近界プルルン奮闘記 作:ドドドドド黒龍剣
忍田真文、後にボーダー本部の本部長を務めるノーマルトリガー最強の男。
俺のサイドエフェクトでもその闘志は凄まじく、虎の様なものが目に見える……コレでまだ成長段階とか原作キャラは末恐ろしい。
「その格好は、新撰組の」
俺の格好に忍田さんは驚いている。日本人なら大抵知っている幕末最強の剣客集団、新選組の衣装を模した物だから。
どうしてそんな格好をしていると言いたげな顔をしている。どうしてもこうしてもこの格好の方がなにかと都合が良いからだ。
「待ってくれ、君はもしかして」
戦場では一瞬の油断が命取りになる。
持っているトリオン爆弾を忍田さんに対して放り投げると忍田さんは回避するがトリオン爆弾の爆風に飲み込まれて体が大きく揺らぐ。
「話し合うのは無理なのか!」
爆風により体勢が大きく乱れている中で忍田さんは剣を抜いた、俺との話し合いは通じないと判断したのだろう。
元々話し合うつもりは一切無い。そんな事が出来るのならばとうの昔にやっている。そもそもでもう一個の国に攻められない代わりに攻めてきたので話し合うのは最初から無理なんだ……そう、無理なんだ。
「(今現れたアリステラのトリガー使いは相当な手練と見える)」
シルセウスやベイグ、ドツリ達に頭に語りかける。他にもトリガー使いが居るようだがこの中で1番の使い手は目の前にいる忍田さんだ。
「(こちらシルセウス、そのトリガー使いと戦闘をして出来る限り粘れ。勝ちに急ぐな、死にも急ぐな。緊急脱出機能があるから余裕を持っておけ)」
「(了解)」
忍田さんは弧月と思わしきブレードを振ってくる。上から倒すことでなく足止めを命じられたので槍で上手い具合に捌く。
原作ほどの強さにはまだ至っていない……新体制のボーダーで何度でもやり直しする事が出来るゲーム感覚のランク戦が出来る様になってから強くなるのだろうか。
「っ、待て!」
「先を行かせてもらう!」
シルセウスは忍田さんを無視して走り去っていく。
行き先はアリステラが使っている農地に続く道、そこを荒らしに荒らして農地までラッドを辿り着かせ塩害を撒き散らすのが今回の作戦だ。忍田さんはシルセウスを追いかけようとするので管槍で忍田さんを突くのだが忍田さんは回避する。今の一撃、イアドリフの兵隊だったら普通に命中していた。事態が悪化していく中でも忍田さんは冷静に戦線を見据えている。流石は未来の本部長といったところだ。
「悪いが、足止めをくらっている場合じゃないんだ」
俺が足止めをしてくると分かり、真剣な顔になっている。
弧月と思わしきブレードを鞘に入れると高速の居合抜きを見せてくれるがその居合抜きが命取りだ。
「SHIELD」
「なに!?」
無駄に発音よく声を出し、忍田さんの手元にシールドを出す。どれだけ優れた剣の使い手だろうと剣を振るう腕のところにシールドを展開されれば意味はない。忍田さんは一手、間が空いてしまい、その一手で詰めに掛かる事はしない。あくまでも時間稼ぎが目的で撃退が目的ではない。
強いトリガー使いの足止めをしておけば俺はそれでいい。手柄だなんだと欲張ったとしても意味はない。管槍を使い、ピストン運動の要領で通常よりも素早い突きを決めると左腕の肘から先を切り落とす事に成功する。
「っく……」
油断をしたと言いたげな顔をしている忍田さん。
こういう姑息な手ならば俺は幾らでも持っている。なんだったら緊急脱出機能のトリオンを残して残りのトリガー全てを爆発に注ぎ込む禁じ手も持ってきている。
「君は、君は日本人なのか!」
「……」
俺に対し忍田さんは語りかけてくる。それと同時に忍田さんから見えている闘志も揺らいでいる。
さて……どうするか。ここで会話を繰り広げて時間を稼ぐべきか……余計な情報を他人に与えても意味は無い。
「Defeat me if you want to know」
無理に会話をする必要はない……が、相手の思考を乱すのには丁度いい。
リーナの事もあるのでここで大人しく降参をするなんて手は最初からない。故に英語で答える。どちらもトリオン体なのでなにが言いたいのかは伝わってくる。故に言う、知りたければ俺を倒せと。
「君は……っ……」
やめろ……悲しそうな表情を浮かび上げるんじゃない。
俺はもう覚悟を決めている。もう後戻り出来ないところにまでやってきているんだ……だからそんな悲しそうな顔をするんじゃない。
管槍を手元で回転させて遠心力を与えつつ槍の軌道を見えない様に突くと忍田さんはシールドを展開するがシールドはあっさりと貫かれる……が、槍の勢いは失い、槍の棒の部分を左脇で挟み動きを封じる
「聞かせてもらおう」
槍の動きを完全に封じた忍田さんは右手で弧月らしきブレードを抜こうとする。
今から剣のタイプの【カゲロウ】を出したり管槍の【カゲロウ】を一度消して再構築すると一手間が空いてしまい、斬られてしまう。
シールドを使って腕の動きを封じる技を使うべきかと思ったがシールドを展開する前にやられる……ならやることは1つしかない。俺は槍を手放して間合いを取らず、一気に距離を縮めて忍田さんに掌底をくらわせる
「っぐ!」
トリオン体なので内蔵にダメージを蓄積した等という事は起きない。
しかしフィードバックや衝撃は受けてしまう、痛みも一瞬だけだが感じるもので苦しそうな顔を浮かび上げる……シルセウスと違ってバリバリの肉弾戦用のトリオン体じゃないからトリオン体を破壊するには至らない。だが、一手を妨害する事が出来た。俺は管槍を消して刀の見た目にしてある【カゲロウ】を取り出した。武器を槍から刀に変えた事で忍田さんも目の色を変える……
「ふっ!」
先ずはシンプルに右腕で刀を振り下ろす。
片腕をもがれた状態で受け太刀に回るのは危険だと判断したのか、忍田さんは避けてくれるので空いている左腕で鞘を持ち、横からの攻撃を与えると忍田さんは鞘に殴打されて飛ばされる。
流石の忍田さんもこの攻撃には片腕だけでは反応するのは無理……さて、どうするか。上からの命令では無理に攻めなくてもいい、足止めさえしていればそれでいいのだが、後もう少しで勝てそうな雰囲気はある……ここで勝てば、多少は評価されるだろう
「【ウスバカゲロウ】」
上からはがっつくなと言われているが目の前に原作キャラが居るとなれば多少は欲というものは出てくる。
刀の【カゲロウ】が届かない間合いまで間を開くと【ウスバカゲロウ】を使い【カゲロウ】の刃を伸ばし、忍田さんを一刀両断。流石に初見の【ウスバカゲロウ】は見抜き辛い……初見殺しの技で勝てたが、次は無いだろうな。純粋な剣技で勝てていない……相手の方が上手か。
「っく……」
生身の肉体に忍田さんは戻る。
確か緊急脱出機能は新しいボーダーが出来てから導入される機能で旧ボーダーの頃には搭載されていない機能で……忍田さんを殺す機会が与えられた……
「Our purpose is to sprinkle salt water on farmland and cause salt damage.」
「なに!?」
別に殺さなくてもいい、むしろ今殺してしまうと後々厄介な事になる。
上手い具合にワールドトリガーの原作が始まらないと此方も上手く出来ない。原作知識を生かして色々とやれなくなる……そう、原作通りに事が進まないと厄介な事になる。今ここで忍田さんを殺しても意味はないどころか更に厄介な事案が起きるかもしれない。だから殺さないでおく、だから教えておく。イアドリフがここにやってきた目的を。
「忍田!!」
「……」
刀を首筋に当てていると後に林藤支部長になるであろう男がやってくる。
俺に対して敵意を向けており、中々の闘志を持っている……が、決して勝てない相手とは言い難い。本格的な原作開始前だからだろうな。とりあえずトリオンで出来た爆弾をトリオン体の力を思う存分に林藤に向かってぶん投げると大きな爆発を巻き起こす。
「大胆な手を使うじゃねえか」
固定シールドか。
トリオンで出来た爆弾はトリオン体や住居を破壊するのには丁度いいがそれなりにトリオンを持っている奴のシールドを破れないのは難点だ。いや、仮に撃ち破れたとしても威力が高すぎて自分にまで被害が被る可能性があるか。
「林藤、彼は」
「ああ、修学旅行やドラマで見たことある……新選組の格好だな」
当然というべきか林藤さんも反応を示す。
なにか言いたそうな顔をしているが話し合いはするつもりはない。
「Take that person and evacuate to somewhere else」
「お、随分と優しいんだな」
「……」
気安く話しかけてくる林藤さん……悪意の様なものは闘志から感じない。
撤退するならば撤退すればいい、このまま戦いたいなら戦っても構わない。こちらには緊急脱出機能と自爆機能が搭載されているんだ。いざという時には自爆を起こして全てを飲み込みチャラにする。
「(こちらシルセウス、農地を発見。ラッドに門を開かせてトリオン兵を出撃。田畑に向かって塩水の放出を開始)」
「(こちらベイグ、トリオン兵を一部リモコン操作に切り替えた)」
林藤さんが忍田さんを連れて撤退している内にシルセウス達から通信が入る。
無事に門を開く機能を搭載したラッドがアリステラの食料供給の要である農地に辿り着いた様で塩水を搭載したトリオン兵が送り込まれて、蓄えられている塩や塩水を撒き散らす。
「残りは雑魚だけか」
忍田さんが完全に去るとモールモッドの様な戦闘用のトリオン兵が溢れてくる。
昔の俺ならば苦戦していただろうが今では雑魚も同然であっという間に【ウスバカゲロウ】で斬り裂いていく。
「っち、手段を変えてきたか」
【ウスバカゲロウ】でバッサリと切り裂いていると弾丸が飛んできた。俺が完全に近距離での戦闘をメインにしていると相手側が判断したのだろう。そしてそれは実際のところ正解だ。俺にはトリオンコントロールの才能はそんなに無い、恐らくだが変化弾をリアルタイムで弾道処理をする事は出来ない……リーナはできるな。あいつ、なんだかんだ言って天才だから。
「……走るしかないな」
弾を撃ってくる相手にはトリオン爆弾を投げるのが1番だが、トリオン爆弾にも数が限られている。
右に左にジグザグと走りながら距離を縮めつつ飛んでくる弾をシールドで防ぎ、何処に弾を撃っている連中が居るのかをサイドエフェクトで確認するとそこ目掛けて手榴弾もといトリオン爆弾を投げる。
「っ!……」
トリオン爆弾を投げる事に成功し、建物の影に隠れ潜んでいるトリガー使いを焙り出す事に成功した。
これでアリステラの戦力も落ちるだろうと少しだけ油断をしてしまい、遠距離からの狙撃をまともにくらい胴体の一部が吹き飛ばされる。コレはダメだ、コレでは戦うことはもうできない
「
残りのトリオンを全て自爆に回してもいいのだが、今回はしないでおく。
これ以上は無闇矢鱈に暴れまわっても無駄だと判断したので潔く緊急脱出をするとイアドリフの遠征艇の中に戻る……どうやら俺が一番最初に落とされた様だな。
「戦局はどうなっている?」
戦いはまだ終わっていない。ベイグにどういう状況になっているのか確認を取る。
大分前に進めている感じだったので作戦は上手い具合に行っているのだろう……問題は何処まで行っているかだ
「後、少し……コレをつけろ」
VRゴーグルの様なものをベイグは俺に渡す。
コレにはトリオン兵に搭載されたカメラが見ているものが映し出されており、そこにはドツリの姿があった。ドツリも手榴弾型のトリオン爆弾を投げて農地を荒らしている。シルセウスは複数のトリオン兵を同時に相手にしつつ、上手い具合に暴れまわり時間を稼いでいる。
「首尾は上々だ……塩を撒くことに本当に効果があるのならなばな」
ベイグはリモコンを操作し、トリオン兵を操る。
塩水を撒き散らすのが本当に意味があるのか僅かばかり疑っているところがある……まぁ、確かに誰だって正気かと言いたくなるような作戦だろう。シルセウス達は農地を荒らす。実っている小麦などを爆弾で焼き払う……戦では相手の兵糧を突けばなんとやらとなろう系の小説で見たことある。
「あんまりやりすぎると一方的な恨みを買われるが大丈夫なのか?」
シルセウス達があまりにも粘るので思わず聞いてしまう。
今回の一件、成功すればアリステラに大打撃を与える事が出来るのだがあんまり恨みを買いすぎると後に復讐に走られる。
「特定の軌道を持った国家ならば隙を見つけて襲撃してくるだろうがイアドリフは特定の周回軌道を持っていない。次にアリステラと何時遭遇するのかが分からない状態だ。特定の軌道を持たない国は傘下にするのも復讐するの難しいんだ……だからこそオレ達にやらせたんだろう」
「……恨みだけは買われろか」
全く嫌になる。eスポーツ感覚で生き死にを味わいたくないし、こういう非情な現実を見せられた方がまだマシだがそれでも世界を蝕む残酷な悪意を見せつけられると嫌になる。手と手を取り合い仲良くしようなんて一生不可能か……そう考えると現段階の地球の日本は上手くやってる。戦争に敗北しても国を奪われず王族も殺される事はなく、不景気になっているがなんだかんだと上手く国を回している……ダメだな、俺は政治には向かない
「流石に限界があるか」
シルセウスが射撃をくらう。近距離戦闘のみしかないと見抜かれたので中距離以遠の攻撃を当てに来ている。
近距離での戦闘では無類の強さを誇るシルセウスだが距離を取られるとどうしようもなく、徐々に徐々にトリオン体に穴が空いていき、トリオン体の活動に限界が来たのか緊急脱出した。
「この
緊急脱出してきたシルセウスが生身の肉体に戻り、俺達の前までやってくる。
緊急脱出機能が今回上手く役立った様でなにより……原作知識で未来の便利な機能を逆輸入している……イアドリフは変に攻めたりしない比較的に平和な国だ。特定の軌道を持っていないのでどんな国なのか情報収集も難しいからラービットの様なトリガー使い捕獲用のトリオン兵が相手でない限り緊急脱出機能無効化装置みたいなのは作れない……筈だろう。
「いやぁ、疲れた疲れた。向こうも中々にやるよ」
ドツリも緊急脱出してきて遠征艇に戻ってきた。
アリステラのトリガー使いの強さに参ったと水が入った容器をグイッと飲んで一息をつく。
「持ってきた特注の自爆と塩水をばら撒くモールモッドは殆ど使い切った……お前の言うとおりならばコレでアリステラに大きな損害を、恨みを買うことが出来る」
「成功してる事を祈るしかない」
兵糧攻めなんてやった事はない事なんだ。戦争の素人に色々と無茶を言っている……いや、素人だからこそ地球人だからこそ意見を求めたんだろう。イアドリフは富国強兵政策を取っている。国を豊かにすれば国を強くできる、その為ならばどんな手段でも用いるか…………なら何時かは……
「イアドリフの方はどうなっている?もう片方の国に攻め込まれたか?」
余計な事を考えているとシルセウスはベイグにイアドリフの事を尋ねる。
俺達が遠征に行っている間に攻め込まれて落とされた、なんて話だけはホントに洒落にならない……リーナは無事なのか……
「今のところは攻め込まれたという連絡は来ていない……なにレクス達が居るんだ、そう簡単にやられはしない」
「
「シルセウス、不安を抱くのは構わないが口にするな。全員の士気を盛り下げる」
「分かっている……」
国に残してきた者でもあるのか重たげなシルセウス。ベイグはクールにシルセウスを捌く。過去に黒トリガーに遭遇でもしたのか?
一先ずはコレで作戦が成功したかどうかの確認をしないといけない、持ってきた鉢植えに塩水をぶっかけて数日間様子を確認すると鉢植えに植えられていた植物は枯れ果てた。鉢植えに植えられていた植物に使った塩水とトリオン兵にばら撒いてもらった塩水は一緒のもので、ラッドをリモコン操作しアリステラの農地に向かわせると農地がコレでもかと枯れ果てていた。
「……俺達が悪者になっている間にもう1つの国が食糧支援をするのだろうか」
塩害に犯されたところに食料品を売りつける悪どい商売をしようと思えば出来る。
イアドリフにアリステラのヘイトを全て集めさせ、自分達は友好国だと示す……全く嫌になる。更に数日が経過し、持ってきた鉢植えの植物が干からびて枯れ果ててラッドを経由しアリステラの惨状を確認するとイアドリフヘと戻った
「さぁ、帰ってきた帰ってきた。ラファのオムレツでも食いに行きますか」
「待て、ドツリ。先ずは上に今回の一件に報告に行くぞ」
「わぁった、わかったよ……ちょっとした冗談だって」
「お前の冗談は冗談に聞こえない」
シルセウスがドツリを引っ張っていき、上へと報告に行った。
残されたのは俺とベイグ……俺が報告に行ったとしても言うことは特にない、シルセウス達が上手く報告してくれるだろう。ベイグを見るとベイグは遠征艇に乗せている物資をおろしている。手伝うか
「ジョン!!」
「……」
「I'm glad you came back safely. I had a nightmare that you would die」
「そうか……」
「お前の大切な者か?」
荷降ろしを手伝おうとするとリーナが現れて俺に抱きついた。
俺が無事に帰ってきてくれて良かったと安堵すると同時に俺が殺される悪夢を見ていた様で疲労しているのがサイドエフェクトで分かる。ベイグは俺に抱きついてきたリーナを見て意外そうな顔をしている
「ああ、そうだ……意外そうだな」
「お前は
「いや、俺にはなにも無い……だから1から始めている……まぁ、その実態はただの
一人じゃ寂しいと思っているから余計な同情なんかをしてリーナと一緒にいる……俺はホントにどうしようもないクズだな。
リーナは俺が帰ってきた事で安堵すると緊張の糸が途切れたのかゆっくりと眠っていく。
「ここはオレが受け持つ。お前はその子を連れて帰れ……まともな遠征の訓練を受けていないのに今日までよくやった」
「そうか……なら帰らせてもらう」
トリオン体に換装し、スヤスヤと眠るリーナをおんぶして遠征艇を後にした。
感想お待ちしております
今後の展開
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そろそろ原作にいけ
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もう少しオリジナルをやれ。