私の世話だけしていればいいのだ。
トレーナーは私の弁当を作ると言い出したので任せてみることにした。
愛情の感じる弁当ではあったが箸を使うことやフルーツポンチが少ないことなど改善点があった。
それを伝えると、翌日はおにぎりが出てきた。フルーツポンチは無くなった。これはいけないと私はトレーナー室に飛び込んだ。
議論を重ねた末に最も効率の良い食事法にたどり着いたので良しとしよう。
メイクデビューの日程が12月に決まった。遅いスタートではあるが調整不足で初戦を飾るよりは良い。夏の盛りは既に過ぎ、ジュニアクラスはピリピリとした雰囲気に包まれている。
既にメイクデビューを果たしたウマ娘も多い。勝負という過酷な世界ではいかに仲が良かろうと蹴落として行かねばならない。18人のウマ娘のうち、栄光のセンターに輝くのは1人のみ。他はすべて敗者となる。敗者は勝者の隙を虎視眈々と狙い、勝者はいつ後ろから差されるかわからない恐怖に怯える。絶対に負けない、絶対に勝つ、お前より速い、私は速い、そういったおぞましい執念をひた隠しにしながら学園生活をおくるのだ。人一倍の実力と精神力がなければ生き残ることはできない。
12月を超えるともうすぐにクラシック3冠戦線が目の前にある。メイクデビューを果たしたのち、レースで成績を残さねば出られない伝統的な3つのレースである。
皐月賞、日本ダービー、菊花賞このレースを制したものは未来永劫語り継がれる伝説となる。
それぞれのクラシックレースにはトライアルレースと言われるものがある。トライアルレースを勝つことで、レースへの優先出走権獲得も可能だ。
12月には重賞もある。重賞とは年度ごとに恒例として行われる大規模なレースである。「毎年毎年重ねて行う賞レース」であるから重賞と言われる。重賞に勝ち、勝負感覚を養うことでトライアルレースを有利に進めようというウマ娘も多い。
クラシックレースにはクラシッククラスしか出走できない。一生に一度、すべてのウマ娘は全身全霊をかけて栄誉に臨むのだ。
メイクデビューは芝2000そして2週後に重賞のラジオたんぱ杯ジュニアステークス、これも芝2000。その後はトレーニングを行い、皐月賞トライアルである弥生賞、芝2000に挑む。激しい闘いになる。負けは許されない。だが、相手は強者であればいい。データが必要なのだ。あのときの私は絶対の速さにたどり着ける可能性があった。だからこそ、生徒会長、そして彼女のような強者との激しい勝負がしたい。
このローテーションを考案したのはトレーナーだ。芝2000という皐月賞を意識したものとなっている。対照実験として見ても良い結果が得られるだろう。勝てばそれがそのままデータとなる。やはり私のモルモットは優秀だ。
同じようなローテーションを組むウマ娘も多いだろう。だが皐月賞を意識できるウマ娘はもちろん、これからを担うべき逸材揃いだ。
全身が熱を帯びるのを感じる。
私を超えるものが居るのか、私が絶対の速度の先に届くのか。可能性はどのウマ娘にあるのか。興味が尽きない。だからこそ私は走ることを諦められない。ウマ娘の足に眠る可能性の果て、この肉体で到達する限界の果ては、まだ影すら見えぬ程遥か彼方にあるのだから
展開よ、俺に構わず動いてくれ。
レースよりも、心理描写よりも、何よりも練習してる風景が1番難しい。
展開進まないし、地味だし、絵も無いからね。
つらい。