近界プルルン奮闘記 作:ドドドドド黒龍剣
「解析、終わったわ」
葵の膝枕で眠りにつきトリオンの回復を終えるとトリガー開発等を行う研究所に呼び出された。
俺だけじゃない。レクスやルミエといった上の偉い人達やルルベットやシルセウス等の一般兵とイアドリフの猛者と呼ぶに相応しい面々が揃っている。
「敵のトリオン兵に関する情報よ」
若き天才エンジニアことタリが内通者である攫われた奴隷の人が持ってきた情報の解析を終えた。
ガロプラから受け取った情報はトリオン兵に関する情報だったらしい。
「トリオン兵……それはどんなトリオン兵なんだい?」
「トリガー使いを捕獲する用のトリオン兵よ」
レクスがタリに聞けば聞き覚えのあるトリオン兵について語られる。
トリガー使いを捕獲する用のトリオン兵と言えばアレしかないなと思っているとタリは手に持っているタブレット端末を操作し、トリオンキューブを出現させるとトリオンキューブがウヨウヨと変形してトリオン兵……トリガー使い捕縛用のトリオン兵、ラービットに変化する。
「このトリオン兵の名前はラービット。1体だけでもトリオンは馬鹿みたいに食うけどその分装甲は半端じゃないわ。誰か、戦ってみなさい」
「じゃあ、俺が」
戦えと言われたのならば戦うしかない。
少しでも生き残る為には経験を積んでおくに越したことは無いと挙手すると戦闘訓練を行う部屋に向かう。ボーダーの戦闘訓練と違い復活する事は無いので細心の注意を払って置かなければならない。
「さて、どうしたものか」
俺のサイドエフェクトは基本的には対人のサイドエフェクトだ。人の持つオーラ的なのが歴史上の偉人や神話の生物、獣畜生と色々な生き物になって見える。このサイドエフェクトのお陰で相手の実力などを見誤る事は基本的には無い……のだが、対人のサイドエフェクトの為にトリオン兵には効かない。トリオン兵をリモコン操作してくれたりすれば微弱だが闘志を見ることが出来るのだが、ラービットはリモコン操作じゃなくてAIによって動いている。俺のサイドエフェクトは意外と使い勝手がいい。闘志に揺らぎが見えたりするとなにか仕掛けるとか分かる。後、暗いところとか煙があるところでもハッキリと見える……見え過ぎて困ると言う時もあるけども。
「とりあえず先ずは1発」
拳銃を取り出して軽く数発撃ってみる。
ラービットは腕を交差させてXの字にして弾を防ぐ……軽めの散弾だが、俺のトリオン能力的にバムスターを倒す事が出来るぐらいの威力はあるのだが流石はラービットだと言ったところだろう。散らす弾じゃ倒す事が出来ないと分かれば直ぐに刀の見た目にしている【カゲロウ】を展開するのだが、ラービットは前に進んできたかと思えば殴りかかってきた。
「くっそ、重い……が、まだだ」
シールドを何重にも重ねて展開してラービットの殴打の威力を下げる。
シルセウスのマジの一撃をくらっている気分だが、シルセウスの方がもっと素早くて重い。トリオン兵だから限界はあるんだと鞘に納めていた【カゲロウ】を抜刀、牙突の構えを取り
「【ウスバカゲロウ】」
ラービットの目玉目掛けて突きを入れる。槍も悪くはないが刀の方も腕を磨いておかないといけない。
高速の突きに反応する事が出来ずにラービットは目玉を貫かれて動かなくなった……どうやら無事に破壊する事が出来たようだ。
「並大抵のトリオン兵じゃないが、腕に覚えのある奴なら倒す事が出来るレベルだ」
ラービットを無事に倒す事が出来たのでその事について報告する。
ラービットは何時も相手にしているトリオン兵よりは強いが素早い攻撃に対抗する事は出来ない。内包するトリオンに物を言わせて空を飛んだりする事が出来るには出来るのだが力技に近い。小さくて素早くてパワーがあるが小回りは効かないといったところだろう。
トリオンが勿体無いので破壊したラービットを回収し、トリオンに変換。その後、もう一度ラービットを出現させる。今度は別の誰かがラービットに挑まないかとなり、スターチェが挑むと挙手する。
「っ、硬え!」
2丁拳銃で挑むスターチェだがラービットの装甲が思った以上に硬かった。
剣とか槍の近距離系のトリガーならどうにかなる可能性は高いのだが、銃系のトリガーはラービットにダメージを与えるのが厳しい。原作でもギムレットとか使ってダメージを与えてたし、通常よりも強い弾を使うかトリオンに物を言わせるかのどちらかをしないといけない。
「舐めんなよ。レクスの取り巻きじゃねえんだよ、オレは!」
とはいえ弱点が無いわけでもない。
目玉付近は装甲が薄いのを俺の牙突もどきで判明したのでスターチェはシールドを展開したと思えばシールドを踏み台にして高くジャンプし、制空権を得たと思えばラービットの目玉目掛けて弾丸を叩き込んだ。
なにか言っているっぽいがなにを言っているのか分からない……スターチェ、なに言ってるんだろう。
「スターチェでも倒すのに数分が掛かるのか……参ったな」
スターチェは無事にラービットを破壊する事に成功した。
しかし思った以上に時間をかけている。勝負とは一瞬だったりするわけで1体のトリオン兵を倒すのに数分の時間をかけるのは色々とマズいとレクスは困った顔をする。
「ラービットが出てくるって言うのならば常時複数小隊で居なければならない……トリガー使いを相手にする事も考慮すればラービットに時間は掛けてられない」
レクスはラービット対策を考える。
1人で簡単に撃退する事が出来る方が異常であり普通の一般兵はラービットを撃退するどころか捕まる可能性もある。数人一組の小隊を作って団体行動とチームプレイによるラービット撃退を考えるが渋い顔をする。ラービットにばかり気を取られてはいけない。今はトリオン障壁で門を開かない様にしているのだがトリガー使いも相手にしないといけない。ラービットよりもそっちの方を気にする。
「ジョン、君ならどうする?」
「そりゃ数人一組のチームを臨時でも組むしかないだろう。単体で倒せると思っても予想外の出来事に遭遇する可能性だってあるし」
敵はなにもラービットだけじゃない。イルガーにバムスターにモールモッドと色々とある。
臨時で部隊を編成するしかない。連携を取るのは難しいかもしれないがラービットを確実に仕留めないと……ラービットは緊急脱出をさせないようにトリオンキューブ化してくるからな。
「それよりも敵はその気になれば市街地に門を開く事が出来る。門を開く機能を搭載したラッドを持っている」
「昔、君が提案したラッドだね……何処からか情報が漏れたのかな?」
「いや、構造自体はシンプルだから漏れたんじゃなくて考えたんだと思うぞ」
門を内側から開くって意外とシンプルだからな。
それはさておき空飛ぶトリオン兵が市街地にやってきて門を内側から開いたりするのは洒落にならない。どうにかする事は出来ないのだろうか?
「ラッドに関してはデータさえ有ればどうにでもなるし、長期戦は無いわ」
「その心は?」
「イアドリフの軌道がもうすぐガロプラから離れようとしているもの。ガロプラは1回の侵攻に全勢力を掛ける……特定の周回軌道が無い国は一発で仕留めないと従属させる事が出来ないわ」
成る程ねぇ……長期戦が出来ないか。だったらトリオン兵は色々と注ぎ込まれるか。
こっちの世界の戦争は地球の戦争とはやや勝手が異なるなと思いつつも今後どうすべきかを意見を出し合う。と言ってもどうするのかの最終的な決定権を持つのは戦闘部隊の総長であるレクスだ……レクスはどう判断するんだ?
「……タリ、相手のラービットを持ち帰ればどうにかなるかい?」
「まぁ、このデータだけじゃちょっと無理っぽいわ」
「そうか。じゃあ、数人一組の小隊を組んでおこう。相手の国のラービットの現物を手に入れたのなら直ぐに持ち帰ってくれ」
持ち帰ってどうするつもりなんだ?トリオンに変換する……じゃなさそうだな。
色々と気になる事が多いのだが、とりあえずは方針が決まった。間もなくトリオン障壁が無くなってしまって門が開いてしまうとレクスから通達がある。
「ここを乗り越える事が出来れば、暫くは襲撃に合わなくて済むわね」
「まぁ、そうだな」
数人一組の小隊を臨時でも組めと言うことなので組むことになった。
俺にはリーナがいるのでそれで充分だと思ったのだがリーナとは別々にされてルミエとルルベットが配属された。葵は……大丈夫だろうか?オペの処理能力云々の問題でボーダーでは4人が限界だと判断して4人までになってるとかなんかの本で見た記憶があるが、葵はまだ11歳……う〜ん
「葵、大丈夫か?」
『大丈夫よ、ジョン。何時もより多いけれども捌ききれない量じゃないです』
一応は心配なので通信を入れる。葵は問題無いと言うのだが大丈夫だろうか……11の小学生にオペレーターさせてるって何気に業が深いぞ。
葵の方が限界が来たのならばそれはそれで考えておかないといけない。オペレーターに無理させるのもいけないことだ。
『トリオン障壁消滅まで残り1分、59,58』
ラービットに関しては倒すことが出来ている……ただなんか忘れている気もする。原作知識があるから余計な事を考えてしまう。
今頃は地球ではDANGERをダンガーと読み間違える男とぼんち揚げ大好きセクハラエリートがバチバチとランク戦を繰り広げてるんだろうな……俺もそっち側が良かった……なんて後悔はほぼ毎日だ。泣かないだけで叫ばないだけで苦しくて辛い思いはしている。
『6,5,4,3,2,1,0……トリオン障壁消滅を確認。同時に門が出現、5,10、15……30を超えます』
葵のオペレートは中々に優秀である。戦線の最前線に立っている俺だがかなりの量の門を見ることが出来る。
そこから出てくるのはバムスター、モールモッドと何処の国でも使っているトリオン兵……ん?
「アレは……」
「アイドラだな」
人に近い形状のトリオン兵がいた。
原作で見たことがあるトリオン兵でルミエが横で解説してくれるのだが……アイドラから闘志が見える。黒豹の闘志で中々に強い手練が居る……恐らくだが、トリオン兵に化けているのだろう。
「ルルベット、アイドラを落とすぞ」
「いいけど、他は?」
「他は俺がなんとかする……」
そういうと拳銃を取り出す。拳銃と刀という中2的な要素を持っての戦闘だが悪くはない。
万能手のポジションが俺には向いているのだと思いつつも闘志が見えるアイドラ目掛けて発砲するとアイドラはシールドを展開して横に避けていく。
「ジョン、あいつは」
「トリオン兵に化けてるトリガー使いだ!卑劣な手を使いやがって」
他が機械的なのに対してヌルヌルと動いてくるアイドラ。
全く持って厄介なものだとモールモッドの目玉目掛けて拳銃を発砲しつつルミエに説明をする。こういう時マーキングを出来るトリガーが有れば良いのだが生憎な事に搭載していない……戦闘能力特化なトリガー構成をしているから仕方がないといえば仕方がないが。
「ジョン、交代だ。彼奴の相手はお前がしろ」
「いいのか?」
「見失わないならそれに越したことはない」
ルミエがここを引き受けてくれる。
だったらその好意に甘えるのだと拳銃をホルスターに入れて走り出す。
「シールド!」
あのアイドラを逃すと痛い目に遭う。
俺の直観がそう言っているので筒状のシールドを展開して闘志が見えるアイドラを包み込む
「何故分かった?」
アイドラはそう言うと筒状のシールドをぶん殴って破壊し、本来の姿になる。
コイツは確か……トンガリじゃなくてガトリンだったか?黒豹が見えることからかなりの猛者なのは分かるが、決して倒せない相手じゃない。
「さてな……(葵、煙の状態でも見えるようにしろ)」
『分かりました。アレをやるのですね』
ガトリンはどうして分かったのか驚くのだが揺らいでいない。
この感じは……まさかとは思うが既にガロプラでは緊急脱出機能が搭載されているとかいうオチじゃねえだろうな?そうなるとガロプラ防衛戦で負ける可能性……ああもういいや、他人の心配なんてしてられない立場なんだし。
「ファイア!」
トリオンで出来た煙玉をぶん投げる。
プシューと煙玉から煙が発生して周りが見えなくなるのだが俺は葵から補助を受けて煙の中でも何処に誰が居るのか見える様になっている。コレは多分他所の国でも簡単に実装するというか実装されているシステムだと思いつつも管槍を出現させてガトリンが居る場所目掛けて投擲する。
「っ」
案の定ガトリンの方も暗視機能的なのを使い周りが見えるようになっていた。
別にそれで構わない。一直線にしか飛んでこないなんの仕掛けもない槍ならば避ける事が出来ると回避するのだが、その時点で詰みである。
「
今回投げた槍はただの管槍じゃない。管槍を中心に半径5m以内ならば何処でもテレポートが出来るテレポーター機能を搭載させた管槍だ。
管槍を投げて回避したのならばテレポートで一瞬の間合いを詰めて相手の首を斬り落とす……卑劣なる飛雷神斬りだ。事前に来ることが分かっているのならばまだしも視界が煙で覆われていてマトモに見えない状況で槍が飛んできてこれさえ避ければと思考を妨害、飛んできた槍の目の前に急にテレポートするので咄嗟の反応もする事は出来ず、ガトリンの首を刎ねる事に成功した。
「使っておいてなんだが卑劣な技だな」
NARUTOの飛雷神斬りから着想を得た戦術だが中々に優秀である。
煙で視界が不安定でオペレーターから補助を受けた瞬間には槍が飛んできている。咄嗟の事で反応する事が出来ても槍に向かってテレポートしてそのまま刀の【カゲロウ】に斬られるという隙のない……何段構えだこの技は?
「っ、不覚……」
「お、この展開は予想外なのか」
ガトリンを一瞬で倒すことに成功したのだが、ガトリンは緊急脱出しなかった。
どうやらまだ緊急脱出機能がトリガーに搭載されていない……人質を取って捕虜と交換的な事が出来る様にって、まずい!
「テメエ、ラッドを持ってやがるな!」
どうやってかはしらないが何時の間にかガトリンの手にはラッドが握られていた。
門を開く厄介な機能が搭載されていると色々と思考が鈍っているとラッドが門を開いて……ガトリンは消えていった。緊急脱出機能を搭載していない代わりにラッドを使って門を開いて逃げる方針なのか。
『ジョン、大丈夫ですか!』
「問題無い……トリガー使いはトリオン兵を使って逃亡した。どうやら負けた時の事を想定している」
この侵攻自体が不本意で動いているらしいから敗戦覚悟なのかもしれない。
負けたら上に色々と文句を言われるのだろうが、そこは仕方がない事で他人に情けを掛けている場合じゃないとモールモッドを切り裂く。
「【ウスバカゲロウ改】」
トリオン兵を一掃するのに【ウスバカゲロウ改】は非常に便利である。
モールモッドやバムスター、アイドラを一掃する……ガトリンが倒されて大丈夫なんだろうか?彼奴、遠征部隊に選ばれるぐらいには優秀で原作開始時には忍田本部長並の実力者だって天羽が言っていたな。今回は金星を得ることが出来た……初見殺しって強いのである。
『大変です、ジョン!リーナの居る南西の地区にラービットが出現しました!』
「リーナは誰と組んでる?」
『レクスとスターチェです』
「あの二人と組んでるならば問題はない」
あの二人でどうすることも出来ないのならば俺が行ってもどうする事も出来ない。
ラービットに関しては倒すことが出来ている……だがなにか忘れている様な気もする。
「リーナに無茶するなとだけ言っておいてくれ……死ぬんじゃないぞ」
『分かりました……っ、西側から新たに門を確認!』
「イレギュラーか?それとも普通……ああもう、どっちでもいいか」
こっちは防衛戦なので来る相手を全て蹴散らせばいい。
脳筋思考になっているのだが全てをぶっ倒せばそれでいい……余計な思考はコンディションを大きく乱してしまう。炎のような情熱を持っていても氷のような冷静さは大事である……。
「今やるべき事は敵を倒す。トリオン兵を倒す、ぶっ倒す」
1番の強敵になりそうなガトリンは既に落としている。
自己暗示だと自分がすべき事を呟く……そう、倒すんだ。倒すしか道は無い……仮にガロプラに拉致されたら、今よりも酷い生活を送らされる。折角いい感じに成り上がって来たって言うのに……死んでたまるか。殺さないと。
卑劣斬りは初見殺し。
今後の展開
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そろそろ原作にいけ
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もう少しオリジナルをやれ。