ウマれた意味を探すRPG   作:ゆーり

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適当に決めようかと思ったけど、どうせなら話として書くかと思った次第。


チーム名

「そろそろチーム名を決めようと思う」

 

「そういえばなかったですね」

 

「なかったんだ……」

 

「普通、そういうのは最初に決めませんこと?」

 

 俺、そんなに熱心にトレーナーやるつもりなかったからなぁ。そこそこのウマ娘を担当して、ほどほどの実績をださせて後は自分のトレーニングにあてるつもりだったのに。

 

「スズカの担当になったこと自体が想定外だったからな。逆指名受けなきゃスカーレットも担当しなかっただろうし、チーム組むなんて完全に慮外だったんだよ」

 

さすがにこれ以上は増えないと思うけど、現状でも専属じゃないし『スズカのトレーナー』って肩書も正しくはなくなってきている。

 

「たしかにそうですわね! 私のトレーナーでもあるのですから! 不公平はいけませんわ!」

 

 不公平っていうほど内部で問題はないだろ。実際今日まで誰も気にしてなかったんだから。

 

「気にはしてたわよ。アタシたちと一緒に居るとき、スズカさんのトレーナーって呼ばれるのを聞くたびに怒りを抑えるのに必死なんだから。相手を睨むだけで許しているアタシたちを褒めてほしいわ」

 

 あー、ときどき『ひぃっ』って悲鳴上げて逃げていく娘はそれか。

 

「んじゃまぁ、チームメンバーの心と他のウマ娘の平穏を守るためにも決めるとしますかね。スズカも構わないよな?」

 

 すごくむすっとした顔してるけど、何も言わないってことはOKなんだよな?

 

「ええ、はい、いえよくはないんですけど、仕方なく受け入れます……」

 

「めちゃくちゃ不満そうですね。今まで自分だけ恩恵を受けてきたんですから我慢してくださいよ」

 

 じゃあ始めるか。俺も考えてはきたけど、とりあえずコイツらの案を聞いてみよう。

 

「それじゃあ、なにか案があるやつはいるか? 特に注文を付ける気はないから思い付きでいいぞ」

 

「はいはい! 私、私にとてもよい案がありますわ!」

 

 はい、じゃあマックイーン君。高貴でお上品な名前を期待してますよ。

 

「メジロタイガース、ですわ!」

 

「却下、次」

 

 ただのお前の趣味じゃねーか。メジロは一人しかいないし、虎要素どこだよ。

 

「な、なぜですの! 我々ウマ娘も猛虎の如き魂を胸に宿し、競争相手を狩るくらいの気概が必要という意味を込めた崇高な名前ですのよ!」

 

 嘘付け、絶対いま適当に考えただろ。

 

「そのチーム名にすると秋の三冠逃しそうだからダメです。お前だって秋天獲りたいだろ?」

 

「さ、最近はそこまで失速しませんわ!」

 

 ほんとぉ?まぁ、その辺を抜いても採用する要素ゼロな名前だけどな。

 

「スカーレットはなにかあるか?」

 

 マックイーン案を下回ることは事実上不可能だから逆に安心できるわ。

 

「クイーン・オブ・スカーレット」

 

「チーム名だって言ってるだろうが! お前たちの自己主張の場じゃねーんだよ!」

 

 マルゼンスキーが居るならともかく、赤要素も大してないだろうが!カラーリングで言うなら、うちは緑か白のほうが強いだろ。

 

「近い将来このチームの中心はアタシになるんだもの! 今からそれに沿った名前にしておくのが先見の明ってものよ!」

 

 すっげぇ自信家だな。スズカに負けっぱなしのつもりはないって言い放てる心の強さは評価しますけどもね。

 

「ふふ、スカーレットちゃんのそういうところ、私は好きよ。この後、併走しましょうか」

 

「ま、まま負けませんからね」

 

 やっぱ声震えてるじゃねーか。スズカに負けるときって最初から最後まで背しか追えないから割と心にくるんだよな。ま、俺は人生通しても背しか追ったことないんだけどな!

 

「あのトレーナーさん、急に崩れ落ちてどうしたんですか。お腹でも痛いんですか?」

 

 心配してくれてありがとうなスズカ。ちょっとお前の速さに嫉妬しているだけだから気にしなくていいんだぞ。

 

「私の速さはトレーナーさんのモノですから。嫉妬する必要なんてないんですよ?」

 

 ……スズカっ!!

 

「ちょっと目の前でイチャイチャするのやめてくださいませんこと!?」

 

 おっと、そうだったな。今はチーム名を決めなきゃだった。

 

「スズカはなにか案あるか? 一考の余地もないデッドボールが二連投されたから本命だぞ」

 

「……えっと、特にないのでトレーナーさんが決めていただいていいですよ」

 

 む、相変わらず走ること以外は無欲だな。

 

「けっ、良い子ぶりやがってですわ」

 

「本当ですよ。レースの一番だけじゃなくトレーナーの一番もまるで譲る気ないし、どれだけ強欲なんですか」

 

 なんか俺と二人の間でスズカに対する評価の乖離がすごいことになってるな。

 

「で、トレーナーはどんな案を考えてきたの。私たちの案をこき下ろしたんだから、よっぽど良いのがあるんでしょうね」

 

「そうですわそうですわ。変な名前だったらメジロユタカにしますからね」

 

 それだけはねーよ。ワンチャンその名前のウマ娘とかいるかもしれないけど。

 

「一応、アンタレスにしようかと思っている」

 

 さそり座で最も明るい恒星だな。ちなみに理由は他のチームが星に肖ってて、俺がさそり座だからである。……理由だけだと、他の二人とあんまり変わらんな。

 

「いい! いいわよ、その案! それにしましょう!」

 

 うぉ、なんかスカーレットの食いつきがやたらといいな。

 

「ダメですわ! 公平にという話だったのに、それじゃスカーレットさんの一人勝ちじゃありませんか! 反対、断固反対ですわ!」

 

 一人勝ちってなんだよ。チーム名に勝ちもなにもないだろ。

 

「たしかアンタレスは、赤く輝くことで有名な星ですよね……」

 

 あぁー、そういうこと?いや、特段そんなつもりはなかったんだが。

 

「トレーナーがこう言ってるんだもの。私たちがとやかく文句を言うことじゃないわよね!」

 

 いや、そこまで強いこだわりもないんだけど。β星の名前とかでも別に構わんよ?

 

「ならそうしましょう! チーム名が呼ばれるたびにスカーレットさんにドヤ顔されたら、私キレ散らかす自信がありますわ!」

 

 それでいいのかメジロの令嬢。

 

「ふふん、どっちにしても私は公私ともに負けるつもりはないわ!」

 

 ああ、このドヤ顔ね。俺は可愛いと思うけど、ライバルからしたら腹立つかもな。

 

「見てくださいませ、あの嫌味ったらしい笑顔を! どうせプライベートでも、去年まで背負ってたランドセルを着けてきて、アブノーマルな攻めをするに決まってますわ!」

 

 ランドセルでなにを攻めるんだよ。

 

「アンタは私をなんだと思ってんのよ!」

 

「胸部に属性を過積載した違法ロリですわ!」

 

「ポンコツやきうスイーツお嬢様に属性を過積載とか言われたくないんですけど!」

 

 お前ら、ちょっと落ち着けよ。その点、スズカはすげぇよな。属性スピードしか積んでないもん。

 

「あの、トレーナーさん」

 

 ん?どうしたんだスズカ。なんか耳が垂れてるけど。

 

「私もアンタレスはあんまり……。なので、緑色の星がないか調べたんですけど、光の関係で白っぽくなるらしくて……」

 

 それでしょんぼりしてたのか。

 

「まぁ、全員白の要素はあるし、白い星の名前でもうちょっと案を練ってみるか。急いで決めなきゃいけない理由もないしな」




チーム名決めるために書いたのに決まらなかったぞ。全部スズカがしょんぼりしたのが悪い。

本当はマヤノの話を書こうかと思ってたんだけど、ストーリー読んだらトレーナーちゃんに対してラブし過ぎてて『テイオーさん助けて、俺この娘好きになっちまう』ってなったのでやめました。

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