パキッ……
私は卵の殻を破る。
周りには100近くの卵と300の子供達がいる。
ここは子供達のすみか。
みんな私を不思議そうな目で見ている。
そりゃね。
生みの親が生みの親の卵から生まれたら不思議に思うのも無理はない。
なぜ私がそんな不思議な状況を作り出したかというと、魔王が不死が意味をなさない魔法、深淵魔法を発動させたからだ。
魂を分解し、システムに還元するという魔法。
いくら不死でも魂が分解されれば復活なんて出来ない。
私は死ぬのが嫌だったから魂を眷属支配を通して生まれる予定の卵に乗り移らせた。
蜘蛛さんがマザーに対してやってたやつだね。
あれの逆バージョン。
子から親がいけるなら、親から子もいけるはず。
やったこと無かったからかなり不安だったけど、無事にできてよかった。
いやーそれにしても、魔王強すぎない?
ステータス90000って……。
スキルもほとんどカンストしてたし、〈暴食〉という七大罪のスキルも所有してる。
暴食、叡智の鑑定でどんな効果なのか見てみたけどかなり強力なスキルだった。
その能力はあらゆるものを捕食可能になり、HP、MP、SPをストックするというもの。
このあらゆるものをってのが凄い。
終焉の龍スキル5、終焉結界を食べて私を攻撃したからね。
終焉結界は範囲内に弱い破滅と腐蝕ダメージを与え続け、魔法妨害能力がある結界。
魔王のステータスだと破滅も腐蝕も気にしなくていいけれど、念の為食べたんだろうね。
で、その食べるスピードが凄かった。
口でかぶりつく、というわけじゃなくてなにか範囲攻撃のような感じだった。
魔王の身長ぐらいを一瞬でごっそりと食べられた。
いやー………強い!
私も七大罪スキルで対抗したいところだけど、私のスキル〈怠惰〉なんだよね……。
消費量を増やす怠惰とほぼ永久機関の暴食とじゃ相性が悪すぎる。
というか七大罪スキルで一番悪いんじゃないかな。
かといってステータスの暴力で倒せるかと言われたら、無理。
だって魔王のほうがステータスの暴力が激しいし。
こっちがただの兵士ならあっちは最新式の戦車だね。
銃でバンバン撃ってもノーダメージだよ。
………これ勝ち目なくない?
どうすればいいのさ。
……とにかく蜘蛛さんに私は無事だって連絡しとくか。
もしもーし、蜘蛛さん?
『お、おう!生きとったんかワレェ!!』
『もちろん生きてるよ。』
『今どこにいる?』
『エルロー大迷宮。』
『エルロー大迷宮……あ、魂の移植やったの!?』
『やったよ。』
『どうだった!?』
『うーん、特別な感じはないかな。あ、でもステータスが一時的に低下してるね。』
『ステータスの低下か。OK、ありがとう。』
『どういたしまして。蜘蛛さんは今どこにいるの?』
『私?私は海を泳いでるよ!』
『それ大丈夫?』
『不死のおかげで問題無し。たまに水龍に襲われるけど撃退できてるよ。』
『水龍か……何体ぐらい倒したの?』
『3体ぐらい?おかげでレベルアップして生首じゃなくなったよ。』
『おーいいね。ねぇ、転移でここに来れる?』
『ん?転移?…あー出来るね。わかった、そっちに行くよ。』
近くの空間が歪み始める。
その歪みが最高潮に達すると、そこから蜘蛛さんが現れる。
『私、参上!……ちっさ!』
『生まれたてだからね。』
『あ、そっか。何日ぐらいで戻りそう?』
『うーん……分からない。』
『そっか、なにか食べ物とかいる?』
『のんびり屋があるからそこらへんは大丈夫だよ。』
『あー…やっぱのんびり屋便利だなー。』
『だねー。』
ピキピキ……
お、そろそろ周りの卵が孵化するね。
この卵達はゼル・ゾロフになってから産んだ卵だから何が生まれてくるのか楽しみだ。
『レッサーホロ・ライユ LV1』
おーリトルレッサーホロ・ライユじゃなくてレッサーが生まれるのね。
一段階上の種族を産める……いいね。
でも私って龍の因子があるんだよね?
この子達にあるのかな。
うーん……。
Dさんの話を思い出すとこの子達に龍の因子は無いかな。
まぁ、あったら龍が量産出来ちゃうし、当たり前だね。
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13日の時を経て、私、復活!
ステータス完全回復!
体のサイズも従来のものとなっている。
つまり、私は復活した。
復活したての時のステータスは平均100ちょい。
生まれたてにしてはまぁまぁある。
それが今では10000超え。
百倍だ!
さて、私が復活するまでになにかあったのかというと案外何も起こってない。
魔王にマーキングをつけといたけど外でぐるぐる蜘蛛さんを探している。
多分まだ蜘蛛さんが海をどんぶらこしてると思ってるんだろうね。
残念だったな、もう蜘蛛さんはエルロー大迷宮にいる。
どれだけ外を探しても居ないぞ!
さて、私たちは現在下層…いや、最下層に来ております。
なぜそんなところに来たのか。
神になる何かを見つけるため?
それは違う。
それっぽいのは見つけたけど、めちゃくちゃ強い地龍達が守ってた。
平均10000ぐらいの。
それが9体。
流石にキツい。
じゃあなんで最下層に来てるんだって?
マザーを討伐するためだ。
そう、あのマザーを。
ステータス平均20000とかいう化け物だ。
いやまぁ、私も龍になったら平均ステータス19000はあるから化け物とか言えた立場じゃないけどね。
でも今回は龍にならなくても簡単に倒せそうなのである。
なぜならそのマザー、弱体化しているのだ。
ステータス平均6000ほどに。
私たちのステータスよりかなり低い。
蜘蛛さんは最近攻撃能力が10000いったそうだし、魔法能力なんて20000一歩手前だ。
課題だった紙装甲も解消され、防御力9500、抵抗能力は20000超え。
速度能力は15000もある。
私は攻撃能力が12000で魔法能力は14000ある。
進化やらのんびり屋やらで上がりまくった防御力と抵抗能力は、それぞれ22000と26000になって、速度能力もノソノソから脱却して12000だ。
龍化するとこれらにそれぞれ5000ずつプラスされる。
もちろん龍化して挑むよ。
これは勝った。
負ける要素が無い。
……フラグじゃないからね。
そんなわけで、マザーの住所まであともう少しのところで待機中。
何をやっているのかというと万里眼で罠がないかチェックしてる。
うーん……。
分かり辛いけどマザーのいるところに糸が張り巡らされてる。
ご丁寧に色を変えて壁とか床に同化してるね。
それで攻めてきた相手をぐるぐる巻きにして殺ると。
私たちがここに来ることは想定済みのようだ。
糸以外にもアークタラテクトを始めとするタラテクト種が待ち構えてるね。
今まで見たことない量だ。
全部倒したら経験値がすごそう。
そういえば万里眼に邪眼を乗せられるしもうここから攻撃すればいいんじゃないかな。
あ、駄目だ。
マザー状態異常無効持ってる。
いやでも暗黒と歪曲の邪眼でいけそう。
特に歪曲は防御力関係ないし、耐性もない。
避けることしか死を免れる方法は無いのだよ。
多分ね。
その他のタラテクト種は邪眼とか魔法で倒せる。
『蜘蛛さん、作戦を思いついたよ。』
『ん?』
『万里眼で見ての通りマザーの周りには無数の糸が張り巡らされてる。』
『え?あ、ホントだ。』
『それを私が龍化して壊す。』
『どうやって?』
『えーっと、終末の龍レベル2、最後の晩餐で。』
『なにそれ?』
『さぁ……説明には暴食の小龍を召喚するって書いてある。』
『えー…それ大丈夫?私たちに牙向いてきたりしない?てか暴食って魔王のやつじゃん。』
『多分大丈夫。きっと大丈夫。恐らく大丈夫。』
『……それで次は?』
『蜘蛛さんがマザーを倒す。』
『段階ふっ飛ばしてない?』
『今の蜘蛛さんとマザーなら力技でイケる!』
『うーんまぁ……そっか!完璧な作戦だな!』
『でしょ。』
よし、マザー討伐作戦開始。
私はマザーのいる空洞に飛び込み、龍化を発動。
それと同時に最後の晩餐!
龍形態の私の3分の1ぐらいの大きさの龍が4体ほど出現する。
その小龍達は糸のみならず待機していたタラテクト種達を食い荒らし始める。
消費MPとSPは…1000か。
終焉の龍スキル、燃費悪いんだよね。
レベル1のブレスも100は消費するからなー。
でもそれ以上に強力だから良いけどね。
あ、アークに食い止められてる。
流石にアークは無理か。
援護にブレスを放っておこう。
一応終焉結界も貼っといてと、あとブレスでそこら中を薙ぎ払っておこう。
おーおー経験値がっぽり。
あ、蜘蛛さんが降りてきた。
暗黒弾と破滅榴弾をバラ撒きながら。
もう辺り一面クレーターとタラテクト種の肉片だらけだ。
『ふはははははは!どうだマザーよ!下剋上される気分は!?』
マザーは返事に空気弾を吐き出す。
吸った空気を射出のスキルで飛ばしたのね。
圧縮された空気はとてつもない破壊力を秘めている。
ステータスに差があれど、受ければ大ダメージは受けるだろう。
だが問題はない。
蜘蛛さんのスピードなら楽々避けられる。
周りのタラテクト達をブレスで吹き飛ばしながら蜘蛛さんの戦闘を眺める。
おー蜘蛛さんの攻撃でマザーがだんだん弱っていく。
これはすぐに決着がつきそうだ。
ん?
あれ?
なぜか体中にありえないくらい力が湧いてくるぞ?
なんで?
まぁいいや。
それは後で。
む?なんで蜘蛛さんは私を鑑定してるの?
まぁ、それも後で聞くか。
蜘蛛さんがブレスを放つ。
そのブレスがマザーに命中すると大爆発を起こし、マザーは瀕死状態になった。
あれ?
蜘蛛さんこんなに強かったっけ?
いやマザーのステータスが6000ぐらいだからか。
いやでもこんな大爆発は起きないはず。
龍力は龍の力の一部を得るスキルだ。
だからいくら蜘蛛さんの魔法能力が高いからと言ってこんな本家である龍並のブレスなんて放てっこないはずなんだけど。
おかしいな。
……ま、いっか。
強いのならそれでヨシ。
『マザーよ、これで終わりだ。』
蜘蛛さんが凄まじい量の魔法を放つ。
この量は1人じゃ無理だ。
となると、蜘蛛さんの並列意思が帰ってきたのかな?
あ、マザーが息絶えた。
あの巨体が力無く倒れる。
流石マザーの経験値、どんどんレベルアップしていく。
最終的にはレベル10も上がったよ。
やった。
しかもマザー以外もたくさん倒したから、合わせて15も上がったよ。
やったね蜘蛛さん!レベルが上がるよ!
龍形態からタニシ形態に移行っと。
蜘蛛さん曰く、この形態の方が話しやすいらしいからね。
よし、さっそくステータスを見よっと。
『ねぇタニシちゃん。』
『ん?どうしたの蜘蛛さん。』
『ひょっとしてさ、気づいてない?』
『え?なにが?』
『………ステータス見てみ。』
『う、うん。』
一体なんだろうと疑問を持ちながら私はステータスを見る。
『ゼル・ゾロフ(篠前 ゆりか) LV29
ステータス
HP:48249/48249(緑)+30639
MP:33821/33821(青)+23410
SP:37803/37803(黄)+26722
:38094/38094(赤)+26674
平均攻撃能力:33649 +25107
平均防御能力:45011 +29450
平均魔法能力:34619 +23983
平均抵抗能力:46337 +25962
平均速度能力:31060 +22080
スキル
「HP超速回復LV9」「SP高速回復Lv10」「SP消費大緩和Lv10」「魔導の極み」
「吸収lv10」「共存lv10」「同心」「破滅LV9」「産卵LV10」「眷属支配LV10」「神織糸」「操糸LV10」「念力LV7」「遠話lv10」「毒合成LV10」「薬合成LV10」「集中LV10」「思考超加速Lv6」「未来視LV5」「並列意思Lv10」「高速演算Lv10」「射出LV10」「命中Lv10」「回避LV7」「確率大補正LV10」「空間機動LV10」「鉄壁LV2」「盾の才能LV2」「糸の天才LV10」「狂LV10」「挑発LV5」「隠密LV10」「隠蔽LV2」「迷彩LV4」「無音LV10」「無臭LV2」「飽食LV10」「暗視LV10」「暴君LV2」「帝王」「不死」「龍化」
「闘神法LV10」「気力付与LV10」「技能付与LV7」「大気力撃LV4」「魔神法LV10」「魔力付与LV10」「魔法付与LV2」「大魔力撃LV2」「神龍力LV9」「龍結界LV3」
「恐怖大耐性Lv2」「貫通大耐性LV5」「衝撃大耐性LV5」「酸大耐性Lv3」「気絶耐性LV6」「重大耐性LV6」「火炎耐性LV7」「水流耐性LV1」「暴風耐性LV4」「大地耐性LV4」「雷光耐性LV1」「暗黒耐性LV5」「状態異常無効」「打撃無効」「斬撃無効」「破壊無効」「腐蝕無効」「苦痛無効」「痛覚無効」「外道無効」
「外道魔法LV10」「風魔法LV10」「暴風魔法LV2」「土魔法LV10」「大地魔法LV3」「影魔法LV10」「闇魔法LV10」「暗黒魔法LV10」「深淵魔法LV1」「毒魔法LV10」「治療魔法LV10」「空間魔法LV10」「次元魔法LV7」
「激怒LV2」「奪取LV3」「叡智」「忍耐」「怠惰」「退廃」「断罪」「禁忌lv10」
「韋駄天lv10」「のんびり屋LV10」「魔王LV10」「大魔王LV1」「城塞LV10」「剛毅LV10」「天動Lv10」「富天LV10」「天命LV10」「万里眼LV3」「五感大強化LV7」「視覚領域拡張Lv10」「神性拡張領域LV9」「星魔」
「腐蝕大攻撃LV10」「外道攻撃LV3」「猛毒攻撃Lv10」「強麻痺攻撃LV10」「破壊大強化Lv10」「斬撃大強化Lv6」「貫通大強化LV6」「衝撃大強化LV6」「状態異常大強化Lv10」
「呪怨の邪眼LV10」「歪曲の邪眼LV6」「静止の邪眼LV10」「引斥の邪眼LV10」「魅了の邪眼LV4」「悄然の邪眼LV5」「狂乱の邪眼LV5」「死滅の邪眼LV3」「幻痛の邪眼LV2」「暗黒の邪眼LV10」「不快の邪眼LV3」「催眠の邪眼LV2」「石化の邪眼LV3」
「n%I=W」
スキルポイント:197830
称号
「のんびり屋」「悪食」「怠惰の支配者」「忍耐の支配者」「叡智の支配者」「魔物殺し」「魔物の殺戮者」「魔物の天災」「竜殺し」「竜の殺戮者」「龍殺し」「龍の殺戮者」「人族殺し」「人族の殺戮者」「人族の天災」「無慈悲」「恐怖を齎す者」「大崩壊」「崩壊」「覇者」「王」』
え?
な、なにこれ?
なんでこんなに増えてるの?
ステータスものすごい増えてるじゃん。
スキルほとんどカンストしてるじゃん。
称号もちょっと増えてるしどうなってるの?
『ちょっと蜘蛛さん!これは一体どういうこと!?』
『この前にさ、マザーの精神食べてるって話したじゃん。』
『う、うん。』
『精神、要は魂を食べてたんだけど……その魂を取り込んだからステータスが私に移った。』
『私はマザーの魂を食べてないよ?』
『多分共存か同心の効果じゃないかな?』
『共存は得た熟練度と経験値を共有するだけだし、同心かな?』
『多分そう。』
これはもう、あれだ。
私たちはこの世界の最強格名乗ってもいいぐらいに強くなったんじゃないかな。
それでも魔王に届いてないけどね。
ぽっと出の魔物に遅れを取らせないその圧倒的なまでの力。
まさに魔王。
あれを討伐しに行く勇者には同情するよ。
あれには王様も死んでしまうとは情けないなんて言えないね。
馬多くない?