近界プルルン奮闘記 作:ドドドドド黒龍剣
『ユーマ、どう思う?』
「なにが?」
『ジョンの事だ』
ネットカフェで必要な情報を収集して蓮乃辺市から離れたところにある格安のパソコンレンタルサービス付きのホテルに遊真とジョンは来ていた。最初の関門を突破する事に神経を使い、約10年ぶりの日本である事に浮かれずに感情を押し殺して無想状態のジョンは疲れ果てたので葵達遠征艇待機組に連絡を取らず直ぐに睡眠を取った。予想以上に疲れ果てていたのであろう。
「腹になにかは抱えてる……けど悪さをしようってわけじゃないんだよな」
例によって人を拐ったり資源を奪う為に戦争を仕掛けに来ていない。
遊真はジョンを悪い奴だとは思っていない。ただ裏でなにかとんでもない事をしようとしているのだけは確かだろう。
「それよりもレプリカ、なに調べてたんだ?」
『ジョン・万次郎という男についてだ』
白と認めて悪さをしない以上は手出しはしない。
だからこの話はコレで終わりだと遊真はレプリカがネットカフェのパソコンを用いてなにを調べていたのかを尋ねる。レプリカは文明の利器を頼りジョンについて……いや、ジョン・万次郎について調べた。
調べるのは困難かもしれないとレプリカは考えていたが割とあっさりと見つかった。
むしろインターネットに自身を接続するほうが困難だったと思うぐらいには割とあっさりと見つかったのだ。
『ジョン・万次郎とは』
「レプリカ、止めようぜ」
『ユーマ?』
「ジョンさんにだって色々とある……この遠征の真の目的は分からないけど、遠征は命懸けなんだ」
遊真は知っている。
約8年前にジョンとリーナと出会った際に父である有吾が色々と察していたのを。
イアドリフから別の国を渡り歩いて傭兵なんかをしている時にあったほんの少しの平穏な時間、自身に出来た友達や自分よりちょっと歳上の少年兵を見て有吾は何処か悲しそうにしていたのを。
はじめは色々と思うことはあったけども旅に馴れた遊真にとって、出会いがあれば別れもあるものとハッキリと分かるものだった。
何時かは自分自身も死ぬ。何時かは親父も死ぬというのが分かっていた。
自分自身のヘマが原因で父である有吾を亡くして嘘を見抜くというサイドエフェクトを引き継いだ。
親父と一緒に参戦した戦争だからとカラワリアを守り抜いた。有吾で作られた黒トリガーで戦い抜いて戦争を締結に導いた。
ジョン達は頑なに語ろうとしないがサイドエフェクトを経由して聞けば一発で分かることで過去を振り返れば答えは大体分かる。レプリカも遊真もなんとなく分かっている。
ジョン・万次郎がなんなのか?その答えに辿り着けば、レプリカから聞けばより信憑性が増す。でも聞かないでおく……それでも知りたいなって思っているのはジョンやリーナの本名だろう。
なにせ父である有吾はジョンをぶっ倒す事でその名を聞くことが出来た。
ならば自身もジョンをぶっ倒す事が出来れば本名を教えてくれるんじゃないか?と脳筋に近い思考を持っているが、ジョンは戦ってくれない。
「ジョンさんはおれの為に色々としてくれてる……おれはもがみそういちさんに会う。それだけだ」
『ふむ……ユーマがそういうのならば私が口出しするのは筋が通らない……だがもしジョン・万次郎について知りたければ何時でも聞いてくれ。ジョン・万次郎については色々と記録している』
「うん…………とりあえずおれはコレを片付けないと」
遊真はジョンに本屋で買ってもらった漢字ドリルを取り出す。
ひらがなとカタカナはギリギリ読むことが出来ているので先ずはと小学生1年生の漢字から始める。
「縦にすれば数字に、横にすれば漢字になる……不思議だな」
1と一は対して違いが無い様に見えて結構な違いがある。
文字を覚えるだけでも大変なのにこの国の歴史、計算、科学技術、異国の言語を学ばないといけない。学生って戦闘系の訓練が無いだけで実は軍人か何かじゃないのか?と疑問を持ったりするが気にせずに遊真は日本の文字を覚えておく。せめて自分のフルネームを漢字で書くことが出来るようになればいいなと思っている。
そこからは割と普通だった。
三門市と三門市に隣接する市から離れて、ホテルに滞在しては昼間はネットカフェに向かう。足がついたり学校はどうした?等を聞かれたりすると困るので同じネットカフェには行かず系列は同じだが別のネットカフェに向かって色々と調べていた。
レプリカが万が一があったら怖いからこっそりと遊真にバレない様にジョンがなにについて調べているのか調べてみたが、特に悪い事を連想させる様な事は見当たらなかった。
「ふ〜……顔写真付きの身分証明書ゲットだぜ」
そんなこんなで遊真とジョンはパスポートを手に入れた。
ジョンは自身のパスポートでなく有吾のパスポートだがとりあえず顔写真付きの身分証明書をゲットする事に成功する。この頃にはまだ完璧とは言えないが遊真は自身の名前を漢字で書くことが出来るようになっていた。1週間ぐらいだから遊真は決して頭は悪くないのである。
「パスポートさえあれば色々と問題が片付く……銀行口座作りに行くぞ」
「ぎんこう?」
「お金を預ける場所だ……こんな大金持ってたら心臓に悪い」
パスポートがあれば色々と出来る。例えば銀行口座を作るとか。
有吾の戸籍等を利用して銀行口座を作るので法律的には色々とアウトだったりするが、ジョンは気にしない。遊真もお金を預ける場所程度でその辺の法律には疎いので特に気にすることはしない。
大手の銀行に向かって普通貯金の口座を作る。
有吾名義の通帳と遊真名義の通帳を10万円で作り、足がつくのは厄介だからと複数回に分けて別の店舗の銀行のATMに預けに行く。
「…………やっとだな」
約一週間、長かった。
顔写真付きの身分証明書であるパスポートを用いて銀行口座を作ることに成功したのでやっとアレが……スマートフォン等が手に入れる事が出来る。現代っ子にとってスマートフォンは無くてはならないものだ。
早速大手の携帯会社に向かってジョンは有吾名義で携帯電話を買った。
銀行口座で引き落とす支払い方法で、なるべく足がつかない手段を用いる。大丈夫かなと心配になるがいざとなればと色々と企む。
「……後は学校に通わせるだけだな」
三門市外の住居の確保等が終わった。葵達をこちらの世界に呼び込む手筈も整っている。
二度目の日曜日、遊真を三門第三中学に編入させる手続きをジョンは行う。その際に学校に足を踏み入れたがなにも思わなかった。
既に自分は19歳、学校に通う年齢ではあるが通っても大学だ。Fateから歴史関係にハマった口なので考古学とか歴史関係を学びたかったという思いはあるが時計の針は戻しちゃいけない。戻せない。
「……1回だけだ。1回だけ電話を掛けれる様にはしておく……だからコレでお別れ……とは言わないが、コレで一先ずは俺のお役はごめんだ」
学校に入る手続きを全て済ませたジョンは荷物が入ったリュックを背負う。
今日から遊真は三門第三中学の3年生として転校する。こちらの世界の料理に関する本は置いてある。塩などの調味料一式は用意してある。3日分の食料の買い置きはしている。
だから、お別れだ。
ジョンは別れる事を悲しむことはしない。
自分の建てた計画通りに事が進めば再び遊真と再会を果たすのだから……ただ何処で迅悠一が妨害してくるかどうかが分からない。念の為に1度だけ遊真と通信する事が出来るようにした……コレでもまだ足りないとジョンは思ってるが遊真から見れば色々とやりすぎである。
「じゃ、いってきます」
「いってらっしゃい……ああ、どうせだったらあのバカでかいボーダー基地でも見てくればいいんじゃないか?なんだかんだで三門市とかボーダー関係は調べてないだろ?」
「ん……見てくよ」
そんなこんなでジョンと遊真はお別れをする。
ジョンは三門市を出て行く。蓮乃辺市を出て行く。
電車を使って出ていき、スマホを取り出してボーダーをネット検索する。
ボーダーの隊員は基本的には三門市民だが千葉や北海道から優秀な人材をスカウトしに行っている。原作知識に間違いが無ければ緑川を除いた草壁隊と片桐隊が林藤ゆりやミカエル・クローニン等と共に県外スカウトの旅に出ている。
県外スカウトに関する情報はボーダーのネット検索で次回はどの辺りに来ていると紹介される。コレは色々と好都合だ。
ボーダーのスカウトが来ない地方に向かう。流石のボーダーも三門市外ならば万が一を想定して県外に出た後に通信機を取り出す。
「こちらジョン、第1段階、第2段階成功。フェーズ3に移りたい」
『こちらシャーリー、了解だ……ユーマに変わった動きはあったか?』
「いや、無かった。遊真には言うんじゃないと何度も釘を刺していて人を拐ったりしないと言っている。アイツのサイドエフェクトは嘘を見抜くサイドエフェクトだ。だから引っかからずに俺を信用している」
『そうか……騙すような真似をしてしまっているが……』
「この作戦を成功させろ。そうすれば全てがチャラになる……人や監視カメラが無い街に向かう」
遊真を騙している事にシャーリーは僅かばかり罪悪感を抱くが、全ては1つの作戦を成功させる為だ。
ジョンは人気が無い道は舗装されたりしているものの監視カメラが無さそうな場所に向かい
「ここが
初の地球の空気を吸うルルベット。
「田舎町だからだ……と言うか全員なんだな」
門を開いて降り立ったのはレグリット、リーナ、葵、ルルベット、シャーリーの全員だった。
誰か1人ぐらいは遠征艇に残るものだと思っていたのだが、全員が来ていた。誰か1人ぐらいは残っとけよと思うが、残らない。
「狭いのはもう嫌なのよ……にしても日本か…………何時かは行ってみたいなって思ってたけどこんな形で来ることになるとは思いもしなかったわ」
「分かっていると思うが余計な真似はするなよ……ボーダーとやらに亡命はさせない」
日本にもっと別の形で来たかったと愚痴をこぼすリーナ。
レグリットはボーダーに逃げる事をさせないと先に逃げ道を潰しておくがリーナは気にしないでおく。
「私はね……日本人じゃないのよ。アメリカって国の人間なのよ……だからボーダーに亡命しても家族に会える保証は無い都合のいい傀儡になるだけ。やるんだったらこの作戦を成功させた方が何百倍もマシなのよ」
「まぁ、リーナは色々とややこしいからですね……」
この国の人間じゃないから絶対に揉める。故に作らないといけない。秘密のコネを。
葵はリーナは色々と諦めているんだなと思っている。
「とりあえずレンタルした住居に向かうけどもその前になんかあるか?お金の方は1年は保つ筈だ」
「……その……」
「なんだ言ってみろ?」
シャーリーは言っていいのかどうなのかと悩んでいる。
ここまで来たのだから余計なヘマをやらかすわけにはいかないとジョンは色々と想像してどう対応しようかと考えているとシャーリーは少しだけ恥ずかしそうにした。
「お風呂に入りたい」
「……は?」
「いや、分かっている。分かっているんだ。一個人の勝手なわがままである事ぐらいは。遠征ではシャワーが当たり前なんだが……イアドリフのお風呂に馴れているから……」
「……先ず薬局に行くぞ」
「いいのか?」
「俺の仕事は道先案内人だ……風呂屋に案内してほしいのならば、案内する。ただ色々と勝手が違うからその辺りは葵に聞いてくれ」
「私にですか!?」
「風呂は面倒見きれないだろう!」
突如として話が振られた葵は困惑する。
なにせ葵は裕福とかいうレベルじゃないレベルのお嬢様である。一応は母親から一般庶民の感性を持っておいた方がいいという教育方針を受けて塾の登下校を自転車で行うなどをしているが……生まれてこの方、1回も銭湯に行ったことは無いのである。
「ど、どれを選べば……」
薬局にジョン達は向かった。
ジョンは大手のメーカーが出しているボディーソープ、シャンプー、リンスを買い物カゴに入れる。なんの迷いもなく入れているが葵はどのシャンプーにすればいいのか悩んでいた。なにせ自身が使っていたりしたシャンプー等は最高級の物で、執事の爺やが購入したりしていたもので一般庶民のシャンプーはどれがいいのかが分からない。
「とりあえず高いのにしとけばいいんじゃないの?」
困り果てていた葵にルルベットはアドバイスを送った。
玄界の文字はよく分からないけれども高かったりすれば高品質な物である事には変わりはないと思っている。ジョンからしてみれば日本の物は最低基準値が高いのでなにを選んでもそれなりに効果が発揮するものだろうと思っている。
どれを買えばいいのか分からずお金を無駄遣いしてはいけないのでとりあえずは薬局に置いてある中で高くて量が豊富なのを選んだ。
『肩身が狭いな』
「ほっとけ」
遊真が居なくなったことで5:1の男女比率になってしまった。
メイルバーがジョンが葵達に色々と気遣っている事を察して少しだけ嘲笑う。男女比率がおかしいのは今にはじまった事じゃない。
その後は銭湯に向かいジョンは心ゆくまで風呂を楽しむ。
遊真に対して嘘をつかないホントの事を言わないギリギリのラインを渡り歩いていたので本当の意味で羽根を伸ばす事が出来る。
心残りであったリーナや葵は壁の向こう側で心ゆくまで風呂を楽しんでいるだろう。5人全員デカくて絶世の美女なのでどう思われるか。
「ここが新しい家か……少し狭いな」
「6人で定期的に遠征艇に帰るならばコレぐらいがちょうどいい」
ジョンが借りた住居は3LDKの東京近辺にあるマンスリーマンションで6人で住むのは少し狭いとレグリットは感じる。
1年契約でフリーのWi-Fi付き家具付きで130万円ちょっとと高いんだか安いんだかイマイチ分からないが東京近辺ならばそれぐらいはするんじゃないかとは思っている。まさか一気に100万円以上失うのは予想外なので念の為に明日に純金300gを日本円に換金しようとは考えている。
「それでリンジと言う男が考えた計画だが……今のところボーダーという組織は私達を見つける事が出来ていない。イアドリフの軌道が外れるまで後2週間ほどある。狙うならば今しかないのではないか?」
各自荷物を置いたりしたので作戦会議をはじめる。
シャーリーが和平を結ぶならば今がチャンスだと思っている。実際チャンスだろう。なにせ三門市外どころか県外に逃亡する事に成功し住居の確保に成功した。狙うならば今しかない……と普通は考えるだろう。
「いや、ダメだ。それだけは絶対に駄目だ……ボーダーにバレる」
「ジンという男か?」
「ああ……一手間違えれば詰む」
ジョンは迅を徹底的に危険視する。
シャーリーはいくらなんでも危険視しすぎなんじゃないのかと思ったりするが、ジョンがダメだと言うならば信じるしか道は無い。
「作戦を決行すればボーダーという組織と対峙する事は免れない筈だ」
レグリットは遅かれ早かれなので、時間を無駄にしたくない。
作戦を決行すればボーダーにとって色々と不利益になる。ボーダーと対峙するのは確定で早目に作戦を決行した方がいいと進言する。
「……ダメだ……この作戦を実行するのは少しだけ待って欲しい」
確実とは言わないが成功する確率をなるべく高くに引き上げなければならない。
今和平の様な交渉を持ちかけに行ったら色々と厄介だ。ボーダーという組織から信頼と疑いを勝ち取る事が出来ない……ジョンには原作知識がある。そしてその原作知識をとことん悪用すると決めている。
「根拠はなんだ?」
「……明日辺りになれば分かる」
ジョンはスマホを取り出して三門市の事件を確認する。
三門市で開く筈が無い場所で
流石に原作知識があるからと言うわけにはいかない。
レグリットも色々となんかあるなとは思いつつも1日待つことにし、待った結果………三門市でボーダーがイレギュラー
「コレは、ラッドか?」
イレギュラー門の原因である近界民はこいつですと画像が映し出される。
レグリットはそれを見て直ぐに偵察型のトリオン兵であるラッドである事に気付く。
「昔、アリステラに打撃を与える際に放った門をこじ開けるラッドに近いラッドだ。多分周囲の人間からトリオンを掻き集めて内側から門を開いている……如何にボーダーの門誘導装置が優れていても内側から門が開かれればおしまいだ」
現にお前達が三門市を経由しなくて出てくる事が出来たのが良い証拠だろ?と言えば一先ずは理解はするレグリット。
「表沙汰にされていないが4年半前に三門市で大規模な侵攻があってからボーダーは三門市を守りきっている……つまりは4年ぐらいはこちらの世界から人を拉致する事が出来ていないわけだ。ラッドがなんの為のトリオン兵なのかあんたなら理解してる筈だろ?」
「偵察……侵攻が目的か」
「ああ……近いうちに何処かの国が大規模な侵攻を仕掛ける可能性が大きい。狙うのはそこしかない」
「……分かった。シャーリー姫、大規模な侵攻があるのを便乗しましょう」
「大丈夫なのか?敵と間違われたりしたら………」
「その為の布石は幾つか打っておく。狙うのはそこしかない」
原作知識を悪用したたった1つの蜘蛛の糸を掴むしかない。
シャーリーはやや不安を抱えているが、コレぐらいして20%の確率でしか成功しない。色々と手を尽くしてもコレが限界、ジョンはまだまだ頼れるOTONAじゃない。
「それまでの間は
「「「「「了解」」」」」
感想お待ちしております
今後の展開
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そろそろ原作にいけ
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もう少しオリジナルをやれ。