タニシですが、なにか?   作:マリモ二等兵

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上を向けば空

 人に呪怨を当てたら死んでいた。

 

 これは何秒も当て続けたとかじゃない。

 一瞬、ほんの一瞬当てただけ。

 それだけで人のステータスが0になった。

 平均ステータスが300とか高い奴で500ある連中だ。

 それが瞬殺。

 そうなったのは彼らが弱いんじゃなくて私が強いからだろうね。

 だって私、龍形態なら魔法能力18000とかあるし。

 邪眼は魔法に分類されるらしく、その威力はスキルレベルと魔法能力に依存する。

 スキルレベルはカンスト、魔法能力18000。

 それを500ぐらいの連中がくらう。

 うん、死ぬね。

 

 それで何人か、蜘蛛さんと私で13人の人間を倒したらレベルアップした。

 しかも2つ。

 え?

 経験値多くない?

 1人あたりグレーター超えてるじゃん。

 経験値美味しい。

 ちょっとやる気が出てきた。

 

 蜘蛛さんが私の頭から降りる。

 少し前まで私が乗ってたのに今は乗せる側か…。

 感慨深いね。

 

 ん?男の人が何か魔法を使ってる。

 あれは……召喚か。

 へーあんな感じなんだ。

 出てきた魔物は?

 うーん……。

 あんまりかな。

 あ、でも風魔法を使ってきた。

 魔法をコピーするために少し生かしておこう。

 あれ?なんか悪役みたいな考え方だね。

 まぁ、いっか。

 召喚士の人が出したフグはどうやら水竜らしい。

 竜……?

 あ、でも火竜もタツノオトシゴだったし水竜がフグでもなんら不思議ではないか。

 ん?あれは水魔法?

 いや、あれは水竜のスキルか。

 まぁ水耐性とかありそうだし蜘蛛さん、くらっといて。

 

 『もとからそのつもりだよ。』

 

 『流石だね。』

 

 ピンク色のトラは?

 魔法を使わないのか……。

 

 『いらね。』

 

 蜘蛛さんはそう言って前足の鎌でトラを一刀両断する。

 縦に切ったから横から色々出てきてるね。

 んー。

 グロいけど…なぜか大丈夫。

 前世ではグロいのは駄目な方だったんだけど、魔物に転生したからかな?

 

 あれは亀…かな?

 甲羅に石を背負っているというより甲羅が石だけど。

 見た目通り防御力は高めだね。

 邪眼でほいほい。

 かめはしかばねになった。

 

 『お?逃げる気か?』

 

 『逃がす?』

 

 『うむ。逃げる、ということは出口に向かっている可能性が高い。あいつらにマーキングをしてあるからそれで出口の場所がわかるぞ!』

 

 『やった。』

 

 『タニシの子供達がさ、探してくれればもっと早く行けたのかもしれないけどね?』

 

 『子供達に出口を探すよう何度も言ってるんだけどね。わかったって返事しといて全然やろうとしない。』

 

 『タニシちゃんに似たんじゃね?』

 

 『失礼な、私はやるときはやるよ。』

 

 『子供達にとっては今はやるときじゃないんじゃない?』

 

 『………そうかもしれない。なら仕方ないか。』

 

 『えぇ……。』

 

 そんな会話をしながら攻撃していると、気がついたら転移の準備をしている魔法使いとMPカツカツな召喚士の人だけが残った。

 蜘蛛さんが適当に暗黒槍を放つ。

 魔法使いを押し、召喚士の半身が吹き飛ぶ。

 魔法使いは自身を庇った召喚士を抱えながら転移した。

 なんかドラマティック。

 

 『ふぅ……さて、後は逃げていった人達が出口につくのを待つだけだ。』

 

 『……ねぇ、これって食べる?』

 

 『え?あー……うん、食おう。』

 

 うん、何がとは言わないがそこそこ美味しかった。

 

 

 

 

 

 

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 適当にレベリングをしていたある日のこと。

 蜘蛛さんから連絡があった。

 

 マーキングした兵士が、出口らしきところに着いたと。

 

 それを聞いて私は即座に蜘蛛さんのところに転移。

 蜘蛛さんはこの時を待っていたと言った。

 私も同じ気持ちだ。

 美味しくない食べ物、豊かな緑はなく、赤いマグマの海が広がる、このエルロー大迷宮。

 そこから出られるかもしれないのだ。

 なぜかワクワクする。

 前世では見飽きるほど見た自然が、今では恋しい。

 それが見れる。

 うーん、素晴らしい。

 

 というわけで、やってきました出口前。

 ちなみに今の形態はタニシ形態。

 できれば龍形態でいたかったのだけれど、流石に無理そうだった。

 天井を突き破って出ることも考えたのだけどそれは蜘蛛さんに却下された。

 

 あー。

 タニシの姿になるとなんだか窮屈だ。

 体中が締め付けられてるみたいで嫌だ。

 でも我慢我慢。

 全ては豊かな自然のために。

 

 出口らしき場所からは光が漏れ出している。

 そう、光。

 中層でみたようなマグマによるものでも、下層でみたような地龍のブレスによるものでもない。

 母なる太陽からサンサンと降り注ぐ、生命の光だ。

 

 私たちはその光を浴びるために出口に直行する。

 体が光で照らされ始め、ついには全身が照らされた時、悲鳴が聞こえた。

 見ればマーキングしていた兵士がおり、腰を抜かしていた。

 周りを見てみると壁のようなものがあり、その上に人が立っている。

 

 警備員の方ですか?

 すいません、ここから出ても良いですか?

 帰ってきたのは矢の雨。

 そんな彼らに暗黒弾をプレゼント。

 人には当ててない、壁に当てただけ。

 爆ぜる壁。

 吹き飛ぶ人間。

 入る経験値。

 私たちは知らんぷり。

 あんな風になるなんて私は知らなかった、誰も教えてくれなかったでしょ!

 

 そんなハプニングがあったけれど、外に出たことには変わりない。

 鳥のさえずりが聞こえるし、緑が広がってる。

 黄色だけの花に蝶々、ふっくらとした果実が実る木。

 どれも迷宮内では見れなかったものだらけだ。

 遠くに白い煙がたってるけど無視無視。

 きっと遠くでキャンプファイヤーやってるんだよ。

 私には関係ない。

 ホントダヨー。

 

 お、木の実発見。

 ふむふむ、実は甘いとな?

 これは食べずにはいられない!

 というわけでいただきます。

 嗚呼甘い……。

 良いね。

 甘いのはそんなに好きじゃなかったけど良いねこれ。

 ほどよい甘さでさ、しっとりしていてさ。

 なんかこう……美味しいね。

 

 む?魔物発見。

 でも弱いね。

 ステータス100ぐらい?

 上層ぐらいの魔物か。

 破滅弾どーん。

 貫通。

 その奥の木も貫通。

 またその奥の木も貫通。

 またまた……。

 いや貫通しすぎ。

 これじゃ破滅弾はあまり使えないかな。

 それじゃあいただきます。

 お、この魔物美味い。

 美味しい自然で育ったからかな?

 むしゃむしゃ。

 ごちそうさまでした。

 

 あーやっぱり想像してた通り外に食べ物美味しいなー。

 

 『そのために出たと言っても過言ではない!』

 

 『いやー……いいね…。』

 

 『いいわー…。』

 

 今現在、私たちは海に来ている。

 なにをしに来たのかというと、釣りのためだ。

 山の幸は堪能した。

 ならば次は海の幸だ。

 適当な枝を見つけて糸を垂らす。

 その糸の先端になにか食べられるものをくっつける。

 これで釣りが出来る。

 

 『お!引っかかった!…なかなか引きが強いな!』

 

 『がんばれ。』

 

 『言われなくても……!よし、イケる!』

 

 蜘蛛さんがなにかを釣り上げる。

 引っかかっていたのはなんと水龍。

 釣りに引っかかる龍がいるなんて知りたくなかったよ。

 見た目が龍らしい姿をしているせいで残念度がすごい。

 

 そんなことを思っていると水龍がブレスの準備をする。

 青く光ってるし水属性のブレスかな?

 飛んでくるブレスを回避。

 そっちがブレスを放ってくるのなら私もやってやる!

 

 龍化、発動。

 

 一瞬、世界を闇にすると水龍の目の前に黒い鱗にオレンジ色の模様をした東洋龍が出現する。

 その龍は私だ。

 さて、ブレス返しをしよう。

 私は口にエネルギーをためる。

 水龍は動かない。

 体が震えているように見えなくもない。

 

 『ちょちょちょっとタニシちゃん!何やってるの!』

 

 『あっちがブレスを放ってきたからお返しに私もね。』

 

 『変なことに対抗心燃やすな!』

 

 ……よし。

 準備万端だ。

 スキル「終焉の龍LV8」の能力「終焉の嵐」。

 これは前方に破滅、腐蝕、闇、衝撃、貫通の5属性を混ぜたものを発射するというもの。

 ようはシヌガヨイ。

 

 背後の海ごと消えて無くなれー!

 

 私は終焉の嵐を放つ。

 それにより、射線上に何も残っていなかった。

 水龍も、海も。

 海底には穴が空いている。

 底は見えない。

 うん。

 終焉の嵐、すごい。

 ものすごい威力だよこれ。

 溜めが長いのと撃ってる時は体が硬直しちゃうのが弱点だけどね。

 

 『うわー……不死あっても死にそうだわ。』

 

 『すごいね。』

 

 『水龍跡形も残ってねー。』

 

 『あ、食べられないじゃん。ごめんね。』

 

 『いいよいいよ。終焉の龍のスキルを試せたし。』

 

 『まさかここまで強力だったとは……ん?』

 

 遠くからなにか近づいてくる?

 え?速すぎない!?

 もう着ーっ!!

 

 私は高速ななにかに攻撃され、バラバラになる。

 HPは、0だ。

 

 それでも生きてるのは不死のおかげかな。

 あ、そういえば共存でHP共有してたね。

 ということは?

 私は蜘蛛さんを鑑定する。

 

 『HP:0/35210』

 

 蜘蛛さーん!?

 うわっHP0で動いてる!

 呆然としてないで早く逃げて!

 速いなにかに殺されちゃうよ!

 いやもう死んでるはずなんだけどさ!

 お、速いなにかの姿が見える。

 ん?女の子?

 とりあえず鑑定。

 む?妨害された。

 なら叡智で。

 

 『オリジンタラテクト LV139 名前 アリエル 

  ステータス

 HP:90098/90098(緑)

 MP:87655/87655(青)

 SP:89862/89862(黄)

   :89856/89856(赤)

 平均攻撃能力:90021

 平均防御能力:89997

 平均魔法能力:87504

 平均抵抗能力:87489

 平均速度能力:89518

 スキル

「HP超速回復LV10」「MP高速回復LV10」「MP消費大緩和LV10」「SP高速回復LV10」「SP消費大緩和LV10」

 「魔力精密操作LV10」

 「魔神法LV10」「魔力付与LV10」「魔法付与LV10」「大魔力撃LV10」「闘神法LV10」「気力付与LV10」「技能付与LV10」「大気力撃LV10」「神龍力LV10」「神龍結界LV10」

 「破壊大強化LV10」「打撃大強化LV10」「斬撃大強化LV8」「貫通大強化LV9」「衝撃大強化LV10」「状態異常大強化LV10」「猛毒攻撃LV10」「強麻痺攻撃LV10」

 「毒合成LV10」「薬合成LV10」「糸の天才LV10」「神織糸」「操糸LV10」「念力LV10」「投擲LV10」「射出LV10」「空間機動LV10」「連携LV10」「軍師LV10」「眷属支配LV10」「産卵LV10」「召喚LV10」「集中LV10」「思考超加速LV6」「未来視LV6」「並列意思LV4」「高速演算LV10」「命中LV10」「回避LV10」「確率大補正LV10」「隠密LV10」「隠蔽LV10」「無音LV10」「無臭LV10」「帝王」

 「鑑定LV10」「探知LV10」

 「外道魔法LV10」「火魔法LV8」「水魔法LV10」「水流魔法LV5」「風魔法LV10」「暴風魔法LV10」「嵐天魔法LV10」「土魔法LV10」「大地魔法LV10」「地裂魔法LV10」「雷魔法LV10」「雷光魔法LV8」「光魔法LV10」「聖光魔法LV2」「影魔法LV10」「闇魔法LV10」「暗黒魔法LV10」「毒魔法LV10」「治療魔法LV10」「空間魔法LV2」「重魔法LV10」「深淵魔法LV10」

 「矜持LV5」「激怒LV9」「暴食」「昇華」「簒奪LV8」「休LV9」「堕淫LV4」

 「物理無効」「火炎耐性LV5」「水流無効」「暴風無効」「大地無効」「雷光無効」「聖光耐性LV8」「暗黒無効」「重無効」「状態異常無効」「酸無効」「腐蝕大耐性LV7」「気絶無効」「恐怖無効」「外道大耐性LV6」「苦痛無効」「痛覚無効」

 「暗視LV10」「万里眼LV10」「五感大強化LV10」「知覚領域拡張LV10」「神性領域拡張LV3」「大魔王LV10」「天命LV10」「天魔LV10」「天動LV10」「富天LV10」「剛毅LV10」「城塞LV10」「天道LV10」「天守LV10」「韋駄天LV10」「禁忌LV10」

 スキルポイント:0

 称号

「人族殺し」「人族の殺戮者」「人族の天災」「魔族殺し」「魔族の殺戮者」「魔族の天災」「妖精殺し」「妖精の殺戮者」「妖精の天災」「魔物殺し」「魔物の殺戮者」「魔物の天災」「竜殺し」「竜の殺戮者」「竜の天災」「龍殺し」「龍の殺戮者」「無慈悲」「悪食」「血縁喰ライ」「暗殺者」「毒術師」「糸使い」「人形使い」「率いるもの」「覇者」「王」「古の神獣」「暴食の支配者」「魔王」』

 

 え?

 なにこれは?

 きゅーまん?

 なにこの膨大なスキルと称号は。

 それに魔王?

 この子が魔王なの?

 あ、蜘蛛さんがバラバラになった。

 首だけで生きてるね。

 あんこ詰まってそう。

 私が言えたことじゃないけど。

 というか私龍形態でバラバラになっちゃったから辺り一面私だらけだよ。

 いくつか海に流れてるし。

 それに合わせて海が血に染まってきてるし。

 そのいくつかの中に私も含まれてる……のなら良かったんだけどなぁ……。

 あー蜘蛛さん行かないで。

 首だけで流されないで。

 あー魔王さん、こっち見ないで。

 生きてることに驚かないで。

 蜘蛛さんを追おうとしないで。

 あれ?見失ったの。

 蜘蛛さん流れるの速いね。

 

 「************?」

 

 すまねぇ、異世界語はさっぱりなんだ。

 

 「*********。」

 

 だからわからないよ。

 

 「………****。」

 

 突然、魔王が魔法を展開する。

 この複雑さ、さては深淵魔法だね?

 あー………あ、不死あっても死ぬやつじゃん。

 あれ、私はここで死んじゃうの?

 うーん。

 ………試してみるか、魂移植。

 

 魔王が深淵魔法を完成させる。

 空から十字架が迫ってくる。

 たしかこれはLV10の反逆地獄。

 私は抵抗できずに分解されていく。

 

 そして、私の体は完全に消え去った。

 

 

 

 




 
 巨大な体はアドバンテージだけど、格上相手には的がデカイだけ。
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