一つ、紅蓮の炎の火炎剣
一つ、大地をも穿つ水勢剣
一つ、天をも焦がす雷鳴剣
一つ、金剛の如き毀れずの土豪剣
一つ、駆け抜ける疾風の風双剣
一つ、響き渡る調の音銃剣
一つ、封印と新月の闇黒剣
聖剣の世界、解けし時、
七つの世界にて聖剣の担い手現れ、
世界をめぐり再び七本そろう時……
「ねえヒッキー。ゆきのんに謝ろうよ。」
またこれか。彼、比企谷八幡は横を並んで歩く少女、由比ヶ浜結衣のセリフに地獄よりも深いため息が出そうになる。
自分のあの時の判断を間違ってると思ってないというのも勿論有るが、それ以上にこれから向かう先に待ってると分かりきってるものが何度体験しても慣れるものではないからだ。
「とにかく、行こう。」
「……うん。」
そうして奉仕部の部室に向かうとやはり雪ノ下雪乃は部室の外で中の様子をうかがっていた。
八幡は彼女を押しのけると部屋の真ん中に刺さっている剣、
瞬間、腰に現れたベルト、邪剣カリバードライバーに一度剣を納刀し、ホルスターについていた神秘の本、ワンダーライドブックを取り出す。
「くっそ……また、またなのかよ?」
何度シミュレーションして未来を疑似体験してもどうしてもだめだ。
絶対に自分はこの剣を手にするし、この世界は崩壊寸前まで行く。
どんなに自分が知恵を絞って死力を尽くしてもこの世界を救えない。
(やるしかないのか?ほかの…聖剣使い達に助けを求めるしか…。)
ついこの前のシミュレーションにて、八幡は初めて手を差し伸べられた。
『どうか一緒に戦ってくれ。
カリバー、あなたの力が必要なんだ。』
眩しい、炎のような、赤。
この闇黒剣をベースに作られた火炎剣烈火の騎士は仮面越しに八幡の目をまっすぐ見据えて手を差し伸べた。
共に居た風双剣の騎士と雷鳴剣の騎士も頷く。
それでも、八幡は手を取れなかった。
なぜならそれはあまりにも、八幡の身を焦がすほど眩しく、
(認められない……ここに来て、まだ本物なんかじゃないあいつらを頼るなんて…)
<ジャアクドラゴン!>
ワンダーライドブックを開き、物語の朗読が始まる。
<かつて、世界を包み込んだ暗闇を生んだのはたった1体の神獣だった…>
本を閉じ、闇黒剣月闇に読み込ませる。
<ジャアクリード!>
本をバックルにセット。
両手で持った闇黒剣のそこでスイッチを押す!
「変身!」
<闇黒剣月闇!>
<Get go under conquer than get keen.>
背後に出現した巨大な闇黒剣型のゲートから出てきたドラゴン型のエネルギーをまとい、八幡は仮面ライダーカリバーに変身した。
<ジャアクドラゴン!>
<月闇翻訳!光を奪いし漆黒の剣が、冷酷無情に暗黒竜を支配する!>
「じゃあな」
ただただ目を丸くして動けない二人にじゃあなと短く告げて八幡はその場を後にした。
仮面ライダー解説 その1
仮面ライダーカリバー=比企谷八幡
・プロフィール
性別:男性
年齢:17歳
趣味:忘れた
特技:どうでもいい
聖剣:闇黒剣月闇
好きなもの:わかったら苦労しない
嫌いなもの:欺瞞
・概要
闇黒剣に選ばれてしまった青少年。
未来を疑似体験できる闇黒剣の特性上、何度も自分一人でどうにもならない現実を突きつけられており、他の聖剣使いと協力する以外のすべての方法を試しきるころにはそこに至るまでの心労やその他もろもろで腐り目は悪化しきり、まるで幽鬼のような雰囲気を持つように変わってしまう。
それでも彼は踏み出せない。
・他のメンバーからの評価
セイバー「強いのに全然頼れそうじゃない。」
ブレイズ「初対面の人は生きてると認識するのに最低五秒かかる。」
エスパーダ「全身で『不幸です』って言ってる。」
バスター「気配まで辛気臭い。」
剣斬「一時の俺の最低と比べてもあっちの方が100億倍酷いメンタルしてる。」
スラッシュ「思いつく限りの非人道的実験を人間に施したらあんな目になる。」
雪乃「…………どうしてこんなになってしまったの?」
結衣「」(絶句)
・総評
戦闘経験や純粋な能力だけならブッチギリで聖剣使い一、二位を競うレベルだが、メンタル面では最悪かつ最弱。
同情しても慰めても叱ってもぶっ壊れるレベルまで来てる。
ほっといてもそのうち勝手に壊れる。
人類や危機にさらされる世界のことを思うならこいつを殺して新しい担い手見つけたほうが効率的。
それを実行しようと思えば聖剣の騎士は同士討ちで全滅するが。
長々書いたが一言で言えば『敵にとっても味方にとっても爆弾』。