勇者パーティを、こっぴどく追放されたけど、改造呪術の《グリッチ=コード》が覚醒したため、生活魔法で最強を目指します!   作:手嶋ゆっきー

31 / 39
第31話 王女殿下に招かれて

 

「いらっしゃい、リィト殿にマエリス殿、そしてチコ殿」

 

「「失礼します」」

 

 

 僕たちは、グリッチコードの文献を読むため、王女殿下の自室にお邪魔していた。

 その部屋は、僕に与えられた部屋より質素にも見えた。

 

 

「あら、マエリス殿の聖女着もチコ殿の服も、とても可愛らしい」

 

「はい——リィトにお願いしたら、このように大変かわいく仕立てて貰えたんです」

 

 

 マエリスは本当に嬉しそうに、服を見つめて言った。

 

 

「なるほど、これが生活魔法ですか……素敵ですわ。リィト殿、もしよければ、わたくしに生活魔法を見せていただくことはできたりしませんか?」

 

「はあ……僕は構いません……【清浄化(パージ)】!」

 

 

 僕は殿下に向かって、魔法を唱える。

 女性なら、この魔法はまちがいなく喜んでもらえる。

 

 魔法が発動し、彼女の全身に魔法の泡が現れた。

 

 

「あぁっ……あぁ、こ……これは……気持ちよいですね」

 

「はい、みなさそう仰られます」

 

 

 殿下は泡が消えると、クンクンと全身を嗅ぎ始めた。

 その様子は、おおよそ姫らしくなく……親しみを感じる。

 

 

「あっ、失礼しました……素晴らしい魔法ですね」

 

「あまり見られたことがないのですか?」

 

「はい。この国の者で生活魔法を使える者はかなり珍しいのです。魔法は、皆が使えるのですが」

 

 

 そう言って、彼女は耳を出した。

 帽子をかぶっていらっしゃったのだけど、それを取り露わになった耳は上を向いて尖っている。

 

 

「エルフ——」

 

 

 僕はつい、言ってしまってから慌てて口を押さえた。

 

 

「はい。わたくしは……この国の王族は、殆どがエルフなのです。とはいえ、普段は人間に偽装しているのですが」

 

「なるほど。存じ上げませんでした」

 

 

 王女殿下は「さて」と言って一冊の本を壁際の本棚から撮りだし、僕たちが座っている椅子の前のテーブルに置いた。

 

 

「これが、グリッチ=コードについて書かれた古い書物です」

 

 

 本には、見たことのない文字が描かれている。

 まったく読めなかった。

 

 

「なんと書いてあるのですか?」

 

「私どもも、この文字は殆ど読めず今解読をしているところなのです。そのおかげで一部解読が出来た部分があります」

 

 

 すると、王女殿下は目をつぶり、ぽつりぽつりと喋った。

 

 

「反則たる呪術の根源は、古の都にあり」

「反則たる呪術の骨身は、空の都にあり」

 

 

 どういう意味だろう?

 このグリッチ=コードの、力の源がどこかの……古都にある?

 

 

「その言葉と共に描かれているのが、この……魔方陣なのです。この魔方陣自体が、古の都を指しているようなのですが……」

 

 

 そう言って王女殿下は、書物のページを指さした。

 そこには円形の魔方陣が描かれている。

 

 

「もしかして——」

 

 

 僕は、一つ気になっていた呪文があった。

 今までグリッチをしたことがない魔法の一つ【伝言(メッセージ)】。

 

 この魔法を使えば読めない文字が読めるとか、書物に何か変化が現れるではないだろうか?

 まあ、予想がハズレていても不都合はない。

 

 

「【伝言(メッセージ)】!」『グリッチ!』 

『【伝言】を解析するね——成功! |反則強化(グリッチ)する?』

「YES!!」

「成功したよ!」

 

 

 呪文が適用され、本が光り輝く。

 そして、近くの床が輝き始める。

 

 そこに現れたのは——。

 

 

「「「転移魔方陣!!」」」

 

 

 皆がびっくりして、床に現れた転移魔方陣を見つめた。

 円形のそれは、わずかに光を放っている。

 

 

「こんな仕掛けがあったなんて、驚きです」

 

「ええ。試してみるものですね」

 

「今のが、《グリッチ=コード》なのですね?」

 

「はい。一旦通常の魔法を唱えてそれを反則強化(グリッチ)する形で使います。どうやら、それ以外のこともできるようですが、今は強化のみです」

 

「これからも楽しみですね」

 

「はい!」

 

「それで、どうされます? この魔方陣……」

 

 

 そうだ。

 王女殿下の床にとんでもないものを作ってしまった。

 とはいえ、一定時間経てば消えるだろうけど。

 

 

「古き都——。どこのことでしょう? これに乗ると、恐らくそこに転移されるのですよね」

 

「はい。たぶん」

 

「チコを狙って魔王がまた攻撃してくると僕は考えています。そのために、力がもっと欲しい——だったら、行くしかないかなと。マエリスとチコは——」

 

 

 とりあえず僕が様子を見てくるから、待っててと言おうとした。

 しかし……。

 

 

「「もちろん、リィトに付いていく」」

 

「お、おう、息ぴったりだな」

 

 

 その様子を見て、王女殿下もクスッとされた。

 

 

「恐らく、転移魔方陣の向こうには帰る魔方陣があるはずです。無理をなさらず、危険な場合はすぐに戻ってください」

 

「「「はい!」」」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。