でも嬉しかったから急いで書いたゾ。
「太りましたわ……」
いっぱい食べたからね。仕方ないね。
「めっちゃ太りましたわ……」
「成長期なんだしさ、栄養取ったほうがスタイルも良くなると思うぞ? スカーレットを見てみろよ、あれで中等部一年て言い張るのは詐欺だろ」
「私は食べたものがウエストにしかいきませんわ。スカーレットさんは胸部に二つ胃袋が付いてるんですわ。ウマ娘じゃなくて牛女ですわ」
「誰が牛女よ! 胃袋は一つしか付いてないから! あんまり大きくっても走るのに邪魔なんだからね。体型に合う服も減っちゃうし」
持って生まれた者にしか言えない贅沢な悩みだな。……ん?
「おいマックイーン、バットを仕舞え! 落ち着くんだ、スカーレットの胸部に付いているのは野球ボールじゃない! 大きさ的にはハンドボールとかだ!」
「離してください! あの憎たらしい胸にフルスイングかませば、胸が引っ込んでそのぶん腹が出るはずなんですの! そうやって世界の均衡は保たれるべきなのですわ!」
「私の体はそんな愉快な構造してないわよ! ……なぜか食べても全部胸にいっちゃうのよねぇ」
やめるんだスカーレット。マックイーンの目から光がなくなっているぞ。巨乳の自虐風自慢は憎しみしか生み出さない。
「それもこれも全部トレーナーが悪いんですわ! 新作のコンビニスイーツが出る度に買ってきて、一緒に食べようって誘うんですもの。そんなの断れるわけがありませんわ!」
コンビニスイーツもすごく美味しくなったよなぁ。生チョコとか好きなんだけど、バレンタイン過ぎると見かけることが減っちゃうのが残念だ。
「最近はスイーツに限らず食事に誘ってくることが増えたわよね。私としては嬉しいから構わないんだけど、トレーナーってそんなに食べるの好きだっけ?」
食べるのも、食べるのを見てるのも大好きだぞ。スぺとオグリの食べっぷりは見ていて気持ちがいいよな。
「まぁ食事に誘ってるのは、お前たちを太らせて俺がレースで勝てるようにするのが目的だけどな」
己を鍛えてバフを積むだけではいけないのだ。相手を本調子にさせないデバフもまた重要。
「やり方が狡い……。それだとチーム以外に効果ないじゃない。スズカさんも体重増えたのかしら」
「スズカは体重も体型も一切変化なかったな。全部走りのエネルギーとして吐き出してるんじゃないか。スカーレットは胸、マックイーンは腹か。とりあえずは太ればなんでもいいか」
やはり距離が短いほうが勝ち目はあるからな。少しでも重くしてドスンドスン走らせてやろう。
「ダメよマックイーン、バットを仕舞って! トレーナーはウマ娘じゃないんだから、アンタのフルスイングが当たったら潰れたトマトになっちゃうでしょ!」
「離してください! あの時間を私がどれだけ楽しみにしていたと思っているんですか! それが肥え太らせるための罠ですって? もうトレーナーを殺して私も死にますわ!」
そこまで怒らんでも。コンビニスイーツが好きで、どうせなら誰かと一緒に食べたいというのも嘘じゃないんだぞ。
「心配するなマックイーン。男ってのは多少なりと肉が付いててプニプニしてる女性のほうが好ましいと思ってるもんだ。俺から見ても、お前の肢体はしっかりと均整が取れているよ」
走るのには最適なのかもしれないが、あんまり軽いと心配になるからな。
「そうよね。この勝手に付いちゃう肉も悪いことばっかりじゃないわよね」
そろそろ口を閉じるんだスカーレット。マックイーンの目から光がなくなるどころか、周りの光を呑み込み始めたじゃないか。
「今日の会話、スズカさんにチクりますわ。巨乳死すべし、慈悲はありません」
「ちょっとやめてよ! 私は一部の変態ウマ娘と違って戦闘力の持ち合わせなんてないんだから、ただのイジメじゃない!」
「誰が変態ですか! 愛の成せる業ですわ!」
……戦闘力?そういえばスズカとテイオーが闘気剥きだしにしてたときも、ちょっと目を離したらテイオーが俯けに倒れてたな。スズカはいい笑顔で『疲れが出たんでしょう。眠っているだけですから、そのままにしておいてあげましょう』って言ってたけど。
「トレーナーは気にしなくていいわよ。テイオーも警戒して三メートルくらい距離取ってたのに、スズカさんはどうやってその場から動かずに当てたのかしら。まさか闘気を撃ち出せるようになったの?」
「面白いこと言ってるなスカーレット。闘気云々はただの比喩表現だぞ。バトル漫画でも読んで影響受けたのか?」
「……比喩ならどれだけよかったか。マックイーンだって、数十キロの重さがある物体を平気で百メートルくらいかっ飛ばすわよ」
ははは、さすがのウマ娘もそこまではできんやろ。そんな化け物だと俺の勝ち目がなくなっちゃう。
「そもそも、武闘派のウマ娘ってそんなにいないだろ。日本刀持ってるグラスがぶっちぎりで強いのは分かるけど、あとはエルが趣味でプロレス技を掛けられるくらいじゃないか?」
他はみんな勝負と言えばレースか大食いって感じじゃん。
「ええ、その通りですわ。ウマ娘は走るのが本懐。それを腕力にものを言わせるだなんて野蛮なこと。おほほほ、とてもできませんわ」
その腕力でも人間じゃ勝負にならないのが悲しいところだな。いったいなんだったらウマ娘に勝てるのだろうか。
「大丈夫よトレーナー。私、そっち方面は役に立てないけど、頼れる中立派に救援依頼はしてるから。無理矢理攫われても必ず助けるからね」
なんでいきなり誘拐の心配をしてるんだよ。攫われる危険性という意味では、アイドル的な人気があるウマ娘のほうが遥かに高いだろ。実力行使は厳しいだろうけども。
「ええ、ええ、その通りですわ。誘拐だなんてとんでもない。ちょっとメジロの邸宅へ招待するだけですわ。ライアンにドーベル、パーマーも居ますから警備も万全ですわ」
え、いや暴力は得意じゃないって話だったんじゃないのか?
「トレーナー、ウマ娘の実家に誘われたときは絶対に私かスズカさんに相談しなさいよ。セールストークは全部嘘だから。どこもかしこも伏魔殿よ」
えぇ……。ウマ娘の友人とかいなかったけど、やっぱりウマ娘が生まれるだけの理由とかあったりするの?
「アタシの家は全然普通よ。そういえば、ママが帰国するときにトレーナーに会ってみたいって言ってたわね。そのときはお願いしてもいいかしら?」
「別に構わないぞ。周りに同族が沢山いて寮生活とはいえ、幼い娘を男に預けてるんだ。人となりを確認しておきたいと思うのは親なら当然だろう」
「しゃあっ!!」
まるでウオッカみたいなガッツポーズだな。俺にとっては少なからず緊張するイベントなんだが、スカーレット的になにか嬉しい要素があるんだろうか。
「スカーレットさんだけなんて不公平ですわ! だったらメジロ家にも来てくださいませ! 来てくれたら金一封差し上げますから!」
危ない仕事の勧誘みたいだぁ。俺が娘を預けるに足るか見定められる側なんだから、金を渡してくるのはおかしいだろ。
「行っちゃだめよ。メジロに仕えますって宣言して血判に押印するまで監禁されるわ」
……メジロって怪しい新興宗教の隠れ蓑かなにかなの?
「そ、そそんなことしませんわ! 精一杯のおもてなしをするだけです!」
どうしてそこでどもるんですかね。
「まぁ、最悪の場合はルドルフさんにお願いして覇王色で無力化してもらうから大丈夫だとは思うんだけどね」
スカーレットやっぱり漫画の話をしてるよね?現実の覇気に他者を気絶させたりする効果はないからね?
「やはり巨乳は敵、敵ですわ……」
ほらほらマックイーン、この大福をやるから泣くなって。
マヤノとかタキオンを書いてみたいがプレイ時間が足りなくてキャラが掴めてないゾ。
これでマックイーンのキャラを掴めてると言ったら、それはそれで怒られそうだけど。
以下、第3宇宙からの怪電波続き
カイチョー:
トレセン学園生徒を統べる絶対皇帝。覇王色の覇気とクソ寒いダジャレによる凍結現象『エターナルフォースブリザード』を使用してくる広域制圧型。本人はなんでダジャレで相手が凍るのかはよく分かってない。実はまだ本当の戦闘スタイルを隠しているらしい。
エアグルーヴ:
女帝の異名を持つ鉄の生徒会副会長。実は戦闘能力なんて持ってないが、根が真面目なので違反している戦闘狂どもにもちゃんと説教する。いつか逆ギレされて殺されるんじゃんないかと内心ビクビクしているが、相手のウマ娘もなんだかんだ根は真面目なので正論なら大人しく反省する。周りの一般ウマ娘から戦闘も強いと勘違いされており、胃が痛いのが最近の悩み。チワワ系。
マルゼンスキー:
戦闘能力は欠片も持っていないが、領域展開『ホリデーナイトフィーバー』を使用できる。本来は領域内の味方を昭和のバブル的なノリでテンションアゲアゲにするバフ技なのだが、平成以降に生まれた馬のウマ魂を持つウマ娘は、昭和のノリが理解できずにフリーズするというバグ技になっている。条件さえ満たせていれば、スズカやグラス級の実力者でも抵抗不可能なクソ技。本人は良かれと思って使用しているのでフリーズしたウマ娘たちを見てしょぼんとする。