近界プルルン奮闘記   作:ドドドドド黒龍剣

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第10話

 初戦場から10日が経過した。

 初戦闘で死人が出たが、それ以降は出ることはなく何だかんだと上手く生き残れた。

 10日もあれば軌道周回から外れるらしく、暫くは襲撃されることは無いだろうとルミエから話を聞かされて少しだけホッとする。

 

 国を作っている(マザー)トリガーが今日の天気を豪雨にした。

 雨と言えば信長が桶狭間の戦いか長篠の戦いかは忘れたがゲリラ豪雨を利用して移動したとかで、戦争で銃が有用だと証明した。俺には【ミラージュ】は合いそうに無いので銃をその内作って貰いたい。

 

「本当にこんなのでいけるのか?」

 

「上手く行けば作れるはずだ」

 

 豪雨の中、イアドリフで1番高いエンバルテアと言う山へとやって来た。

 前に言っていたトリオンの代わりになる物を生み出す為にルミエに連れてこられた。

 

「少なくとも、成功の一例はある」

 

 エンバルテアの頂上で漆を塗りたくった銅線を巻いた鉄棒を避雷針の上に差し込み雷を待つ。

 そう。Dr.stoneの序盤の方でやった鉄棒に雷をぶつけて強力な磁石を生み出すアレである。NASAが実際にやって成功したと言う例がある……そういえば

 

「この世界に磁石はあるのか?」

 

 今更な疑問を持つ。

 原作ではヒュースが使っていたのは紛れもなく磁石だ。磁力を応用した物ばかりで、恐ろしく万能なトリガーだった。

 

「磁石はあるけど、方角を示したり金属を探知するぐらいにしか使えないな……玄界では違うのか?」

 

「……いや、大体そんなもんだ」

 

 磁石はあるけど、それはあるだけで研究はされていない。

 そもそもでトリガーの技術が多方面に優れているせいで火薬も発展することは無かったのだろう。

 家の明かりまで人を殺すまでなんでも出来るのがトリオンの技術だ。

 

「!」

 

「雷が落ちたか」

 

 今日も今までのように長時間待つものだと覚悟をしていたのだが、思ったよりも雷が早く落ちた。

 まるで母トリガーが新しい技術を取り入れろと言わんばかりの落雷。こんなに超至近距離で雷が落ちるのははじめてだ。

 

「おぉ、磁石ってこんな風に出来ているのか」

 

「無闇矢鱈と触れんなよ。てか、遊ぶな」

 

 漆を塗った鉄棒は消し炭になることなく磁石となった。

 ルミエは面白いものを手に入れたかの様にはしゃいでおり、反発している磁石を無理矢理くっつけようとする。

 

「それでこの強力な磁石をどうするつもりだ?」

 

「……竹、無いんだよな」

 

「そんなもの、聞いたこともみたこともない」

 

 この強力な磁石を使ってトリオンに変わる生活を支えるエネルギーを作り上げる。

 その為の第一歩は電球だ。夜中に明かりを灯す為に使うトリオンを全て電球に変えるとなると、壮大なプロジェクトとなると一歩でも躓くわけにはいかない。武勲による成り上がりはあまり期待出来そうにないからな。

 

「そもそもでどうやって明かりを灯すつもりだ?」

 

 なんで?と疑問を持ち続けるルミエを納得させるには説明より証拠を見せるしかない。

 エンバルテアを降りて市街地に戻り、グルグルと銅線を巻いたコイルの真ん中に磁石をグルリグルリと回す。

 

「へぇ……」

 

 グルリグルリと回しているコイルの先端部分に炭となった紙を触れさせる。

 すると、紙は光を放ち一瞬にして消え去る……この光景を見て、何時もの薄ら笑いとは別の笑みを浮かび上げて細めていた目を見開いている。

 

「これを実用するにはなにをすればいい?」

 

「別に難しいことじゃない。真空にした硝子の器にコレの配線と中身を入れればいい……とはいえ、竹が無いから別の品で代用するしかない」

 

「その竹とやらがあればもっといいのか?」

 

「竹は輸入するだけでいい。育てるのだけは絶対にするな」

 

 竹は海外では有害指定植物だ。

 1m先の地中深くにまで根を張っているので処理するのが大変だ。1本でも残っていたらゴキブリかの如く大量に増えていく。外国人が竹は面白いとか神秘的だとか言って持ち帰るが、竹は生命力が半端じゃない。専用の塩素ぶちこんで除草するしかない。

 

「う~ん」

 

「今は簡易的だが歯車(ギア)を用いて水力による発電が出来る。とはいえ、それは大掛かりな仕掛けになる」

 

 手で磁石を回し、発電をしながらルミエにプレゼンをする。

 ルミエは何度か燃え尽きていくフィラメントになり得ない炭となった紙を見て、これは実際に使える物なのだろうかと考える。

 

「これ、明かりをつける以外にも使えるのか?」

 

「此方の世界でトリオンを用いた物が全てなら、向こうの世界は電気(これ)を用いた文明だ……詳しいことを知りたいのなら、誰かを地球に派遣してくれ」

 

 千空並の知識を俺は保有していない。

 だから、ドローンを作れとか言われても作れない。あくまでもDr.stoneでやっていた事を少しだけ本当に出来るかどうかちらりと確認しただけで、本当にやったことはない。

 

玄界(ミデン)の技術を輸入ばっかしてたら国は傾く。自分達でどうにかしないと」

 

 エジソンみたいな事を言いやがって。

 とはいえ、発電に必要な物は揃っているので時間をかければ電球を作ることは出来る。そうなれば街の明かりに使うトリオンを別の物に使うことが出来る。

 

「それで明かりに代えればトリオンに余裕が生まれる。それならば前に言っていた門を誘導する装置を作れるはずだ」

 

 既に拐われていった人達に死人が出ている。

 最初に閉じ込められた場所にいたけども、それ以降は顔を見ていない奴等もいる……多分、既に死んでいるのだろう。

 トリオン障壁を張ることで市街地に侵入することは出来なくなっているが、市街地以外から何処でも入り放題なのは心臓に悪い。暇すぎる時はとことん暇で体にかかるストレスが半端ない。

 

「まだ実用に至っていないし、開発するとも言ってないぞ」

 

「……するつもりは無いのか?」

 

「トリオンに余裕が出来たから、一応の交渉はする……ほら、受けとれ」

 

 蛇の絵が刻まれた腕輪を投げてくるルミエ。俺は既に【カゲロウ】があるので新しいトリガーを支給されても困る。

 いや、そんな事をわざわざ1から説明しなくてもルミエは分かっているはずだ……だったら、これはなんだ?

 

「今回の報酬に街を出歩く権利とそこそこの金を支給する」

 

「は?」

 

「成果を上げれば、それ相応の報酬はくれてやる」

 

「おい、待て。それだけか?」

 

 自分なりに頑張って結構な物を作り上げて渡したつもりだ。

 それなのに貰える権利が外を出歩く権利とほんのわずかな電子マネーとなると抗議の1つや2つ、したくもなる。

 確かに外を出歩くことが出来る権利はありがたいしお金があれば遊ぶことは出来るだろうが、もっと別の報酬を期待していたのでそれだけだと明らかに足りていない。

 

「この手の技術は一個だけじゃなくて大量生産が出来てこそ意味がある物だ。基礎となる部分の更に基礎となればそれ相応の報酬はあるが、基礎は基礎……量産の目処もまだ立っていないからこれで充分だ」

 

 ぐうの音も出ない正論を叩き返すルミエ。

 あくまでも電気を産み出しただけで、まだそれを実用するには至っていない。コレを実用化して、街の明かりを全て電球に変えることに成功すれば、それ相応の報酬は貰える。今の話から察するに報酬は上乗せされそうな感じだ。

 

「まぁ、そう落ち込むな。コレがちゃんとした形で実用化されれば嫌でもお前の事を上は評価する」

 

「言っておくが、俺はエンジニアとか開発系は無理だぞ」

 

 ここから先の発明に期待をしてもらっても困る。

 あくまでも漫画で見た程度の知識だけなのでここから先は作れない。俺は優れたエンジニアじゃない。多分、根本的に向いていないんだろう。

 

「そこはこっちで色々とやってみる。今はトリオンに変わるエネルギーの開発に成功した事だけで充分だ」

 

 だったら、もうちょっと報酬を上乗せしてくれよ。

 

「とりあえず彼女とデートでもしてきたらどうだ?」

 

「彼女って、お前そう言う風に見てるのか?」

 

「いや、でもあくまでそういう名目でお前は彼女を求めただろう」

 

 痛いところを的確に突いてくるな。

 リーナを求めた理由は違うけれども、女が欲しいと言っている。建前上そういうことになっている。

 

「おかえり」

 

 部屋に戻るとおかえりと言ってくれるリーナ。

 これを言ってくれるだけで、俺の心は少しだけ安らかに和らぐ。

 

「どーなった?」

 

 まだまだ馴れない拙い日本語で結果を聞いてくるリーナ。

 日本語で答えると分からないかもしれないので、一先ずは親指をサムズアップすると喜ぶ。殆どリーナには関係の無い事でやってはいけない事なのに自分の事の様に喜んでくれる。

 

「リーナ、I got permission to go out」

 

「!」

 

 なにから言えば良いのかが分からない。

 リーナになんて言えば分からないので、一先ずは外出の許可が降りたことを伝えると驚く。

 

「Can I go shopping?」

 

「I have the money、So I have to accompany you」

 

 外出する権利をリーナも手に入れたが、お金を貰ったのは俺だけだ。

 ここまで来てルミエがケチってお金を全然持たせてくれなかったとは思えない。電子マネーなのでどれだけお金が入っているか実感は出来ないが、そこそこは持たせてくれている。

 

「Does that mean dating me?」

 

「……まぁ、そうなるな」

 

 金を持っているのは俺で、リーナは外出する権利しか持っていない。

 1人でバラバラに行動して土地勘が無いところで迷子になってしまったら笑い話にしかならない。

 英語で返事をせずに頭をポリポリとかいて答えると顔を手のひらで覆い隠すリーナ。あからさまな反応を見せる姿は初々しい。

 

「私、デートはじめて」

 

 やっぱりまだ日本語に馴れていないのか片言のリーナ。

 俺と顔を合わせずにゆっくりと告白をしてくれるのだが、デート扱いにしてくれるのか。

 

「はじめてなのか?」

 

 こう言ってはなんだがリーナは可愛い。

 俺の目が腐っていなければ成長するにつれてモテまくる気配をビンビンに醸し出している。

 綺麗な金髪に透き通る青い瞳に整った顔立ち。大人になれば絶世の美女になるのは確実なのは分かり、現段階でもモテるだろう……ああ、そうだ。

 

「まだ俺もリーナも子供(ガキ)だったな」

 

 第二次性徴する前に俺とリーナは拐われている。

 その事を今の今まで忘れてしまっている……それは此処での生活に馴れてしまったからか。

 

「If you don't like it, you can decline」

 

「……一緒に、行こう」

 

 気に入らないのならば、一人で行く。

 リーナは迷いに迷った結果、俺と一緒に外に出てくれる。嫌そうな顔じゃなくて恥ずかしそうな仕草を見せているのはなんとも初々しい姿で見ているこっちが……エモいと思ってしまう。

 お洒落をしようにも服は与えられた物しか持っていない。財布はなく、電子マネーと思えるもの……。

 

「確か、こっちだったな」

 

 自由に外出できる権利を得たので、何時もは固く閉ざされた入口は開く。

 何度か戦いのために出入りをさせられているので何処になにがあるのか大体分かる。渡された白色の腕輪は電子マネーとなるだけでなく、入口を開ける鍵にもなる。

 

「ジョン、こっち」

 

 出撃回数が多いリーナも道順を覚えているのか俺の腕を引っ張る。

 改めて自分達を閉じ込めている施設を見るとなにもない箱の様な形をしていて、如何にもな監禁場所だと納得をしてしまう。

 

「ちょっと待ってろ。幾らぐらい入れられてるのか確認してくるから」

 

 市街地へと辿り着くと昭和の市場を思わせる場所へとやって来た。

 ここに来てはじめての戦闘以外の外出でリーナは目を輝かせており、一先ずは幾らぐらい入っているのかを確認しようとするとリーナが手を掴んできた。

 

「リーナ?」

 

「It's a date so we have to be together」

 

「……まぁ、それもそうか」

 

 デートと言ってしまっているのだから、離れて行動するわけにはいかない。

 リーナは手を掴んできたのでなく、手を握ってきたんだと再認識し、繋いでいない手の方に白色の腕輪をつける。

 

「2人でデートなのか?可愛いな」

 

 当初の目的を果たそうと適当な店に目を付けるのだが、店主のおっさんはリーナと俺がまだ子供なのか微笑ましい目で見つめる。ガキ扱いされたくないが、ガキなのは事実。

 

「すみません、これが幾らぐらい入ってるか確認できますか?」

 

「ああ、それなら此処にかざせばいい」

 

 変な事はせず、支払いをすると思わしき機械に腕輪を翳す。

 すると立体映像が出現し、現在幾ら入っているのか教えてくれる……しかし、問題がある。近界の文字を俺は読むことが出来ない。

 

「数十万はあるな……坊主、うちの店の商品を買ってけよ」

 

「なにを売ってるんだ?」

 

「野菜だよ、野菜」

 

 食事は基本的に支給されるから料理をする機会が無い。

 料理をすることを娯楽として扱ってくれるならばルミエは許可してくれるが、問題は1つ。この国の飯が全くもって俺と合わない。飯が不味いとかそういうのはない。シンプルに米とかがない。

 

「米は置いていないのか?」

 

 トマトに人参、馬鈴薯、玉葱、キャベツ、ピーマンと定番的な野菜は置いてある。

 此処は八百屋なのだろうが、国によっては米を主食としてでなく野菜やおかずとして食べられる。この国で置いていないのは知っているが、情報があるならばほしい。

 

「あれはあんま味がしねえし美味しくねえから農家も作ってねえ。国も売れないから作るのを推進してねえよ」

 

「……その米ってこう、細長い形をしていたのか?」

 

「それ以外に米ってあるのか?」

 

「……」

 

 多分、このおっさんの言っている米は日本の米じゃない。インディカ米、俗に言うタイ米と呼ばれる品種の米だ。

 そもそもで地球で主に食べられている扱われる米は主に日本で食べられている米じゃなくてインディカ米の方で、日本の米の方が稀少すぎる。いやでも、冠トリガーが国を栄えさせるのにって描写で稲穂っぽいの出てきてたから、日本の米を探せば、カリフォルニア米辺りなら見つけ出せるかもしれない。

 

「リーナ、Can you cook」

 

「……」

 

 色々と教えて貰ったし、料理で息抜きも出来るかもしれない。

 リーナに料理が出来るかどうかを聞いてみると目が泳いでいる……リーナは料理が出来ないんだな。女性だからって料理が出来るとか思っていたら偏見だよな。

 

「ジョンは?」

 

「まぁ、出来なくもない」

 

 今時肉じゃがとか豚カツとか出来ないとダメなご時世なんだ。

 とはいえ、此処でそれが出来るかどうかはまた別の話である。そもそもで料理する事すら出来ないかもしれない。

 

「調味料が置いている店って何処だ?」

 

「それなら、三つ先の角を曲がったところだ」

 

「ありがとう」

 

 売っている野菜はとりあえず覚えた。

 日本で食べれる主な野菜で、スイカとかの果物に近い物は置いていない。そもそもで取り扱っていない可能性もあるが、果物を売っているところが別にあることを期待する。

 

「いらっしゃい」

 

 今度はそこそこのお兄さんが経営をしている店だった。

 字が読めないが、石とか粒とか葉っぱが入れられた容器が置かれている棚が並べられており幾つかは見たことがある物も置いている。香辛料のみ置いている店なんて日本じゃ中々に見ないが、此方の世界じゃ当たり前の如くあるんだろう。

 

「……味噌と醤油は置いていないのか?」

 

「みそとしょうゆ?」

 

 食べる料理が米以外を主食とした物で、米がないからと薄々は感じていた。

 やはりと言うか、この世界には味噌と醤油がない。日本人にとって馴染みのある物が無い。醤油はともかく、味噌の方はかなり歴史がある食べ物だ。

 

「みそ……Do you use it for miso soup?」

 

「yes……とはいえ、鰹節も無さそうだな」

 

 味噌だけあっても味噌炒めとか味噌煮ぐらいしか料理には使えない。

 海が無い国なので昆布に期待するわけにもいかない。椎茸とかの乾物で出汁を取ればまた違う味になる。

 これは本当に地球に行って技術を取り込んだ方がいいのかもしれない。

 

「次、行くか」

 

 街の探索はまだまだ続く。




遊真が紙のお金と鉄のお金で驚いてたから、多分近界は電子マネー主流だと思う(偏見)

今後の展開

  • そろそろ原作にいけ
  • もう少しオリジナルをやれ。
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