ポケットモンスタースカイブルー   作:水代

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もえるちしお④

 

 

 ここからはどうやっても短期決戦になる。

 あのウインディの火力を考えればやられる前にやるしかない。

 

「こちらの優位は『おいかぜ』で相手より行動が早いこと」

 

 対して相手の優位はこちらの『弱点タイプ』を突くことができること。

 火力に関して言えば実はそれほど問題視していない。

 どうせ『らんきりゅう』の無い現状でタイプ一致の『かみなり』に当たれば一撃で落ちるのだ。

 もしくは『ほのお』技でも同じだ、耐久寄りのキューちゃんがあそこまでダメージを受けるような火力をアタッカーであるフーちゃんが受けて無事で済むとは思わない。

 

 故にこの『おいかぜ』が止むまでに決着はつく。

 大よそ2手。その2手で何をなすのか、それが問題となる。

 

 眼前でウインディが唸りをあげる。

 

 “はつでん”*1

 

 バチバチと全身から電流が迸る。

 その勢いが強まると同時に。

 

 “かりょくはつでん”*2*3

 

 バチバチと火花を散らすように迸っていた電流が収まると同時に轟と音をたてながらその全身が炎に包まれる。

 

 “パワープラント”*4

 

 煌々と揺らめく炎がウインディの全身にエネルギーを漲らせるのを感じる。

 

「……耐える、なんて考えるだけ無駄ね」

 

 完全に一撃で落としに来ている。

 それを感じる、いや、アピールしているのだ。

 今から落とすぞ、落とすぞ、とこちらに、そしてこのバトルを見る観衆に。

 

「これがガラルなりのやり方、ということなのね」

 

 奇襲性は無いかもしれないが……これで一撃でフーちゃんが落ちるようなことがあれば観衆の期待は一気に傾くのだろう。

 そしてガラルのポケモンバトルにおいてその期待感は向けられたポケモンを後押しすることになる。

 

「良くできたシステムね」

 

 だが同時にそのアピールに失敗すれば期待感は一気に落ちる。

 

「―――ギァァゥアア」

 

 鼻で笑うかのように鳴き声をあげながらフーちゃんはウインディを嘲るような仕草を隠さない。

 その傲岸不遜な態度にイラついたかのようにウインディが眦を決する。

 

 “ごうがんふそん”*5

 

 しっかりと『ちょうはつ』されたらしい。

 これで余計な変化技は無い……あの馬鹿げた火力の一撃が飛んで来るだろう。

 

「さて、どうしようかしらね」

 

 考えるべきはカブはこの一撃で確実にフーちゃんを落とすつもりでいる、ということ。

 高火力が飛び交うガラルにおいて耐久型以外のポケモンならば『がんじょう』互換の能力を持つことも多いだろうこのガラルの環境において確実性を持って一撃で相手を落とす方法。

 それを考えれば……おのずと答えは見えてくる。

 

「問題はそれを対策したとして……返しの一手でどうなるか」

 

 頭の中で考察を組み立てていく。

 こちらの技、相手の技、そしてその後の状況、そこからどうなるか、どう対処するか、それらを考え抜き。

 

「フーちゃん!」

 

 指示を出す。

 ここまで数秒にも満たない間。

 だがバトル中に悠長に考えている時間は無い。

 故に事前に考えてきた勝ち筋の一つを設定する。

 あとは自分の戦略とカブの戦略、どちらが上回るかの勝負。

 

「ウインディ!」

 

 カブもまた指示を出すが、『おいかぜ』の分こちらのほうが早い。

 フーちゃんが大きく翼を広げると白い光がフーちゃんの周囲を周り、その全身を光に包む。

 

 “しんぴのまもり”

 

 ()()()()()()()()()()神秘の光に包まれたフーちゃんへウインディが迫る。

 

 “きょうせいはつでん”*6

 

 ―――ォォォォォォオオオ!

 

 咆哮と同時に全身に漲るエネルギーの総量が跳ね上がる。

 爆発的なエネルギーの奔流。その全てを『熱』へと変えてウインディが発する。

 

 “もえるちしお”

 

 “もえあがるとうし”*7

 

 “オーバーヒート”

 

  瞬間。

 

 先程の『かえんほうしゃ』とは比べ物にならないほどの劫火がごとき炎の波……否、最早炎の海とでも呼ぶべき強烈な焔がフーちゃんの周囲の空間ごと焼き尽くさんと言わんばかりの勢いで持って燃え広がる。

 

 数秒の後、炎が消え去った後に残った光景は地に崩れ落ちたフーちゃんと、そして敷き詰められた芝の全てが消し炭……どころか融解したバトルコートだった。

 

 炎が消えた直後の強烈な風に髪を押さえながらその光景を見て絶句する。

 観客たちもまたそのあまりの火力に息を飲み、そしてそれをまともに食らったフーちゃんを見やる。

 誰しもが地に伏したフーちゃんがやられたと信じ―――。

 

「フーちゃん」

 

 その掛け声に反応するかのように、その赤黒い炎が爆発的に広がる。

 同時に地に伏していたはずのフーちゃんが宙に飛びあがり、大きく翼を広げる。

 その刹那、フーちゃんからはらり、と()()()のような布が焼け落ちる。

 

「むっ」

「読み、通り!」

 

 思い出すのは放送でも告げたいざ、という場面で『やけど』になる確率が高い。という情報。

 タスキ受けした際のカブの様子を見るに、やはりある程度意図的に『やけど』を引き起こせるのだろう。

 耐えることのできないほどの高火力と耐えられてもトドメの『やけど』という二段階で確実に落としに来る。ダイマックスという耐久力を大きく上昇させる手段のあるガラルだからこそ求められる超火力。

 

 だがそれでも耐えきった。

 

 『きあいのタスキ』でダメージを食いしばり、『しんぴのまもり』で『やけど』をケアした。

 だが相手は無傷、それに対してこちらはHP1(ひんし寸前)

 けれど、フーちゃんの本領はここからにある。

 

「―――ギァァァァォォォオオオオォォオオオオオ!!!」

 

 空に浮かび上がったフーちゃんが怒号のような雄叫びをあげながら何度も首をくねらせ、怒りを燃やす。

 

 “ぎゃくじょう”*8

 

 “オーラバーン”*9

 

 フーちゃんの怒りのままに燃え広がるオーラの炎にウインディが僅かに怯む。

 そしてその怒りを吐き出すかのように、フーちゃんがウインディに狙いを定め。

 

「ウインディ!」

 

 臆する様子の自身のポケモンにカブが声をかける。

 その声にウインディが復帰するよりも早く、フーちゃんが翼を広げ、オーラを放つ。

 

 “オーラバーン”*10

 

 爆音と共に広がる赤黒い炎のオーラに立ち直りかけていたウインディが再び委縮し、次の瞬間にフーちゃんがその翼に宿る『もえあがるいかり』の炎を解き放つ。

 

 “じゃえんのつばさ”*11

 

 “もえあがるいかり”

 

 先ほどのウインディの一撃を彷彿とさせる……けれど決定的に異なる赤黒い炎がウインディを襲い、その全身を『あく』の炎で燃やし尽くす。

 推定『ほのお』『でんき』タイプのウインディにとってそれはどうしようもなく抗い難い強烈な一撃。特にフーちゃんのオーラに怯み、全身の力が抜けてしまった今は普段よりも抵抗が難しく。

 

 ―――ガ……アァ

 

 それでも一瞬、なんとか耐えようとし……けれど赤黒い炎が踏ん張ろうとしたその体を怯ませ、そのまま崩れ落ちた。

 同時、何もかもを解き放ったと言わんばかりのフーちゃんがボールへと戻って来る。

 

 これで、3-1。

 

 追い詰めた、と言える。

 

 だがそれも全ては次を倒せたらの話。

 

「大丈夫……手順はある」

 

 フーちゃんの残してくれた『しんぴのまもり』、これが残っている内が勝負。

 

 故にこれが最後の勝負。

 

「行って」

 

 盤面はすでにこちらの理想を描いた。

 あとは、これをカブが上回るか否か、それだけの勝負。

 

「ラーちゃん!」

 

 投げたボールからラーちゃん……プテラが飛び出し、咆哮をあげた。

 

 

 * * *

 

 

 最終局面。

 追い詰められた、とカブは理解する。

 

「まだ、だ」

 

 すでに状況は1対3。相手は1体の『ひんし』も無く、逆にこちらは残り1体にまで追い詰められている。

 絶望的な場面だと理解していて、それでもまだ、とカブは呟く。

 

「まだ終わらない、まだ負けていない、まだ逆転のための手はある」

 

 残り1つとなったボールを握りしめながら、すっと目を閉じる。

 

「カブよ、頭を燃やせ、動かせ! 勝てる道筋を探すんだ!」

 

 ぎゅっと握りしめたボールがかたりと揺れる。

 まるで任せろ、と言わんばかりの反応にふっとカブが笑みを浮かべ。

 

「勝つぞ! 勝つぞ! 勝つぞ!」

「グォォォォォォォン!」

 

 闘志を燃やしながらボールを投げればボールからマルヤクデが飛び出す。

 どすん、と通常の個体の4倍以上というキョダイなその巨体の重量にコートが地響きをたてる。

 初めて出会った時は寧ろ他の同族よりも小さなヤクデだった。

 けれど誰よりも努力し続けカブ自身も認めるほどの『すごいとっくん』を重ねたことで誰よりも強くなった自慢の相棒。

 何よりも才能の無さを努力で補おうとする姿はカブにとってどうしようもなく自身に重なった。

 

 相手が出してきたのはプテラ。

 『いわ』タイプが主力であり、こちらの『ほのお』『むし』というどうしようも無く『いわ』に不利なタイプ相性の弱点をついてきた形だ。

 

「持ち物が腐ってしまったのはいただけないね。まあジムチャレンジである以上このあたりが限界ではある、か」

 

 設置技対策に『あつぞこブーツ』を持たせたマルヤクデだったが、予想に反して『ステルスロック』等の技は無かった。これはカブの予習不足と言えるかもしれない。だが現実毎日毎日ジムチャレンジを受け付けている以上特定のチャレンジャーの対策をするのも中々に難しい話だ。

 だがお陰で体力は万全のままマルヤクデがフィールドに出てきた。

 

 ならば、後は勝つだけだ。

 

 ダイマックスバンドを片手にボールを手に取り、相棒に目配せすれば、問題無しと相棒が返す。

 それに一つ頷き、相棒をボールへと収める……と同時に片手に巻いたダイマックスバンドからエネルギーが溢れボールをキョダイ化する。

 

「マルヤクデ! 燃えさかれ! キョダイマックスで 姿も変えろ!」

 

 キョダイになったボールを真後ろへと投げればボールからはただでさえキョダイだったマルヤクデがスタジアムの天井に届くのではないかと言わんほどにその体躯を増大させていく。

 

 ―――ォォォォォォォォォォォォォオオオオオ!!!

 

 ダイマックスポケモン特有の低音な咆哮がスタジアムに響き渡る。

 同時にスタジアムが熱狂の波に包まれる。

 これがフルバトルならば……或いはこの辺りで『エキサイトグラフ』も最高潮に達していたのかもしれないが、残念ながらこれは3対3(ハーフバトル)、盛り上がりの最高潮へといまひとつ届かない。

 

 ―――いつか6対6の本気のバトルをしてみたいものだね。

 

 そんなことを内心思いながらも対戦相手を見て、そして目を見開く。

 

 “りゅうのまい”

 

 舞っていた、プテラが。

 『まもる』こともなく、攻撃するでも無く、なによりダイマックスすることも無く、このタイミングで積み技。

 その事実に驚くカブだったが、けれどやることは変わらないと無意識の中で淀みない指示を飛ばす。

 

「キョダイヒャッカ!」

 

 その言葉に超キョダイマルヤクデが体をうねらせその全身が光ると同時にキョダイな炎がプテラへと放たれる。

 

 “もえるちしお”

 

 “キョダイヒャッカ”

 

 『タイプ一致補正』を上げ、『タイプ半減』を等倍に戻すカブの育成によって磨き抜かれた技によってプテラの全身が炎に包まれる。

 本来ならばここにもう1つ2つ仕込みがあるのだが、さすがにジムチャレンジで出せるものでは無いとリーグ委員会によってレギュレーション制定されてしまっているのだが、それを差し引いてもプテラという決して耐久に自信のあるわけではない典型的高速アタッカーを落とすならば十分過ぎる火力だと思う。

 

 唯一の懸念である『きあいのタスキ』に関してはすでにあのガラルファイヤーが消費しているのは見た。持ち物の重複はレギュレーションによって全員共通で禁止されているのでタスキで受けられるということは無いはずだ。

 

 故に爆炎を突っ切ってプテラが飛び出してきた瞬間、目を剥いた。

 

 “おおぞらのぬし”*12

 

 キョダイヒャッカの炎に捕らわれることも無く炎を切り裂き飛ぶプテラの姿を見やりながら大よそのダメージを考える。

 元気に飛び回っているようには見えるが、それでも隠しきれないダメージが見て取れる。

 すでに7割以上は削ったように見える……がそれでも『ひんし』になってない以上、攻撃は来る。

 

「備えるんだ! マルヤクデ!」

 

 そうして二度目のキョダイヒャッカが放たれる。

 にも関わらず、ソラの選択は……ダイマックスでは無かった。

 

「頼んだわよ、キューちゃん」

 

 交代、という選択肢。

 投げられたボールから飛び出したのは未だに『ねむり』についたままのペリッパー。

 すでにキュウコンからのダメージで限界の近いペリッパーが耐えられるはずも無く。

 

「うきゅー」

「ごめんなさいね、今度好きなもの買ってあげるから最後の一手、頼むわよ」

 

 目を回し、フィールドに倒れ伏すペリッパーに告げながらボールへと戻す。

 ただ悪戯にペリッパーを犠牲にしたようにしか見えない一手、だがこの場面でそんな無駄なことをするだろうか?

 

 ダイマックスの制限のための時間稼ぎ?

 

 だがそれを否定するかのように『ひんし』となったペリッパーと交代して出てきたのはプテラ。

 何がやりたいのか、何をしているのか長年ガラルでバトルを続け、ガラルの流儀に染まってしまったカブには中々出てこない。

 

「ラーちゃん!」

 

 そしてそんな隙にソラがプテラをボールに戻す。一瞬再度交代か、とも思ったがけれど次のボールを手に取る様子はない。

 

 つまり。

 

「ぶっ飛ばしてきなさい! ダイマックス!」

 

 その手に巻かれたダイマックスバンドが光り、プテラの入ったボールがキョダイ化する。

 そして投げられたボールからダイマックスプテラが飛び出し咆哮を上げる。

 

「来る、か」

 

 わけが分からない、だが1つだけ分かった。

 ダイマックスを切った以上、相手がここでぶつかるつもりでいるということ。

 少なくともここで『ダイウォール』で粘るなどという手はプロならばやらない。

 

 ならば。

 

「マルヤクデ、ここで決めよう! ぼくたちの全力だ!」

 

 そんなトレーナーである自身の声に応えるかのように相棒が咆哮を上げる。

 

「炎は上に燃えあがる! ぼくらも上をめざす! わかるね」

 

 挑もう、試合前にそう彼女に告げたように。

 挑まれる側であること、ジムリーダーであることも一度忘れ、ただひたすらにチャレンジャーのように。

 

「マルヤクデ! キョダイヒャッカ!」

 

 その声に応えてマルヤクデが全身をくねらせる。

 キョダイな炎が輝き、エネルギーが収束する。

 あとは溜まり切ったらそれを撃ちだすだけ、その段階になって。

 

「ラーちゃん! ダイロック!」

 

 “きしゅうせん”

 

 “きゅうこうか”*13

 

 “ダイロック”

 

 ダイマックス状態とは思えないほどに機敏な動きでもってプテラが作り上げたキョダイな岩盤が倒れ込んでくる。

 速い。いや、ただ速いだけじゃない、早いのだ。

 ダイマックス状態というのは突然のキョダイ化にどうしても動作が遅くなりがちなのだが、そんなこと関係ないとばかりにプテラが技を放った。

 

 お陰でこちらの攻撃が収束しきる前にすでにダイロックの岩盤は目の前にまで迫っている。

 

「くっ……」

 

 溜まりきっていない威力の下がったキョダイヒャッカで迎撃するか、それとも相棒の耐久を信じて最大まで溜めて撃つか。ほんの僅かな間の選択。

 

「いや! 耐えるんだマルヤクデ! キミならできる!」

 

 過ったのは共に努力してきた日々のこと。走馬灯と呼ぶには不吉だがけれどその光景こそがカブの選択の後押しとなった。

 

 努力は裏切らない。

 

 意思は肉体を超越する。

 

 才能とは努力で補うことができる。

 

 そう信じた、そう信じて戦ってきた。

 相棒もまたそうだ。

 例え致命的弱点タイプの最大威力の一撃だとしても、それでも相棒なら耐える。

 

 信じ、そして着弾。

 同時に巻き起こる『すなあらし』の向こう側、自身の相棒が耐えたのか、それとも否か。

 それを確認することも無く、ただ信頼のみを持ってカブは叫ぶ。

 

「キョダイヒャッカ!!!」

 

 もしすでに『ひんし』ならば最早何も起きることは無い。

 ただ空虚に言葉が響くのみ。

 

 けれど、奇跡は……否、燃え滾る闘志が引き起こす必然はそこにあった。

 

 “キョダイヒャッカ”

 

 燃え盛る炎がプテラを襲う。

 すでに一度、その身に受けた焦熱の炎。

 『ほのおのうず』と化しプテラを拘束した炎がその全身を焼き焦がす。

 

 悲鳴を上げるプテラの周囲が爆発したかのように弾け、その身が縮小していく。

 そうして後には『ひんし』となり、目を回して気絶するプテラの姿。

 

 打ち勝った。

 

 その事実に歓喜する、と同時に。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 同様に爆発が起き、マルヤクデが収縮していく。

 収縮してなおキョダイなその体だが、けれど地に倒れ伏し、目を回す姿は完全に戦闘不能だった。

 

「……一手、足りなかったか」

 

 膝から崩れ落ちる。

 目の前が真っ暗になる。

 

 最後の勝負に自分たちは勝った。勝っていた。

 あと一手、『ひんし』寸前となったファイヤーを押し込むだけの一手があれば……。

 

「いや、これは言い訳だな」

 

 ファイヤーを残したソラが上手い。

 そして残せなかった自分が弱い。

 

「……ふう」

 

 大きく息を吐き、気持ちを落ち着かせると起き上がる。

 視線を上げればフィールドの向こう側で荒く息を吐きながら目を瞑り、呼吸を落ち着かせるチャレンジャーの姿。

 

 バトルはすでに終わった。

 ならばあとはジムリーダーとしての責務を果たしに行かなければならない。

 

 歩を進める。

 入って来た時のような小走りをするだけの体力はすでに無かった。

 衰えて来た、というよりはこの一戦が……3対3、特に後半は短期決戦だったが故に10分にも満たない僅かな時間の攻防がそれだけ濃密だった証だった。

 

「ソラくん」

 

 声をかければ目を開き、こちらへと視線を向けるまだまだ幼い少女の姿。

 こんな小さな体で、こんな幼い顔で、あんな激しいバトルを戦い抜き、そして自身に勝ってみせたのだと思えば不思議なものだ。

 

「良いポケモン、良いトレーナーだった」

 

 手を伸ばす。

 本当はもっと言葉を尽くしたい気持ちはあるのだが、同時に胸から溢れるような様々な感情で何を語れば良いかカブ自身にも分からなかった。

 

 故に、たった一つ。

 

 伝えたい言葉は。

 

「ありがとう、今日、戦えて良かった」

 

 差し出した手に、ソラが自らの手を見つめ……そして握る。

 

「こちらこそ、楽しいバトルでした」

 

 そうしてふっと笑みを浮かべた。

 

 

*1
『でんき』タイプの技を使った時、30%の確率で自分の『とくこう』が上がる。

*2
『ほのお』タイプの技を出した時、『じゅうでん』状態になる。『でんき』タイプの技を出した時、『ねっけつ』状態になる。

*3
状態変化『ねっけつ』:次に出す『ほのお』タイプの技の威力を2倍にする。

*4
『ねっけつ』状態になった時、自分の『ぼうぎょ』と『すばやさ』を上げる。

*5
相手のレベルが自分と同じか低い時、場に出た時、3ターンの間相手が『ちょうはつ』状態になる。

*6
1ターンの間、自分の『とくこう』を2段階上げる。ターン終了時、4段階下げる。

*7
『ねっけつ』状態のポケモンが『ほのお』技を出す時、技に『100%の確率で相手を『やけど』状態にする』効果を付与し、相手の『まもる』等を解除して攻撃できる。この効果で相手が『やけど』になった時、テンション値を+1する。

*8
現在HPが最大HPの1/2の時、『とくこう』を上げる。

*9
特性『ぎゃくじょう』が発動した時、自分の全能力を上げ、相手の全能力を下げる。

*10
場にいる間、相手の技の優先度を-1する。

*11
特性『ぎゃくじょう』が発動した時、自分の攻撃技の威力を1.5倍にし、『攻撃後、味方と交代する』効果を追加する。

*12
相手より『すばやさ』が高い時、相手の技の追加効果を受けず、20%の確率で相手の攻撃を回避する。相手より『すばやさ』が高い時、自分が攻撃をしていない時に相手から受けるダメージを半減する。

*13
自分の攻撃技の優先度を+1し、威力を1.2倍にする。場に出て最初のターンのみ発動できる。




カブさん結構好きなキャラ。

というわけで注釈タグのせいでいま何文字が分からないから伸びに伸びまくって8000字近く。
ジム戦だし④で終わらせたいなって思ったら詰め込み過ぎた。


最後に今回のデータ




【名前】キューちゃん
【種族】ペリッパー/擬人種
【レベル】120
【タイプ】ひこう/みず
【性格】おだやか
【特性】あめふらし
【持ち物】オボンのみ
【技】ぼうふう/ハイドロポンプ/たくわえる/はねやすめ

【裏特性】『とっきゅうびん』
行動前の味方と交代して場に出た時、ターン終了時に変化技を出せる。
味方と交代する時、能力ランクと状態変化を引き継ぐ(味方へ交代する時、味方から交代する時、『ひんし』になって味方と交代する時)。
味方と交代して場に出た時、自分が最後に使った持ち物を自分の持ち物にする。

【技能】『ぼうふうけいほう』
場の状態が『おいかぜ』の時、自分の出す『ひこう』タイプの技の優先度を+1する。


補足
交代時にバトンタッチ効果自体はオートで行われるので『ねむり』状態でも発動します。
『ねむり』状態時に『ねごと』でバトンタッチがシステム的に成立するのでアリ。

プテラ(A1↑ S1↑)と交代でペリッパー(A1↑ S1↑)、瀕死になって交代でプテラ(A1↑ S1↑)状態のまま『場に出て最初の時』効果ができるようになった。ということです。







【名前】フーちゃん
【種族】ファイヤー(ガラルのすがた)/原種
【レベル】120
【タイプ】あく/ひこう
【性格】ひかえめ
【特性】ぎゃくじょう
【持ち物】きあいのタスキ
【技】もえあがるいかり/エアスラッシュ/しんぴのまもり/こらえる

【裏特性】『ごうがんふそん』
相手のレベルが自分と同じか低い時、優先度+1以上の技を受けなくなる。
相手のレベルが自分と同じか低い時、自分の技の追加効果の発動率が2倍になる。
相手のレベルが自分と同じか低い時、場に出た時、3ターンの間相手が『ちょうはつ』状態になる。

【技能】『じゃえんのつばさ』
特性『ぎゃくじょう』が発動した時、自分の攻撃技の威力を1.5倍にし、『攻撃後、味方と交代する』効果を追加する。

【能力】『オーラバーン』
特性『ぎゃくじょう』が発動した時、自分の全能力を上げ、相手の全能力を下げる。
特性『ぎゃくじょう』が発動した時、場にいる間、相手の技の優先度を-1する。








【名前】ラーちゃん
【種族】プテラ/原種
【レベル】120
【タイプ】いわ/ひこう
【性格】いじっぱり
【特性】きしゅうせん(相手より先に攻撃した時、技の威力を1.5倍にする)
【持ち物】ラムのみ
【技】ストーンエッジ/ダブルウィング/りゅうのまい/まもる

【裏特性】『おおぞらのぬし』
相手より『すばやさ』が高い時、技の命中が1.5倍になり、攻撃が急所に当たりやすくなる(C+1)。
相手より『すばやさ』が高い時、相手の技の追加効果を受けず、20%の確率で相手の攻撃を回避する。
相手より『すばやさ』が高い時、自分が攻撃をしていない時に相手から受けるダメージを半減する。

【技能】『きゅうこうか』
自分の攻撃技の優先度を+1し、威力を1.2倍にする。場に出て最初のターンのみ発動できる。







名前:カブ

【技能】

『もえるちしお』
味方の『ほのお』ポケモンの『ほのお』タイプの技の一致補正を2倍にする。
味方の『ほのお』技が相手に『こうかはいまひとつ』の時、ダメージを2倍にする。

『ほのおのてつがく』
天候が『にほんばれ』の時、味方の『ほのお』タイプのポケモンの全能力を1.1倍にし、テンション値を+2する。

『もえあがるとうし』
????
『ねっけつ』状態のポケモンが『ほのお』技を出す時、技に『100%の確率で相手を『やけど』状態にする』効果を付与し、相手の『まもる』等を解除して攻撃できる。この効果で相手が『やけど』になった時、テンション値を+1する。

状態変化:ねっけつ
次に出す『ほのお』技の威力を2倍にする。


【応援】『バーニングソウル・ヒートビート』
10%の確率で味方の『ほのお』タイプのポケモンが『ねっけつ』状態になる。



【種族】キュウコン/原種/擬人種/特異個体
【レベル】120
【タイプ】ほのお
【特性】ひでり
【持ち物】イトケのみ
【技】かえんほうしゃ/ソーラービーム/わるだくみ/おきみやげ

【裏特性】『きゅうびへんげ』
場に出た時、HPを1消費して『みがわり』状態になる。
自分の特性で天候が変化した時、効果ターン数がバトル終了時までになる。
『おきみやげ』で『ひんし』状態になった時、自分の能力ランクの変化を次に出すポケモンに引き継ぐ。

【技能】『ゆらめくほのお』
『ほのお』タイプの攻撃技に『50%の確率で相手をねむけ状態にする』効果を追加する。

【能力】『きつねのよめいり』
天候『はれ』が『あめ』に上書きされる時、天候を『てんきあめ』にする。


【備考】長寿個体。長く生きているだけあって特異な力を持っている。原種が基本の姿だが、擬人化もできる。

天候:てんきあめ
┗『ほのお』『みず』タイプの技の威力を1.5倍にする。天候が『はれ』の時と『あめ』の時に発動する効果が全て発動する。






【種族】ウィンディ/変異種/特異個体
【レベル】120
【タイプ】ほのお/でんき
【特性】はつでん(『でんき』タイプの技を使った時、30%の確率で自分の『とくこう』が上がる)
【持ち物】しろいハーブ
【技】オーバーヒート/かみなり/ソーラービーム/あさのひざし

【裏特性】『パワープラント』
『こうかはばつぐん』のダメージで『ひんし』になるダメージを受けた時、HPを1残す。
『じゅうでん』状態になった時、自分の『とくぼう』と『すばやさ』を上げる。
『ねっけつ』状態になった時、自分の『ぼうぎょ』と『すばやさ』を上げる。

【技能】『きょうせいはつでん』
1ターンの間、自分の『とくこう』を2段階上げる。ターン終了時、4段階下げる。

【能力】『かりょくはつでん』
『ほのお』タイプの技を出した時、『じゅうでん』状態になる。
『でんき』タイプの技を出した時、『ねっけつ』状態になる。

【備考】色違い6V。性格『おくびょう』。





【種族】マルヤクデ/原種/特異個体
【レベル】120
【タイプ】ほのお/むし
【特性】しんきろう(味方の場の状態を『しんきろう』にする。場にいる間、自分の『かいひ』をあげる。自分の能力がマイナスになった時0に戻す)
【持ち物】あつぞこブーツ
【技】ほのおのムチ/きゅうけつ/パワーウィップ/にほんばれ

【裏特性】『オーバーヒーター』
天候が『はれ』の時、テンション値による能力の補正を2倍にする。
天候が『はれ』の時、自分が場にいる間、相手の『やけど』が治らなくなる。
天候が『あめ』の時、自分の『かいひ』を上げ、相手の『めいちゅう』を下げる。

【技能】『あだころび』
『やけど』状態の相手に与えるダメージが1.5倍になり、ダメージを与えるごとにテンション値を+1する。

【能力】『キョダイホウネツ』
『キョダイマックス』状態の時、相手の場のポケモンを『やけど』状態にする。

『エースポケモン』
相手のポケモンを倒した時、エキサイトグラフを+1(個別)する。
相手の『エースポケモン』が場に出てきた時、テンション値を最大まで上昇させ、エキサイトグラフを+2(個別、全体)する。

『キョダイマックス』
3ターンの間、『キョダイマックス』状態になる。
『キョダイマックス』状態の時、自分のHPを2倍にする。
『キョダイマックス』状態の時、『ほのお』タイプの技が全て『キョダイヒャッカ』になる。

『超巨大個体』
『すばやさ』が半減するが、HPが2倍になる。

【備考】超巨大個体。


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