近界プルルン奮闘記 作:ドドドドド黒龍剣
「……」
ジョンは思考する、麟児が考えた作戦が上手く行くかどうかを。
葵を悲劇のヒロインにすることをはじめとする様々な交渉のカードを提示すれば向こうの世界と和平の様な道を結ぶ事が出来る、かもしれない。
あくまでもかもしれないレベルの出来事であり、確実とは言えない。もう1手か2手、欲しい。なにせやろうとしている事は今まで築き上げた物を全て崩壊させる最低最悪の行為だから。
ルミエの命で生まれた黒トリガーを羅生門と書いてサハスラブジャと読むのは生きる為に悪の道を歩むから。
人を殺すことをはじめとし、既に色々と越えてはならない一線を越えているジョンに躊躇いはない……が、危険過ぎる賭けである事は自覚している。なにせボーダーには未来を予知するとんでもないサイドエフェクトを持った黒トリガー使いが居るのだから。
ただ純粋に戦えば、風刃を持った迅を相手にすれば
迅がノーマルトリガーだった場合は8割の勝利を手にする事が出来る。
迅は常にトロッコ問題をしており、メンタルは強い方だ。そして暗躍を趣味だと豪語している。
ただ純粋に戦うのならば最悪リーナに押し付ければいい。リーナとメイルバーとデッカーが合わさった強襲突撃形態はイアドリフでもトップレベルの火力を秘めているから。まだ完全に無想を会得しておらず相性と時間の関係で1回だけだが
迅の厄介なところは政にも関与する事が出来ることだ。暗躍を趣味だと豪語しているだけあって裏で色々とやっている。
トリオン能力が低くて本来ならばボーダーの入隊試験に落ちていた主人公の三雲修の入隊を裏で手引きしているのがいい一例だ。全てはボーダーの為にと派閥争いはあるが街を守る等の意識は皆、一緒であり色々とやろうとする。1隊員だがボーダーで強い発言権を有している迅を上手い具合に出し抜かないといけない。
迅を上手い具合に出し抜く事は可能なのか?その問い掛けに対する答えは出し抜けるには出し抜けるが可能性は極めて低いが低いであって0ではないといったところ。現に鳩原未来がボーダーからトリガーを横流しする事に成功している。麟児達と一緒に
それでホントに大丈夫なのか?と思うこともなんだかんだでボーダー利益に繋がったりする。だが幾らなんでも鳩原達の一件は見過ごせない。
迅は常にトロッコ問題をしている政も上手な相手、太刀川、当真、里見、二宮辺りならば自分が挑んでぶちのめすだけで解決する。迅だけはそうは行かない。故にあらゆる手を考える。イアドリフが向こうの世界と和平の様なものを結ぶために、イアドリフの利益になりボーダーにとって都合のいい傀儡にならない方法を。
「……あえて遊真を利用する、か」
色々と考えた中で迅に顔を見られないのは大前提である。
迅のサイドエフェクトは見たことがある人にしか発揮しない、見たことがある人は目の前にいなくても暫くは未来が見えている。だから迅に見られないのを大前提で動かなければならないだけでなくボーダーにある程度の信頼と疑いを勝ち取らないといけない。
ボーダーにとって迅は要である存在だ。故に近界民関連で交渉などとなれば確実に顔を見られる。
顔を見られずに迅やボーダーからある程度の信頼と疑いを勝ち取る方法は浮かんだのだが幾つか問題がある。その1つ目の関門が……やって来る。
「どうもどうも。イアドリフのパスポートは持っています」
「遊真!?」
真っ白な癖毛が特徴的な11歳ぐらいの男子、高性能な嘘発見器である空閑遊真だ。
イアドリフがカルワリアと交渉した末にこちらの国にやって来た。カルワリアで戦争が終わったのでカルワリアに居る理由が無くなったから。
「お、覚えてくれてたんだな」
「ええ、覚えてるわよ」
『誰ですか?』
「(私達が拐われて1年ちょっとぐらいした頃にやって来た傭兵の親子で、多分日本人よ)」
『日本人……ボーダーの人間ですか?』
「(さぁ、分からないわ)」
遊真との再会でリーナは驚く。ジョンは喋らない様にしている。
余計な事を言ってしまえば遊真に敵認定される。それだとボーダーから信頼と疑いを勝ち取れない。
「あんた、全然成長してないわね」
「いやぁ、色々とありまして……」
「有吾はどうしたのよ?」
「………親父は死んだよ」
「っ……そう……」
ジョンが喋らずリーナが主に色々と聞く。
有吾はどうしたかと聞けば死んだ事を伝えられる。近界は戦争が当たり前の世界で、誰が何時死んでもおかしくはない世界だ。
有吾はかなり強い筈だが死んでしまったのかとリーナは驚きはするが、そんなものだと受け入れた。
「……」
親父は死んだと言ったが黒トリガーになったとは言っていない。
黒トリガーを所有していると言えば色々と厄介な事になるのが見えてるので言わないようにしているのだろう。リーナや管制している葵は有吾が黒トリガーになった事には気付かない。普通は気付けないものだからその辺りは気にしない。
「イアドリフになにをしに来たの?」
遊真との再会を懐かしみつつもリーナは本来の仕事をする。
イアドリフになにをしに来たのかの入国審査で、緩かった雰囲気も変わる。
「イアドリフ自体には用事は無いよ。ただニホンって国に行きたいから通り道になってる感じ」
「っ!?」
「……何故日本に行く?」
「親父が死んだら日本に行って親父の知り合いに頼れって言われているんだ」
「……イアドリフに滞在期間中に提示出来る交渉のカードは?」
「おれ自身。あれから滅茶苦茶強くなったんだ……それでも足りないって言うなら、レプリカ」
『承知した』
遊真がしていた黒い指輪から炊飯器に似た見た目の黒いトリオン兵、トロポイの自律トリオン兵で遊真のお目付け役兼相棒のレプリカが出てくる。
『ユーマという戦力だけでなく他国に関する情報はどうだろう?』
レプリカはそう言うとプラネタリウムの様に星空の様なものを映し出す。
『ユーゴの記録から見たイアドリフ等の星間の情報だ。イアドリフは特定の周回軌道を持たない国で何処に向かっているかは不明だがなにかの役には立つ筈だ』
『ジョン、どう見ますか?』
「(そうだな……)」
レプリカの情報は便利と言えば便利である。
星の位置が分かれば何処ぞこの国が近付いている等が分かる。しかしジョンにとってそれはそこまで欲しいものではない。
「遊真、お前なにか有吾さんから引き継いでいるか?」
「……親父の嘘を見抜くサイドエフェクトを引き継いでいるよ。どっかの国の捕虜でも居るの?自白させたりするなら手伝うけど」
「いや…………間もなくイアドリフは日本に近付く。日本のボーダーの基地がある三門市という街に門が開く……有吾さんの知り合いはボーダー関係者だろ?」
「……そうだよ」
嘘は言っていないが、少しの違和感を抱える。
ボーダーとは一言も言っていない、嘘は言っていないが腹になにか一物を抱えていると遊真は見抜く。
「……イアドリフも日本に向かう予定だ。遠征艇に余裕があるから連れて行く事は出来る」
「向こうの世界を襲えって話ならお断りだよ。イアドリフを経由しなくて別の国を経由してニホンに向かう」
「安心しろ。向こうの世界に対して侵攻と呼べる事はしない。イヤでござんすもしくはいやん誤算浦賀に来航と言っておく」
「……嘘じゃないみたいだな」
向こうの世界に対して侵攻はしない。
侵攻する国と一緒になって来たとなれば色々と揉める未来が分かっている。故に地球を襲わない国を経由して向かうつもりだ。
ジョンは一切嘘は言っていない。向こうの世界に対して侵攻はしないとハッキリと断言した、ただイヤでござんす、いやん誤算浦賀に来航とはなにを意味しているのかは分からないので警戒心を強める。お互いにだ。
「ちょ、ちょっとジョン。なに勝手な事を言ってるのよ!?」
遠征は秘密の計画で他に漏らしてはいけない事だ。
特に遊真の様に他国に渡り歩いている人間に渡していい情報ではない。それだけならまだしも一緒に遠征に連れて行くと言っている事に対してリーナは慌てる。リーナだけではない、葵も慌てる。
「……なにが目的?」
「いやん誤算浦賀に来航を再現する、その為には色々とする。向こうの世界に関する常識なんかを知りたくはないか?知っているか?向こうの世界の国によっては牛肉を食べてはいけない、豚肉を食べてはいけない等のルールがある事を」
「む、そうなのか?」
「まぁ、vegetarianとか色々とあるにはあるわよ」
「べじたり……なんだそれ?」
「菜食主義者、簡単に言ってしまえば鳥や魚等の肉を食べない人達のことだ……お前は向こうの世界の常識をどれくらい知っている?」
「おれくらいの年頃の子供は学校って言う勉学を学ぶ機関に通ってるぐらい…………なぁ、ジョンさん」
「なんだ?」
「腹割らない?」
「お前は放浪者、俺達は従属の奴隷。出来ることと出来ない事はある」
互いに腹に一物を抱え込んでいる事を見抜いている状況下で遊真は正直な話をすることを提案する。
しかしジョンはそれは無理だと、仕事だから出来ないという。そしてそれは嘘ではないので遊真のサイドエフェクトには引っかからない。
「じゃあ、質問。ジョンさんってホントにジョン・まんじろう?」
「ああ、ジョン・万次郎だ。どういう名前の由来なのかを知りたければニホンの文明の利器を頼って調べればいい」
嘘だ。
ジョンが頷いた際にジョンから黒い靄の様なものが出てきた。嘘をついているとサイドエフェクトが教えてくれる。
ジョンはジョン・万次郎と言う名前ではない、昔それっぽいやりとりを親父と交わしていたので分かっていた事だが確証を得られた。本人の口からハッキリと聞いていないがジョン達はと考える。
「向こうの世界を襲ったりしない?」
「ああ、しない……が、向こう側から襲ってきたりしたら正当防衛なんかはさせてもらうぞ。こっちにも色々と込み入った事情があるからな」
念のための確認をするがジョンは嘘はついていない。
自分の嘘を見抜くサイドエフェクトに引っかからない様に言葉を選んだりしてはいるものの、向こうの世界に関して色々と悪い事はしようとはしないと言っている。
「……向こうの世界で色々と手伝ってくれる?」
「その場合は聞かれない限りは俺達が日本に居る事を教えない等が追加される……そうだな。先ず、向こうの世界で友達を作れ」
「友達?」
「こっちの世界からやって来た人間だと知っても敵対心なんかを抱かない友好的な友達を作って、そこから色々と発展させればいい。日本と言うか向こうの世界では
「……友達かぁ……ジョンさんとおれは友達か?」
「顔見知り程度だ。本当の意味で心を開いていない、理由はなんとなく分かるだろ?」
「……そっか……」
本当の名前を打ち明ける事が出来ていないので、真の友達とは言い難い。
親父はジョンさんから本当の名前を聞いたりしているがなんだかんだで自分は聞いていないなと振り返り、ジョンさんが自分に対して心を開いていないと納得する。
「向こうの世界で生活する為のサポートは少しだけしてやる。代わりに俺達の事を黙っておいてくれ……俺達が情報を開示してもいいと言えばボーダーに売り渡して構わない」
「…………リーナ、悪いことはしない?」
「i don't know what is right and what is wrong……私にはなにが悪いのか正しいのか分からないわ」
念には念を入れてリーナの腹を探ってみる。
聞いたことのない言語が飛んできたが直ぐに自分の知っている言語が返ってくる。そして遊真のサイドエフェクトには引っかからない。リーナは善悪の区別がついていないというのは嘘や建前などではなく本音なのだろう。
「分かった。連れてってくれるならニホンに連れてってくれ……ただ裏切ったりしたら連れて来た責任を取って……お前達を殺す」
「そうか」
「むぅ、もうちょっと動揺したり怯えたりしないの?」
「あれから色々と修行して感情を無にする技術を会得した……だから止めとけ」
腹の探り合いなどをしてもジョンが上手い具合に出し抜く。
現時点で遊真が嘘を見抜くサイドエフェクトに引っかからない言葉を選んだりしている。交渉の席ではジョンの方が上手だと素直に認めて深く追及する事はしない。
「……じゃあ、後で詳しい契約内容を決めるからイアドリフの入国を認める。入国審査通ったから通った人の部屋に向かってくれ」
「ん、分かった…………」
腹に一物を抱え込んでいるがいざとなればぶっ飛ばせばいいと遊真は考えている。
ともかく、遊真を抱き込む事に成功する。ジョンはこの事に心の中で大きくガッツポーズをする。
『よかったのですか?勝手にあんな約束を取り付けて。遠征に行けない可能性もあるのですよ?』
「問題無い……いや、逆だ。むしろ居てくれないと困る……ボーダーとの交渉の間の仲介人になってもらったりしないといけない」
葵は勝手な約束を取り付けた事に関して大丈夫なのかと心配をする。
しかしジョンは逆、遊真が居なければ今回の遠征の目的を果たす為の1歩を進むことが出来ないのを知っている。遊真が居ればボーダーの玉狛支部との同盟を結びやすくなるし、なにかとお得で……なによりもタイミングが良い。
「コレが最善の1手になる」
ジョンは知っている。
これから遊真が三雲修と会合してワールドトリガーの物語が本格的に始動するのを。
その後はモメた。
イアドリフの大規模とは言わないが、成果が上げれるかどうかは不明で死ぬ可能性もある数年間掛かる遠征を行うのに部外者を介入させる訳にはいかないと。しかし遊真を撒き餌にして自分達の存在がバレない様にすると言い、なんとかエンロウやレグリットの説得に成功する。
ジョンは知っている。
迅が修を経由して遊真の存在を認識するのを。それならばそれを逆手に取る。
迅が修を経由しなければ遊真に辿り着く事が出来なかった、それはつまり修が黙ってさえいれば遊真の存在はボーダーにバレなかったという事になる。だったら遊真と同じタイミングで三門市に侵入すればいい、そうすれば見つかる可能性が低くなる、迅を出し抜く事が出来る。ただ1つの蜘蛛の糸に近い糸を引っ張ろうとしている。
原作知識があっても迅を出し抜くのが難しいな
今後の展開
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そろそろ原作にいけ
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もう少しオリジナルをやれ。