ポケモンの育成方法とは多種多様である。
共通するのは『バトルを熟しレベルを上げる』という部分くらいだ。
ただしレベルを上げただけで得られる強さには限界がある……もっと正しく言えばレベルを上げることで得られる強さとはシンプルなスペックだけだ。
同じ種族を同じレベルまで上げればスペックだけならほぼ変わらない強さを得られる以上、必要なのはそこから先へ至るための強さだ。
実のところこれもまた『トレーナーごとに』変わって来る。
ポケモンバトルにおいてトレーナーに必要とされる能力は主に三つあるとされる。
一つは状況を把握し、的確な行動を選択する『指示』能力。
『読み』と勘違いされやすいが、状況が二転三転する上に行動が高速化した現代のポケモンバトルにおいて、数秒の思考すらも状況に置いて行かれる要因となってしまう以上、相手の裏を『読む』ことよりも状況に即した正しい『指示』を出すことのほうが必要とされる。
例えば技の指示一つ出すことだって、『技の射程と相手との距離』や『技を撃つまでの時間と相手の攻撃までの時間』、『技のタイプと相手のタイプや特性』それに『場の状態』なども含めた複合的な判断が必要される。
それを技と技の切れめの数秒ほどの間に状況を把握し、思考を纏め、現状に即した指示を出すというのは中々にハードルが高い。
何より目の前で炎が、水が、雷が、風が吹き荒れ、巻き散らされ、下手すればトレーナーのほうにまで余波が届きそうな激しいバトルがトレーナーの集中を搔き乱す。轟音が響きと閃光が明滅するようなバトルコートの中でどれだけ的確な指示を出せるかというのはトレーナーの資質が問われる分野である。
分かりやすいことを言うなら、相手とほぼ接近したような状況で集中力が必要とされる『きあいパンチ』などのような集中を乱されると失敗するような技を連打したって相手に邪魔され続けるのがオチだ。
相手との距離が大きく開いているのに直接攻撃する技を出せば相手へ近づくまでの時間が余計にかかるし、『みがわり』を使っている相手に無暗に『状態異常』技を出しても手を無駄にするだけだ。
ポケモンバトルはたった一度の指示ミスで戦局が覆りかねないほどに流動的な戦局が続くことが多い。
それ故、たった一度のミスを最後まで取り返せずに『たった一手』が足りないままに敗北することもある。
先ほどの例のようなことは普通に考えればあり得ない、と思うだろう。
だが少しでも早く指示を出そうとする焦りが、目まぐるしく状況が移り変わる動揺が、傷つくパートナーを見つめる不安が、思考を空回らせ、冷静な判断をさせない。
それ故、卓上でなら相手の行動が読めるようなトレーナーでも実際にバトルに赴けば思考が真っ白になって先ほどの例のようなあり得ないような指示を連発することだってよくあることなのだ。
そしてだからこそそんな状況で相手の行動の『裏』をかけるトレーナーは強い。
相手の意図を外し、自分のポケモンたちの強みを押し出せる展開を作ることで10の力を11にも12にも見せることができる。
ポケモンを育て、ポケモンを纏め上げ、バトルで指示を出し、相手の行動を読みながら一手、一手と状況を積み上げる最も基本的な『トレーナー』らしいトレーナー。
故にこういうタイプは『トレーナータイプ』と呼ばれている。
この手のタイプがポケモンに求める強さは『限定的だが強い力』だ。
使える場所は限られるが、使える場所ではとにかく強い。
当然ながらその使える場所……使える場面で力を発揮できるポケモンを場に出していなければならない。
『自分の力で展開を組み立てる』ことができるトレーナータイプは汎用性よりも専用性を求める傾向が強い。
さて、ポケモントレーナーという言葉の語源のトレーナーとはそもそも『指導者』。
故にトレーナーに必要な二つ目の能力は『育成』能力……育てる力だ。
ただポケモンをレベル100にするだけなら実のところ時間の差異はあれど誰にだってできる。
何故ならそれは『ポケモン自身に備わった能力』だからだ。
ポケモンは戦えば戦うほどに強くなる、正確には『バトルに適応していく』。
けれどそれには上限がある。
大半のポケモンはレベル100以上になれない。
何故ならそれがポケモン自身の限界だから。
故にポケモンの強さとはレベル100が限界……ではない。
トレーナーという指導者がつくことによって、ただ種族としてのスペックを振り回すだけだったポケモンに『技術』という概念が生まれる。
限界だったはずの強さは限界ではなくなり、同じレベル100に達したポケモンよりも一回りも二回りも強くなれる。
何より『育成を得意』とするトレーナーの力があれば『レベル100』を超えることすら可能となる。
レベル100とは個体ではない種としての限界である。
だからこそ、育成だ……食事を変えたり、環境を変えたり、意図的に鍛え方を変える。
そうしてポケモン自身の『体質』を変えていく。根本的に『強い体』を作っていき、種族としての枠をほんの少しだけ広げる。逸脱するのではない、種族という枠自体を少しだけ広げるのだ。
『110』
それが今のリーグトレーナーのトップ層に求められているレベルだ。
極めて育成を得意とするトレーナーや特異なほどの才覚を持つポケモンならば『120』ないし、それ以上になることもあるが故にレベルが『100』である、ということすら不利になりかねない。
そもそも現在の全地方におけるリーグの共通レギュレーションとしてポケモンの上限レベルを『120』とし、パーティ全体の合計レベルを『700』までとしている以上、レベル100を6体の合計レベル600のパーティと合計700まで上げてきたパーティでは実に合計レベル100もの差がつくことになる。
相性の差など一切考慮しない数値だけを見ればレベル100のポケモン一体分の差である。
これがどれだけ大きな差なのかを考えれば、レベル100を超えることは絶対とすら言える。
だがレベル100というのは根本的な部分での限界である。
簡単に超えられるようなものではないし、トレーナーには相応以上の育成能力と環境が必要となる。
だからこそ『
故にこういうポケモンの育成を得意とし、強みとするトレーナーを『ブリーダータイプ』と呼ぶ。
この手のタイプがポケモンに求める強さは『徹底的な汎用性』だ。
効果は低くても良いのでどこでも使えて、ある程度の利になれば後は自力で勝てる。
そういう自負と自信があるからこそ、だいたいどんな時でも『多少』の効果があるような技能を仕込むのだ。
ポケモンとは言うまでも無いが生物だ。
しかも人類の隣人と呼ばれるほどに、人と同じくらいの感情を有する生物だ。
人同士で好みというものがあるように人とポケモンにもまた好みというものがある。
街でよく見るような人とポケモンが一緒に過ごす『家族』関係や『友人』関係ならまださほどのことは無い。だが共にバトルに赴いて戦う、そんな『ポケモンとトレーナー』の関係はどうしてもシビアなものになる。
人がポケモンを選ぶように、ポケモンだって自らトレーナーを選んでいるのだ。
ポケモントレーナーは6体で一つのパーティを組んでバトルを行うが、そもそも『個々に意思を持つ生物』を6体集めて『率いる』というのは中々に難しいことだ。
故にポケモントレーナーに必要な三つ目の能力として『統率』する力が求められる。
ポケモンは基本的にレベルが上がったり、進化するほどに『我』が強くなる。
自分が強い存在になればなるほど、自分が強者である『矜持』が出てくるのだ。
そしてだからこそ自分に指示を出す……自分を従える存在にも相応の『格』を求める。
もし自分のトレーナーが自分を従えるに足りない存在だと思われたならばトレーナーの『指示』を無視して勝手に技を出したり、そっぽを向いて行動しなかったり、最悪の場合、脱走してしまう可能性だってあるのだ。
よく初心者トレーナーが安易に『強いポケモン』を求めようとするが、そんな『強いポケモン』がまだ未熟で弱い初心者トレーナー『ごとき』に捕まえられるはずも無いし、そもそも捕獲できたとしてもそんな初心者トレーナー『ごとき』の言うことをまともに聞くかと言えば絶対にノーだ。
強いポケモンをパーティに加えて従えさせるにはそれだけ強いトレーナーだと認められなければならない。
これが特に顕著なのが『ドラゴン』タイプのポケモンたちである。
ボーマンダ、ガブリアス、サザンドラにオノノクスなどは『ドラゴン』タイプの中でも一際獰猛で『矜持』が高く、未進化の頃からずっと一緒にやってきた長年の相棒のような存在だったとしても自分を従えるには足りない、と少しでも思ったなら絶対に指示を聞いてもらえない。
カイリューやヌメルゴンなど気性の穏やかな『ドラゴン』もいるにはいるが、それでも根本的には『ドラゴン』であり、求められるハードルは高い。
他にも生息環境における『ぬし』ポケモンや特異個体、伝説級のポケモンなど強さの上に立つ存在ほどこの『矜持』は膨れ上がり高くなる。
そういう『我』の強いポケモンたちを纏め上げ、集団の『
故にこういう群れを従えるタイプのトレーナーを『リーダータイプ』と呼ぶ。
この手のタイプがポケモンに求める強さは『一撃の重さ』だ。
バトル中に一度しか使えなかったり、行動後に反動がついたりすることがあっても一撃で相手をなぎ倒すようなパワフルで、豪快な動きを力として、強さと定義する。
小手先の技に頼るよりも、単純に強い種族のポケモンを従えて、真正面から敵を打ち破っていく。
それが一番強いと知っているからこそ、そういう純粋なパワーを求めるのがこの手のトレーナーの常だった。
* * *
ポケモンバトルにおいて、使用できるポケモンは6体のみだ。
それぞれのポケモンにどんな技術を仕込むのか、持たせるのか。
それによってポケモンの『役割』が決まる。
例えば敵を倒す攻撃役。
威力の高い技を持ち、敵と殴り合うため高い火力と共に高い耐久力か高い敏捷性のどちらかを求められる。高い耐久力と高い火力を備えれば後手で相手の攻撃を耐えて反撃で相手を沈める反攻型や、高い敏捷性と高い火力を備えれば先手を取って相手から攻撃を受ける前に相手を沈めてしまう速攻型などだ。
例えば場を作る支援役。
『リフレクター』や『ひかりのかべ』などで後続の味方を守ったり、『ステルスロック』や『まきびし』『どくびし』などで相手の妨害をしたり、自分が相手を倒せなくても良い、後続の攻撃役が暴れるための下準備を整え、必要なら『天候』を変えたりする。
例えば相手の攻撃を受ける防御役。
『だっしゅつボタン』や互換となる技術を持って『相手の攻撃を受けて味方に安全に交代する』型や、相性の良い相手の前に後出しで出て来て回復と状態異常で相手を『受け潰す』型。
特性や技で相手の能力を下げて、攻撃能力を下げて味方と交代するような型もある。
他にもパーティごとに個々に色々な役割があって、それに対応する技術を仕込んでいく。
そしてその全てを組み合わせることで個々のトレーナーのパーティの『コンセプト』が決まるのだ。
私というトレーナーの場合、パーティのコンセプトは『おおあらし』を活かしたものとなる。
そのためパーティは『ひこう』統一であることが望ましく、また『はねやすめ』などの『ひこう』タイプを喪失する技を入れられない以上、回復能力に乏しくなってしまう。
この辺りをどうするか、というのがトレーナーとしての腕の見せ所である。
去年ホウエンで作ったパーティを参考にしても良いのだが、種族も違えば気性も違うような面子を参考にしたところで同様の成果を望むのは極めて難しいとしか言いようがない。
つまり作るなら全く新しいパーティを考えたほうが早いかもしれない。
根本的に『おおあらし』という分かりやすい基準がある分、考えるのはそう難しいことではないだろう。
逆に言えば『おおあらし』に寄せすぎて、『おおあらし』を変更された時に極めて弱いことになりかねないが……。
―――考えても仕方ない。
それができるような相手なんてホウエンのあの三体くらいしか思いつかないので考える必要もないだろう。
現在の手持ちはアオガラスの『ガーくん』にキャモメの『キューちゃん』に新しく捕まえたサンダーの『ダーくん』だ。
半年後にはアオの使用も解禁される予定だが、今は考えても仕方ないので置いておくとして。
後はここに『ファイヤー』と『フリーザー』も捕まえる予定だ。あくまで予定ではあるが。
それを含めて五体。アオをいればちょうど六体だが、それでは余りにも幅が無さ過ぎるので、あと二、三体は欲しいところだ。
取り合えず『ガーくん』と『キューちゃん』に関しては一緒にバトルしていて大よその方向性は見えてきたのでそれを目指して育てるとして。
『ダーくん』のデータを解析して大よそのできることを見てみたが、このまま運用するには私の『コンセプト』に合わない可能性がある。
もう一匹、それを補完できるポケモンが必要であり……。
「『かそく』できる鳥ポケモン……何かいたかしらね」
しばらくはガラル中のポケモンについて調べるために図鑑と睨めっこになりそうだった。
5000字オーバーの文章の中で台詞が最後のほうの一行だけになっちゃった……。
あとちょっとしたアンケ取ります。期限は今日中。
次はどっちに行く?
-
ヨロイ島
-
カンムリ雪原