近界プルルン奮闘記   作:ドドドドド黒龍剣

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第24話

 

「さ、次にいくわよ……何処に潜んでいるのか教えなさい」

 

 スターチェとルアヴィンを倒したが試合はまだ終わっていない、ルルベットはジョンに何処に誰が隠れているのか指示を仰ぐ。

 まだ若いながらもルルベットはジョンの能力を認めている。ジョンに何処に誰が居るのかを見極めさせる。

 

「この訓練、レーダー禁止なのはキツイわね……」

 

「ジョンがチームに居てくれてホントに良かったよ」

 

 愚痴を零すリーナとホッとするガルード。今回のこの訓練ではレーダーの使用は禁止である。

 13人が使っている訓練用の特別なトリガーにはレーダー機能が搭載されていない。相手を自力で見つけろという中々にシビアなルール。しかし幸いか視覚に関するサイドエフェクトを持っているジョンがいる。遠くに潜んでいる人間を見抜く目を持っているので、何処に潜んでいるかなどの奇襲が受けづらく狙撃なども余り効かない。

 

「レクスが居るな……」

 

「どうするの?」

 

 ルルベットは指示を仰ぐ。ジョンは思考を加速させ頭を回転させる。

 別に原作のランク戦の様に多くポイントを稼がなければならない勝利出来ない、上を目指す事が出来ないという決まりがない。自爆特攻も今回の戦闘では不可能なので無理に強い相手に攻め込まなければならないわけじゃない。

 

「スターチェとルアビンはチームだった筈だ。となると残り1人が居るはずだ、そこを叩く」

 

 戦いは数だよ、質も大事だが量も大事である。

 ジョン達を除けば3人1組のチームであり、何処かに1人になってしまっている誰かがいる。

 

「こっちの方が数が多いんだから、レクスを倒しに行った方がいいんじゃないの?さっきみたいに」

 

「いや、上手く気配を隠しているけどもレクスの他にもう一人潜んでいる……那須与一が見える」

 

「ナスヨイチ?」

 

「玄界の日本という国の弓兵だ……そこそこ凄い」

 

 誰それとなっているルルベットに解説をするジョン。レクス1人に見えているが、上手い具合に隠れているのをジョンは見逃さない。

 多対多になった場合、少しでも連携が取れる方が有利で那須与一が見えたことから凄腕の剣豪でなく銃使いが潜んでいる。この訓練は皿に攻撃を当てなければならず、銃系のトリガー使いにはやや不利なルールで先程退場したルアビンとスターチェもコレが実戦ならば勝ってたと不満を漏らしていた。

 

「残っているチームのおさらい……くそ、オペレーターが欲しいな」

 

 何処の誰が落とされた等の通達は一切無い。

 補助してくれる人が居ない。こんな時にオペレーターの役割を担っている誰かが居てくれればとジョンは不満を漏らすが残念な事にいない。初回なので居ない、これでまたこの訓練の改善点が見えてきた。

 

「スターチェとルアビンは一緒のチームで残っているのはドロイだ」

 

 知っている情報がジョンは少ないのでガルードがフォローする。

 リーナと同じく二刀流の剣士であるドロイが一人きりになっている。ジョンは住居の屋根に登り、遠くを見つめて闘志を宿している猛者は居ないのかと探索をする。

 

「ドロイがどれか分からねえが……見えてきたな」

 

 大体誰が何処に居るのかがジョンには見えた。

 住居の屋根から降りたジョンはここからどうすればいいのかを考える。そして後悔する、銃と剣の二刀流でやっていればもっと上手い具合に試合を運ぶことが出来たのにと。しかし後悔をしていても意味はない。

 

「3人1組で固まっているところはない……2人1組か1人になっているところだ。こっちも無理に固まってても敵は撃退出来ない……ルルベットは俺と、リーナはガルードと一緒に分かれて行動するぞ」

 

「あんたと一緒、ね……」

 

「不満があるならそれよりもいい案を提案してくれ。こっちは素人のクソガキなんだ、作戦がそんなにポンポンと浮かび上がるもんじゃない」

 

 無い頭を必死になって回し、作戦を練っている。

 数の上での有利を今ここで消すのも如何なものかとルルベットは考えるのだがなにかいい案があるわけじゃない。数の暴力でゴリ押ししてもいいがその場合だとこの訓練も無意味になってしまう。

 

「一先ずはそれでいいわ……固まって動いたとしてもこのメンツじゃ連携に限界があるし」

 

 近距離戦闘3人で連携訓練無しではどうにもならないルルベットはジョンの意見に賛同する。

 ガルードも固まっていても埒が明かないのでジョンの意見を賛同するのだがリーナがやや不満そうな顔をしていた

 

「私、組むんだったらコイツじゃなくてジョンの方がいいわ」

 

「わがままを言うな、戦力的にガルードと一緒にいたほうがいいんだ」

 

 出来る限りイアドリフの人間とリーナは関わり合いたくない。

 そんな意味合いも込めてチーム分けに不服を申し立てるのだが戦いに私情を持ち込むなとリーナの額をジョンは軽く小突いた。

 

「俺達は優秀である事をアピールしないといけないんだ。でなきゃ、何時クビを切られるか分かったものじゃない」

 

 自分達が優秀であると上に認知させているから今の生活を手に入れる事が出来る。もし仮にこの訓練で自分やリーナが無能だと上や偉い方が判断したらもしかすると与えられた部屋を取り上げられるかもしれない。生殺与奪の権利を持っているのは常にイアドリフの上層部や偉い方である。

 例え訓練でも余計なミスをしてはいけない。今よりも底辺なところに飛ばされないとは言い切れないのだから。

 

「……分かったわよ」

 

 今後の身の上の事を言われればリーナも黙るしかなかった。

 渋々といった感じだがリーナはジョンの指示通りにガルードと共に行動をする事にし、ジョンと分かれた。レクス達が潜んでいる場所には向かわず他の人が潜んでいるところに向かわせる。

 

「あんた、手馴れてるわね」

 

「3年も一緒になって暮らしてたら嫌でも分かるさ」

 

 リーナの扱いにはもう手馴れたものだ。ジョンの口の上手さにルルベットは感服する。

 

「俺はお前達とは違う、奴隷みたいなものだ……それしかやることが無いと言えばそれまでだが」

 

「ガルードも私も似たようなものよ」

 

「嘘つけ、お前等は純粋なイアドリフの人間だろう。何処が似ている……お前達は志願したかもしれないが俺はそんな事をした覚えはない」

 

 好きでこんな風に戦っているんじゃない。無い知識を引っ張り出しているんじゃない。

 ジョンもリーナも選ぶ権利は最初からなく強制されている身、例えガルードやルルベットが重たい物を背負っていても大きく異なる。基本的には絶望でしかない。

 

「……そんなに平和なの?玄界(ミデン)って。トリガー技術とは異なる技術の文明が進歩してるって聞くけれど」

 

「イアドリフよりは幾ばくかは平和だ……とはいえ、楽しくて優しい世界かと聞かれればそれはまた別だがな」

 

 国が違えば人が違えば悩みも変わる。

 リーナがいる前では虚勢を貼っているジョンだが今はルルベットしか居ないので溜まりに溜まった鬱憤をぶちまける。必死になって我慢して抑えているものがあるが極力涙は流さない。もう後戻りする事が出来ないところまで来ている、超えてはならない一線は当の昔に超えているのだから

 

「なら、成り上がるわよ……私もただの1兵隊で終わるつもりはないわ」

 

「そうか……っと、誰かいるな」

 

「アレは、ドロイね」

 

 ルルベットとの談笑を終わらせ、ジョンは頭を戦闘モードに切り替える。

 二刀流の剣士でキニジ・パールが闘志として出ており、俺と同い年ぐらいの男が目に見える……ルルベットもそうだが今回の訓練を受けている奴等の平均年齢が低いな。若い連中を鍛えておかないといけないだからだろうか。

 

「隠れてないで出てこい!オレは何時でも勝負を受けてやるぜ!」

 

 コンコンと額に掲げている皿を叩きながら挑発的に叫ぶドロイ。

 これはまた随分と挑発的だと思いつつルルベットには茂みの中で潜んでもらい、ジョンだけがドロイの前に出ながら思考を加速させ、ガルードが居てくれればヘッドショットで額の皿を撃ち抜く事が出来たとミスを認め、武器を管槍にした自分も悪いと反省する。

 

「お前確か玄界(ミデン)の」

 

「ジョンだ……それと玄界と言うな、地球の日本で俺は日本人だ」

 

 もう帰ることは絶望的だろうがそれでも言っておく。

 そうか。とドロイは少しだけ悲しげな顔をするのだが直ぐに気持ちを切り替えて剣を構えるのでこちらも槍を構える。

 

「ふっ!」

 

「ぬぅお!?」

 

 管を左手で持ち、右手で槍を持ち捻りながら槍を突く。

 不規則な回転がかかった管槍の突きにドロイは驚き、右手に持っていた剣が弾かれてしまう。

 

「す、すげえ……その槍、どうなってんだよ」

 

「自分で考えろ……ルルベット」

 

「了解したわ」

 

「っげ、ルルベットもいるのかよ!!」

 

 剣を二本携えた二刀流なのはサイドエフェクトからでもよくわかる。

 一刀流でどれだけやれるかは知らないがドロイを二刀流で戦わせるのは危険だとジョンのサイドエフェクトが言っている……近くに闘志を潜めた奴は居ない。奇襲されることはまずないのでルルベットに表に出てきてもらうとドロイはマズイと言った顔をしており、直ぐに落とした剣を拾おうとするが俺が槍でドロイの腕目掛けて突く。二刀流にはさせない。

 

「確かに二本の方が一本よりも多く攻撃が出来るけど、一本でもオレは強いんだぜ」

 

 1本の剣を両手で持って構える。

 半身の構えになっているのでなんだかんだで基礎はちゃんとしている。だが、それでもこちらが有利なのは変わりはないと槍で突こうとするのだがドロイは大きく右に逸れて槍の刃が確実に届かない距離を開くと今度は間合いを詰めてきた。

 管槍が届かない間合いにまで詰め寄ってきた……槍は間合いを詰められると戦いづらい……それは中世や古代での戦いでの話である。

 

「ふっ!」

 

 槍を如意棒の様に短くする機能は搭載されているがそれでは一手遅い。

 こういう時の為に近接系の格闘術を鍛えている。相手が武器を持っているのを想定していてだ。ドロイが間合いを詰めてくるのは丁度いい、更にこちらから間合いを詰めまくり槍でも剣でも無理な間合いに詰めて腕に拳を入れる。無論、こんな事でダメージにならない……が、衝撃が走りドロイの攻撃を防ぐ事が出来る

 

「ルルベット、やれ」

 

「しまっ」

 

「遅い!!」

 

 ドロイの剣を持っている手の手首を掴んで動きを封じ、ルルベットに額を狙わせる。

 ルルベットは華麗にジャンプをして飛び膝蹴りを叩き込むと皿に命中した。皿はパリンと綺麗に割れ、ドロイは敗北した。

 

「あ~くそ、負けた……やっぱ2対1とか卑怯だろう」

 

「卑怯もなにもこういうルールでの戦闘なんだからあんたも仲間引き連れて連携を取ればよかったじゃない」

 

「そうは言うけどこっちのチームメイト、スターチェとルアビンだぞ?」

 

「丁度いいチームメイトだろう」

 

 銃メインのスターチェに剣と銃の両方を使いこなすルアビンに二刀流の近距離ドロイ、遠中近距離での戦闘を可能としている。

 それで戦えないというのは完全に未熟……与えられた手札でどうやって戦おうと考えなかったのが問題だな……若い連中には考えさせる時間を与えているのだろうか。

 

「これで1チームは落ちたわね」

 

 ドロイの敗北により、1つチームが居なくなった。

 これで自分達を除けば2チームとなっており、ルルベットは気を引き締める。

 

「残りは……ドツリのチームとレクスのチームか……ここにドロイがいたからリーナ達が向かったのはドツリのチームか……リーナ達は上手くやれてるか」

 

「死にはしないんだから、他人の心配よりも自分がどうすべきかを考えなさい」

 

「ああ、分かってる」

 

 勝たなければ意味はない。

 

「こっちの方で合ってるわよね」

 

 一方その頃のリーナ達は住宅地を歩いている。何時でも戦闘に入れるようにリーナは【カゲロウ】を両手に持ち、ガルードは2丁拳銃を持っていた。レクス達のチームを襲撃するのは危険だと別行動をしている他のチームを……ドツリのチームを狙いに行くのだが肝心の姿が目に見えない。

 本当にこっちの方で合っているのか、ややリーナは不安になる。ジョンがこんな時に嘘をつく筈が無いので信じてはいる

 

「よぉ!待ってたぞ」

 

「ロロク……お前は確かレクスのチームじゃなかったか?」

 

「チーム戦は性に合わない、男ならばやはりタイマンに限る」

 

 信じて道を突き進むとガルードよりもやや歳上の男性がいた。

 リーナ達がやってきてくれた事を嬉々として喜んでおり、知り合いなのかガルードは驚いている

 

「誰よ?」

 

「ロロク、剣の腕ならレクスよりも上なんだが……ちょっと色々と難があってな」

 

「部隊を引き連れては俺の性に合わん……しかし、ハズレを引いちまった様だな。俺は玄界の人間の男の方が来ると思っていたんだが、女の方が来ちまうとは」

 

「……あんたナメてるの?」

 

 ジョンでなく自分がやってきた事に不満そうなロロクにリーナは苛立ちを隠せない。

 確かにジョンは変わった武器を使っており自分は優秀な人間だと上にアピールをしている為になにかと目立っていてジョンの方を見てしまうのは仕方がない事だが分かっていてもイラッとくる

 

「ほぅ、良い構えを取るな。誰かに教わったわけじゃないんだろう」

 

「ええ、殆ど自己流よ……ガルード」

 

「ああ、分かってる」

 

【カゲロウ】を構えるとロロクはやる気を見せる。リーナはガルードに目を配るとガルードは持っていた銃を引き下ろす。

 気持ちは伝わっているとリーナは早速右手の【カゲロウ】で斬りかかるとロロクは左手の剣で防ぎ、右手の剣で斬りかかろうとするのだが、リーナは左手の【カゲロウ】で防ぐ

 

「コイツは失礼した……お前、意外と曲者なんだな」

 

「当たり前じゃない……私がなにもしてきてないと思ったら大間違いよ」

 

 普段はジョンに甘えてばかりいる自分(リーナ)だが、なにもしていないわけではない。

 左手を頭上に掲げて右手の剣で攻める剣道の二刀流に近いスタイルで戦いロロクと切り合う。

 

「見たことない剣の型だな!」

 

「ジョンが言うには日本の剣術の方らしいわよ!!」

 

「ゲツラン流とどっちが強いのか、勝負しようぜ!!」

 

 剣戟をまじ合わせながら話し合うリーナとロロク。

 戦いに熱が籠もりはじめて戦いにだけ集中しはじめる頃……ガルードがロロクの胸元にある皿目掛けて発砲した。

 

「は?」

 

「はい、終了」

 

 あまりにも呆気ない終わりに思わずキョトンとするロロク。

 リーナはこうなるのが分かっていた為に特に驚きもせず、あっさりと【カゲロウ】をしまう。

 

「おいおい、そりゃねえだろう」

 

「馬鹿ね、これは実戦を想定した訓練よ……熱くなって周りに目が向けられなくてどうするのよ?」

 

 勝つためならばどんな手段でも用いる。この世界にやってきてジョンから真っ先に学んだ事だ。

 ロロクは剣の腕ならば本隊の隊長であるレクスよりも強いと言われているが戦いを楽しみすぎたりしたり指示能力が低かったりと色々と弱点がある。今回は勝負に熱くなりすぎて周りが目に見えなくなる悪い点をリーナは利用した。

 

「くそ、そりゃねえだろう」

 

「ハハハ、すまないな……でも、これは試合じゃなくて勝負なんだ」

 

「ああ、分かっている。熱くなりすぎるのが俺の悪い癖だ……1つだけ聞いておきたい」

 

「なによ?」

 

「もう一人の男の方は強いか?」

 

「……強いわよ……でも、戦う事自体あんまり好きじゃないから挑もうとしないでよ」

 

「そうか。そりゃあ残念だ……じゃあな、レクスは強敵だから気を付けろよ」

 

 ロロクは破れたので去っていく。緊急脱出機能はあるがトリオンが勿体無いので歩いて帰る。

 

「コレで残りはレクス達とドツリのチームと……ん?あれは……」

 

「いや〜負けた負けだ」

 

 残すところ後僅かというところでこっちに向かってくる男が1人、そうドツリである。

 胸元にある皿は綺麗に斬り裂かれており、何処かスッキリとした表情でこちらに向かって歩いてきている。

 

「ドツリじゃないか……負けたのか?」

 

「ああ、レクスと勝負して負けたよ……上手い具合にブンレイが潜んでて動けないところをバッサリと斬られちまった」

 

「そうか……となると残りはマイテスとナユか?」

 

「いや、ナユは既に落とされてる。残っているのはマイテスだけだ……ガルード、もしかしてお前のチーム」

 

「ああ、1人も落とされてないよ……二手に分かれたのはある意味正解かもしれないな」

 

 そんなこんなでドツリは去っていく。

 意外なところで情報を集める事が出来たので心の中で小さくガッツポーズを取り、直ぐに気を取り直す。まだ戦いは終わっていないのだから

今後の展開

  • そろそろ原作にいけ
  • もう少しオリジナルをやれ。
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