近界プルルン奮闘記   作:ドドドドド黒龍剣

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第43話

 

「……この量でいいのよね?」

 

「ああ、構わない」

 

 麟児達は別の国に行った。麟児に色々と頼まれごとをした、無論それに見合う対価も頂いている。

 電気工学関連の本、野菜や果物、香辛料等の種、そして向こうの世界に対しての交渉する手立てと。とにかく色々と頂いた。麟児達は目当ての国に辿り着く事が出来るかどうかは分からない。なにせ俺というイレギュラーが色々とやっているんだから、こっちの世界に関しては色々と原作崩壊していたりするだろう……生き残る為に悪になるんだ。

 

「普通のミートボールにコレをちょこっと足しただけでいいの?もうちょっと足した方が」

 

 麟児達はこちらの世界で生き残る為に色々と持ち込んでいた。

 技術系は電気工学関連の物だけだったが、食に関する物は色々と持ち込んでいた。食というのは外交に使えるもので時にはトラブルの火種になる。地球ではコーヒーや紅茶を巡って戦争が起きたりした事もあるし、胡椒が金と同価値だった時代もある。

 近界民が人だと知っているのならば食による交渉が出来る。だから、食べ物関係を色々と持ってきた。人間が死なない限りは飲食関係の産業は基本的には絶滅しない。需要と供給があるのだから。

 

「ナツメグは入れ過ぎたら中毒症状が出てくるからほんの少しでいい」

 

 麟児達が持ち込んだ野菜や果物、香辛料等が実るのには時間がかかる。

 特に木から生えるタイプの香辛料や果物は木が成長するのを待たないといけない。年単位で待たないといけないのだが、俺は麟児達が持っていたナツメグを手に入れる事が出来た……100均で売ってそうなナツメグだ。

 

 何故にナツメグを持ち込んだのか気になったので聞いてみれば

「こっちの世界と日本は色々と異なるけど食事を取ったりするのは一緒で、美味しくない食事はストレスの元になります。少しでもストレスを緩和し余計なトラブルを避けたいのと現代人、特に日本人は舌が肥え過ぎているから原始的な食事だとストレスがかかって食事が出来なくなってサバイバルでは生き残る事が難しいって東さんって人が言ってて」と鳩原は教えてくれた。

 

 東さん、あんた自衛隊の隊員でもなんでもないのになんでそんなサバイバル知識が豊富なんだ……横の知識が広い人間がツッコミを入れるのはいけない事か。

 本音を言えばカレー粉が欲しかったのだが、麟児達から手に入れる事は出来なかった。麟児達が持ち込んだ香辛料だけではカレー粉が作れない。めんどうだ。

 

「コレを平べったくすればいいのね」

 

 他にも麟児達から美味しい軍向けのレーション的なのの作り方(レシピ)も教わったりもした。食関係は国を豊かにさせる動力源だ……コレも東さんの入れ知恵らしい。と言うかボーダーが遠征した際に食関係を交渉のカードとして切ったことがあったらしい。

 

「空気は抜くんだっけか……まぁ、パンパンしておけばいいはずだ」

 

 そんなこんなでナツメグを手に入れる事が出来た。

 種の方は栽培しているのだが数年かかり、直ぐに使えるナツメグは横領した。100均で売ってるナツメグなので横領してもバレないだろうし、ナツメグは使い方を間違えればヤバい。信長のシェフでヤバい使い方をしていた。

 

「後は焼くだけね」

 

「焼き目がついたらひっくり返して水を入れて蒸し焼きだ」

 

「分かってるわよ、それぐらい」

 

 ルルベットの家でハンバーグを作る。

 100均程度のナツメグとはいえ横領しているのは事実、何処かで足が付いて面倒な事になるのは嫌だがハンバーグを食べたいという欲求には勝てなかった……色々と狂っている人間になっているが食に関する欲望はまだ平均的だ。

 卵とパン粉と塩と胡椒とナツメグを入れて、合い挽き肉を掻き混ぜてハンバーグの肉ダネを作りフライパンに投入して焼く。

 

「アシッド、ちゃんと火が通ってるか確認しておいて」

 

『了解です。マスター』

 

「いや、火が通ってるかどうか確認するなら串を1本刺せば」

 

「試作品ならいいけど、あんた達も食うんだから生焼けはごめんよ。ちゃんとした料理を出さないと」

 

 ハンバーグがちゃんと作れているかどうか確認する為に、レプリカサイズで戦闘機をそのまま獣型にしたような機械的に見えて犬っぽい感じな外見のトリオン兵、トロポイの自律トリオン兵の1体でルルベットを補助したりパワーアップさせる為に作られたアシッドを使う。

 かなり勿体無い事をしている。フィラの使わない分のトリオンを用いているのでトリオンの問題は解決しているが……無駄だ。

 

『マスター、全体に火が通ったようです』

 

「そう……コレで合ってるの?ソースは?」

 

「あったほうが美味しいが、今は純粋にハンバーグを楽しみたい」

 

 ハンバーグを皿に移す。

 見た目はちゃんとしたハンバーグ……ちゃんとしたハンバーグだが味の記憶は薄れていっている。

 

「照り焼きソースはないのですか?」

 

「照り焼きもいいが普通のハンバーグを」

 

「チーズ」

 

「チーズの作り方は怪しいから、そもそもでチーズが無い」

 

 銀の匙で見たぐらいで詳しい作り方は知らん。

 出来たハンバーグを並べれば葵は照り焼きソースを要求する。リーナはチーズハンバーグを食いたいと要求する。

 暑くもなければ寒くもないイアドリフでチーズを作るならば専用の工房が必要になる筈だ。

 

 香ばしい匂いがするハンバーグ、俺と葵は手を合わせていただきますと言う。

 ナイフとフォークを使って綺麗にハンバーグを切ると肉汁が溢れ出す。鉄皿だったらジュワと言っていただろうか?

 

「……………………」

 

 ハンバーグを口に入れる。

 久しぶりのハンバーグだ……久しぶりのハンバーグなんだ。

 

「美味しい、美味しいよ!ジョン!」

 

 ミートボールやキッシュと異なる、と言うかナツメグの味が初体験なフィラは笑みを浮かべる。

 ルルベットは結構イケると満足げに食べている。

 

「久しぶりのハンバーグ……美味しいですね」

 

「日本のhamburgerってこんな感じなのね……相変わらずご飯が美味しい国だわ」

 

 葵とリーナも割と満足している。

 ちゃんとしたと言えるかどうかは分からないがハンバーグは久しぶりだ。ちゃんとした日本食……ハンバーグって何処の国の料理なんだ?色々と発展し過ぎてて分からねえな。

 

「ああ…………違うな…………」

 

「……違う?なにが違うの?」

 

「気にするな、美味しいハンバーグだ」

 

 大好物のハンバーグである事には変わりはない。

 気にするなとルルベットに言うのだが俺が出来たハンバーグに対して不満を抱いている事が分かるのか、ルルベットはムスッとしている。

 

「文句があるなら言いなさ……ジョン……」

 

「泣いているのですか!?」

 

 ムスッとした顔のルルベットが文句を聞く姿勢に入ろうとするのだが黙る。なんで黙るんだと思っていると葵は驚く。

 

 何事かと思い目元に触れると涙を流している自分が居た。

 

「ああ……クソっ……」

 

 感情は殺すしかない。平静を保たないといけない。

 

  俺は転生者で実年齢は二十歳を超えているんだから大人の心を持たないといけない……けどっ、けどっ……。

 

「そんなに感動したの?」

 

 大好物のハンバーグの味を久々に味わう事が出来て嬉し泣きをしているとリーナは勘違いをしている。

 俺は無言のまま首を横に振るとリーナ達は心配をする。心配させちゃいけない、俺がしっかりとしておかないといけない。

 リーナと葵に自分に依存してもらう様に仕向けたのは生き残る為なんだ。黒トリガーを羅生門にしたのは生き残る為に悪の道を歩むと決めたからだ……だから、(こんなもの)は俺には不要だ……だけど──っ

 

母さんの味と少しだけ違うんだ

 

「…………そう」

 

美味しい、美味しいんだ。ルルベットと一緒に作ったハンバーグは。でも少しだけ味が違うんだよ

 

「……どんな味なの?なにか隠し味でもあるの?」

 

カレー粉を少しだけ入れていた。カレー粉は香辛料の塊だから便利だって言っていた

 

「かれぇこ?」

 

「カレーというターメリックをはじめとする様々な香辛料で肉、ジャガイモ、人参、玉ねぎ等を煮込んだ料理といったところです」

 

 ルルベットはどんな味なのか聞いてくる。カレー粉がどんな物か分からないので葵が説明する。

 隠し味にカレー粉を入れていると覚えている。カレー粉は色々な香辛料が入ったもので、ハンバーグの味を良くする。

 

「…………来なくていい」

 

 椅子から立って俺の元に駆け寄ろうとする葵、リーナ、ルルベット。俺に対してなにかをしてくれるのだろうがそんなのはいい。

 

 涙を見せるのは弱い証だ。弱い奴は簡単に死んでいくのがこちらの世界だ。泣きながらでも前に進む……(これ)が俺の弱さだとするならば拒まないといけない。葛葉紘汰の様に弱さを受け入れることは出来ない。駆紋戒斗の様に強さを求めないといけない。

 

「昔……ルルベットの家にはじめて来た時も似たような事があったわね……」

 

 涙を流して感傷に浸る俺に対してリーナは言葉を投げかけない。ただ過去を懐かしむだけ……そう、それでいいんだ。

 

 人として大きく狂ってしまうがそれでいい、余計な情けは持ってはいけない事だ。

 俺は涙が出なくなるまで涙を流す。誰かがその涙を拭う事は無い……泣いていたって意味が無い、この涙は受け入れることは出来ないものだ。

 

「久しぶりに泣いたな……葵、悪いな。みっともないところを見せてしまって」

 

 流せるだけ涙を流し終えた。気持ちが少しだけスッキリとしたので一先ずは葵に謝る。

 リーナやルルベットの前で泣いた事はあったりしたが、葵の前では泣いたことがなかった。弱さを見せてはいけないとか色々と思っている。俺に依存してもらっている葵に弱さを見せれば葵もおかしくなる。だから俺は葵やリーナの前では強くないといけない。

 

「いいえ……ジョンも本当は普通の人間なんだと分かったから構いません」

 

「普通の人間か……いや、多分違う」

 

 転生者である時点で普通の人間じゃない。

 

 仮に転生者だとしても、前世があるとしても俺は色々とおかしい狂った人間だ。

 生き残る為に悪の道を歩もうとし、心を完全に壊さない為に自己満足のエゴに走りリーナと葵を依存させている。

 

 例え転生者だとしても、生き残るには強くならなければならない世界に居たとしても、こうなるのはおかしい……リーナと葵で狂わない様にしていたがどうやら最初から狂っていたみたいだ。

 

「ジョンのお父さんってどんな人?」

 

「っ、フィラ!!」

 

「怒るな、ルルベット」

 

 流せるだけ涙を流し心が落ち着き食事を終えるとフィラが俺について聞いてくる。

 ついさっき家族の事を思い出して我慢したりしてたものが色々と崩壊したりしたのでルルベットは触れてはいけないと怒るが今は気持ちが落ち着いている。頭のスイッチを無想状態に切り替える。

 

「どうしてそんな事を聞こうと思ったのですか?」

 

 触れてはいけないと思っている事なので葵は急にフィラが聞いてきた事を疑問を投げかける。

 

「僕のお父さんとお母さんは僕が生まれてすぐに死んじゃった。お父さんとお母さんは僕に愛情をいっぱい注ぎ込んでくれたってルルベットは教えてくれて、ルルベットは僕に愛情をいっぱい注ぎ込んでくれた。勉強を学ぶ機関に入れてくれた、美味しいごはんを作ってくれた。たまには喧嘩をしたりするけどルルベットは僕のお姉ちゃんでお母さん……だからお父さんがどんなものなのか知らないんだ」

 

「……厳格で真面目な人だ。感情で動かない様にしていて感情論は好まない人だと思う……けど、父親としては頑張ってる。父親としてのコミュニケーションは少なかったけど」

 

「……ルミエみたいな奴?」

 

 どんな人なのか語ればルルベットはルミエを出すので首を横に振る。

 

「いや、あいつは正真正銘の外道だから。そこまで合理的主義者じゃない、厳しくて顔が怖い人だ……最初に生まれたのが姉で、次に生まれたのが俺で、最後に生まれたのが妹で、俺が男だから無意識に厳しかったのかもしれない。市役所の職員として毎日頑張ってる。休みの日は母さんと一緒に買い物に行ったりしてるし、進研ゼミもやらせてくれたりしてる……なんで結婚出来たかどうかは謎だけど」

 

「謎なんだ……」

 

「ああ、謎だ」

 

 ホントになんで結婚出来たかどうかは謎なんだ。

 

「苦手だったの?」

 

「最初は怖かったけど慣れれば楽だ。苦手意識も無くなった……見た目や言動は怖いけど、ちゃんとしたお父さんだった」

 

 俺が転生者で普通の子供とは違うところがあると認識してた事もあったが、人より少しだけ賢い子供だと認識してたぐらいだ。

 フィラが俺の父さんに関して聞いてきたので答えるとお父さんってそんなもんなんだなと認識してリーナや葵に視線を向ける。リーナや葵の親について聞きたいのだろう。

 

「悪いけど、教えるつもりはないわ。それを奪ったあんた達には」

 

「……私は父と居る時間よりも母や爺やと一緒にいる時間が多くて父親としてはあまり……けど、立派な人でした」

 

 リーナは語る事を拒み、葵は語る事は少なかった。

 何処の家庭も色々と複雑な事情が入りくんでいるんか。ていうか葵、爺やって言ってたけど金持ちなのか。

 

「お母さんやお姉ちゃんは優しくて、お父さんとお兄ちゃんは強いんだね」

 

「かもしれないな…………姉ちゃん……いや、姉さんと知世はどうしてるんだろうか」

 

 近界民関係で被害にあってなければ姉さんは23歳,父さんの事だから大学には行かせてるだろう。

 ちゃんとしたOLになってるのだろうか?……出来ればボーダーと関わり合いを持たないでほしい。

 

「……」

 

 懐の中に入れている懐中時計を取り出す。

 懐中時計はハマグリの様にパカっと開く蓋がついているタイプの懐中時計で、家族の写真が入っている。フィラやルルベットが覗き込もうとするので直ぐに懐中時計の蓋を閉める。

 

「覗き込もうとするな」

 

「ごめん、なさい」

 

 コレを見せていいのは葵とリーナだけ……2人にも見せることは正直な話、嫌だ。

 2人にあえて見せることで色々と思わせるようにしている。

 

「…………上はいったいどうするつもりなんだろう」

 

 ボーダーが出来たことをイアドリフは知った。

 ルミエに代わり外務関係を担当しているシャーリーは温厚で友好的な人間、考えが足りないといえばその通りだがそれでも友好的な近界民だ……俺は向こうの世界に行くことについては考えていない。覆水盆に返らず、本来の道筋から離れてしまっており、超えてはいけない一線をとっくの昔に超えている。ボーダーは近界民を排除する派閥が多いので玉狛支部との同盟が限界だ……だから麟児が考えた作戦で無理矢理和親条約的なのを結ぶしかない……イアドリフが向こうの世界に行くかどうか……仮に行くとしたら葵や俺を悲劇のヒロインとして使わないといけない。俺はそれはごめんだな。




 カバー裏風紹介


 お姉ちゃんでありお母さん ルルベット

 幼くして父と母と姉と義兄を無くし残された甥っ子を姉として母として育てている立派な女の子。ジョンが数少ない少しだけ心を開いている人物
 家事万能で比較的に話が通じたり容姿端麗で非の打ち所が無いように見えるが、戦闘力は普通に戦えば米屋より上くらい。自分の為にと作られたトリオン兵であるアシッドを使った戦闘を用いてパワーアップを測るのだが中々にパワーアップが出来ない努力家だが努力が実を結びづらい。
 ジョンに対して好意を寄せているがジョンが一線を敷いており本名を一切教えるつもりはないと心を完全に開いていないのを知っているので心の何処かで諦めているがそれでもと思っているGカップのいい女、ジョンとはタメである

 容姿はテイルズオブベルセリアのベルベット

 尚、ジョンの父親の容姿は八軒数正である。

今後の展開

  • そろそろ原作にいけ
  • もう少しオリジナルをやれ。
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