エンジンジムにおけるジムミッションは放たれた野生のポケモンを倒すか、捕獲するかでポイントを集めること。
ただしポケモンを捕獲したほうがポイントが高いのでそちらを狙ったほうが効率は良い……ように見える。
ポケモンの捕獲、これはトレーナーにとって基本中の基本事項と言える。
トレーナーとはポケモンを従え、育て、導くからこそトレーナーと呼ばれるのだ。
つまりポケモンを所持していなければトレーナー足り得ない。
そしてポケモンを入手する一番手っ取り早い方法が野生のポケモンをボールでゲットすることだ。
と、まあ基本とは言ったものの、実を言えばこのモンスターボールでポケモンをゲットするというやり方、相手によっては意外と難しかったりする。
例えばその辺の森にいるケムッソ*1にボールを投げるなら割と簡単に当たる。
何せあの手のポケモンは動きが鈍いし、そもそもじっとしていることも多いから。
けれどこれがポチエナあたりになるとちょこまかと動き回って非常に当てづらい。
そういう時はポチエナに気づかれないように遠くから投げて当てたりするのだが、これだってボールコントロールの技術がいる。
モンスターボールというのは意外と大きいのだ。待機状態時ならば子供の手のひらで包むことができる程度の大きさなのに、スイッチを押して起動させると途端に大人の手にすっぽりとはまるくらいのサイズになる。このサイズを子供の小さな手で投げようとすると結構技術が要求されたりする。
そしてこれをちょこまかと動き回るポチエナや飛び回るスバメに当てようとすると避けられたりすっぽ抜けて飛んでいったりとろくに当たらない。
そうして当たりもしなかったボールは道端に転がって他のトレーナーが拾ってリサイクルされたりするのだがそれは置いておいて。
厄介なのはモンスターボールというのはポケモンのどこでもいいから当たれば良いというわけではないということだ。
対象となるポケモンのちょうど中心に当たるほどしっかりと入るし、逆に遠ざかるほど上手く入らない。
ボールに入ったポケモンは大半の場合抵抗するのでしっかりとボールに入っていないとボールが破損して飛び出してきてしまう、こうなると捕獲失敗だ。
そういうわけで基本的に初心者に対しては『ポケモンをゲットするならポケモンバトルで相手を弱らせてからボールを投げる』ということを教える。相手が弱っていれば動きも弱まり捉えやすくなるし、ボールに捕らえた時も抵抗が弱まりゲットしやすくなるのだ。
当然ながらそれを知っている『推薦組』トレーナーは一々ポケモンバトルを仕掛けてポケモンを捕獲している。
そうすると結構時間がかかってしまう。時間制限のあるミッションなのでバトルをしながら3体捕獲しようとすると結構スムーズに終える必要が出てきてしまう。残り時間に焦ってしまうと逆にもたついてしまってタイムアップ、ということも結構あるらしい。
このジムチャレンジというのは私の感覚ではお遊び要素が強く感じるが、世間一般では難易度が高いとされている。それは多分ターゲットが基本的に『推薦組』……つまりトレーナーになりたての初心者を対象としているからなのだろう。
ある程度以上プロとして熟練している『チャレンジ枠』は真逆で、そもそもバトルをしない。
「あそこね」
呟き片手でボールを投げると同時にびゅん、と風が吹きボールが加速する。
ぐんぐんと飛距離を伸ばしたボールが遠く、こちらに気づかず背を向けたヒトモシを捉える。
そのほぼ中心点を捉えたボールへとヒトモシが光となって消えて行き、二度、三度とボールが揺れ、かちん、と音が鳴って捕獲が完了する。
「これで3匹」
1匹2ポイントらしく、5ポイントでクリアなのでこれでミッション完了だ。
このミッションは本来、ジムトレーナーが野生とのポケモンバトルに参加してきて妨害役となるのだが、そもそもこちらがバトルをしないので何もできずに途方に暮れていた。
―――プロトレーナーとしてある程度熟練してくると『効率』というものを意識し出す。
要するに、時間は有限であり、やるべきことは無数に存在することに気づくのだ。
そして色々なことに『効率』というものを求めだす。
その中で他のトレーナーがどんな方法で『効率』を上げているのか学ぶのだ。
そしてポケモンの捕獲というのもまたその1つ。
ポケモンをゲットするのに一々バトルを挟むのは効率が悪い、と考えたトレーナーがいた。
そもそもうっかりダメージを与えすぎて『ひんし』にしてしまえば逃げ出してしまう以上、できればダメージを与えること無くそれでいて確実にゲットしたい。
そんな風に考えたとあるトレーナーが編み出したのがこのやり方。
つまり『気づかれないように』『背後から』『胴の中心を狙って』ボールを投げる。
気づかれないようにボールを当てることでボールに入ってから抵抗しだすまでに意識の隙間……空白の時間ができる。
ボールが完全にロックをかけるまでだいたい3回くらい抵抗があるわけだが、こちらに気づく前に当てることでこれを1回分くらい減らすことができる。
さらに背後から当てるとこれもまた抵抗が遅れる。これでまた1回分くらい抵抗が減る。
そして先も言ったがボールは体の中央を狙えば狙うほどに入りやすくなる。
特に完璧に中心に命中させると有無を言わさずにゲットが完了する……いわゆる『クリティカル』が発生する。
そこまで行かずとも体の中心点に限りなく近づけることでゲットへの抵抗を多少無効化できるわけだ。
勿論毎回毎回確実に、というわけにはいかないが、それでもこの3つのポイントを覚えることによってバトルを挟まずともかなりの精度でゲットができるようになる。
まあこれでゲットできるのはさすがにレベルの低い未進化ポケモンくらいなのだが。
さすがに進化したポケモンやレベルの高いポケモンは抵抗が強い。バトルして弱らせなければとてもではないがゲットなんてできないし、バウンティー登録されるレベルの凶悪なポケモンになるとそもそも1度『ひんし』まで追い込まなければボールに入らない、なんてことも普通にある。
だからまあ結局こんな技能プロからすれば滅多に使うものでは無いのだが、プロになるほどバトルにのめり込んでいればボールコントロール含め自然と身につく技能ではある。
「曲芸、なんて言えるほどでも無いわね」
それでも偶に役に立つこともあるのだから、何が起こるか分からないものである。
* * *
ジムミッションを終え、午後からのジムリーダーとのバトルに向けて最後のチェックを行う。
すでに選出する手持ち3体は決めたし、それぞれの動きも頭に入っている。
さらにジムリーダーが使って来る戦術も研究しているし、ジム戦の受付からの一週間という時間があったのでワイルドエリアまで出向いて多少の調整も行っている。
すでに準備は全て整えていると言って良い。
後はバトルまでの時間を待つまで。
そうして待つことしばらく、私の順番が来たのでスタジアムコートへと続く廊下を歩いていると。
「やあ」
通路の脇道から誰かが出てきたと思えばこれから戦う相手……つまりジムリーダーカブだった。
「はい、お久しぶりです」
まあ予想はしていたことだったので多少の驚きはあれど動揺することなく返事をする。
他のジムリーダーと異なりカブはジム戦時チャレンジャーと同じ通路から出てくる。
これはジム戦におけるカブの常らしい。
「実は今日、キミと戦うことを楽しみにしていたんだ」
「……そうだったんですか?」
「ああ、ぼくと同じホウエンから来たトレーナー。それにあのエアームドを見ればトレーナーとしての実力も分かる。当然プロとして気にならないはずがないさ」
少しだけ意外、というのはカブがそれだけの興味を示すほど深く関わった覚えが無いから。
「ルリナとの戦い見ていたよ。手に汗握る熱いバトルだった、同時によく考えられたバトルだった。そしてぼくならどう戦うか、ずっと考えたよ」
「他にもチャレンジャーはたくさんいるでしょうに、余裕ですか?」
「2年目以上のトレーナーは大半ぼくのところをすでに去って行ったからね。勿論推薦枠の彼らを馬鹿にするわけではないけれど……」
ユウリたちのような飛び抜けた子はまだ見ないね、と独り言ちるように呟いた。
まあ確かに中継で見た限り、勝つにしろ負けるにしろ、本選で強力なライバルになる、と思えるような相手は終ぞ見ることは無かった。
ユウリとそのライバルたちの挑戦した去年はかなり混迷を極めたそうだが、実際のところそんなのはレアケース中のレアケースと言って良い。
トレーナーは歳を得るほどに強くなる、というわけではないが、それでも1年目と2年目以降の差というのはあまりにも大きい、リーグ2年目以降をベテランと呼ぶほどに。
「彼らとユウリ、ソラくんたちとの間にはたった1年の差しかない。けれどその1年の差というのは簡単に覆せるようなものじゃない」
「それは……そうですね」
「でもね、だからこそ今年1年を乗り越えた彼らが再びチャレンジ枠としてぼくに挑戦しにくることが何よりも楽しみなんだ」
それは毎年のようにジムチャレンジにて多くのチャレンジャーの前に立ちふさがるジムリーダーのちょっとした本心。
「たった1年でぐっと強くなった彼らを見ているとね、ぼくもぼくのポケモンたちもまだまだ立ち止まっていられない、進み続けなければならない、そう思えるからね」
『いつまでも燃える男』。
ふと、そんなカブのキャッチを思い出す。
「チャンピオンにジムリーダーたち、ガラルにも若い世代の波が押し寄せてきている。去年ポプラさんが引退したからね、多分今のリーグの最年長はぼくってことになるんだろう。けどね、だからこそ負けていられないのさ。こんなじじいになったってぼくたちはチャレンジャーなのだから」
そうしてたどり着く。
スタジアムのコートの入口。
ここを抜ければいよいよ始まるのだ。
「ソラくん。今日は良いバトルをしよう。ぼくも全力でキミに
そうして首にかけたタオルを握り、小走りに去るカブを見やり。
「ええ、私も……今日は勝たせてもらいますから」
呟き、その背を追った。
* * *
「行こう、キュウコン!」
「―――クォン!」
“ひでり”
投げられたボールから飛び出したのは『きつねポケモン』のキュウコン。
飛び出すと同時に空に向かって一鳴きすれば特性『ひでり』によって空から差し込む陽光が強まる。
「頼んだわよ……キューちゃん!」
「はーい! いっきま~す!」
こちらが投げたボールから飛び出したのはペリッパーの擬人種、キューちゃん。
そしてこちらもまたキューちゃんが飛び出すと同時に空に雨雲がかかり……。
“あめふらし”
ぽつり、ぽつり、と雨が降り始める。
「なるほど、特性『あめふらし』か。となるとニョロトノ……いや、ペリッパーだね」
急変した天候を見やり、カブが呟く。
さすがに分かるか、と思いながらもさあこれで何が起こる、と反応を確かめる。
間違い無くこのまま素直に天候を変えさせてくれるなんてことは無い。
絶対無い、あり得ない。最悪『上位天候』*2が出てくる可能性すら考えている。
初手でキューちゃんは安易と自分でも言ったが、それでもあえてその選択肢を取ったのはこの一手でカブの出方を見たかったからだ。
どんな手で対処してくるのか、そしてどういう状態に持って行こうとするのか、それで相手の方向性の一端でも見えれば良い。そう思っての一手だったが……。
けれど予想に反して『あめ』が止むことは無い。
「……なるほど、ね」
そして同時に『つよいひざし』が消えることも無かった。
「そう来るのね」
“きつねのよめいり”
空を見上げれば『つよいひざし』が雲間から突きさすように地上を照らし。
同時に黒雲から絶え間なく『あめ』が降り注ぐ。
「そうだね、あえていうなら」
同じように空を見上げたカブが。
「『てんきあめ』とでも呼ぼうかな」
そう呟き、笑った。
すみません、先月はちょっとアイスボーンでミラソロチャレンジやってて遅くなりました(言い訳
アイスボーン久々にやると楽しすぎて半月ずっと遊んでたわ……。
【種族】キュウコン/原種/擬人種/特異個体
【レベル】120
【タイプ】ほのお
【特性】ひでり
【持ち物】????
【技】????
【裏特性】『きゅうびへんげ』
????
自分の特性で天候が変化した時、効果ターン数がバトル終了時までになる。
????
【技能】『ゆらめくほのお』
????
【能力】『きつねのよめいり』
天候『にほんばれ』が『あめ』に上書きされる時、天候を『てんきあめ』にする。
【備考】
天候:てんきあめ
┗『ほのお』『みず』タイプの技の威力を1.5倍にする。天候が『にほんばれ』の時と『あめ』の時に発動する効果が全て発動する。
挿絵つけてるけど、あったほうが良い? 無いほうが良い?
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あったほうが良い
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ほどほどで良い
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無い方が良い