一昨日までは4話までしか見てなかったり。
有馬も良かったけど、天皇賞(春)でマックイーンの名前を叫ぶテイオーの表情が最高だなと思いました。
感動しすぎて自分はいったい何を書いてるんだろうって虚無になったので、適当に書いてお蔵入りにしてた話を投稿して一息入れる時間を稼ぎます
「ああーっ!! やだやだやだ、死にたくない! 誰か助けてー!!」
ほらほら走れ走れー。あと四バ身差しかないんだ、追いつかれたら食われるぞー!
「があぁぁーー!! その胸に付いてるモノを寄越せぇ!」
うーむ、マックイーンの気合いの入り方が素晴らしい。遊び半分の内容だったが、やはりトレーニングは真剣にやるに限るな。二百メートル差がある状態からスカーレットにここまで迫るとは。
「確かにすごい気迫ですね。まるで本当に食べようとしてるみたい」
「……そうだな。きっとスイーツを食べられないストレスを精神エネルギーとして昇華させ、力に変えているんだろう」
トレーニング前に言った『実はスカーレットの胸部には脂肪じゃなくて甘い食べ物が詰め込まれてるらしいぞ』なんて冗談を真に受けるわけがないからな。そういう意識でトレーニングに臨んでいるだけだろう。
「桃まん! 雪見だいふく! たまごアイスゥ!!」
「いやーっ!! なに言ってるか意味分からないし怖いー!!」
ビビるなスカーレット!この前のレースでテイオーの圧に押されてペース配分を間違えたことを忘れたのか!お前の実力だってテイオーにそう劣るもんじゃないんだ。心を強く持つんだ!!
「あ、これ追い付かれますね」
……マックイーンすごいな。アメフトばりのタックルで完全にスカーレットを抑え込んだぞ。
「……あの、トレーナーさん」
どうしたんだスズカ。
「追い付いたんだからトレーニングは終わりのはずなのに、マウント取ってスカーレットちゃんと揉み合いになってるんですが」
ああ、スカーレットがものすごく抵抗してるな。なんかいけないものを見ている気分になってきたが、たぶんキャットファイトじゃなくて捕食行為だよな、あれ。
「と、止めましょう!」
……だなっ!
――――――――――――――
「お見苦しいものをお見せしましたわ……」
これが天皇賞(春)に向けた禁欲生活の代償か。まさか理性を捨てて野生に還るとは。
「ぐすッ……。もう、お嫁にいけない……」
「大丈夫よスカーレットちゃん。ちょっと土埃で汚れてるだけよ。でちゅねに比べればなにも尊厳は失っていないわ」
比べなくていいから。
「トレーナーさんが甘いものが詰まってるなんて言うものですから」
焼肉とかでも脂肪は独特の甘みがあるから……いやすまん、俺が軽率だったな。
「マックイーンさんもだいぶ精神に来てますね。天皇賞(春)も近付いてきましたし、体の調子を整える意味で多少は緩めてもいいのでは?」
「いいえ、ダメ……! ダメなんですスズカさん。その油断が命取りなのですわ。テイオーさんという強敵を打ち倒すためには、一切の余計を排除しなくてはいけないのです。ましてや、物欲に溺れるなどという心の贅肉は言語道断。メジロの誇りに掛けて、私はこの禁を破ることはいたしません」
さすがはメジロの期待を一身に背負うウマ娘である。立派だなぁ。
「ところでマックイーン。ここに牛乳寒天があるんだが、食べる?」
「トレーナー、アンタ鬼なの?」
お、復活したのかスカーレット。いや、これは頑張っているマックイーンへのささやかなご褒美なんだ。決してコイツの覚悟を試しているわけじゃないんだ。
「どうだ、糖分は控えめにしているが、しっかりと甘みはあるぞ。なぁに、ちょっとズルしたってお天道様以外は見ていないさ」
「……ッ! ダメですわ! その一寸の緩みが破滅の元。一つ赦してしまえば、後はなし崩しです」
「偉い! 偉いわよマックイーン! トレーナーの悪魔の囁きに負けちゃダメよ! 一緒にテイオーを倒して、なんの憂いもなくスイーツをお腹いっぱい食べましょう!」
「ええ、スカーレットさん! その後はハンコと指に付けるアクセサリーですわ!」
マックイーンが負ければ、俺は担当でもないウマ娘と泊りがけの旅行。これはとっても世間体がマズい。特にいまのテイオーは一番の注目株だ。どこにメディアの目が光っているか分からない。根も葉もない噂が立ちかねん。
……だが、マックイーンが勝てばハンコだ。マジでなにを押させるつもりなんだ。いくら聞いても教えてくれない。そんなにやばいものなのだろうか。
「トレーナー、その寒天をさっさとしまいなさい。なにを出されたって私たちは物欲になんか負けないわよ!」
……指に付けるアクセサリーってとんがりコーンでもいんだろうか。
「まぁ、これ牛乳寒天じゃなくて絹豆腐だから食べても別に問題なかったんだけどな」
「お前、いい加減にしないと張り倒しますわよ!」
マックイーン、口調、口調が崩れてますわよ。
「うるさいです! トレーニングとしての追い込みならともかく、それはただの嫌がらせではありませんこと!?」
俺もどうすればいいか悩んでいてな。どっちが勝っても悪いことになる気しかしない。何か切り抜ける方法はないのか。どっか別のチームのウマ娘が勝つことを祈るか?だが、今のテイオーとマックイーンに勝てるウマ娘なんて、それこそ皇帝かマブいチャンネーを連れてくるしかない。後者は適正的に春天が合うのか分からんし。
「理性も戻ってきたようだし、もう一本やってこい。今度は入れ替わりでスカーレットが追う側な。テイオーになったつもりで差しにいけよ」
「ふん! 天皇賞(春)に勝って、こんな仕打ちをしたこと後悔させてやりますわ!」
女の子がそんなに大股でズンズン歩くもんじゃないぞ。
「なぁ、スズカ。トレーナーとウマ娘の関係性について少し聞いてもいいか」
「……え? はい、構いませんけど。私に大したことは答えられないと思いますよ」
マックイーンとスカーレットはちょっと精神状態が良くないからな。お前だけが頼りなんだ。
「例えばの話なんだが、トレーナーが担当外のウマ娘と外泊するのってどう思う? そうだな、身近なところで俺とスペとか」
「は?」
え、あ、いや、そのただの例でして、特に深い意味とかはないんですけど。
「……そうですね。女の友情は儚いものだと認めることになるでしょう。その後は戦争でしょうね」
え、それはスペと?この場合は責められるべきはトレーナーのほうでは……。
「ふふ、わざわざトレーナー側がそんなリスクを冒す理由がありません。なら、ウマ娘側の勇み足に決まっています。悪い子にはおしおきが必要でしょう?」
あ、そうですね。あの、例え話なので俺とスペの間になにかあったわけではないんですよ?
「ええ、もちろん信じています。ただ、念のためスペちゃんにも確認をしておきますね?」
ごめん、スペ。俺はお前に対して償えない過ちを犯したかもしれん……。
「例え話のことは置いておいて。担当外のウマ娘と外泊なんて絶対ダメですよ」
そうだよなぁ。やっぱりマックイーンに勝ってもらうしかないか。
「マックイーンは勝ったら俺になんのハンコ押させるつもりなんだろうな。奴隷契約とかだったらどうしよう」
大丈夫だよな。豆腐の復讐で人権剥奪されたりしないかな。
「そんなこと気にしていたんですね。大丈夫ですよ。トレーナーさんを不幸にするようなことをマックイーンさんがするはずありません。ちょっと目をつむって三人分の書類にハンコを押してもらうだけです」
……え、なんで三人分?
「ところで、トレーナーさんは家屋の好みは和風と洋風どちらですか? 立地はやはりトレセン学園に近い方が色々と便利ですよね」
ちょっと待って、いまこれ何の話をしてるの?
「もちろん、宝塚記念のご褒美の話ですよ」
……もしかして俺、レースのご褒美に家をプレゼントしなきゃいけないの?マジで?
早くガチャから出てくるんだマックイーン。このままじゃお前、芸人みたいな扱いのままだぞ。それでいいのか。