近界プルルン奮闘記   作:ドドドドド黒龍剣

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第22話

 

 アリステラに侵攻し帰還してから数日が経過した。帰還してからリーナはオレにベッタリとくっついてきたが流石にうっとおしく感じる。

 リーナはどれだけ心配してくれたかホントは分かっているのだが、抱き着いてくるのはホントに勘弁してほしい……それだけリーナは俺に依存しているという事だろうが……まぁ、俺も依存しているところが大きいから仕方ないといえば仕方ないか。

 

「【ウスバカゲロウ改】」

 

 今日は防衛の仕事も無いので修行をしている。

 通常の【ウスバカゲロウ】よりも更に長く伸びる【ウスバカゲロウ改】の特訓をしている……生駒旋空と呼ばれればその通りだ

 

「っち、難しいな」

 

「ジョン、わざわざそんな難しい技を覚えなくてもいいじゃない」

 

【ウスバカゲロウ改】の修行をしているが上手くいかない。

 直ぐ側で見守っているリーナは技がどれだけ難しいのか理解している為にそこまでしなくてもと意見する。

 

「通常の【ウスバカゲロウ】が約20m、【ウスバカゲロウ改】は40mの倍の射程範囲を持っているけど其処までの距離ならわざわざ剣を使わなくてもいいじゃない」

 

 リーナは【ミラージュ】を起動し、鏡の様な物を出現させてトリオンの砲撃を放つ。

 その砲撃は40mを越えている……トリオンが豊富なリーナだから出来ているというわけじゃない。ミラージュの射程範囲は40mを越えている……

 

「俺には【ミラージュ】を扱う才能は無い……いや、そもそもで才能が無いんだ、お前と違ってな」

 

「そ、そんな事は無いわよ!ジョンは上手くやってるわ!」

 

「なら、やってみろ」

 

 リーナに刀の見た目に改造している【カゲロウ】を渡す。

 嫌そうな顔をしているリーナだが俺が強く睨むと渋々【カゲロウ】を受け取り、鞘に納刀して構える

 

「【ウスバカゲロウ改】……コレで満足かしら?」

 

「ああ、嫌になる程にな」

 

 俺が何度やってもコツを掴む事が出来ない【ウスバカゲロウ改】を一発で成功した。

 コツの様なものすら掴む事が出来ていないというのにリーナはホントにもう……コレだから才能がある奴は、羨ましいよ全く。

 リーナに【カゲロウ】を返してもらうと普通の【ウスバカゲロウ】を撃ち乱切りを行い、最後に【ウスバカゲロウ改】をやってみるがミスを犯す……まだまだ時間がかかるな。

 

「【ウスバカゲロウ改】は時間が掛かるが絶対に出来ない技じゃない……他も鍛えねえと」

 

 緊急脱出機能があるので大胆な手を使う事が出来る様になったのでそろそろ俺も他のトリガーを解禁する。

 トリオン能力が上がって1から10段階で言うところの10になっていたので刀や槍等の近接系の武器以外の武器、銃を使う事にした。

 弾を出して弾道を処理する事は出来ないが事前に処理していた弾道通りに弾が飛んでいく銃は俺には合っている。才能が無いのは努力でカバーするしかない。幸いにも他の人達より俺やリーナは努力する時間が与えられている。

 

「FIRE!」

 

 ホルスターに入れてある拳銃を抜き、的目掛けて弾を撃つ。

 撃った弾は的に命中したもののド真ん中でなく、横を掠る程度……銃に関しては完全に素人だ。目指すのは野比のび太の射撃レベル、確か世界一の早撃ちは0,02秒だったか……トリオン体は生身の肉体よりも遥かに運動神経は高い。ならば0,1秒の壁を切る事が出来る筈だ。

 銃は抜いて構えて引き金を引くだけの作業……サイドエフェクトで何処に誰がいるのかはなんとなくで見えている。ここは射程は30mにまで絞って残りは威力と速度に振る、弾数も極力少なくする……生駒旋空の次は弓場の拳銃、ボーダーの真似ばかりしているな。

 

「やぁ、精が出ているようだな」

 

「なにか用?」

 

 銃の訓練を行っているとルミエがやってきた。ルミエの事を一方的に嫌っているリーナは途端に不機嫌になり、嫌そうな顔をしている。

 

「お前には用は無いよ、用があるのはジョン、お前の方だ」

 

「俺に……またなにかロクでもない事を言いに来たのか?今度は誰を殺せと?それともなにか荒らせばいいのか?耕せばいいのか?」

 

 ルミエが俺に用事があるという。こういう時は大抵、ロクな事にならない。

 誰かを殺せばいいのか、それとも敵地に乗り込めばいいのか、荒れた土地をどうにかしろと無茶振りをするのか。

 

「今回はそんな物騒な話じゃない。上はお前をちゃんと認めようとしている、喜べよ」

 

「……どういう意味だ?」

 

 上が俺を認めていると言うが、そもそもでルミエ以上の上の人間に会ったことはない。

 このイアドリフは王族が一番上にあって、その下にルミエ達が居るシステムで……政に関わらせるつもりはないのか情勢については一切知らない。基本的に受けた命令を死なない様に熟しているだけだ。

 

「お前、帰ってきて直ぐにゲームを企画しただろう。アレが通って、ブームになったんだ」

 

「あ〜……なんかやったな」

 

 遠征艇で何もしない時間があまりにも退屈だった。

 トランプはあるがやれることは限られているのでもっと暇を潰すゲーム的な物があった方がいいとテトリスとかぷよぷよとかの一部の落ちゲーみたいなゲームの内容を企画してシルセウス達に押し付けた覚えがある。あんな紛い物でも受けるんだな。

 

「オレの功績になるところだけど今回は誰が作ったのか上が問い質しているから正確に伝える様に言われている……まぁ、謂わば金一封と賞状をお前にくれてやる事になったんだ」

 

「ジョン、表彰されるの?やったじゃない!!」

 

「良くない……面倒だな」

 

「式典みたいな事はしないけど一応は勲章の様な物を用意している……ついてこい」

 

 本当は行くのは嫌だが、行くしか道はない。

 心の中に不満を抱いている。勲章なんか貰っている暇があるならば銃の腕を鍛えておきたい。銃の腕は練習すればする程に強くなれるんだ。

 リーナが恨めしそうにルミエを睨んでいたのでそこまでにしておけと宥めるとオレはルミエに連れられて王宮に向かう……そういえばこの国の王は一度も見たことはない、まぁ、特に興味も無いんだがな。

 

「シャーリー様、連れてきました」

 

 王宮の王の間でなく一室に連れてこられた。

 こういう場は緊張は……しないな。昔だったらしていたが今は緊張感という感覚が死んでしまっている。王族と思わしき女性は綺麗で私と同年代もしくは少しだけ歳上な綺麗な女性がいた……可愛さならリーナの方が上だから緊張はしない。

 

「表を上げろ」

 

「……連れ去ってきた奴隷に何か御用でしょうか?貴方達にとって奴隷みたいな者なのに感謝とは随分と変わった事を致しますね」

 

 顔を上げたら綺麗な言葉……でなく、毒を吐きまくり皮肉を言う。

 イアドリフにとって俺は消耗品の1つに過ぎない。わざわざ感謝状とは随分とまぁ言うね。

 予想通りというべきかトリオン体だから都合がいいのかルミエは俺の頭に肘を叩き落とす

 

「……悪いことをしているという自覚はある、私は戦争そのものは反対だ。だが、世の中には話し合いで通じない輩もいる」

 

「話し合いをせずに人を攫ってきてなにを言ってるんだ」

 

「……すまない」

 

「シャーリー様、口喧嘩で負けたらダメですよ」

 

 他所の国から人を拉致している事に対してシャーリーは申し訳ない顔をしている。

 イカれた戦場を絶賛生き抜いてきている俺からすれば甘い認識だが、こんな考えを持っている人も中には存在しているんだけまだマシか

 

「君が提案したあのテトリスとぷよぷよという物は面白かった。もしかして玄界(ミデン)にはあんな物が溢れているのか?」

 

「まぁ、溢れてるといえば溢れてる……もう何年も親の顔すら見ていないんだ、地球に関する事は聞かないでくれ。嫌な事を考える」

 

 本当ならば泣きたいんだ、吐きたいんだ、逃げたいんだ。でもそれを許してもらえる現実じゃない。

 リーナがいるから少しでも強い人間になろうと自分自身に活を入れる事が出来ているが、油断すると何時ボロが出るのか分からない結構危ないラインを立っているんだ。

 

「す、すまない。悪いことを聞いてしまった」

 

「シャーリー様、別にいいんですよ。こいつは基本的にこんな感じです、叩けば色々と出てくるんですから叩かないと」

 

「ルミエ、それはいけない事だ。確かに彼は玄界(ミデン)から攫ってきたが私達と同じ人間である事には変わりないんだ」

 

「相変わらず甘い考えをお持ちですね……優しいと甘いのは話が違うんですよ」

 

 コイツ、王族であろうと平気な顔して毒を吐いているな。

 シャーリーは気まずそうな顔をしている。自分がやっている事が他と違って浮いている事を心の何処かで自覚している……サイドエフェクトでは闘志は見えない。見えないということはそれだけ本性を隠すのが上手いのか性格のオンオフの切り替えが上手いのか……

 

「それで俺を呼び出した理由は?まさか良い物を作ったから良くやったと褒めにだけ来たんですか?でしたら、帰らせてください。イアドリフは平穏な国で特定の軌道を持っておらず狙う価値は少ないですが何時大きな戦になってもおかしくないんです」

 

「そうか……そうだな……マンジローだったな」

 

「ジョンで頼みます」

 

 マンジローはイントネーションがおかしい……まぁ、シャーリーも大分イントネーションがおかしいか。

 

「ジョン、なにか欲しい物はないだろうか?私に出来る事があるのならば出来る限りの待遇は与えたい」

 

「……なら部屋をもう1つくれ……流石にそろそろまずい」

 

 攫われてから2年経過したが未だに最初に貰えた部屋以上の部屋を貰う事が出来ていない。

 俺は11,リーナは9歳とそろそろいい感じの年頃になっている。リーナは特になにも気にせずに一緒にお風呂に入ったりしているが、ホントそういうの良くないから。リーナも暫くすれば思春期の様なものを迎える筈だから、女の子になるんだ

 

「そんなのでいいのか?」

 

「そんなのでって言うが何度かそこの男に申請をしている……今まで一切通らなかったがな」

 

「確かにリーナは才能があり優秀な兵士だが、兵士である事に変わりはない。部屋を与えなくてもいいし、なにより一緒に生活することで互いに依存し合う関係性になってくれるだろう」

 

「……ルミエ」

 

 相変わらずコイツは外道だな。だが、言っている事には間違いはない。

 リーナが側に居るからとリーナの事を考える……出し抜くという考えはない。依存し合えばそれで儲けものと捉えているコイツはホントにクズだ。

 

「部屋は私の方で手配しよう……今度ここに来る時はその子も一緒に来てくれないか?」

 

「今から連れてこようか?」

 

「やめとけ、イアドリフ全てを憎んでいる……王族が出てくればそれはもう殺したいぐらい憎しみに塗れるだろう」

 

 俺と一緒の時はそういった素振りを見せてこないが、イアドリフの事は大嫌いだろう。

 シャーリーは悲しそうな顔をしているがコレが現実……ああ、クソっ、ホントにロクでもない世界だ。

 

「他にはなにかないか?聞けば緊急脱出機能も君が考えたシステムだ、緊急脱出機能を搭載したお陰でトリガー使いの死亡率が激減した。その分の功績もある」

 

「だったらトリガーを作る権利を寄越せ……」

 

「おいおい、今銃を覚えるのに必死なんだろう。トリオン操作の才能が無い奴がどういうトリガーを要求するつもりだ?」

 

「それは追々と考える……とにかくトリガー開発の権利をくれ」

 

「分かった……出来る限り、いい案を頼む」

 

 とりあえずコレでトリガー開発の権利を手に入れた……やっとスタートラインに立つことが出来たといった感じだろう。

 シャーリーからの報償を貰い終えたので俺はさっさと王宮を後にしたいが中々に後にする事が出来ない。

 

「そういえばジョンは変わった槍を使うようだな。私も槍を使うんだ、少し手合わせをしてくれないか?」

 

「また随分と急に……接待はしねえからな」

 

 やるからには全力だ。シャーリーはトリオン体に換装すると槍を手に構えてくるのでこちらも管槍の【カゲロウ】を起動させる。

 シールドを手元に展開し動きを制限するのは難しい……小手先の技術を披露してもお姫様は喜ばないだろう。

 

「ふっ!!」

 

「なに!?」

 

 通常の槍は突き押す際に腕を動かすが管槍は管があるおかげで通常の槍とは異なる突きを放つ事が出来る。その突きをシャーリーはくらう。

 漫画で見ただけの知識だが管槍は中々に使える……実際の歴史だとあまりにも強すぎるから禁止制限をくらったとかどうとか本で見た気がする。御留流って他所に流すなって流派だった筈だし。

 

「その管が素早い槍さばきの秘密か!」

 

「自分で色々と考えてみ、ろぉ!!」

 

 槍を一旦引いてから槍を回転させつつ、高速の突きをくらわせる。

 シャーリーはシールドを展開して防ごうとするが管槍は鉄をも貫く威力を誇るもので、あっさりとシールドは貫かれてシャーリーのトリオン体は管槍に貫かれる。

 

「す、凄まじいな……この管を付けるだけでこんなにも槍の素早さが上がるのか。コレも君が考案したのか?」

 

「日本に500年以上昔から伝わる槍だよ」

 

玄界(ミデン)に……やはり玄界は資源の宝庫か」

 

「ああ、そうだよ……もう帰っていいか?」

 

 槍はある程度使いこなせていて、今から銃を覚えようとしているんだ。

 この前の遠征で俺は中距離以上の相手には弱いという事が分かったんだから早い内に銃の技術を会得したいんだ。

 もう帰ってもいいと許可を貰ったのでルミエについていき王宮を出ていく。

 

「全く、あのお姫様は能天気だ」

 

「お前、国の重役に毒を吐きまくってるな」

 

「彼女は別だよ。シャーリー・フダディ、イアドリフの王族の末席に座る彼女で玄界から人を拉致してる事や戦争を仕掛ける事に対して異議を唱えている……弱きを助け強きを挫く性格だけど、頭が悪い。典型的な理想家で現実を見ることが出来ていないんだ。だから彼女の敵は多いよ」

 

「お前もか?」

 

「オレはオレだよ。別に特定の誰かを指示するなんて事はしない、政には興味無いからね」

 

 相変わらず不気味な野郎な事だ……ただ、少なくとも話し合いが通じそうな人間が一応は居る。それを知れただけでまだ良かった方か。にしてもトリガー開発か……なにかいい案を用意しておかないと玄界の猿と思われる。

 

「ジョン、お前は彼女の味方になるつもりか?」

 

「俺に味方になると思うか?生憎だがこっちは常時四面楚歌みたいなもんだぞ」

 

「四面楚歌……玄界の言葉か?」

 

「周りに敵しかいない状況の事だ……はぁ……」

 

 新しい一歩を踏み出す事は出来ているが停滞している事には変わりはない。

 なんとかしてこのクソみたいな日常をどうにかしたいが、どうすることも出来ない……なにかいい案はないだろうか。トリガー開発の権利で凄いトリガーを開発してもらうか?いや、イアドリフの技術ってそこまで凄いものじゃないし、黒トリガーが一本もないのが現状だ。イアドリフの技術でどうにかする事が出来る物を作らなければならない。

 

「ただいま」

 

「おかえり!」

 

 部屋に帰るとリーナが出迎えてくれる。

 何時もの様に俺に飛んできて抱きしめてくれる……こんな可愛い子に抱きしめてもらえる俺は幸せものだが、もっと別のところで幸運を感じたかった。

 

「大丈夫だった?ルミエに酷いことされてない?」

 

「リーナ、ルミエはそんな事はしない」

 

 理不尽な事を平気な顔して言ってくるが、酷いことはしない。

 無闇矢鱈に暴力で抑えてくる事はしない比較的に話し合いが通じる仲だ……クソ野郎である事には変わりはないが。

 

「リーナ、よく聞いてくれ……お前の分の部屋が用意される事が決まった」

 

「へぇ……別にいらないわよ?私にはこの部屋で充分だから、苦になる事はないわ」

 

「お前が良くても俺は気にするんだ……もう一人で眠る事ぐらいは出来るだろう、来年には10歳になるんだろ」

 

「嫌よ!!断固として拒否するわ!私はジョンと一緒に居ないとなにも出来ないのよ!なんならオムレツ1つまともに作る事が出来ないわ」

 

「威張って言うことか」

 

 リーナをなんとかして別々の部屋にしようとするのだが、リーナは物凄く嫌がる。

 

「寂しいのよ、朝起きて誰もいないのが!お願い、ジョン。見捨てないで、見捨てられると私……なにするかわからないわよ」

 

「はぁ……分かった、分かった。じゃあ俺が出ていく」

 

「なに言ってるのよ、此処がジョンの部屋でしょう!」

 

 くそ、コイツなにがなんでも出ていくつもりはないか。

 どっちもそろそろお年頃になるというのに部屋は別々にしない……ルミエの言っていた通り、既にヤバいぐらいに依存してしまっている……お互いにだ

 

『ワォン』

 

「慰めてくれるか」

 

 拾ったニホンオオカミことミブは私の側に駆け寄り、体を擦ってくる……慰めにはなるので思う存分にモフる。

今後の展開

  • そろそろ原作にいけ
  • もう少しオリジナルをやれ。
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