同盟上院議事録外伝 自由と利益を尊ぶ国 ファイアザード国民共和国 作:山翁
ドアをノックする。
少ししてから扉が開き家の主が出てきた。
「どうした?何かあったか?」
私は出てきた家の主に微笑みながら言ってやった。
「メリークリスマス」
そして私は腰だめに持っていたアサルトライフルをフルオートで撃ち放った。
家の主の身体に無数の穴が空き、そして貫通した弾丸が玄関を飛び回った。
アサルトライフルから弾切れの音がする。
私は弾が切れた箱型弾倉を外し、マガジンベストに吊るしてあった箱型弾倉をアサルトライフルに装填する。
玄関に倒れ込んだ家の主の身体にトドメの一連射を叩き込んだ後、マガジンベストに吊るしていた軍用無線を取り出す。
「終わりました」
「良くやった。そのまま奴の金庫を持ちだせ」
「分かりました」
無線を切りマガジンベストに戻すと穴だらけになった家の主を跨ぎ、家に入る。
さてはて金庫はどこだろうか?
同時刻 コミッション ハイテーブルの会合
「連絡が合った。裏切り者は死んだ。他の裏切り者も直ぐに後を追うだろう」
「フン、ようやくか。馬鹿な連中だ、儂らを同盟当局に売ろうなどと」
「5月にイゼルローン要塞が落ちたからだろう。国境が安定化し同盟が内政に目を向けると読んだのだろう」
「しかし同盟軍部があの体たらくだ、焦った挙句に俺らに尻尾を出した」
「愚かな事だ。儂らを、ファイアザードを裏切るなど。この1世紀この様な莫迦で無様な事が一度も無かったと思っていたのだろうか?」
「自分だけは特別だと思っていたのだろう。昔の愚か者とは違うと、それこそ愚かな事だ」
「なに、それも終わった事だ。暫くはこの様な事は起きんだろう」
「然り」
「しかし、俺らも身の振り方を考えた方が良いかもな?」
「帝国当局との繋がりか?」
「そうだ。首席弁務官のエルンストだけでは繋がりが弱すぎる。別のルートが必要だ」
「あの年老いた皇帝の娼婦になった女の弟?」
「そうだ」
「難しいかもな。どうも潔癖症らしい」
「それは年若いせいだろう。どうせこれから宮廷政治に関わってくる。潔癖症では無理だろ」
「そうだな、金や女に靡かない権力者はいない」
「まあ、賄賂攻勢や援助は追々でいいだろう。今は顔を繋ぐ程度でいい」
「そうだな。軍にしか基盤が無いのだ、将来的に儂らの援助で宮廷に勢力を持たせれば良い。帝国軍の枢要に協力者が要れば商いもしやすい」
「いい案だ、すぐに取り掛かろう」
「そうだな、今年はここ半世紀でも無かったような目まぐるしさだ。ここで遅れを取るとマズイ、積極的に動こう」
「さて、話が一段落したところで。これからのファイアザードと我らコミッションの繁栄を願うではないか」
「そうだな」
「乾杯でもしようか」
「いいな」
「では、ファイアザードと、コミッションに繁栄を!!」
「「繁栄を!」」
まあイフ話になるかもしれない小話