近界プルルン奮闘記   作:ドドドドド黒龍剣

38 / 70
第38話

 

「ジョン、残りライフは?」

 

「さっき言っただろう。23だ(27だ)」

 

「そうか……あのお爺さんを相手に近距離戦は難し過ぎる。永遠(とわ)(つるぎ)で戦ってもいいけど……」

 

「そもそもで永遠の剣の能力はなんなんだ?」

 

「時空を操る事が出来る剣さ」

 

 アバウト過ぎるだろう。

 俺が使っても使いこなす事が出来なさそうな冠トリガーなので詳しい詳細は聞かず、レクスの言う通りにする。

【カゲロウ】を用いて戦ったとしてもタケミカヅチに勝つことは不可能、腕一本を失ったが……いや、逆か。腕一本を失ったからかより一層に警戒心を増している。トリオンで出来た弾丸を飛ばす突撃銃(アサルトライフル)を取り出す……中距離戦は行けるが、基本的には近距離戦がメインで戦っているから一定以上は動けるには動けるが近距離戦以上の腕では無い。

 

「とにかく、相手を動かすんだ……ライフは使い切っても良い」

 

「1年掛けてコツコツ貯めたんだぞ……」

 

 くっそ、相変わらず理不尽だなこの国は。

 突撃銃は威力は低いが肉弾戦特化のトリオン体以外ならば破壊出来る程度の威力に抑えて弾数を増やし、乱射する。

 当てなくていい、確実に倒さなくていい。ただ当たったらマズい弾を撃っておいて意識を奪う……と言っても相手は歴戦の猛者で腕一本取られたが為に警戒心を増している。警戒心を増しているが派手な動きをしてこない。

 

「ふむ……いいでしょう」

 

 当てるつもりがないが油断すれば当たる弾を乱射する。

 ヴィザの爺は俺達が誘っている事に気付く。このまま乗って来ないで星の杖(オルガノン)のサークルを展開して全てを破壊してくる事をしない。爺は俺達が誘っている場所に都合良く移動をする……そう、イアドリフの一般人が住まう住宅地だ。

 幸いにも基地や研究所へはそれなりに歩かなければならない場所にある……が、しかし大丈夫なのか?この国の人間はどうでもいいとは思っているものの一般人まで殺されたら国はおしまいだ。

 

「(避難は済んでるのか?)」

 

『地下のシェルターに避難しております……ただ』

 

「(ただ?)」

 

「総員発射準備!」

 

「成る程、180度からの弾幕ですか」

 

 葵が言い淀んでいるとレクスが動く。

 レーダーには映らないバッグワーム的なのを纏ったイアドリフの中距離遠距離メインで戦えてこの場に来ることが出来たであろうメンツを揃えて一斉に弾を発射する。

 それだとダメだろう。サークルを小さめに展開して自分の周りにブレードを並べて弾が防がれる。俺でも簡単に思いつく1手なんだからこの爺が思いつかない筈も無い。

 予想通りと言うべきかレクスが出した集中砲火の指示は星の杖のブレードをシールド代わりにして全て防がれる……が、ここで違和感を感じる。何故か集中砲火した筈なのに一箇所だけ星の杖の並べられたブレードに隙間が出来ている。

 

「今だ!」

 

 まさか……狙っていたのか?

 星の杖のブレードで防ぐ事を想定していて、あえて一箇所だけ狙わない様にして隙間を作る。レクスは永遠の剣を構えたと思えばホントに同じトリオン体なのかと疑わしくなるような速度でブレードの隙間を狙って剣を振り下ろしたが……防がれた。

 

「っ!」

 

「見事……普段の私であれば咄嗟のその速度に反応する事が出来ませんでした。ただ貴方達は私を黒トリガーと認識した時点で過剰なまでに危険視している……無いのですね、この国には黒トリガーが」

 

 この一撃を防がれるのは予想外だったレクス。

 爺が完全に警戒心をマックスにしているから罠に引っかかる事は無いのかと思っていると足元にトリオン爆弾が転ぶ

 

「ああ、無いよ」

 

「足元を狙うのは貴方で7人目です」

 

「コレもダメ……」

 

 トリオンで出来た爆弾を爆発させるが原作で遊真が足元を狙った時と同じ様にブレードを扇状に展開して防ぐ。

 レクスがコレでもダメかと落胆している……気付けば爺から漏れていたトリオンも漏れなくなっている。確か……トリオン能力51だっけ?星の杖のコスパがどれだけのものか分からないし黒トリガーは通常よりもトリオン多いからトリオン切れを狙うのは無理……倒すしか道は無い。

 

「貴方のその(クラウン)トリガーと純粋な力で競い合う事をしてみたいですが……私にも色々と込み入った事情があります」

 

「っ、まずい!来る!」

 

星の杖(オルガノン)

 

 ヴィザの爺がそういえば持っていた杖から複数のサークルが展開されてそのサークルの上に乗った刃が高速で移動し……住宅地を切り刻む。

 原作でも一瞬にして住宅地を切り刻んでビルを倒壊させたりしていたが……エグい。レクスは何故か滅茶苦茶速い速度で滅茶苦茶早くに反応する事が出来た為に回避する事が出来たのだが俺はトリオン体が破壊されてしまう。

 

「残りライフ22」

 

 どうする?あえて残りライフを少なく言っていて、ライフに上限があると認識させる素振りを見せている。

 ライフが0になって緊急脱出して基地に戻ったかの様に見せつけて時間差コンティニューで相手を倒す手があるにはあるがそれは出来る限り最終手段として取っておかないといけない。

 

「やはり敵地ではこの手に限りますね」

 

「っ、クソ!!」

 

「スターチェ、やめろ!」

 

 住宅地を粉々にした爺。住宅地の至るところに潜んでいた銃撃手達が強制的に表に引き摺り出されていた。

 遮蔽物が無いところでの銃撃戦は難しい。というより純粋に速くて威力のある弾を撃つぐらいしか道は無い、相手よりも早くだ。遮蔽物を利用してあの手この手を出来るのだが、そういうのは全て取っ払われた。

 スターチェはやるしか無いと銃を構えて撃とうとするのだがそれよりも早くに星の杖のサークルの上にある刃がスターチェを切り裂く。スターチェだけじゃない、大勢のイアドリフの兵士達を切り裂く。

 

「どうする、どうする……」

 

 敵の黒トリガーの能力は至ってシンプル、強くて軽くて頑丈で切れ味抜群の刃を素早く動かす。

 なにか弱点らしい弱点は無い。強いて言うならば使い手が雑魚ならば突破口を切り開く事が出来るのだが使い手は歴戦の猛者だ。小卒より下の学歴である俺は必死に頭を無い知恵を振り絞る。爺の警戒心はマックスで確実に倒したと確信するまでは手を抜かない。コンティニュー機能はバレてて残りライフを詐欺っているがそれを用いてのコンティニューアタックは効かないだろう。

 

「まさか……ここまでだなんて」

 

 レクスだって強い。ドナルドマクベインが見えるだけあって滅茶苦茶強い。だが、爺はそれを容易く上回る。

 情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ……気品と優雅さは関係無いか。とにかくレクスをも上回る強さを秘めている。レクスも第二第三の手を考えたりしていただろう……しかし全てが通じない。フィールドを更地に変えて射線を通りやすくしたりしたが……狙撃銃程度で倒れるわけがない。

 

「(万策尽きたか?)」

 

「(いや、まだ永遠の剣を使った接近戦が残っている)」

 

「(真っ先にそれはするなと言わなかなったっけ?)」

 

「(ああ……だからコレは最終手段だ)」

 

「(一応聞くけど永遠の剣はどんな能力なんだ?)」

 

「(分かりやすく言えば自分の時間を操って通常よりも何倍も早く動いたり、ワープしたり出来るんだ)」

 

 成る程、衛宮切嗣の固有時制御(タイムアルター)的なのか。

 体感時間を伸ばすから仮面ライダーカブトのクロックアップに近いのか?……いや、今は考察している場合じゃないな。ヴィザとの接近戦は1番危険だ……1回自爆して視界から消え去ってからの時間差コンティニューからのテレポートによる奇襲を仕掛けるか?……コレを撃っても攻略されそうなんだよな。

 

『嘘……そんな……』

 

 流石の葵も完全に予想外だから声も出ない……いや、ホントにな。

 ポンポンと緊急脱出して基地に戻っていく……イアドリフの中距離以上の主戦力の殆どがこの場にいる。近距離メインの奴が来ても殺されるだけだ。

 

『ジョン、ジョン、聞こえますか!?』

 

「(ああ……今にでも心が折れそうだがな)」

 

 ガロプラを経由してアフトクラトルの傘下になんてなったらひとたまりもない。俺みたいな奴隷兵はなにされるか分かったもんじゃない。

 葵はなにかに慌てているので聞こえていると内線を居れる……心が折れる。起死回生の一手は無いのか?多分、あの爺一本だけ視覚外にサークルを用意して時間を加速させて動いてくるレクスの死角を突いて攻撃してくるぞ。

 

『よく聞いてください……ルミエが、ルミエが居ます』

 

「……は?」

 

『一般人を地下のシェルターの避難を誘導していたみたいですが間に合わなかったみたいです』

 

「ちょ、ちょっと待てよ…………もう戦えないんだぞ!?」

 

 色付きのラービットにトリオンキューブ化させられかけてルミエのトリオン体は殆ど使い物にならないと言うかトリガーを起動する事が出来ない。そんなルミエが居るという事は……まさか……。

 

「ああ、クッソ…………今まで色々としてきたからな」

 

「ルミエ!?」

 

 何時も胡散臭い笑みを浮かびあげているルミエは血塗れだった。

 住宅の瓦礫の破片が突き刺さっている……星の杖で破壊された住宅の瓦礫が突き刺さっている。

 

「なにをやってるんだ!早く地下のシェルターに避難するんだ!!」

 

 レクスは血塗れのルミエを見て地下に避難しろと口走るが直ぐにハッとした顔をする。

 

「成る程、成る程……地下に潜んでいるのですね」

 

 爺に余計な情報を与えてしまった。一般人を狙ってきたら……ヤバい……どうしよう……

 

「なに辛気臭い顔をしてるんだ」

 

「もう八方塞がりなんだよ……」

 

「ああ……黒トリガーがどんだけヤバいか分かっただろ?と言っても今回は使い手も異常に強いからな……」

 

「時間を稼ぐ!誰でも良い、あの人を倒す手を考えてくれ!」

 

 レクスは永遠の剣を構えて時間を加速させ、爺に挑みに行く。

 だがダメだ。この程度で倒れるというのならば既に倒すことが出来ている。

 

「よく聞け、ジョン……このままだとイアドリフは終わってしまう。ウチは特定の周回軌道を持たない国だから従属させるのは難しい国だ。だから手を変えて優秀なトリオン能力者を攫ってくだろう……トリオン能力者を攫われれば国民が減ればイアドリフの滅亡に繋がる、グフッ」

 

「おい、もう喋るな。血を吐いてるぞ!」

 

「……1つだけ聞いておきたいことがある」

 

「なんだよ?自分だけ先に逝くつもりか?」

 

「なに……お前がどうしてジョン万次郎と名乗っているかは知らない。お前の事だからジョン万次郎にはなにか深い意味合いがあるんだろう……だが、1つだけ気になる事がある……お前達の本当の名前だ」

 

「俺達の名前を気にしてどうする?」

 

「お前は頑なに本当の名前を教えてくれない……知りたいんだよ、最後にお前のホントの名前を」

 

「……お前、まさか」

 

「いいだろう、最後ぐらい……タルマには悪いと言っておいてくれ。お腹の子供にも……父親として最初で最後の務め、お母さんと子供を守る……勝つにはそれしかない」

 

 ルミエがなにを狙っているのか、分かった。

 コイツは………コイツは…………

 

「……名字は虹色の虹、村人の村、名前は勝利(しょうり)と書いて勝利(かつとし)と読む……虹村勝利(にじむらかつとし)だ」

 

「……いい名前だな……名前の通り、勝利を取ってこい」

 

 本当は誰にも教えたくはなかった。リーナにすら教えるつもりは無い……だが、ルミエは腹を括った。最後の希望を俺に託そうとしている。

 血塗れのルミエは最後に笑うと腕輪型のトリガーを取り出して……トリガーに命を、全てを注ぎ込んだ。

 

『っ、ルミエのトリガー反応消失……何があったんです!!』

 

「そうか……」

 

 葵は一連の会話を聞くことが出来ていたのだろうか?リーナにすら教えていない名前を聞かれるのは困るな。

 灰色に染まったルミエは崩れ去ってしまい後に残ったのは腕輪型の……黒トリガーだ。

 

「……ルミエ、お前の事は今でも大嫌いだよ。お前さえ居なければ俺は小学生として生活を送る事が出来た、中学受験をしたりしていい学校に入ることが出来ていた…………リーナも葵も被害者だ。お前を許すつもりは無い。お前はカッコつけて最後をしたんだろう。大事な嫁さんと子供の為にイアドリフの為に忠義を尽くした……ホンっとクソ野郎だよ」

 

 トリガーをオフにし生身の肉体に戻った。

 落ちている腕輪はまるで俺に使ってほしいと言わんばかりに俺の腕に綺麗に嵌まった……最後の最後まで嫌がらせをしやがって。俺がなにも思わないと思ったら大間違いだ。

 

「さぁ、鬼が出るか蛇が出るか……名も無き(ブラック)トリガー、制作者の最後の望みは叶えてくれるんだよな?」

 

 頼むからちゃんと言うことを聞いてくれよ。

 そう願っていると黒トリガーは起動する事に成功した……が、喜ぶ事は出来ない。

 

「なんなんだ、この感覚は」

 

 黒トリガーを使用した途端に違和感を感じる。最後の最後までルミエの嫌な部分が残っていやがると不快感を感じながらも考える。

 この黒トリガーの能力はなんなのか?と黒トリガーにも強弱がある。何れは遊真が手にする黒トリガーの様にチートじみた物もあれば窓の影の様なサポートに近い能力もある。理解しろ。トリオン操作もトリオン能力もトリガー工学もリーナや葵に負けるがこのずる賢さは、生き汚さだけは誰にも負けない。

 

「体全体に違和感がある……」

 

 鏡の1つでもあるならば自分の今の姿を見ることが出来るのだが爺によってフィールドを更地に変えられた。

 この盤面をひっくり返すにはコレしか道が無かった……それは分からなくもないが、相変わらずと言うかルミエは最後まで俺に無茶を言ってくる。

 

「この違和感の正体…………頭が多い…………腕が沢山あるが……腕が沢山……腕なんて無い。代わりにあるのは……」

 

 ふと頭に触れてみた。

 俺の髪型は割と普通の筈なのだが、髪の毛に違和感を感じる……そう、知っている。この違和感の正体、それは髪の毛だ。髪の毛から来るものだ。

 

「成る程…………面白くねえ黒トリガー残してんじゃねえぞ……」

 

 素人がいきなり扱える様な黒トリガーでなくあの爺の様なベテランでしか使いこなせさそうなのを残した。

 なんでよりによってこんな能力なんだよと思いつつも俺に被害が及ばないと言うか地下のシェルターに近付けさせない為に距離を取ろうとしているレクスの元に向かった

 

「クソっ……」

 

 必死の抵抗をするが片腕と片足が奪われているレクス。

 爺の周りには小さめのサークルが展開されており、レクスの視覚外のところにもサークルが展開されていてレクスはそれにやられてしまい腕と足を持っていかれている。

 

「いい腕です……安心してください、アフトクラトルは中々に良いところですよ」

 

「もうここまでか……」

 

「ええ、ここまでです……ですが貴方達は色々と手を使ってくる。故に完全な勝利が決まるまで手は抜きません……星の杖(オルガノン)

 

「すまない……皆」

 

「ヘアロック!!」

 

 レクスが負けを認めたその時にはこの黒トリガーが何なのかを大体理解した。

 レクスを確実に仕留める為に展開された星の杖のブレード全てに……髪の毛を巻き付けた。

 

「!」

 

「よぉ、爺……レクス、諦めるのは構わないがこの国が終わることを忘れるなよ。こんな国滅びればいいが、それはそれで困るんだよ」

 

「その姿は……まさかルミエは!!」

 

「ああ…………最後の最後に覚悟を決めた……」

 

「ここに来ての(ブラック)トリガーですか!……最後の最後まで気が抜けない。ですが、残念な事に黒トリガーは通常のトリガーとは異なります。なにが出来るかは分からないもの、我が星の杖(オルガノン)とて一朝一夕で使いこなせる物ではない」

 

「だろうな……そもそもでこの黒トリガー自体、使用者にかかる負荷が尋常じゃない……だからチンタラしてられない」

 

 この黒トリガーは俺の予想が正しければ星の杖とも渡り合う事が出来るだろう。

 だが星の杖ほど使い勝手がいいわけでもない。出来立てほやほやのこの黒トリガー、大まかな能力は分かっておりそれに伴い俺の姿も変わっている。

 

「来いよ、最強。あんたを倒して俺達は生き残る」




やっぱ黒トリガーは持っとかないとね。
尚、ジョン万次郎の容姿は雲雀恭弥である。

今後の展開

  • そろそろ原作にいけ
  • もう少しオリジナルをやれ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。