近界プルルン奮闘記 作:ドドドドド黒龍剣
久しぶりに投稿したらランキングに乗ったぜ、イェーイ
アリステラ……どんな国なのか事細かな事は知らないが、ワールドトリガー(原作)において重要な役割を持つ国だ。
具体的に言えば後に出来る新生のボーダーは実はアリステラが地球に亡命した姿と見られるぐらいである……そんな国を襲撃しなければならないとは実に厄介な事だ。
「あら、帰っていたの」
上からの命令だと何らかの痛手を負わせろとの事で、ただ単に普通に襲撃するだけでは文句を言われそうだ。
どうしたものかと頭を悩ませているとお風呂上がりのリーナが部屋に戻ってきた……。
「リーナ、話は聞いているのか?」
「……なんの事?」
俺が遠征に行くことが決まったのはついさっきの事だ。流石に話は通っておらず、リーナはなんの事だと首を傾げた。
「俺が遠征に行くことだ」
「そう遠征ね……って、遠征!?」
一旦間を置いてリアクションを取るリーナ。
「私達にその任務は無いはずでしょう!」
「何事にも例外がある」
「It's the same as being told to die.」
感情的になり思わず言葉が日本語から英語に変わるリーナ。
確かにリーナの言うとおり死ねと言われてるも同然だ……だが、行かなきゃいけない。俺達攫われてきた奴隷は例え嫌でも上からの命令は絶対なんだ。
「落ち着け、リーナ。なにもお前が行くんじゃない。俺だけだ」
「If so, am I a hostage?」
もしそうなら自分が人質か。まぁ、そうだろうな。
アリステラに亡命しないとも言えないから……だからリーナを残す。リーナは既に俺の心の支えになっているので見捨てる事は出来ない。その逆もしかり……危機的状況が故に生まれた共依存と言ったところか。
アリステラだからボーダーが居る可能性も無いわけじゃない。亡命出来るなら……あれ……。
「亡命したいと思わない?」
「?」
アリステラには旧ボーダーが居る可能性もあり、地球と仲良くしている可能性もある
平穏な生活を取り戻すならば亡命一択の筈なのに何故か亡命したいとは思えない……ああ、そうか。
「牙が完全に抜かれたか」
約2年もの間、イアドリフで生活をしていた。
ラノベとか映画とかでよく見る奴隷の様な扱いは特に受けておらず、自分で畑を耕かせたり鍛えたりとある程度は自由を貰った。そのせいか余りイアドリフに対して憎しむ心を抱いていない……今日を生き抜き明日を迎えるのがやっとのせいで心に憎む感情が沸かない。
「リーナ、イアドリフは憎いか?」
「憎いわ……私の全てを奪ったのだから」
今日を生き抜くのに必死な俺に対してリーナは憎悪を抱いている。若い証拠かな。
イアドリフへの復讐を果たすならばマザートリガーをぶっ壊さないといけないが、そうなると次の場所を用意しておかなければならない。そんなコネは何処にも無い……ホントに無い事ずくめだ。
「安心して帰りを待っておいてくれ……向こうは裏切らせない様に準備をしている」
特に緊急脱出機能、アレがある限りはラービットの様なトリガー使いを捕獲する用のトリオン兵が相手でない限りどうにかなる。
遠征艇の様に次元の向こう側にある場所でも戻ってくることが出来るボーダーの
「ジョン……その、頑張ってね」
「問題はそこなんだよ……作戦の立案もやらされてる」
「普通に襲うだけじゃダメなの?」
リーナからの頑張れの声援を受けたので現実へと戻る。
どういう風に攻め込むかの作戦の立案をしなければならないのだが、襲撃する側になるのははじめてでなにをどう攻め込めばいいのか分からない。そもそもで今回の此方側の勝利条件の様な物がイマイチ分かっていない。
「相手の国になにかしらの痛手を与えないといけないんだ」
「適当に爆撃でもしておけばいいじゃない」
「そんな簡単に行くなら今頃何処もかしこも爆撃系のトリオン兵を多数用意してる……」
門を開ける事が出来るラッドを現在全速力で作らせている。原作で言うイレギュラー門の様な事は……出来ないな。
アレは事前にトリオン兵を派遣してやられるのを前提として使っているから出来た事で……どうする、どうする。
「ワン!」
色々と頭を悩ませていると拾ってきたニホンオオカミことミブが吠えた。
暗い顔をしている俺を心配してくれたから吠えたのかと思えば体をこれでもかと擦りつけてくる。散歩に連れて行けの合図だ。
「ったく……外に出るか」
「あ、待って、私も行くわ」
「風呂に入ったばかりだろう」
「もう1度入り直せばいいだけよ」
お前の風呂は地味に長いんだよ……ともあれもしかするとコレが外に出歩く最後かもしれない。
トリオンで出来たリードをミブにつけて自分の畑がある場所を目指す……。
「この畑も、大分広くなってきたな」
「殆ど私達の物よね」
イアドリフから与えられた畑だが、段々と領土が拡大していっている。
理由は言うまでもない。あの日あの時攫われていった人が今じゃ数えるだけになってしまった。農作業はトリオン体で行うので肉体的疲労はなくて畑が広がっていてもどうにかこうにか作物を育てる事は出来ている……お米の栽培は本当に苦労をした。小学校の授業でチラリと聞いた程度だったから手探りで最初は鳥に食われるとかあって大変だった。最近だとミブが畑にいてくれるので容赦無く鳥を食い殺してくれる。ありがたいことだ。
「これ以上増えたら流石に栽培するの無理だから断らないとね」
「もう一人誰かが居てくれればどうにかなるだろう」
「もう1人ってトリガー使わないと言葉が通じない人と一緒になれって言うの?」
仲間が増える事をこれ以上は嫌だと言う。俺としてもこれ以上は人が増えると面倒は見きれない。
しかし、それでも後一人は絶対に必要不可欠な事には変わりはない……。
「サポーターが1人は必要だ」
俺は近距離、リーナは中距離での戦闘が出来る。遠距離の攻撃はその内に習得するとしてもサポート出来る奴がいない。
戦闘的な意味ではなく、ボーダーで言うところのオペレーターやエンジニアの様な存在がいない……そういった存在は1人でも味方に居てくれたら心強いのだが、生憎と俺もリーナもその辺りの才能は無いと上からハッキリと言われている。これから更に上を目指すのならばその辺を視野に入れて置かなければならない……が、その前に何かしらの作戦を立案させないといけない。上は何かしらの期待をしているのだから答えないといけない
「リーナ、相手の国に痛手を負わせるアイデアかなにか無いか?」
「相手の国にミサイルでも撃ち込めばいいじゃない」
バイオレンス、圧倒的にバイオレンス。
日本語を一年ちょっとでマスターするだけあって地頭は俺よりいい筈なのにどうしてこうも脳筋思考なのか。
とはいえ言っていることには間違いはない……何処かにミサイルの1つでも撃ち込んでおけばアリステラに痛手を負わせる事が出来たと言える。ただ問題はミサイルをぶち込んでもびくともしない住居が、王城とかがあるということ。
「もしくはこう、放射線的なのをばら撒くとか」
「そんな物騒な物はうちにはないだろう……いや、待てよ」
更に物騒な事を言うリーナだが、案外それもありかもしれない。
人を襲えば有能なトリガー使いに邪魔され住居を破壊してもトリオンで出来ている可能性が高いので直される可能性もある……だったら別のところに被害を出せばいい。例えばトリガーを用いてもどうする事も出来ない部分、アリステラがどういった地形なのかは知らないが確実に探せばある物がある。
「リーナ、戻るぞ」
「なにか浮かんだみたいね」
「ああ、成功したら敵に大打撃を与えれるかもしれない」
アリステラ相手に亡命なんてことは出来ないのならば、やるしかない。
ミブとリーナを連れて部屋に戻ると早速、どういう風に動くのか作戦を立案していく。我ながら悪質な作戦が思いついたもんだ……他の国が同じ事をやり始めたらどちらかが全滅するまでやり続けるから絶対に流行るなよ。
「今回、アリステラを襲撃するがただ襲撃したとしてもその場にいるトリガー使いやトリオン兵にやられるだけだ。緊急脱出機能があるので捕えられる可能性は低いが、それだと通常よりも大胆に攻め込むだけで他国は満足しない」
企画書が出来たのでレクスを経由してプレゼンを行う。
「それで?」
「人や住居を狙っても無駄なので……を狙います」
「……をか?」
今回の作戦隊長であるドツリは意外そうな声を出す。
それを狙っての侵攻なんて何時の時代の話としか言いようがない……だが、狙うならばそれに限る。
「……を狙うと言ってもどうするんだい?奪ったとしても全てを持ち帰る事は出来ないぞ。どうすんだ?」
「……を持ち帰ったとしてもたいしてイアドリフに利益は無いのでそこを破壊します」
「破壊だと?……を破壊だなんて聞いたことが無い」
俺の提案にありえなさそうなこの遠征で紅一点のシルセウス。
今までやったことがない作戦の為に疑うのは当然だ……俺自身も知識として知っているだけで実際にはやったことが無いのだから。
「コレをそのままか水に溶かした物をバラ撒けば理論上はイケるはずだ」
真っ白な粉をテーブルの上に置いた。
それはなんなんだと周りが凝視をする。特にシルセウスは俺の作戦を疑っているので粉を指で摘みサラサラと落とし、更にはペロリと舐める。
「これは……塩だな」
「ああ」
「どれどれ……なにか特別な品種なのか?」
ドツリもペロリと塩を舐める。なにもおかしなところはない何処にでもある塩の味がしたので俺に聞いてくる。
「イアドリフで取れた極々普通の塩だ」
俺の持ってきた粉は塩だ。極々普通の塩で、イアドリフでもアリステラでも取れる。
ヒマラヤの岩塩なんて洒落た物でもない極々普通の塩で、なんの仕掛けも無い……だが、これで充分なんだ。
「作戦の内容としては至ってシンプルだ。俺達が暴れている間に空から偵察出来るトリオン兵で……を探して、ラッドを内包したトリオン兵を送り込み、門を開く。そしてバラ撒く……俺達トリガー使いの作戦は相手のトリガー使いの誘導だ」
作戦の大まかな内容を伝える。
比較的危険じゃなくて相手にとって大打撃を与える事が出来る我ながらいい作戦だ……ホントにこんな事を考えれるのはクソ野郎の証拠だ。
「おれは賛成だ。この作戦がちゃんと成功するんだったらコレから先、似たような状況になっても同じ作戦が出来る」
俺の作戦にドツリは賛成してくれた。ただシルセウスは疑っている目で塩を凝視していた。
「む……たかが塩でそんな事が出来るとは到底思えないが」
「だったら何処か適当なところで試せばいい。俺の知識が間違っているなら、俺よりいい作戦を思いついてくれ」
俺は色々と考えた末にとは言わないが、この作戦に辿り着いた。
トリガー使いの捕獲とかトリガーの奪取とかの高い難易度の任務を遂行するよりもこの作戦の方が成功率が高い……多少のコストが掛かってしまうのが難点だが幸いにもイアドリフは資源には恵まれている。何回かは出来るはずだ。
「実際に試してみるか……ルミエ総長、どう思われますか?」
判断に迷ったシルセウスはルミエに意見を求めた。
因みにだが今回はルミエは遠征に行かない。相手の国にどういう襲撃を仕掛けたのかを報告する為に此処にいる……コイツだけ安全圏内なのは地味に腹が立つがコイツがムカつく陰険野郎なのは今にはじまったことじゃない。
「他に代用出来る物は無いのか?」
「そんな便利な物をこっちの世界で作っていると思ってるのか……」
地球の人間を見下している傾向があるが、ハッキリと言えば文化的な意味での文明は地球の方が遥かに上なんだぞ。
「……仕方ないか。ただ単に襲撃をしても返り討ちにされる。大規模な侵攻をしてしまえば本国の守りが手薄になる……塩を使うのは勿体無いがそれしか道が無いなら使おう」
本人的には嫌なんだろうがそれ以外に道はない。背に腹は代えられない状況なので渋々それを承諾した。
「バラ撒く機能を持ったトリオン兵を作ってくる」
遠征艇に待機して裏方に徹しているオペレーター的な存在のベイグは席を立って何処かに行った。
多分、俺が言った事を実行出来る様にする為だろう……流石は
「準備が出来次第アリステラに向かって出発をするから、今の内に腹いっぱい食っとけよ。遠征中はトリオン体で食事が普通で味気無ければ満腹感も薄い。遠征慣れしてないお前には1番の苦行かもな」
バシバシと俺の肩を叩いてくるドツリ。
遠征した事が無い俺に本人なりのサポートをしてくれるのだが、こっちの世界の食事が合わなかったなんて多々ある。今更、飯云々は言えない。鰹自体が生息していないから鰹節が作れなくて味噌汁が作れない。
「それはお前だけだ……今回は機材には一切触れなくていいが、何れは使える様になってもらう。覚悟をしておけ」
「シルセウス、そいつはこの世界の文字をそこまで読めないしトリガー関連に関しては驚く程に使い物にならない。教えて下手な事をされるよりも触らせないのが1番だ」
ルミエ、お前は俺をなんだと思っているんだ。言い返したかったが、俺がトリガー工学がからっきしなのは事実でなにも言い返す事は出来なかった。
トリオン兵等の準備が出来るまでは何時でも戦える準備はしておけと言われた。
作戦の概要については説明をしたのでさっさと部屋に戻ろうと席を立とうとするとルミエに声を掛けられる。
「彼女の調子はどうだ?」
「なんだ、急に」
「君が危険な所に足を運ぼうとしてるからダダの1つでも捏ねないか心配でね」
「自分が人質に置かれている状況をすんなりと理解してくれたよ」
ああ見えてもリーナも奴隷根性みたいなのは身についている。
理不尽が俺達を襲ってきてもそんなものなのかとアッサリと受け入れている……文句は言いまくるが。
「自分だけ危険な地域に足を踏み入れてると思ったら大間違いだ。今回は万が一の可能性を考慮してレクス達をこちらの世界に残してある。相手の国がアリステラを狙わずにこちらの国に侵攻してくる可能性も無いわけじゃない……自分が危険な地域に行って彼女は安全なところにいるなんて甘えた考えを持っているならそれは違う」
「……分かってるよ、それぐらい」
平穏な国に見えて、イアドリフは何時襲われてもおかしくない国だ。
特定の軌道を持っていないからこそ他の国からの侵攻が少ない……少ないだけで0であるとは限らないが。危険度合いで言えば今回の作戦の方が危険で残るリーナの方が比較的に安全だ。もしかしたら襲って来ないかもしれないのだから。
「ったく、余計な事を言いやがって」
俺が天狗にならない様に鼻っ柱を根本から叩き折りに来たルミエ。
あんな話をされたら、もう1つの国が襲ってきてしまうんじゃないかと想像する……そもそもでもう1つの国がどんな国なのかも教えられていないので余計に不安になる。
「ジョン、どうしたのよそんな浮かない顔で」
「顔に出てるのか……」
余計な不安が顔に出てしまった様で心配されてしまった。
俺の方が年長者で更に言えば転生者なのだからもっともっとしっかりとしないといけない……こんな世界だから弱いところは見せてはいけない
「遠征がちょっと怖い……おかげで眠れない」
英気を養う為にも睡眠を取ったほうがいいのだが、頭の中がモヤモヤしている。
気持ちの整理があまり追いついていない。ルミエの奴はこうなる事を知っていてあんな事を言ったんだろう。
「ジョン、ジョン!!」
「ん、どうした?」
「どうしたじゃないわよ、話聞いてた?」
あ、まずい。色々と考えていたせいでリーナの話を全然聞いていなかった。
「聞いてるよ」
聞いていなかったと言えばややこしくなるので聞いていたフリをする。
リーナは意識がボーッとしていた俺に「全く、ジョンったら」と呆れてしまい俺はと言うとなんの会話をしていたのか一切興味を示さなかった。
「じゃあ、ゆっくりと動かないでよ」
「ん、ああ」
いきなりの動きの制限に驚きはするものの、驚きはしない。
リーナが俺の両肩をガッシリと掴んだと思えば深呼吸をしてそのまま顔を近づけ……キスをした
「は、はじめてをあげるからちゃんと頑張りなさいよ!!」
顔を真っ赤にしながらビシッと俺を指差すリーナ……初心だな。
「こんなんで満足すると思ってるのか?」
「なっ、なぁ!?これ以上を要求するわけ!」
「お前、結構マセてるな」
こんなもんじゃ満足はしないと言えば顔から煙をボンッと出す。
キス以上と言えばセックスだが、リーナはまだ9歳(今年10歳)なので手を出せばロリコンになる……因みに俺は11歳(間もなく12歳)で恐らくは原作開始の時点でリーナは17,俺が19になっているだろう。原作開始の頃には近界歴10年行くか行かないかになるだろうな。
「リーナ、一応の為に言っておくがこんな事をしなくてもいい……俺はちゃんと帰ってくる」
「そういうのをフラグって言うのよ……ちゃんと帰ってきなさいよ」
リーナが顔を真っ赤にしているので取り敢えず抱きしめてそのままベッドで眠る。
「あ、う」とリーナが恥ずかしがっている声を出しているが恥ずかしいのは俺も一緒だ。2度目の人生の初のファーストキスをこんな場面でするとは思いもしなかったんだ。
感想お待ちしております
今後の展開
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そろそろ原作にいけ
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もう少しオリジナルをやれ。