勇者パーティを、こっぴどく追放されたけど、改造呪術の《グリッチ=コード》が覚醒したため、生活魔法で最強を目指します!   作:手嶋ゆっきー

21 / 39
第21話 年上の女性に素敵ねと言われて……(2)

 

「じゃあ、私がこいつら縛り上げるから、ちょっと待ってて」

 

 

 兵士たちとの戦闘は勝利に終わり、カトレーヌさんが素早くロープで縛り上げている。

 

 

「カトレーヌさん……趣味丸出しですね」

「この縛り方好きなのよね」

 

 

 彼らの体に食い込むロープは丁寧に縛られていて、亀の甲羅のような模様に見える。

 カトレーヌさんは口に笑みを浮かべて、やけに生き生きとしていた。

 

 

「くっ。こんな事をして……お前ら、タダで済むとは思うなよ!」

 

 

 兵士が強い口調で言うけど、ロープの模様が面白くて、怖くなかった。

 カトレーヌさんは、笑いそうになるのを堪えている。

 

 

「ぷぷ……じゃあ、リィト君とチコちゃんは、ちょっと隣の部屋で待ってて」

「あ、はい」

「リィトぉ、どうして?」 

「カトレーヌお姉さんとおじさんは、これからお話があるんだって」

「そうなの? わかった!」

 

 

 お話と言っても、暗殺者職(ローグ)が得意とするスキル、拷問だ。

 

 

「——お前たちは、リィト君やチコちゃんを殺そうと考えた。アタシはね、それが我慢ならないの」

 

 

 チコに見せるのはよろしく無さそうなので、僕らは隣の部屋に移動ししばらく待つことにする。

 

 

 兵士の悲鳴が小さく聞こえた。

 ダンジョン内の壁は厚く、声は通りにくいようだ。

 

 カトレーヌさん、絶好調だったな……。

 ああ……かわいそうに。

 

 僕は、兵士の人たちに同情したのだった——。

 

 

 ————

 

 

 僕らは、その悲鳴が収まるのを待ってから戻った。

 部屋に戻ると、やや顔を上気させたカトレーヌさんがこの先の状況を説明してくれる。

 

 

「はぁ、はぁ……いろいろと情報を引き出せたわ。やっぱりこの先の『儀式の間』にマエリスがいるみたい……はぁ、はぁ」

 

 

 興奮が覚めないみたいだ。

 よっぽど充実した拷問タイムだったのだろう。

 

 

「お、落ち着いて」

「ご、ごめん。久々でちょっと張り切り過ぎちゃった」

 

 

 舌をペロリと出すカトレーヌさん。

 

 

「ほかにはグスタフがボリスたちと一緒みたい」

「グスタフ! どうしてここに?」

 

 

 あいつらグルだったのか。

 もしかして、僕を追放したのも計画的で……?

 

 

「マエリスを何かの儀式に使おうとしている」

「聖女の儀式ってマエリスが言っていたけど」

「こんなコソコソとダンジョンの奥で……ロクな儀式じゃないと思う」

「確かに。急ぎましょう」

「うん。準備には時間がかかるみたいだから、まだ無事だと思うけど、気になることがあって」

 

 

 気になること?

 

 

「それってどういう?」

「どうやら『魔王』と呼ばれる者までいるみたいだけど……ううん、これはきっと間違いかも。忘れて」

「は、はあ。でも、魔王って……。王国が勇者を育成しようとしているのも、復活の兆しがあるからって聞いたことがありますが」

「でも、こんなところにいるのかしら?」

 

 

 確かに。

 もっと大きなお城にいるイメージがある。

 

 まあ、魔王がいないとすると、敵の人数はそう多くないようだ。

 

 問題は勇者候補のグスタフ。

 でも、【水生成(クリエイトウォーター)】の魔法があるし、それが効けば大した障害にはならないだろう。

 

 

「リィトぉ、行こう?」

 

 

 チコが、僕の手を引く。

 

 

「ああ。そうだな」

 

 

 僕にマエリスを救う以外の選択肢はない。

 

 

「リィト君」

「はい?」

「くれぐれも……無茶しないで」

「それは、たぶん無理です」

「わたしもむりー」

 

 

 僕もチコもやる気に満ちていた。

 

 

「そう……そうよね。二人とも、本当に迷いがないわね。じゃあ、アタシも覚悟を決めますか」

 

 

 そう言ってカトレーヌさんは息を飲む。

 

 意識を合わせた僕たち。

 もし魔王がいても、なんとかなりそうな、そんな気がした。

 

 

 僕らはダンジョンの最奥の「儀式の間」に突入する。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。