その中身は退学勧告の書類であった
自身の身の振り方を考えていたアグネスタキオン
すっかり夜が更け肌寒くなってきた頃
またマンハッタンカフェが現れた
その日に書かれた日記
今日はあの人のラボに行きました。
私が行きたかったわけではなく、なりゆきで行くことになってしまいました。
先生から封筒を渡されて、あの人に渡すように言われたのもありますが、友達が行きたがったのでついていくことにしました。正直行きたくなかったです。
カフェテリアであの人の陰口を耳にしました。
いつも授業に居ないくせに、テストはいい成績だからズルをしている。とか、
学園に入学できたのは名家の娘だからだ、とか
本当は足が遅いからみんなの前で走れないんだ、とか
怪しい研究をしているのは、バレないようにドーピングするためだ、とか
それを聞いた友達はすごく怒っているようでした。
友達はいつもはやさしいいい子なのですが、怒るととても怖いのです。暴れ始めると手がつけられないのです。
私はあの人がそんなズルをする人じゃないのを知っています。
でも、弁明することもできず、私は怒った友達をなだめながらただ見ていることしかできませんでした。
それが何よりも嫌で、悔しいと思いました。
だから、あの人と顔を合わせるのが嫌でした。
友達は、怒りが収まるとあの人のラボに行きたがりました。
ひとりでラボに行くのは嫌だったので、友達についていくことにしました。
友達は足が速いので、置いていかれてしまわないように走りましたが、やっぱり追いつけませんでした。トレーニングをもっと頑張りたいです。
ラボに着くと、あの人は服を脱いで鏡を見つめていました。
綺麗だな、と思いました。
ウマ娘は容姿端麗である。とよく言われますが、私はあまり綺麗ではないし、おばけと間違われることもあるので羨ましいです。
あの人はつまらない冗談しか言いませんが、私と話すときは赤い目が嬉しそうにきらきらと光ります。
だから、噂にあるような悪い人ではないです。
寮に戻ると、栗東寮の寮長さんから連絡が来ました。
どうやらあの人が部屋にいないそうなのです。
あの人はカフェテリアで聞いたような悪い噂がながれる人です。誰も自主的に探そうとはしていないのでしょう。
私は美浦寮なのですが、あの人の行方を誰も知らないからと、探すのを手伝うことになりました。
結局のところあの人はラボにいました。
扉を開けると白衣を羽織ったあの人がゆっくりとこちらを振り向きました。
あの人はつまらない冗談しか言いませんが、私と話すときは赤い目が嬉しそうにきらきらと光ります。
でもこのときは違いました。海に沈む夕焼けのようにゆらゆらと、水面のように揺れて光っていました。
とても綺麗でした。
でも私はまた、ただ見ていることしかできませんでした。
日記で1000文字って長くない?
読みづらかったら飛ばしていいよ!
マンハッタンカフェを「あまり綺麗じゃない」とか言ったやつ、うまぴょいしてやるからな