インフィニット・ストラトス 世界最強の天使   作:夢の翼

27 / 28
声優になりたいと真剣に思ってる夢の翼です!


第24話 隣に立つ為に

第三アリーナでのラウラとの騒動から数日が経った、ある日の夜。

 

「・・・・・・・」

 

 

 

――――――貴様がいなければ教官が大会二連覇の偉業をなし右目を失う事などなかったことは容易に想像できる。だから、私は貴様を―――――貴様の存在を認めない!!!織斑千冬ッ!!――――――

 

 

 

「ち…っ」

 

箒の部屋へと移り住んだ千冬は窓際のベットの上で頭を後ろに組んでラウラとの会話の事を思い出し舌打ちをする。

 

「どうしたのだ?」

 

「……何でもない」

 

「何でもないわけ、ないだろう。あれからずっとその調子ではないか」

 

隣のベットで髪を梳いている箒は千冬にそう言ってくるが、不機嫌と言わんばかりの顔で千冬はそんな顔を窓の外へ向ける。あれから千冬はこの通り不機嫌極まりない調子で他の生徒達と話す機会がなくなっている。

 

「……モンド・グロッソの時の事は…政府の人間から聞いた。だがあれはお前の所為ではない、だからお前が責任を感じる必要など」

 

「いや…ボーデヴィッヒが言ってる事は正論だ。……私が弱かったから一夏兄は大会二連覇を成し遂げられず挙句に一夏兄の右目を奪う結果になった」

 

「だが、お前は」

 

「箒は私より強かったからそう言えるんだ、それだけの力を持っているし覚悟もある。……だが、昔の私はそうじゃなかった」

 

上半身だけをお越し千冬は窓の外から見える月の光に照らされた海を見つめる。

 

「弱虫で臆病でおまけに……隣に一夏兄がいなければ何も出来なかった。一人じゃ何一つ出来ず、何時もたった一人の家族に甘えていた」

 

「いいではないか、家族に甘える事だって大事だ。それに妹なら兄に甘えるのはどの家庭にもあることだ」

 

「お前が家族に甘える様な場面は見た事ないがな」

 

「うっ…」

 

「……まぁ、中学になってからは少しずつだが男らしく強くならろうと努力した。だがやっぱり……一夏兄がいないと私は何も出来ない…そんな女なんだよ」

 

「千冬……」

 

若干体が震えている千冬を見た箒はベットから立ち上がり、千冬の傍に寄る。

 

「一年前の夏休み、休暇で帰って来た一夏兄と一緒に篠ノ之神社で夏祭りがあったんだ」

 

「そう言えば、夏祭りがあったな……」

 

「一夏兄と一緒に手を繋いで歩いていたのだが、人混みの所為ではぐれてな…少し休憩しようと人が余りいないところに行ったんだ」

 

「何故一夏さんと連絡しなかった?」

 

「その時丁度電源が切れてて連絡が出来なかったんだ」

 

何やってるんだお前はっと箒は手を頭に置いてそう呟く。

 

「それで、近くの木に体を寄せて休憩していた時だった。突然何者かに体を抱き着かれたんだ」

 

「っ!?」

 

「箒も解るだろう?誰よりも発育が早かった私の体を見て、興奮したんだろう。無論抵抗しようとした。だが抵抗する前に恐怖心が溢れ出して怖くて抵抗出来なくなった。私を押し倒し着物に手を伸ばされ脱がされそうになったその時に一夏兄が駆けつけてくれたおかげで何とか助かったがな……」

 

「…そんな事があったのか……」

 

両手で自身を包む様に顔を下に向けると、震えた声を漏らし始めた。

 

「何も…できなかったんだ……あの時と同じで…私一人では……何もッ!何時も一夏兄に迷惑を掛けて…ばっかりなんだ……ッ!!」

 

「・・・・・・・」

 

「だから、私は強くならなきゃいけないんだッ!……一夏兄の後ろをついて生きていくんじゃなく、一夏兄の隣に立って生きていくとッ!!」

 

ベットのシーツを強く握りしめ、涙を浮かべる。箒はただ黙って千冬の話を聞く事しか出来なかった。千冬の弱さという悲しみと一夏に迷惑を掛けたくないという苦しみを。そして千冬は顔を上げ更にシーツを強く握りしめる。

 

「……すまない、少し熱くなりすぎた…」

 

「千冬……」

 

「明日は学年別トーナメントだ、私はもう寝る」

 

「……そうだな、もう寝よう」

 

そう言い千冬は布団を被りそれ以上何も言わなくなった。箒もそれを見て自身もベットに入り布団を被った。だが箒達の部屋の外の壁に背中を預けて二人の話を聞いていた者がいた。

 

「・・・・・・・」

 

いつもの黒いスーツを着て右目に黒い眼帯を着けた一夏だった。目を閉じて部屋の外で二人の会話を聞いていたのだ。

 

「……どうすればいいのだろうな」

 

「織斑先生」

 

するとそこに両手に前に出して組んで山田先生がやって来た、ニコニコとした表情で一夏の所へ歩いて来る。

 

「女の子同士のお話を盗み聞きするのは良くないですよ?」

 

「…そうだな……すまないな、山田先生」

 

「ふふ♪それじゃあ、行きましょう?」

 

「あぁ…」

 

一夏は壁から離れると山田先生と共に寮の廊下の先へ去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、第三アリーナのピッドの上に一つの人影が一つあった。

 

「・・・・・・・」

 

いつ頃からこうなったのかもう覚えていない。ただ、生まれた時からもう闇の暗さを知っていた。人は生まれて初めて光を見ると言うが、彼女は違った。闇の中で育まれ、影の中で生まれた。そしてそれは今も変わりない。その赤い右目は鋭く鈍く光を放っていた。ラウラ・ボーデヴィッヒ、それが彼女の名前だと知っているが、同時にそれが何の意味も持たない事を彼女は知っている。

 

「あの人の存在が……その強さが、私の目標であり、私の存在理由……」

 

それは暗闇に照らされた”たった一筋の光”、暗闇にしか居場所がなかった彼女に照らされたその光に出会ったときに一日でその光の強さに震えた。恐怖と感動と、歓喜に。体が熱くなりそして、願った。

 

 

 

ああ、私もあの光になりたい―――――――

 

 

 

空っぽだった場所が急激に埋まり、そしてそれが全てとなった。自らの師であり、絶対的な力であり、理想の姿。唯一自らを重ね合わせてみたいと感じた存在。

 

「織斑千冬―――――。教官に汚点を残させた女……」

 

あの女の存在を認めない。

 

「排除する。どの様な手段を使ってでも……」

 

暗い闘志に火を付け、ラウラ・ボーデヴィッヒは静かに右腕を部分展開し紫に輝く光の剣をアリーナを照らす月へ突き付ける。

 

「私を照らし、私を理想の光……その光を汚す者は誰だろうと排除する…ッ!」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒは眼帯を外しその眼帯に隠された赤い目とは別の金色の目にも暗い闘志に冷たい火を付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はトーナメント開催です!!早く福音戦書きたい!

感想お願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。