近界プルルン奮闘記   作:ドドドドド黒龍剣

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第11話

 街の探索と言う名のデートは続く。

 八百屋や香辛料以外にも肉屋や酒屋と言った店を回ってみる。料理をする権利を貰っていないので、買うことは出来ない。部屋に冷蔵庫が備えられていたらよかったのだが、そんなものを与えられていない。

 

「リーナ、Did you have any favorite clothes?」

 

 食料品の市場を抜けて辿り着いたのは雑貨品の市場に出る。

 流石に戦闘用のトリガーは置いておらずペンダントや家具と言った雑貨品が置いており、服屋を見つけたのでリーナに欲しい服は無いのかを訪ねる。

 

「I don't have what I want」

 

 リーナのお気に召す物は置いていなかった。

 此方の世界は娯楽の方の文明があまり進んでおらず、娯楽品が少ない。チェスやトランプはあるがUNOとか将棋はない。

 此処は小説家になろう名物であるオセロでも作ってみるか?あれは確か、まだ出来て100年も満たないもので日本発祥の筈だ。

 

「味噌に醤油にオセロ……後はなんだ」

 

 もうこの際だから小説家になろうの主人公達と同じ道を辿ってやる。

 この世界に無いものを産み出せばルミエが上に話を通して貰う……てか、上って誰なんだろう?

 主に外交関係をしていて俺達拐われた地球人の管理をしているらしいが、正式な役職名は知らない。一応の上司は居て、それとは別の系列の部隊がある。

 組織図を一応は教わっているが、当人達に全く会っていないので理解できていない。

 

「ジョン、ジョンは欲しいものが無いの?」

 

「……欲しいものか」

 

 色々と見て回り、飴を見つけたので購入したリーナ。

 俺は付き添うだけの形となっており、なにか欲しいと言う素振りを見せてはいない。単純に欲しい物は無いのでリーナに付き添う形になっているので俺を心配している。

 

「外出するだけでストレスは発散出来ている」

 

 今まで閉鎖的環境に閉じ込められっぱなしだった。

 外出したかと思えば戦闘の訓練ばかり。休みを貰ったとしてもあの部屋で待機を命令されていたのでこの外出は良いストレス発散になっている。

 

「それでも欲しい物を聞いてくるなら、週刊少年ジャンプが欲しい」

 

 雑貨用品店を巡ってよく分かる。

 近界には娯楽が少ない。テレビゲームは勿論の事、週刊誌といったものは存在しない。全てが電子になっているとかそんなんじゃない。普通に無いんだ。

 

「マンガ……What kind of country is Japan?」

 

「……」

 

「なんで答えない……ごめんなさい」

 

 どんな国なのかただ単に気になったから聞いたリーナ。

 答えることは簡単だ。だけど、答えれば嫌でも思い出してしまう。日数にすれば間もなく1ヶ月ぐらい。色々と感傷に浸ったりホームシックになったりする。

 転生者をやっていて精神年齢が多少上になっているとは言え、思うところが無いわけじゃない。

 

「はい、そこの2人! 今ちょうどミートパイが焼けたよ!焼きたてのミートパイはどうです?」

 

 雑貨品の売場を抜けて、次にやってきたのは飲食関係の通り。

 米が置いていないかと期待はしてみるもののやっぱり米は置いていない。代わりに客寄せのお姉さんが俺達を引く。

 ミートパイ……また随分とアメリカンな物が売っている。見た目が昭和の市場みたいな街並みで似合わないだろう。

 

「……ミートパイ」

 

「お腹がすいているのか?」

 

 ミートパイを見て立ち止まるリーナ。

 お腹が空いているのか、それともなにか思い入れがあるのかジッと見ている。

 

「二切れください」

 

「はいよ」

 

 取りあえずは二切れ購入する。

 これが幾らするかは分からないが、少なくとも値段相応の味がしている……とは思えないな。

 そもそもで日本人、ミートパイを食う機会が無い。そもそもパイって食う機会が何時あるんだ?パイの実以外にパイを食べる機会は無いな。タルトもそんな感じで……あれ、タルトとパイってなにが違うんだ?

 

「……」

 

 購入したミートパイを手にして無言で見つめるリーナ。

 これが美味しいものなのかそうでない物なのかは食べてみないと分からない

 

「……チーズが欲しいな」

 

 ボロネーゼとミートソースの間の挽き肉が詰まっているミートパイ。

 アメリカンなピザな味の仕上がりで、悪くはないのだがどうにもチーズが欲しくなる。しかし、イアドリフの環境的にチーズを作るのは難しい。銀の匙でやっていたからよく知っている。

 

「リーナ、食べないのか?」

 

「……食べる」

 

 ミートパイを持ったままのリーナはパクりと一口食べる。

 何時もとは違う雰囲気を醸し出しながらモグモグと食べていると、涙腺に涙を溜めていきポロポロと涙を流していく。

 

「大丈夫か……いや、大丈夫じゃないか」

 

 他のミートパイを食べたことはないが味自体は特筆することはないミートパイ。

 チーズが欲しくなるぐらいしか感想はなく特段美味いと言うわけではなく、感動するといったことじゃない。涙を流すには別のわけがある。

 

「The meat pie made by my mother is more delicious……」

 

「お母さんの方が美味しい、か……」

 

 ミートパイって、アメリカの味なのだろうか?

 思い出の味を思い出して涙しているリーナ。今日までに何回か泣いたのだが、今までと涙の度合いが違う。溜まりに溜まっていたものを吐き出している。

 

「リーナのお母さん、ミートパイが得意だったのか?」

 

「……うん……I want to go home」

 

 何時もならばこの辺りで泣き止んでくれる。けど、今日は違った。

 家族の事や友達の事、学校での生活に、クラブ活動やゲームと言った娯楽品で遊んでいる……そう、今頃ならばだ。

 

「くそっ……くそっ……」

 

 

 

泣くな、泣くんじゃない。泣いたとしても現状に変わりはないんだ。

 

 

 俺だって辛いものは辛いんだ。

 原作とかそんな事は関係無い。第二の人生を謳歌しようと思っていたら、拐われてしまった。与えられた任務をこなしているだけで、何時死ぬか分からない。

 

「ジョン……」

 

 涙を流している俺を見て、リーナは固まる。

 今まで余裕を見せているフリをしていただけで、俺だってずっと切羽詰まっている状況で泣きたい時や吐きたい時、自暴自棄になってなにもかも忘れて他の事に集中したい事だってある。

 それでも許されないのが現実だ……戦場と言う名の地獄を渡り歩いていかなければならない。

 

「だい、じょぶ……」

 

 涙を流している俺をリーナは抱き締める。

 本当なら逆でなければならない。精神的に大人なのは俺の筈なのに、涙はもう止まらない。

 俺の方が思っていたよりも溜まっていたようでリーナよりも泣いた。今まで溜まっていたものが全て出ていく感じがした。

 

「悪かったな、変なところを見せてしまって」

 

「ううん」

 

 ここでは弱さを見せてはいけない。

 強い自分になり続けなければならないと言い聞かせている……弱い人間に痛みしか与えない理不尽な世界か。

 

「……リーナ、帰ろうか」

 

「うん……」

 

 俺達が命を懸けて働かされている中で比較的に平穏な日々を過ごしている。平穏な空気に触れると感情の均衡が崩れてしまう。俺達も本来ならばこういった平穏の中を生き抜いていた筈だった。

 これ以上はこの空気に耐えられない。周りからも奇異の目で見られており、この場所にいればこれから我慢をしておかなければならないものに耐えきれなくなる。

 

 リーナと一緒に帰路につき、元の軟禁されている部屋に戻った。

 

「これから俺達は成り上がらないといけない。でなければ、常に最前線で戦わされる」

 

 部屋に戻って何度目になるか分からない事を言う。

 リーナも俺も溜まっている物を吐き出したのか、気分がスッキリとしている。

 

「How can I raise my rank?」

 

「1つは武勲を上げることだ」

 

 クラスを上げる方法は2つに1つ。

 俺達を戦わせる為にイアドリフは地球から人間を拐っている。これから多くの戦場を渡り歩いてそこで手柄を上げれば良い。イアドリフは無駄に好戦的な国でなく飢えてはいない。自らで戦争を仕掛けることは稀であり、基本的には防衛任務。

 人でなくトリオン兵が主に襲ってくる……もし人が襲ってきた時になにか手柄を上げれれば、待遇は少しは変わる。

 

「もう1つは発明だが、これは難しい」

 

 俺もリーナもトリオン能力と言う才能には恵まれている。しかし残念な事にエンジニアの才能は無かった。

 今のところ発明できそうな物はオセロと将棋と味噌と醤油ぐらいしか作れない。米が主食でないイアドリフで何処まで売れるのかが分からない。

 

「ジョン、There are limits to what we can do. Would you like to add more friends?」

 

「……The only language that can be spoken other than Japanese is English, and I can speak only a little.」

 

 他にも仲間を集えばいいのだが、そうしようにも言葉が通じない。

 トリオン体の翻訳機能は使えない。拐われた人達の中で日本人は俺だけで英語圏内の人はリーナだけだ。言葉によるコミュニケーションが取れない以上はなんとも言えない。

 

「仲間を作るにしても、俺達に足りない部分を補う仲間が必要だ」

 

 これから必要になってくるのは戦う奴等よりも考えることが出来る奴だ。

 トリオンは少なくても良い。代わりに俺達の無茶や要望を引き受ける知識がある奴が居てくれないと困る。けど、味方になってくれる奴は此処にはいない……何処かから連れてこないといけない。それをすれば同じ穴の狢になってしまう。

 

「先ずは生き残る為に鍛え上げないといけない」

 

 俺もリーナもトリオン兵を相手に苦戦する事は無くなった。

 モールモッド、バンダー、イルガー、バムスターと基本的なトリオン兵は相手にした。その土地固有のトリオン兵はまだだが、一通りはこなせているとルミエから評価は貰っている。

 そうなると残りは対人戦。トリオン体を一回でも破壊されれば修復するまで半日以上掛かる。ボーダーの様に死なないランク戦が出来ない以上は……。

 

「6キロぐらいの重さの木刀を要求するか」

 

 生身の肉体で覚えるしかない。

 トリオン体と言うハイスペックな技術がある癖に一周回って古くさい訓練をしなければならない。




今回短めなので現時点でのステータスを

ジョン・万次郎(偽名)

PAREMETARE

トリオン 9

攻撃 7

防御・支援 5

機動 6

技術 7

射程 1

指揮 3

特殊戦術 1


リーナ(愛称)

PAREMETARE

トリオン 13

攻撃 8

防御・支援 4

機動 4

技術 6

射程 5

指揮 1

特殊戦術 1 

今後の展開

  • そろそろ原作にいけ
  • もう少しオリジナルをやれ。
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