃないか。

 希望を見せて私たちがとどくはずのない物に手を伸ばしている姿を見て嘲笑おうとしている可能性もある。

 それでもその神になれる何かを探そう。

 そう蜘蛛さんと話し合いで決まった。

 

 神になれる何かはエルロー大迷宮にあるかもしれないけど、とりあえず外に出ることを目標にしてる。

 もしエルロー大迷宮にあるとしたら最下層だろう。

 最下層にはきっと蜘蛛さんのお母さん、マザーがいるはず。

 神になれる何かはそのマザーが守ってる可能性がある以上、今のステータスで挑むのはまずい。

 だから外でレベリングをして、力がついたら最下層に向かう。

 そのためにはまずこの中層をぬける必要がある。

 まぁ結局最初の目標は会う前と変わらない。

 

 そういうことでどこかなどこかなと辺りをキョロキョロ、上に向かう道はないのか探していると、見つけた。

 上に向かう道。

 それはただの坂だが、私たちにとっては地獄から出られる希望の坂に見えた。

 

 『おお!これはあれか!あれだよ!』

 

 『そうだね蜘蛛さん。』

 

 『イヤッホー!』

 

 『相変わらず速い……。』

 

 もう蜘蛛さんあの火龍よりスピードがあるもんね。

 いやー。

 それにしてもこの中層で私たちかなり強くなったと思う。

 最初にここに来たときのステータスはどれくらいだったっけ。

 確か防御力が2000いくかいかないかぐらいだっけ?

 攻撃能力と魔法能力は2桁台で極端なステータスをしてた記憶がある。

 いや今も極端ではあるけども。

 2000ぐらいの防御力から7000に変わって、抵抗能力なんて10000超え。

 2桁だった攻撃能力と魔法能力は1700ぐらいと4400ぐらいになった。

 スピードも2500はある。

 その分倒した魔物も多いけどね。

 中層だけで殺戮者と殺しの称号をとるぐらい倒してる。

 うん。

 強くなるのも無理もないね。

 そう思うと中層は、私たちを大きく育ててくれた場所なのかも知れない。

 うーん……。

 お礼言っとく?

 いや、良いや。

 地獄にお礼を言うのは変だし。

 

 

 

 

 




 
 原作より強い蜘蛛子とカチコチタニシが上層に出る?
 あ、ふーん。
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