ポケットモンスタースカイブルー   作:水代

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ところで擬人種の女の子がダイマックスするとスカートの中が(ここからは血痕がついていて読めない

 

「だいまっくす……?」

「ダイマックス、このガラルでのみ確認されているポケモンの巨大化現象のことなんだぞ」

「ああ……ユウリがさっきのバトルでやってたやつ?」

 

 マグノリア博士のポケモン研究所のテーマは『ダイマックスについて』らしい。

 

 研究助手見習いのホップ曰く、ダイマックスとはこのガラル地方でのみ確認されているポケモンの巨大化現象の総称であり、マグノリア博士はこのダイマックス現象の解明のための研究を行っていると共に、このダイマックス現象を意図的に引き起こすことが可能なようにと作られた『ダイマックスバンド』の開発に携わったらしい。

 

「これだよ~」

 

 そう言ってユウリが上着の袖をまくって右手の手首を見せる。

 そこに巻かれているバンドに……なるほど確かに不思議な力を感じる。

 と、いうか、この感覚は。

 

「ムゲンダイナ?」

 

 ぽつり、と漏れ出た言葉にユウリとホップが驚いたように目を見開く。

 

「え、ソラちゃん凄い、なんで分かったの」

「それはまだ発表してない研究の結果のはずなんだぞ?!」

「え、何? どういうこと?」

 

 曰く。

 

 ダイマックスバンドの開発に必要不可欠な『ねがいぼし』と呼ばれる鉱物が存在する。

 ガラルに時折降り注ぐ流れ星の欠片とも言われおり、『願い星』の名前の通りガラルでは強い願いを持った人の前に落ちてくると言われている。

 実際、ユウリとホップがトレーナーとして旅立つ日、『ねがいぼし』が落ちてきたらしい。

 

 ダイマックス現象とはこのガラルの大地の下を巡る『力の奔流』のようなものが時折地上に噴き出している箇所……つまり『パワースポット』の上に存在するポケモンが噴き出したエネルギーに晒されることで空間を歪め()()()する現象のことを言うらしい。ダイマックス状態のポケモンは巨大化しているように見えるが結局それは『見えるだけ』であり要するに『空間が引き延ばされた』状態なのだ。

 それはさておき、このパワースポットで溢れるパワーを『ねがいぼし』は吸収し、エネルギーに転換、ダイマックス専用に作られたガラル製のモンスターボールの機能を使ってエネルギーをポケモンに注入することで意図的にダイマックス状態を発現させるという仕組みらしい。

 

 この『力の奔流』の余波で可視化された光子を『ガラル粒子』と呼称しているわけだが、『ガラル粒子』つまり大地からパワーを吸収、エネルギー転用する。

 

 さて、どこかで聞いたようなセリフではないだろうか。

 

 

 ―――ムゲンダイナの本質的な能力はガラルの大地から吸収、転用できる『無限のエネルギー』だから

 

 

 そう、ユウリが自分で言っていたように、ムゲンダイナの能力そのままなのだ。

 ムゲンダイナは遥か昔にガラルに落ちてきた隕石に眠るポケモンであり、過去に砕け散ったムゲンダイナの力が宿った隕石の欠片こそが『ねがいぼし』なのだそうだ。

 隕石と共に降ってきてなんで生きているのか……さすが超越種、生物止めすぎだろうと言いたい。

 

 というかだからこそムゲンダイナは『ねがいぼし』を与えると強化……というか元の強さを発揮できるようになるのだが、余り与えすぎると今度はオーバーロードし過ぎてしまうらしい。

 自分の肉体を取り戻したら負荷がかかりすぎて耐えられないとかどういう存在なのだろうか。

 正直な話、聞けば聞くほど無茶苦茶な存在である。

 

 もしかして……と思うこともあるが、まあ所詮もう起き得ない可能性の話。

 

 今のユウリに懐いた状態を見る限り……まあ多分、きっと恐らく、大丈夫……なのではないだろうか?

 

 まあ今はそのことは良いとしても。

 

「要するにこのガラル地方のプロリーグではダイマックスが当たり前のように使われているのね」

「そうそう……自分のエースポケモンにダイマックスさせて戦うのは盛り上がるからね~」

「ユウリのポケモンもそうだけど、兄貴のリザードンのキョダイマックスもカッケえんだぞ!」

「キョダイマックス?」

 

 また知らない単語が出てきたと首を傾げると、ホップが説明をしてくれる。

 さすが研究職を目指すというだけあって、こういうことには詳しいらしい。

 

「要するにダイマックスした時、通常とは違うダイマックスができるのね」

「それに通常のダイマックス時に使える『ダイマックスわざ』と違って『キョダイマックスわざ』ってのが使えるようになるんだぞ」

 

 『ダイマックスわざ』とはダイマックス状態でのみ使える技であり、この状態で使う技は元となる技のタイプごとに『ダイ〇〇〇』と名前を変えて一律で同じ技になるらしい。

 どれもこれも高威力で尚且つ追加効果も優秀な強力な技になるらしい。

 『キョダイマックスわざ』はキョダイマックス状態のポケモンのみが使える技で、キョダイマックスポケモンごとに変わる1タイプの技が『キョダイマックスわざ』に変わるらしい。

 

 『ダイマックスわざ』との大きな差異として、追加効果の独自性がある。

 

 強い技ではあるのだが癖が強いものが多く、『ダイマックスわざ』のほうが使い勝手自体は良いということも多いらしい。

 

「ダイマックスそれにキョダイマックス、ね。取り合えず覚えたけれど……それにしても厄介ね」

「それにダイマックスするとシンプルにタフになるんだぞ」

 

 やはりあのバトルコートの広さはそういうことらしい。

 ホップ曰く、ダイマックス状態になったポケモンは『ダイマックス技』とは別に耐久力が大きく伸びるらしい。

 図鑑のステータス表記を見れば分かるのだが、体力(HP)が約2倍ほどに伸びるそうだ。

 さらに言うならば一部の技の効果が通用しなくなるらしい。

 具体的には『いちげきひっさつ』技や『みちづれ』等。

 他にも『ねこだまし』などの『ひるみ』効果を受けないし、他にも『レッドカード』などの強制交代効果も受けないらしい。

 

「大分厄介ね」

 

 『ひこう』タイプは相手を怯ませる技があるので割と採用しているのだがそれが通用しない、というのはやや面倒だった。

 

「なんというか」

 

 聞いていた、限りの話ではあるが。

 

「真正面から殴り合うことを強要されてるみたいな環境ね」

 

 そう呟いた私の対面で、ユウリが薄く笑みを浮かべた。

 

 

 * * *

 

 

「なるほどな、ソラは今年のジムチャレンジに参加予定なんだな」

「ええ、ホップも去年参加したって聞いたわよ」

 

 すっかり中身の無くなってしまったカップを流し場で洗っていく。

 ユウリはさっきいきなり電話がかかってきてそのまま少し出てくると言って研究所を出てしまった。

 先ほどまで使っていたテーブルをアオに濡れ布巾で拭かせているので、こちらは洗い物を手伝っていた。

 

「こっちから誘ったのに手伝わせて悪いな」

「良いわよ、お茶美味しかったし、こちらこそ、ごちそうさま」

 

 水を切って、空布巾で拭いていく。

 きゅ、きゅ、と気持ちの良い音を鳴らせながら水気を切ったカップを片付ける。

 

「ユウリ帰ってこないわね」

「そうだな……まあアイツはチャンピオンだから、仕方ないぞ」

 

 呟きながら入口を見やるその視線は僅かに暗い色を帯びていて。

 何となく、そこに映った感情に勝手に共感してしまった。

 だからこそ、その言葉はふいに口から漏れた。

 

「置いて行かれた、とか思った?」

「っ?! いきなりなんだぞ」

「別に。ただの独り言だから気にしないで良いわよ」

 

 開かれる様子の無い入口の扉を見やり壁を背にして、ぽつり、ぽつりと呟く。

 

「私たちが幼馴染だってのは言ったわよね……元々ユウリってトレーナーを目指していたわけじゃないのは知ってた? まあユウリの両親、普通に仕事してる人たちだし、正直私と一緒にいた頃はトレーナーのトの字も知らないような子だったわ」

 

 逆に私はトレーナーになりたかった。なるしかなかった。それしか私には()()()が無かった。

 

「仲……良かったのよ。普通に、ううん、普通以上にかしら。大親友、なんて言ってくれてるけど、うん。私もそう、親友……じゃ足りないわね、大親友だわ。とっても大切な友達」

 

 だからこそ、最後の時に。

 

「引っ越しが決まって、あの子泣いてたのよ。でも私だってまだ子供だわ……今でもまだそうだって言われたら否定できないけれど、それでもまだ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だったわ。だから何もできなかった。何もしてあげられなかった」

 

 それが悔しかった。

 それが苦しかった。

 それが辛くて。

 

「―――大きくなって、トレーナーになったら、その時は私とバトルしましょう。って去り際に約束したの」

 

 また必ず会うための約束。

 リーグトレーナーを目指す私にとってその時できたたった一つの約束。

 けれど地方一つ変わればもう会えるかどうかなんて保証できないからこそ、それは気休め程度の口約束だった。

 私自身、それが気休めでしかないと分かっていた。

 

「だから、ガラルから手紙が来た時、びっくりしたわ」

 

 ユウリからの手紙が……突然やってきたのだ。

 それもリーグへの招待。

 一体何が起こっているのか、わけも分からず。

 それでも数年音沙汰の無かった親友からの連絡に一も二も無くやってきたのだ。

 

「久々に会ったあの子は……チャンピオンになっていた」

 

 チャンピオン。

 地方トレーナーの頂点。

 地方リーグにおける絶対存在。

 このガラル地方における最強のトレーナーの称号。

 

「置いて行かれたなあって思ったわ」

 

 片や新人リーグトレーナー、片や一地方のチャンピオン。

 別れる前は私のほうが圧倒的に前にいたはずなのに、気づいたら私のほうが遅れていた。

 そのことに何も思わないわけがない。

 

「それでもね」

 

 ガラルリーグに移籍する、ということはその頂点を……ユウリを倒すことを目標とする、ということでもある。

 ユウリから頼まれたことではあるが、私はユウリの敵となるわけだ。

 

「それでもね」

 

 いずれ戦う相手と交友関係を持つのはリーグという狭い世界で骨肉を争うような戦いを繰り広げるトレーナーたちにとって足を引く要素になりかねない。

 ユウリと戦う時に、ほんの僅かな情が入ったら私はきっと勝っても負けても後悔するだろうから。

 根本的に私はそこでストイックになれるタイプではないと分かっているから。

 きっとこのままユウリと親友で居続ければ私は情を割り切れない。

 ぐるぐるぐると悩んだままリーグ戦に臨むことになるだろう。

 

「それでも、ね……やっと再会できたのよ」

 

 大切な……大好きな親友ともう一度会えたのだ。

 

「どう足掻いたって私は変われない」

 

 割り切ることもできなければ。

 情を捨てることもできない。

 だってそれは私とユウリの『絆』なのだから。

 他でも無い。

 父さんの娘である私がそれを捨てることだけは絶対にできない。

 

「だから良いのよ。苦しいまま戦うわ。悩んだまま戦い抜くわ」

 

 それでも良い、それで良い。

 きっと辛いし、きっと痛いし、きっと、きっと。

 

 

 ああ、それでも、だ。

 

 

「この心が苦しい理由が友情なら……きっとそれだけ私がユウリのことを大好きだってことだから」

 

 

 * * *

 

 

「というわけでソラちゃんの勧誘成功しました!」

『そうか、よくやってくれた! 今年のジムチャレンジが今から楽しみになってきたな!』

「ですね~。ソラちゃんすっごい強かったですよ、ムゲンダイナやられちゃいましたし」

『そいつは凄い! はは、オレも戦いたくなってきたぜ!』

「ソラちゃんジムチャレンジに参加するからもし戦うなら一緒に参加するとかしないと」

『お、良いな! それは面白そうなアイデアだ』

「え?」

『ユウリ、サンキューだ! オレも忙しくなってきたぜ!』

「え? え? あの?」

 

 

 * * *

 

 

「てわけでオレもジムチャレンジャーだぜ!」

「何を言っているんですかキミは」

「一緒にどうだ? あの子たちのこととか気になってるんだろう?」

「いや、それは……でもおれはもう引退した身ですし」

「はは! なーに、別に引退したからって復帰しちゃダメだなんて理由はないさ。別にオレたちは問題があったから引退したわけじゃない。それにどうせ今年だけだ……来年からは新しい世代に任せれば良いのさ!」

「ふう……言い出したら聞かないのは昔からですね、キミは」

「こんなキョダイマックス級に楽しいイベントを逃すなんてガラル人じゃない!」

「……ふふ、まさかキミを相手に一理ある、と思わされる日が来るなんてね」

「お? 火がついたか?」

「ええ、確かにこんな楽しいイベントを逃すのは楽しくないですね。それにあの子たちのことも気になってますし」

「よし! 決まりだな! 今年のジムチャレンジは過去最高に盛り上がるぜ」

「やれやれ……ま、こちとら引退した身ですし。精々気楽にやらせてもらいましょうか」

「くぅ! 想像しただけで血が滾って来るぜ! 今から一試合、やらないか? ()()!」

「ノイジーなこと言ってんじゃねえです……と言いたいところですが、おれも少しばかり昂ってきましたよ、相手しましょう、()()()

 

 




因みにソラちゃんのユウリちゃんへの好感度も100%で120%くらい。理由はあるんだけどね。
ホップ君って一応後日談で心の整理はつけてるけど、まだ吹っ切ってないよな。
だって公式が絶対わざとソニアさん被せてるもん。

というか口調これで良いのかな。

台詞集とか確認しながら書いてるけど、口調が怪しい部分がある(
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